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いまど
ふりがな文庫
“
今戸
(
いまど
)” の例文
俳諧師
(
はいかいし
)
松風庵蘿月
(
しようふうあんらげつ
)
は
今戸
(
いまど
)
で
常磐津
(
ときはづ
)
の
師匠
(
しゝやう
)
をしてゐる
実
(
じつ
)
の
妹
(
いもうと
)
をば今年は
盂蘭盆
(
うらぼん
)
にもたづねずにしまつたので毎日その事のみ気にしてゐる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
昼頃から降り続いた雪が、宵には小やみになりましたが、それでも三寸あまり積って、
今戸
(
いまど
)
の往来もハタと絶えてしまいました。
銭形平次捕物控:021 雪の精
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
変死のうちでも、雷死は検視をしないことになっているので、お朝の死骸はあくる日のゆう方、
今戸
(
いまど
)
の
菩提寺
(
ぼだいじ
)
へ送られて
式
(
かた
)
のごとく葬られた。
半七捕物帳:34 雷獣と蛇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今戸
(
いまど
)
の
渡
(
わたし
)
と云う名ばかりは
流石
(
さすが
)
に
床
(
ゆか
)
し。
山谷堀
(
さんやぼり
)
に上がれば雨はら/\と降り来るも場所柄なれば面白き心地もせらる。
半日ある記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
勝久の
初
(
はじめ
)
て招かれたのは
今戸
(
いまど
)
の別邸で、当日は
立三味線
(
たてさみせん
)
が勝秀、外に
脇二人
(
わきににん
)
、
立唄
(
たてうた
)
が勝久、外に脇唄二人、その他
鳴物
(
なりもの
)
連中で、
悉
(
ことごと
)
く女芸人であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
噫
(
あゝ
)
此行
(
このかう
)
、
氷川
(
ひかは
)
の
宮
(
みや
)
を
拜
(
はい
)
するより、
谷中
(
やなか
)
を
過
(
す
)
ぎ、
根岸
(
ねぎし
)
を
歩行
(
ある
)
き、
土手
(
どて
)
より
今戸
(
いまど
)
に
出
(
い
)
で、
向島
(
むかうじま
)
に
至
(
いた
)
り、
淺草
(
あさくさ
)
を
經
(
へ
)
て
歸
(
かへ
)
る。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
わっしは元より
今戸
(
いまど
)
の
瓦師
(
かわらし
)
、とてもあいつに歯は立ちませんが、またお千絵様の境遇をよそに見てもいられねえ。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その真似をして
林家正藏
(
はやしやしょうぞう
)
という怪談師が、
今戸
(
いまど
)
に心中のあった時に『たった今戸心中噺』と標題を置き拵えた
怪談
(
はなし
)
が
大
(
たい
)
して評が
好
(
よ
)
かったという事でござります。
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私の今住んでいる
向島
(
むこうじま
)
一帯の土地は、昔は石が少かったそうである。それと反対に
向河岸
(
むこうがし
)
の橋場から
今戸
(
いまど
)
辺には、石浜という名が残っている位に石が多かった。
梵雲庵漫録
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
ふと途中の
今戸
(
いまど
)
の渡しでその源兵衛と同じ舟に乗り合わせながら、「
旦那
(
だんな
)
、どちらへ」と聞かれてもまだ目の前にその人がいるとは気づかなかったというほどだ。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
或曇つた冬の日の午後、僕等は皆福間先生の
柩
(
ひつぎ
)
を
今戸
(
いまど
)
のお寺へ送つて行つた、お葬式の
導師
(
だうし
)
になつたのはやはり
鴎外
(
おうぐわい
)
先生の「
二人
(
ふたり
)
の友」の中の「
安国寺
(
あんこくじ
)
さん」である。
二人の友
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
芝居茶屋の若い衆——といっても、もう頭の
禿
(
はげ
)
ている伝さんが、
今戸
(
いまど
)
のおせんべいを持ってくる。
旧聞日本橋:18 神田附木店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
鼻緒の
下請負
(
したうけおい
)
は、同じ区内の
今戸
(
いまど
)
とか
橋場
(
はしば
)
あたりの
隣町
(
となりまち
)
の、
夥
(
おびただ
)
しい家庭工場で、
芯
(
しん
)
を固めたり、
麻縄
(
あさなわ
)
を通したり、その上から色彩さまざまの
鞘
(
さや
)
になった鼻緒を
被
(
かぶ
)
せたり、それが出来ると
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大川へ出た船は、流を
溯
(
さかのぼ
)
って
吾妻橋
(
あずまばし
)
を通り抜けて、
今戸
(
いまど
)
の
有明楼
(
ゆうめいろう
)
の
傍
(
そば
)
に着けたものだという。姉達はそこから
上
(
あが
)
って芝居茶屋まで歩いて、それからようやく設けの席につくべく、小屋へ送られて行く。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「おや、おそろいでどこへ行くの?
