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よあけ
ふりがな文庫
“
夜明
(
よあけ
)” の例文
メルルと云つて日本の
杜鵑
(
ほとゝぎす
)
と
鶯
(
うぐひす
)
の間の様な声をする小鳥が
夜明
(
よあけ
)
には来て
啼
(
な
)
くが、五時になると
最早
(
もう
)
雀の
啼
(
な
)
き声と代つて
仕舞
(
しま
)
ふ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「
誰
(
だれ
)
も私ほど坊ちゃんを知ってる者はありませんよ。私ゃね、これで坊ちゃんに大変
御贔屓
(
ごひいき
)
になってるんでさあ。どりゃひとつ
夜明
(
よあけ
)
の
唄
(
うた
)
を歌おう」
朝
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
手前は御当家のお奥に勤めているりよの
宿許
(
やどもと
)
から参りました。母親が
霍乱
(
かくらん
)
で
夜明
(
よあけ
)
まで持つまいと申すことでござります。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
卯平
(
うへい
)
は
田圃
(
たんぼ
)
に
從
(
つ
)
いて
北側
(
きたがは
)
の
道
(
みち
)
を
歩
(
ある
)
いたので
彼
(
かれ
)
の
目
(
め
)
には
悉
(
こと/″\
)
く
夜明
(
よあけ
)
の
如
(
ごと
)
き
白
(
しろ
)
い
冷
(
つめ
)
たい
霜
(
しも
)
を
以
(
もつ
)
て
掩
(
おほ
)
はれて
居
(
ゐ
)
る
畑
(
はたけ
)
のみが
映
(
うつ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
此
(
この
)
若
(
わか
)
い
僧
(
そう
)
が、
今朝
(
けさ
)
夜明
(
よあけ
)
がたに
既
(
すで
)
に
參禪
(
さんぜん
)
を
濟
(
す
)
まして、
夫
(
それ
)
から
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
て、
飯
(
めし
)
を
炊
(
かし
)
いでゐるのだといふ
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
夜明
(
よあけ
)
まで書を読んで居て、台所の方で塾の
飯炊
(
めしたき
)
がコト/\飯を
焚
(
た
)
く
仕度
(
したく
)
をする音が聞えると、それを
相図
(
あいず
)
に又寝る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
毎年
(
まいとし
)
冬のはじめに、長吉はこの
鈍
(
にぶ
)
い
黄
(
きいろ
)
い
夜明
(
よあけ
)
のランプの火を見ると、何ともいえぬ悲しい
厭
(
いや
)
な気がするのである。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
男は幽霊か知らとは思つたが、それにしても二人の
年齢
(
とし
)
が一向
合点
(
がてん
)
が
往
(
ゆ
)
かないので、その
儘
(
まゝ
)
夜明
(
よあけ
)
を待つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
主
(
あるじ
)
が蝋燭を持って彼の後から階段のところまで送って出て、彼が階段を降りるのを照してやった時、
夜明
(
よあけ
)
の光はもうそこの
汚
(
よご
)
れた窓から寒そうに覗き込んでいた。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
眞夜中を過ぎると直ぐに
夜明
(
よあけ
)
になる。「果さなくてはならない仕事を始めるのに早すぎることはない。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
で、
身體
(
からだ
)
が
甚
(
ひど
)
く
凍
(
こゞ
)
えて
了
(
しま
)
つたので、
詮方
(
せんかた
)
なく、
夕方
(
ゆふがた
)
になるのを
待
(
ま
)
つて、こツそりと
自分
(
じぶん
)
の
室
(
へや
)
には
忍
(
しの
)
び
出
(
で
)
て
來
(
き
)
たものゝ、
夜明
(
よあけ
)
まで
身動
(
みうごき
)
もせず、
室
(
へや
)
の
眞中
(
まんなか
)
に
立
(
た
)
つてゐた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
日本の小説にはない
訣
(
わけ
)
ではない。その一つは
青木健作
(
あをきけんさく
)
氏の
何
(
なん
)
とかいふ女工の小説である。
駈落
(
かけお
)
ちをした女工が
二人
(
ふたり
)
、
干藁
(
ほしわら
)
か何かの中に野宿する。
夜明
(
よあけ
)
に二人とも目がさめる。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今
(
いま
)
は
最
(
も
)
う、さつきから
荷車
(
にぐるま
)
が
唯
(
たゞ
)
