引受ひきう)” の例文
「見張の方は引受ひきうけやした。しばらく拳骨を使わねえから、腕がうなって仕方がねえんです。どうか喧嘩でもできるようにしておくんなさい」
骸骨島の大冒険 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
只今たゞいまはお気楽きらくでございますよ、みなさんがたまかせツきりで、憲法発布けんぱふはつぷりまして、それからはみなえらいかた引受ひきうけてんでもなさるのです。
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ねがわくはだ、きみ、どうぞ一つ充分じゅうぶんかれしんじて、療治りょうじせん一にしていただきたい。かれわたしにきっときみ引受ひきうけるとっていたよ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
結婚はまだしませんが、所帯万事引受ひきうけて、心ばかりは、なぐさめの保養に出ました。——途中から、御厚情を頂きます。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かねうけたまはる、かれちゝなる濱島武文氏はまじまたけぶみしと、春枝夫人はるえふじんとのこゝろざしかはつて、不肖ふせうながら日出雄少年ひでをせうねん教育きよういくにんをば、これからこの櫻木重雄さくらぎしげを引受ひきうけませう。』
そのぜにを一手に引受ひきうけ海外の市場に輸出しおおいもうけんとして香港ホンコンに送りしに、陸揚りくあげの際にぜにみたる端船たんせん覆没ふくぼつしてかえって大にそんしたることあり。
給仕きふじはおりのこつな一人ひとり引受ひきうけてべんずるのであるが、それにしても、今宵こよひんだかさびぎて、百物語ひやくものがたりといふやうながしてならなかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
久さんが生れて間もなく、村の櫟林くぬぎばやし棄児すてごがあった。農村には人手がたからである。石山の爺さんが右の棄児を引受ひきうけて育てた。棄児は大きくなって、名を稲次郎いねじろうと云った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それについては女の身よりも男の蘿月らげつに万事を引受ひきうけて取計とりはからつてもらひたいとふのであつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
さいは海軍かいぐん鳥居とりゐ知人ちじん素性すぜうるからで利發りはつうまれつきたるをとこあるよし、其方そなた異存いぞんなければれをもらふて丹精たんせいしたらばとおもはるゝ、悉皆しつかい引受ひきうけは鳥居とりゐがして
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
で、材料ざいりょう取捨しゅしゃ選択せんたくせめ当然とうぜんわたくし引受ひきうけなければなりませんが、しかし通信つうしん内容ないよう全然ぜんぜん原文げんぶんのままで、私意しいくわへて歪曲わいきょくせしめたような個所かしょはただの一箇所かしょもありません。
それでも同益社どうえきしやでは石橋いしばし身元みもとを知つてるから強い督促とくそくず、続いて出版を引受ひきうけてたのです、の雑誌は廿にぢう一年の五月廿にぢう五日の出版しゆつぱんで、月二回の発行で、これも九がうまで続いて
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
少し奇矯にさえ見えた伊予守忠弘が一手に引受ひきうけて采配をふるっていたのです。
それは幽霊がいったのだろうともいわれず、右の鮨を残らず引受ひきうけ、近所へ配って回向えこうをしてやったそうだが、配る家が一軒も過不足なく、その数通りであったと云うは一寸ちょっと変っている怪談であろう。
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
ソレカラ段々としを取るに従て仕事も多くなって、もとより貧士族ひんしぞくのことであるから、自分で色々工風して、下駄げた鼻緒はなおもたてれば雪駄せったはがれたのも縫うとうことは私の引受ひきうけで、自分のばかりでない
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「ええ、ようござんすとも。あっしにゃ学問のことは分らねえが、鬼の一疋いっぴきや二疋ぶち殺す役ならいつでも引受ひきうけますよ」
黒襟飾組の魔手 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
もとより口実、狐が化けた飛脚でのうて、今時いまどき町を通るものか。足許あしもとを見て買倒かいたおした、十倍百倍のもうけおしさに、むじなが勝手なことをほざく。引受ひきうけたり平吉が。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それ貴方あなた段々だん/″\詮索あらつて見まするとわたしと少し内縁ひつかゝりやうに思はれます、仮令たとへ身寄みよりでないにもせよ功徳くどくため葬式とむらひだけはわたし引受ひきうけて出してやりたいとぞんじますが
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
神様かみさまもこのわたくしねがい無理むりからぬこと思召おぼしめされたか、こころよくお引受ひきうけしてくださいました。
さて雑誌を出すについては、前々ぜん/\から編輯へんしうはう山田やまだわたしとが引受ひきうけて、石橋いしばしもつぱ庶務しよむあつかつてたので、三人さんにん署名人しよめいにんとして、明治十九年の春にあらためて我楽多文庫がらくたぶんこ第壱号だいいちがうとして出版した
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
二十日はおまつりなればこゝろ一ぱい面白おもしろことをしてと友達ともだちのせがむに、趣向しゆこうなになりと各自めい/\工夫くふうして大勢おほぜいこといではいか、幾金いくらでもいゝわたしすからとてれいとほ勘定かんでうなしの引受ひきうけに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
思うに当時人心じんしん激昂げきこうの際、敵軍を城下に引受ひきうけながら一戦にも及ばず、徳川三百年の政府をおだやか解散かいさんせんとするは武士道の変則へんそく古今の珍事ちんじにして、これを断行だんこうするには非常の勇気ゆうきを要すると共に
この飜譯ほんやくは、仕事しごと餘暇よか水兵等すいへいら教授けふじゆためにと、大佐たいさ餘程よほど以前いぜんから着手ちやくしゆしてつたので、のこ五分ごぶんいちほどになつてつたのを、徒然つれ/″\なるまゝ、わたくし無理むり引受ひきうけたので、その飜譯ほんやくまつたをはつたころ
映画の音楽を引受ひきうけるとか、学校や会社団体などの合唱団を指揮するとか、いくらでも仕事はあるそうですが、それは宣伝力のある先輩やそれぞれの手蔓てづるのある才人に占められて、弱気で真面目まじめ
そうしてその後任こうにん自分じぶん引受ひきうけたくおもうていた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「メリケン壮太だ‼」と若者が叫んだ「ここは引受ひきうけた。あっちへいって早く大事な物を取返してくれたまえ!」
危し‼ 潜水艦の秘密 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
これは氏子うじことして是非ぜひ心得こころえかねばならぬこととぞんじられます。もっともそのお仕事しごとはただ受附うけつけてくださるだけで、直接ちょくせつ帰幽者きゆうしゃをお引受ひきうくださいますのは大国主命様おおくにぬしのみことさまでございます。
それから一時いちじ中絶ちうぜつした我楽多文庫がらくたぶんこです、吉岡書籍店よしをかしよじやくてん引受ひきうけて見たいとふので、ぢき再興さいこうさせて、文庫ぶんこ改題かいだいして、かた菊版きくばんなほしました、これ新著百種しんちよひやくしゆ壱号いちがうが出るとも無く発行はつかうしたので
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
これを引受ひきうけたる仏人の利益りえきおもい見るべし。
さうして其後任そのこうにん自分じぶん引受ひきうおもふてゐた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かれわたし屹度きつときみ引受ひきうけるとつてゐたよ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)