今戸
(
いまど
)
公園?」
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
竜泉寺
(
りゆうせんじ
)
、
山谷
(
さんや
)
、
今戸
(
いまど
)
のわたし
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
俳諧師
(
はいかいし
)
松風庵蘿月
(
しょうふうあんらげつ
)
は
今戸
(
いまど
)
で
常磐津
(
ときわず
)
の
師匠
(
ししょう
)
をしている
実
(
じつ
)
の妹をば今年は
盂蘭盆
(
うらぼん
)
にもたずねずにしまったので毎日その事のみ気にしている。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
浅草の
今戸
(
いまど
)
には、日本橋の古河という大きい
鉄物屋
(
かなものや
)
の寮がある。才兵衛はそこへ茶道具類を見せに行って、その帰り途で災難に逢ったのである。
半七捕物帳:61 吉良の脇指
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
軟派の生徒で出くわした奴は災難だ。白足袋がこそこそと横町に曲るのを見送って、三人一度にどっと笑うのである。僕は分れて、
今戸
(
いまど
)
の
渡
(
わたし
)
を向島へ渡った。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
鯱
(
しやち
)
と
鯨
(
くぢら
)
の
中
(
なか
)
へ、
芝海老
(
しばえび
)
の
如
(
ごと
)
く、
呑
(
の
)
まれぬばかりに
割込
(
わりこ
)
んで、
一
(
ひと
)
つ
吻
(
ほつ
)
と
呼吸
(
いき
)
をついて、
橋場
(
はしば
)
、
今戸
(
いまど
)
の
朝煙
(
あさけむり
)
、
賤
(
しづ
)
ヶ
伏屋
(
ふせや
)
の
夕霞
(
ゆふがすみ
)
、と
煙
(
けむ
)
を
眺
(
なが
)
めて、ほつねんと
煙草
(
たばこ
)
を
喫
(
の
)
む。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「江戸浅草の
今戸
(
いまど
)
で、こちらは親分の
唐草銀五郎
(
からくさぎんごろう
)
、わっしは
待乳
(
まつち
)
の
多市
(
たいち
)
という
乾分
(
こぶん
)
で」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
浅草
(
あさくさ
)
の
今戸
(
いまど
)
です。まだお
独身
(
ひとり
)
で、下宿していらっしゃいます。しかし西郷さんは、立派な方でございますよ。
仮
(
か
)
りにも疑うようなことを云って
戴
(
いただ
)
きますと、あたくしお
恨
(
うら
)
み申上げますわ」
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
今戸
(
いまど
)
で
小体
(
こてい
)
な小間物屋をしていますよ。妹とたった二人で」
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
今戸
(
いまど
)
の土人形
江戸の玩具
(新字旧仮名)
/
淡島寒月
(著)
千住
(
せんじゅ
)
の名産
寒鮒
(
かんぶな
)
の雀焼に
川海老
(
かわえび
)
の
串焼
(
くしやき
)
と
今戸
(
いまど
)
名物の甘い甘い
柚味噌
(
ゆずみそ
)
は、お
茶漬
(
ちゃづけ
)
の時お妾が
大好物
(
だいこうぶつ
)
のなくてはならぬ品物である。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
名物
(
めいぶつ
)
と
豫
(
かね
)
て
聞
(
き
)
く、——
前
(
まへ
)
にも
一度
(
いちど
)
、
神田
(
かんだ
)
の
叔父
(
をぢ
)
と、
天王寺
(
てんわうじ
)
を、
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
は
相坂
(
あひざか
)
の
方
(
はう
)
から
來
(
き
)
て、
今戸
(
いまど
)
邊
(
あたり
)
へ
𢌞
(
まは
)
る
途中
(
とちう
)
を、こゝで
憩
(
やす
)
んだ
事
(
こと
)
がある。が、
最
(
も
)
う七八
年
(
ねん
)
にもなつた。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
田町
(
たまち
)
と
今戸
(
いまど
)
辺に五、六軒の家作があるのを頼りに、
小体
(
こてい
)
のしもた家暮らしをすることになりました。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今戸
(
いまど
)
、馬道の四ツ
角
(
かど
)
へきた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蘿月
(
らげつ
)
は
俄
(
にはか
)
に
狼狽
(
うろた
)
へ出し、
八日頃
(
やうかごろ
)
の
夕月
(
ゆふづき
)
がまだ
真白
(
ましろ
)
く
夕焼
(
ゆふやけ
)
の空にかゝつてゐる
頃
(
ころ
)
から
小梅瓦町
(
こうめかはらまち
)
の
住居
(
すまひ
)
を
後
(
あと
)
にテク/\
今戸
(
いまど
)
をさして歩いて行つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
振返
(
ふりかへ
)
れば
聖天
(
しやうでん
)
の
森
(
もり
)
、
待乳
(
まつち
)
沈
(
しづ
)