辷
(
すべ
)
つてあるいて、
少
(
すこ
)
しも
轣轆
(
れきろく
)
の
音
(
おと
)
の
聞
(
きこ
)
えなかつたことも
念頭
(
ねんとう
)
に
置
(
お
)
かないで、
早
(
はや
)
く
此
(
こ
)
の
懊惱
(
あうなう
)
を
洗
(
あら
)
ひ
流
(
なが
)
さうと、
一直線
(
いつちよくせん
)
に、
夜明
(
よあけ
)
に
間
(
ま
)
もないと
考
(
かんが
)
へたから
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
土佐では
槙山
(
まきのやま
)
郷の字
筒越
(
つつごし
)
で、与茂次郎という猟師
夜明
(
よあけ
)
に一頭の大鹿の通るのを
打留
(
うちと
)
めたが、たちまちそのあとから
背丈
(
せたけ
)
一
丈
(
じょう
)
にも余るかと思う老女の、髪赤く両眼鏡のごとくなる者が
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
もし今こうして忍び寄って来ているのがシルヴァーと彼の一味の者であったなら、一人だって
夜明
(
よあけ
)
の光を見られまい。それというのも船長が負傷しているからのことだ、と私は思った。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
日田の皿山は大鶴村に属し、小字は小鹿田である。不思議にもこれを「おんだ」と読む。豆田を過ぎて筑後川に沿うて下り、
夜明
(
よあけ
)
村から北へと折れれば大鶴村に達する。その行程は四里。
日田の皿山
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
見せられけるに長庵は一
目
(
め
)
見
(
みる
)
より死骸に取付扨は十兵衞にて
有
(
あり
)
けるか
斯
(
かゝ
)
る事の有るべきと
虫
(
むし
)
が知らせし物にや
頻
(
しき
)
りに
夜明
(
よあけ
)
て出立致させ
度
(
たく
)
我が止めしをも
聞入
(
きゝいれ
)
ず出立
成
(
なし
)
たる
夫故
(
それゆゑ
)
に斯る
憂目
(
うきめ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その母の子らかきおこす声きけば
白木蓮
(
はくれん
)
の咲きて
夜明
(
よあけ
)
ちかきか
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
泣いた
夜明
(
よあけ
)
の黒髪か。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
九時
過
(
すぎ
)
にそつと寄つて戸から
覗
(
のぞ
)
くと桃色の
寝衣
(
ねまき
)
を着た二十四五の婦人が腰を掛けて金髪を梳いて居た。
夜明
(
よあけ
)
の光で見た通りの美しい人である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
鶏
(
にはとり
)
は
神様
(
かみさま
)
に
夜明
(
よあけ
)
を
知
(
し
)
らせる
事
(
こと
)
を
仰付
(
おほせつ
)
かつたのが
嬉
(
うれ
)
しさに、
最初
(
さいしよ
)
の
夜
(
よる
)
、まだお
月様
(
つきさま
)
がゆつくりと
空
(
そら
)
を
遊
(
あそ
)
びまはつてゐるのに、
時
(
とき
)
を
作
(
つく
)
つて
啼
(
な
)
きました。
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
初冬
(
はつふゆ
)
の暗い夜はまだ明け離れるのに
大分
(
だいぶ
)
間があった。彼はその人とその人の
門
(
かど
)
を
敲
(
たた
)
く
下女
(
げじょ
)
の迷惑を察した。しかし
夜明
(
よあけ
)
まで安閑と待つ勇気がなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
翌朝
(
よくあさ
)
純一は早く起きる積りでもいなかったが、
夜明
(
よあけ
)
近く物音がして、人の話声が聞えたので、目を
醒
(
さ
)
まして便所へ行った。そうすると廊下で早立ちの客に逢った。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
で、
身体
(
からだ
)
が
甚
(
ひど
)
く
凍
(
こご
)
えてしまったので、
詮方
(
せんかた
)
なく、
夕方
(
ゆうがた
)
になるのを
待
(
ま
)
って、こッそりと
自分
(
じぶん
)
の
室
(
へや
)
には
忍
(
しの
)
び
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たものの、
夜明
(
よあけ
)
まで
身動
(
みうごき
)
もせず、
室
(
へや
)
の
真中
(
まんなか
)
に
立
(
た
)
っていた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その画面は絵巻物を繰りひろぐるが如く上巻より下巻まで連続して春夏秋冬の
四時
(
しじ
)
に
渉
(
わた
)
る隅田川両岸の風光を一覧せしむ。開巻第一に現れ
