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餘裕
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よゆう
ふりがな文庫
“
餘裕
(
よゆう
)” の例文
新字:
余裕
不意を打たれた則重は、煙の中から突然現れた怪しい男が何者であるかを見定める
餘裕
(
よゆう
)
もなく、夢中で身をもがくばかりであったが
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
どうして、手前なんぞ足もとへだつて寄りつけるこつちやないぞ! ただ、それだけ懷ろに
餘裕
(
よゆう
)
のないのが不仕合せといふものさ。
狂人日記
(旧字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
さう
云
(
い
)
ふ
時
(
とき
)
には
彼
(
かれ
)
は
急
(
きふ
)
に
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
した
樣
(
やう
)
に
町
(
まち
)
へ
出
(
で
)
る。
其上
(
そのうへ
)
懷
(
ふところ
)
に
多少
(
たせう
)
餘裕
(
よゆう
)
でもあると、
是
(
これ
)
で
一
(
ひと
)
つ
豪遊
(
がういう
)
でもして
見樣
(
みやう
)
かと
考
(
かんが
)
へる
事
(
こと
)
もある。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼
(
かれ
)
は
遠
(
とほ
)
く
畑
(
はたけ
)
に
出
(
で
)
て
土
(
つち
)
に
潜伏
(
せんぷく
)
して
居
(
ゐ
)
る
其
(
その
)
憎
(
にく
)
むべき
害蟲
(
がいちう
)
を
探
(
さが
)
し
出
(
だ
)
して
其
(
その
)
丈夫
(
ぢやうぶ
)
な
體
(
からだ
)
をひしぎ
潰
(
つぶ
)
して
遣
(
や
)
る
丈
(
だけ
)
の
餘裕
(
よゆう
)
を
身體
(
からだ
)
にも
心
(
こゝろ
)
にも
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
ない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「まア、
空
(
そら
)
とぼけるなんて
卑怯
(
ひけふ
)
だわ。そ、そんな
贅澤
(
ぜいたく
)
な
壁掛
(
かべかけ
)
なんかを
氣
(
き
)
まぐれにお
買
(
か
)
ひになる
餘裕
(
よゆう
)
があるんならつて
言
(
い
)
ふのよ」
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
▼ もっと見る
此所
(
こゝ
)
で
余
(
よ
)
に
餘裕
(
よゆう
)
が
有
(
あ
)
ると、
之
(
これ
)
を
開
(
ひら
)
くのを
拒
(
こば
)
んで、
一狂言
(
ひときやうげん
)
するのであるが、そんな
氣
(
き
)
は
却々
(
なか/\
)
出
(
で
)
ぬ。ぶる/\
顫
(
ふる
)
へさうで、
厭
(
いや
)
アな
氣持
(
きもち
)
がして
來
(
き
)
た。
探検実記 地中の秘密:05 深大寺の打石斧
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
何しろ周三は、其の
際
(
さい
)
氣
(
き
)
がせきゝてゐて、失敗の製作までも
回護
(
かは
)
ふだけ心に
餘裕
(
よゆう
)
がなかツた。雖然奈何なる道を行くにしても
盲者
(
めくら
)
は
杖
(
つえ
)
を持ツことを忘れない。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
地震
(
ぢしん
)
に
伴
(
ともな
)
ふ
火災
(
かさい
)
は
大抵
(
たいてい
)
地震
(
ぢしん
)
の
後
(
のち
)
に
起
(
おこ
)
るから、
其等
(
それら
)
に
對
(
たい
)
しては
注意
(
ちゆうい
)
も
行屆
(
ゆきとゞ
)
き、
小火
(
ぼや
)
の
中
(
うち
)
に
消止
(
けしと
)
める
餘裕
(
よゆう
)
もあるけれども、
潰家
(
かいか
)
の
下
(
した
)
から
徐々
(
じよ/″\
)
に
燃
(
も
)
え
上
(
あ
)
