-
トップ
>
-
欲情
人は只
實心を旨とし
苟且にも
僞り
欺く事勿れと然るを言行相反し私欲を
逞しうなす者必ず其の身を
亡すこと古今珍しからずと雖も人世の
欲情を
廢する以上は藤三郎を
家督になすべきは
順當なるを
世評の樣子にては
何うやら主税之助が甚だ
欲情に
關り
自身實子の佐五郎を
振れ
否々其方が申す所一ツとして申譯は相成ず
欲情に
關りては實の
親子兄弟の中成とも心得
違ひの者
往々有事なれば
彌々陳ずるに於ては
拷問申付るぞ其方が
首に掛し百兩入の
財布は則ち平兵衞を