)” の例文
しかし何故なぜ面白いのか。何故かう心を惹くのか。さう思つて考へて見ても、うしてもその理由がわからないやうな場合がよくある。
黒猫 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
「大層寢起きが良いな、八。挨拶だつて尋常だし、月代さかやきだつて、當つたばかりぢやないか、つかに結構な婿の口でもあつたのかえ」
夫人はこの時笑ってしまえば宜かったのに、うもう行き兼ねた。女中が先ず笑ったのである。それが先刻の仇討のように思えた。
或良人の惨敗 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
可也かなり皮肉な出来事であつたからで、気の小さい、きまわるがり屋の彼は、うかしてうまくそれを切りぬけようと、頭脳あたまを悩ましてゐた。
花が咲く (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
実を云ふと、訓練のない人達のことですから理想的に行くかうか、それは随分困難のことでせう。私も常にその覚悟はしてゐます。
私有農場から共産農団へ (新字旧仮名) / 有島武郎(著)
あなたがんな動機から神話を譯して御覽になつたかはまだ解らないが、恐らく文學を研究する人の手引草てびきぐさとしてばかりではないでせう。
『伝説の時代』序 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あゝ……有難ありがたうよ……うもピリ/\痛んでたまらない……深く切つたと見えて血が止まらない……モシ少々せう/\お願ひがございますがな
またうしてられる……じつ一刻いつこくはやく、娑婆しやば連出つれだすために、おまへかほたらばとき! だんりるなぞは間弛まだるツこい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この頃ヨクという場合にく良の字を書いて平気でいるが、ヨクはんな場合も良の字でよいという訳のものではない位の事は、筆を
「一寸お待ちなせエ、戸締のい家たア随分不用心なものだ、れ程貧乏なのか知らねいが」と彼の剽軽へうきんなる都々逸どゝいつの名人は冷罵れいば
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
彼等の装飾品を供給する為に日本の雑貨店の多数がれ位海外で富を造つて居るか。彼等の三度の食事がれ位美味に飽いて居るか。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
昨日きのふあさ千葉ちばわたしびまして、奧樣おくさまこの四五にちすぐれやう見上みあげられる、うぞあそばしてかと如何いかにも心配しんぱいらしくまをしますので
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
家へ帰つて色々古い書物をあさつて見ると、封を解く呪文じゆもんだけはうにか了解のみこめたが、さて封を解いたものかうか一寸始末に困つた。
「うむ。そうだ。せめて池谷医師が外していったフィルムはんなものだったか、それを確かめるだけなら、なにも悪かないだろう」
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
何事なに? ……うしたの? ……何うしたの?」と、気にして聞く。私は、失敗しくじった! と、穴にも入りたい心地をつとめて隠して
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
『もしっ……旦那様……。何ぞ、わたくしに落度でもござりましたならば、どうぞおゆるしくださいませ。のようにも、改めまする』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが、大阪のすし屋は、うも生海老が早く売切れる。われわれ、夜の仕事が終って行くと、もう売切れです、と断わられる。
このたび大阪 (新字新仮名) / 古川緑波(著)
彼の子供がんな事を書くだらうとか、どんな文藝上の手腕をもつて居るだらうとか、或は題材は何んなものを捉へるだらうとか
剣菱ここに論語、聖書の中より二三節を抜摘して、公平なる批評を加えて、孔子や耶蘇がほど利口な事をいったか研究して見よう。
論語とバイブル (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
それにしても『円周率』とは、何を意味しているのであろう、3.14 ……という無理数であるπは、んな意志表示なのであろう。
脳波操縦士 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
彼は、れ位ゐ金を呉れたのか気に懸つたが、努めて白々しい態度を取つてゐると、だんだんに心がイヂけて来るやうな不快を覚えた。
熱海へ (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
小説以外では餘り若い女といふものに近づいた事のない甲田には、うしても若い女に冷たい理性などがありさうに思へなかつた。
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ところがその時です、私が、列車がの地点をはしっているかということに気づいたのは。そして到底脱線の外はないとあきらめました。
其の夏のの夢よりも、また幾年かたつて、青春の廿二歳の折に遭遇した戀の方が、更に猶ほ深くれほど忘れられなかつたであらう。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
湯河原まで、うしても三時間かゝる。湯河原で降りてから、あの田舎道をガタ馬車で三十分、どうしても十時近くなってしまう。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
蝙蝠かうもりねこべるかしら?』なんてひました、それであいちやんは、どつちがうとも其質問そのしつもんこたへることが出來できませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
