意外いがい)” の例文
『あんな名僧めいそう知識ちしきうたわれたかたがまだこんな薄暗うすぐら境涯ところるのかしら……。』時々ときどき意外いがいかんずるような場合ばあいもあるのでございます。
すると、意外いがいにも、いつのまにか、そのはなは、えだなかほどからられたとみえて、もう、その花園はなぞのにはなかったのであります。
はちとばらの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すいれんの花を見て、去年花前がきたのも秋であったことを思いだす。この日、主人は細君より花前の上について意外いがい消息しょうそくを聞いた。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
でも、ふっとのぞいてみたそこに、チョビ安がおさえられているのみか、あの櫛巻きお藤がとぐろを巻いていようとは、実に意外いがい……!
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
半之丞の自殺を意外いがいに思ったのは「な」の字さんばかりではありません。この町の人々もそんなことは夢にも考えなかったと言うことです。
温泉だより (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
もはや、兵法大講会へいほうだいこうえは、この意外いがい椿事ちんじのため、その神聖しんせい森厳しんげんをかきみだされて、どうにも収拾しゅうしゅうすることができなくなった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寺男は、ただ意外いがいに思いながら、音のするほうへ近づいていきました。いったところは平家へいけもん墓場はかばでありました。いつか雨はりだしていました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
らに第二の徳川政府を見るにぎざるべしと一般に予想よそうしたるも無理むりなき次第しだいにして、維新後いしんご変化へんかあるいは当局者においてはみずから意外いがいに思うところならんに
卓子掛てーぶるかけ椅子いす緋色ひいろづくめな部屋へやには数人すうにんのRこく男女だんじよがゐて、わたし仲間なかま案外あんがいにもきわめて小数せうすうであつた。そのおうくは夫人帯同ふじんたいどうであつたことも、わたしには意外いがいであつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
先生は意外いがいなようにしばらくじっとカムパネルラを見ていましたが、いそいで
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
かれはハバトフが昨日きのうのことはおくびにもさず、かつにもけていぬような様子ようすて、心中しんちゅう一方ひとかたならず感謝かんしゃした。こんな非文明的ひぶんめいてき人間にんげんから、かかる思遣おもいやりをけようとは、まった意外いがいであったので。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
春信はるのぶは、意外いがいなおこのの言葉ことばは、おもわずみはった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
意外いがい飛入とびいり
骸骨館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かくて水車すいしゃはますますぶじに回転かいてんしいくうち、意外いがい滑稽劇こっけいげきが一を笑わせ、石塊せっかいのごとき花前も漸次ぜんじにこの家になずんでくる。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「どんないしさがしているんだね。」と、ききました。そのやさしみのある質問しつもんに、みんなは、ちょっと意外いがいかんじがしました。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、そのために、いまのような意外いがい勝敗しょうはいが、なにびとにも気づかれずにしんじられているのではないのかしら?
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
意外いがいなのは、このときはじめておかかったばかりの、全然ぜんぜん未知みちのおかたなのにもかかわらず、わたくしむねなんともいえぬしたしみのねんがむくむくといてたことで……。
するとこれはまた意外いがいのことに、法師がただひとり、安徳天皇あんとくてんのうのみささぎの前にたんして、われを忘れたように、一心いっしんふらんに、びわをだんじ、だんうら合戦かっせんきょくぎんじているのでありました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
じつもうしますと、これはちと意外いがいでしたので。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
光治こうじは、いままでこのもりなかには、ただ自分じぶん一人ひとりしかいないものとおもっていましたのに、ほかにも少年しょうねんがきているのをって意外いがいおどろきましたが
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)
たとえ、才蔵さいぞう一身いっしんに一嫉視しっしはのこっても、のちに現出げんしゅつしたような、意外いがいな大事にはならなかったであろう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
主人は花前が近来きんらい変化へんかのありのままをかたったのち、今後こんごあるいは意外いがい回復かいふくをみるかもしれぬと注意した。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
いずれにしてもこの一わたくしにとりてまことに意外いがいな、またまことに意義いぎのあるとうと経験けいけんでございました。
主人しゅじんは、びっくりして、こえてられずにしりもちをつきました。なぜなら、意外いがいにもおおきなくまだったからです。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
翌日よくじつ意外いがい好天気こうてんきで、シギが朝早くかられいのせんだんの木にいている。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
人間にんげんというものは、意外いがいなところに、不思議ふしぎ因縁いんねんがつながっているものだ。わたしは、また来年らいねんか、来々年さらいねん、もう一このみなとしおんではいってこよう。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
自分じぶんたちの仲間なかまは、これまで、みんな人間にんげんのためにころされたのではないか? そうおもうと、まちからきたはとのいうことは、あまりに意外いがいでなりませんでした。
兄弟のやまばと (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ご機嫌きげんよう。」と、こちょうは、せみにこえをかけました。せみは意外いがいおもったようなかおつきをして
二つの運命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この書記しょきばかりでなく、一どうが、意外いがい返事へんじに、おどろいて、少年しょうねんずにいられませんでした。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「しかられたことはないけれど、わらわれたことがあった。」と、ひでちゃんが、いいました。それは、ひでちゃんのくちもとをつめていた、たっちゃんにも意外いがいにきこえました。
二少年の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、光治こうじ熱心ねっしん少年しょうねんかおていいました。すると少年しょうねんは、意外いがいにもこころよ承諾しょうだくをして
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)
なかには、意外いがいてき出合であってたたかい、あやうくのがれたとみえ、つばさきずついたのもあります。
からす (新字新仮名) / 小川未明(著)
何事なにごとゆめのようで、意外いがいであった、この一にちのできごとおもしていたのでしょう、をぱちくりさして、ふといくちばしで、きずのついているらしい、つばさしたのあたりをなめながら
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
ところが、いつからとなくみょうなうわさがむらなかにひろまりました。それはごろからまん生活せいかつり、かれ正直しょうじき人間にんげんおもっていた人々ひとびとにとって、意外いがいちぬことだったのです。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みんなは、意外いがいなできごとにおどろいて、三にんをやっとのことでなだめました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、それをて、どんなに、意外いがいに、またうれしくおもったでしょう。
翼の破れたからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
といって、子供こどもらは意外いがいなのに、おどろかんばかりによろこびました。そして三郎さぶろうから、そのいぬをもらいました。ひと三郎さぶろうは、なごりしそうにしてさびしく、一人ひとりほうかえっていったのであります。
少年の日の悲哀 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この意外いがい報告ほうこくに、先生せんせいは、びっくりしたようすでした。
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
このとき、それはじつに意外いがいのできごとでした。
少年の日二景 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは、意外いがいにも、いさむちゃんのこえでした。
少年と秋の日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、武夫たけおは、意外いがいなことをらせました。
空にわく金色の雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)