来
(
きた
)
る光景は
高輪
(
たかなわ
)
の
夜明
(
よあけ
)
なり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
恁
(
か
)
ういふ
遠慮
(
ゑんりよ
)
のない
蔭口
(
かげぐち
)
を
利
(
き
)
かれるまでには
苦
(
くる
)
しい
間
(
あひだ
)
の三四
年
(
ねん
)
を
過
(
すご
)
して
來
(
き
)
たのである。
彼
(
かれ
)
の
生活
(
せいくわつ
)
はほつかりと
夜明
(
よあけ
)
の
光
(
ひかり
)
を
見
(
み
)
たのであつた。おつぎは
此
(
この
)
時
(
とき
)
廿
(
はたち
)
の
聲
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
たのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
しめつた自分の庭の
滴
(
しづく
)
のたれるオレンジの木の下を、そして濡れた
柘榴
(
ざくろ
)
の木やパインアプルの間を歩く間に、熱帶の輝かしい
夜明
(
よあけ
)
が私の
周
(
まは
)
りにかゞやく間に、私は次のやうに考へを進めたのです
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
あなかそか父と母とは目のさめて何か
宣
(
の
)
らせり雪の
夜明
(
よあけ
)
を
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
隔
(
おき
)
給ふな
最早
(
もはや
)
夜明
(
よあけ
)
にも間はあるまじ夫までは
先
(
まづ
)
暫時
(
しばらく
)
此所に
休息
(
きうそく
)
致さん又其
許
(
もと
)
には定めて此
近邊
(
きんぺん
)
の御人成んと聞にお粂も此人
盜賊
(
たうぞく
)
などにあらずと安心し
打解
(
うちとけ
)
し
體
(
さま
)
にて
傍
(
そば
)
へ寄私しは駿州
江尻
(
えじり
)
の者なりと云ながら
面
(
かほ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
夜明
(
よあけ
)
に
間
(
ま
)
のない
所爲
(
せゐ
)
であらう。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
もう
夜明
(
よあけ
)
前ですよ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
主人夫婦もおめかしをして
寄席
(
よせ
)
や
珈琲店
(
キヤツフエ
)
へ出掛ける。おれも初めの頃はよく主人夫婦と
夜明
(
よあけ
)
近くまで遊び歩いたもんだ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
私の起きた時間は、正確に分らないのですけれども、もう
夜明
(
よあけ
)
に
間
(
ま
)
もなかった事だけは明らかです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いずれも今朝方、
夜明
(
よあけ
)
の一番列車で出て来て、思い思いに知合いの農家をたずね歩き、買出した物を背負って、昼頃には
逸早
(
いちはや
)
く東京へ戻り、その日の商いをしようという連中である。
買出し
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「
夜明
(
よあけ
)
にひどく
冷々
(
ひや/\
)
したつけかんな」お
品
(
しな
)
はいつて
一寸
(
ちよつと
)
首
(
くび
)
を
擡
(
もた
)
げながら
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
砂寒き
低山
(
ひくやま
)
の裾を
来
(
く
)
る駱駝
後先
(
あとさき
)
の影が
夜明
(
よあけ
)
いばえつ
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
わたしは
夜明
(
よあけ
)
までに
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
委敷
(
くはしく
)
言上に及びければ中納言樣には深く
御滿悦遊
(
ごまんえつあそ
)
ばし汝ならでは
然樣
(
さやう
)
の働きは成まじとの御賞美の御意なりまた御意には越前はさぞ
夜明
(
よあけ
)
が
待遠成
(
まちどほなる
)
べし明朝は六ツ時登城すべし
然樣
(
さやう
)
に計ひ申す可との御意なれば夫々の役々へ御登城の御
觸出
(
ふれいだ
)
しに及びける夫よりは御
寢所
(
しんじよ
)
へも入せられず
直樣
(
すぐさま
)
御月代を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
空しき
夜明
(
よあけ
)
を眺むべく夕暮に山を下らん。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
夜
常用漢字
小2
部首:⼣
8画
明
常用漢字
小2
部首:⽇
8画
“夜明”で始まる語句
夜明前
夜明方
夜明烏
夜明珠