うかすると自分のいてゐる草履がペツタ/\いふのに、飛上るやうに吃驚びつくりして冷汗ひやあせを出しながら、足の續く限り早足にあるいた。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
今も云っている所だが、知りもしない旅の人間なぞをうして迂闊うかつに泊められるものか。無理に断って、逐い出してしまったのだ。
青蛙神 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
うもかうもあれへん。三年の年賦ちうことになつたのだすが、なか/\納め切れまへうまい。……いづれ公賣もんだすなア。」
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
わたくしべつ婦道ふどううの、義理ぎりうのとって、六ヶむずかしい理窟りくつからして、三浦みうらみとどまったわけでもなんでもございませぬ。
すると意外千万な発明をしたのです実は罪人の名前まで分ったと云うも全く其発明の鴻恩です、其発明さえ無けりゃうして貴方
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
子供達は今日はうしたのか悲鳴をあげてめい/\につかまへられてゐる帯際の友達の手を振りもぎつて、馳け出して来ました。
火つけ彦七 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
しかも、それは極めて徐々に時の経過と共に自然に行われるのであって、何時うして何うということなどのいえないようなものである。
早稲田神楽坂 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
では、次に明治時代にはいって、大衆的なる文芸として、先ず最初にんなものが現れでたであろうか。否、現れざるを得なかったか。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「イヤ、俺はほかに手段がないんだ。俺は伯父さんに助けてもらうほかにうすることも知らないやくざな、だらしない人間なんだ……」
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
次の映画幕はの様な光景を展開するか、タカタカ、タンタン、タカタカタンというところだが、賢い奴は猿面冠者の藤吉郎で
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
何處どこで聞いたか私の大阪に來てゐるといふことを知つて「直太郎なほたらう(私)も當地ださうだ。遊んでゐるなら私のうちの書生に寄越よこしたらうだ。」
兵馬倥偬の人 (旧字旧仮名) / 塚原渋柿園塚原蓼洲(著)
面白可笑おかしい物ばかりが、大衆物の目的ではありません。だが大衆はういう作を、要求しているかということは、知る必要がありましょう。
孔雀の樹に就いて (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
どれもどれも大真面目で、着くと直ぐ土の粒を置いては、又他のを捜しに降りて行く。蟻達は一体うしてそんなに忙しがつてゐるのだらう?
「私は、こんな女になつてしまつて、自分でも、判らなくなつてゐるンです。うかしてしまつて下さい。どうでもしてしまつて下さい……」
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
勘次かんじほどそれがげきしたこゝろ忌々敷いま/\しくくてもれをたしなめてしかつてなんがかりもつてらぬ。三にんたゞだまつてあるいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
御承知の通り、猪子君も彼様あゝいふ弱い身体だから、始め一緒に信州を歩くと言出した時に、くらゐ我輩が止めたか知れない。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
はいする以上は藤三郎を家督かとくになすべきは順當じゆんたうなるを世評せひやうの樣子にてはうやら主税之助が甚だ欲情よくじやうかゝ自身じしん實子の佐五郎を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
尤も此のバアトン訳の剽竊版へうせつばん(Pirate Edition)が亜米利加アメリカで幾つも出来てゐるが、中身はうだらうか。
「まあ、まあ、旦那」と顔役の亜弗利加アフリカ丸が飛んで出た。「本人も柔順おとなしくお供すると言ってるんですから——が、一体うしたと言うんです」
上海された男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
世間並の生活をしないことがんなに健康に影響するかを説いて、早起きをするやうにと時子は忠告した。すると実枝は
曠日 (新字旧仮名) / 佐佐木茂索(著)
落胆がつかりして家を出て、急足はやあしで何時もの酒屋に来て見れば、これもうしたか消えて仕舞つて、その代に大きな、古びた、木造りの家がありました。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
おゝ、御坊ごばう、をしへてくだされ、この肉體にくたいのあたりに、わし醜穢けがらはしい宿やどってゐるぞ? さ、をしへてくだされ、そのにく居所ゐどころ切裂霧さいてくれう。
一体君はう思うか、男子の出処進退は銘々めいめいの好む通りにするがいではないか、世間一般そうありたいものではないか、之に異論はなかろう。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それであるからの國の假名遣でも保守的の性質と云ふものを有つて居るのは無論である。日本のも同樣と思つて居る。
仮名遣意見 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)