んで
梢
(
こずゑ
)
乘込
(
のりこ
)
む
三谷堀
(
さんやぼり
)
は、
此處
(
こゝ
)
だ、
此處
(
こゝ
)
だ、と
今戸
(
いまど
)
の
渡
(
わたし
)
に
至
(
いた
)
る。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「親分、ひと通りは調べて来ました。娘と駈け落ちした奴は良次郎といって、宿は浅草の
今戸
(
いまど
)
だそうです。年は二十二で
小面
(
こづら
)
ののっぺりした野郎で、後家さんのお気に入りだったそうです」
半七捕物帳:20 向島の寮
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「まアお珍しいじゃありませんか。ちょいと
今戸
(
いまど
)
の
御師匠
(
おししょう
)
さんですよ。」と
開
(
あ
)
けたままの格子戸から
家
(
うち
)
の
内
(
なか
)
へと知らせる。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
おい
邪魔
(
じやま
)
になると
惡
(
わる
)
いよと
北八
(
きたはち
)
を
促
(
うなが
)
し、
道
(
みち
)
を
開
(
ひら
)
いて、
見晴
(
みはらし
)
に
上
(
のぼ
)
る。
名
(
な
)
にし
負
(
お
)
ふ
今戸
(
いまど
)
あたり、
船
(
ふね
)
は
水
(
みづ
)
の
上
(
うへ
)
を
音
(
おと
)
もせず、
人
(
ひと
)
の
家
(
いへ
)
の
瓦屋根
(
かはらやね
)
の
間
(
あひだ
)
を
行交
(
ゆきか
)
ふ
樣
(
さま
)
手
(
て
)
に
取
(
と
)
るばかり。
水
(
みづ
)
も
青
(
あを
)
く
天
(
てん
)
も
青
(
あを
)
し。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まアお
珍
(
めづら
)
しいぢやありませんか。ちよいと
今戸
(
いまど
)
の
御師匠
(
おししやう
)
さんですよ。」と
開
(
あ
)
けたまゝの
格子戸
(
かうしど
)
から
家
(
うち
)
の
内
(
なか
)
へと知らせる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それのみならず去年の夏の末、お糸を
葭町
(
よしちょう
)
へ送るため、
待合
(
まちあわ
)
した
今戸
(
いまど
)
の橋から眺めた
彼
(
あ
)
の大きな
円
(
まる
)
い円い月を
思起
(
おもいおこ
)
すと、もう舞台は舞台でなくなった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
三囲稲荷
(
みめぐりいなり
)
の鳥居が遠くからも望まれる土手の上から斜に水際に
下
(
おり
)
ると
竹屋
(
たけや
)
の渡しと呼ばれた
渡場
(
わたしば
)
の
桟橋
(
さんばし
)
が浮いていて、浅草の方へ行く人を
今戸
(
いまど
)
の
河岸
(
かわぎし
)
へ渡していた。
水のながれ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
冬枯の河原はますます淋しく、白鷺一羽水上に舞ふ
処
(
ところ
)
流れを隔てて白髯の
老松
(
ろうしょう
)
を眺むるは
今戸
(
いまど
)
の岸にやあらん(下巻第四図)。ここに船頭
二人
(
ににん
)
瓦
(
かわら
)
を船に運べるあり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
俳諧師の
群
(
むれ
)
は
瓢箪
(
ひょうたん
)
を下げて
江東
(
こうとう
)
の梅花に「
稍
(
やや
)
とゝのふ春の景色」を探って歩き、
蔵前
(
くらまえ
)
の旦那衆は屋根舟に芸者と美酒とを載せて、「ほんに田舎もましば
焚
(
た
)
く
橋場
(
はしば
)
今戸
(
いまど
)
」
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
三囲
(
みめぐり
)
、
橋場
(
はしば
)
、
今戸
(
いまど
)
、
真崎
(
まっさき
)
、
山谷堀
(
さんやぼり
)
、
待乳山
(
まつちやま
)
等の如き名所の風景に対しては、いかなる平凡の画家といへども容易に絶好の山水画を作ることを得べし。いはんや広重においてをや。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
八月中秋の夜に枕山は長谷川昆渓、関雪江の二人と
今戸
(
いまど
)
の有明楼に飲んだ。律詩の前聯に「算来五度秋多雨。看到初更月在天。」〔算来五度秋雨多ク/看テ初更ニ到レバ月天ニ在リ〕
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
十年十五年と過ぎた
今日
(
こんにち
)
になっても、自分は
一度
(
ひとた
)
び
竹屋
(
たけや
)
橋場
(
はしば
)
今戸
(
いまど
)
の如き地名の発音を耳にしてさえ、
忽然
(
こつぜん
)
として現在を離れ、自分の生れた時代よりも更に遠い時代へと思いを
馳
(
は
)
するのである。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“今戸”の解説
今戸(いまど)は、東京都台東区にある地名。現行行政地名は今戸一丁目および今戸二丁目。郵便番号は111-0024。
(出典:Wikipedia)
今
常用漢字
小2
部首:⼈
4画
戸
常用漢字
小2
部首:⼾
4画
“今戸”で始まる語句
今戸橋
今戸焼
今戸心中
今戸燒
今戸八幡
今戸河岸
今戸町
今戸橋場