がるものは
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
内證
(
ないしよう
)
でその
道
(
みち
)
の
達者
(
たつしや
)
にたゞすと、
曰
(
いは
)
く、
鍋
(
なべ
)
で
一杯
(
いつぱい
)
やるくらゐの
餘裕
(
よゆう
)
があれば、
土手
(
どて
)
を
大門
(
おほもん
)
とやらへ
引返
(
ひきかへ
)
す。
第一
(
だいいち
)
歸
(
かへ
)
りはしない、と
言
(
い
)
つた。
格言
(
かくげん
)
ださうである。
皆
(
みな
)
若
(
わか
)
かつた。
湯どうふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
結果
(
けつか
)
、
從來
(
じゆうらい
)
たゞ
食物
(
しよくもつ
)
の
材料
(
ざいりよう
)
を
集
(
あつ
)
めるために、
一日中
(
いちにちじゆう
)
骨
(
ほね
)
を
折
(
を
)
つて
働
(
はたら
)
いてゐた
人間
(
にんげん
)
が、
集
(
あつ
)
めた
食料
(
しよくりよう
)
の
貯藏
(
ちよぞう
)
が
出來
(
でき
)
るようになり、
食料
(
しよくりよう
)
が
豐
(
ゆたか
)
になつたので
働
(
はたら
)
く
力
(
ちから
)
に
餘裕
(
よゆう
)
が
出來
(
でき
)
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
勿躰
(
もつたい
)
なや
此
(
こ
)
の
子
(
こ
)
といふ
可愛
(
かはゆ
)
きもあり、
此子
(
これ
)
が
爲
(
ため
)
我
(
わ
)
が
爲
(
ため
)
不自由
(
ふじいう
)
あらせじ
憂
(
う
)
き
事
(
こと
)
のなかれ、
少
(
すこ
)
しは
餘裕
(
よゆう
)
もあれかしとて
朝
(
あさ
)
は
人
(
ひと
)
より
早
(
はや
)
く
起
(
お
)
き、
夜
(
よ
)
は
此通
(
このとほ
)
り
更
(
ふ
)
けての
霜
(
しも
)
に
寒
(
さむ
)
さを
堪
(
こら
)
へて
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
雨水
(
うすい
)
を
止
(
とゞ
)
めためておく
餘裕
(
よゆう
)
がなくなり、
降
(
ふ
)
つただけの
雨水
(
うすい
)
が
一
(
いち
)
どに
流
(
なが
)
れ
下
(
くだ
)
つて、
山
(
やま
)
にある
土
(
つち
)
や
砂
(
すな
)
を
河底
(
かはぞこ
)
に
流
(
なが
)
し
埋
(
うづ
)
めるために、
水
(
みづ
)
の
流
(
なが
)
れかたが
急
(
きゆう
)
に
變
(
かは
)
つて、あふれひろがるからです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
が、急に立ち止まつて、男らしい
餘裕
(
よゆう
)
を見せるかのやうに
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
「まあ
御金持
(
おかねもち
)
ね。
私
(
わたし
)
も
一所
(
いつしよ
)
に
連
(
つ
)
れてつて
頂戴
(
ちやうだい
)
」と
云
(
い
)
つた。
宗助
(
そうすけ
)
は
愛
(
あい
)
すべき
細君
(
さいくん
)
のこの
冗談
(
じようだん
)
を
味
(
あぢは
)
ふ
餘裕
(
よゆう
)
を
有
(
も
)
たなかつた。
眞面目
(
まじめ
)
な
顏
(
かほ
)
をして
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
懷
(
ふところ
)
には
小錢
(
こぜに
)
を
蓄
(
たくは
)
へて
置
(
お
)
くことも
出來
(
でき
)
るのであつたが
彼
(
かれ
)
は
能
(
よ
)
くコツプ
酒
(
ざけ
)
を
傾
(
かたむ
)
けたので
彼
(
かれ
)
の
懷
(
ふところ
)
は
決
(
けつ
)
して
餘裕
(
よゆう
)
を
存
(
そん
)
しては
居
(
ゐ
)
なかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
しかしそのうちに城の外廓が攻め落され、寄手の軍勢が三の丸へ這入って来たので、それ迄は
餘裕
(
よゆう
)
のあった
廣
(
ひろ
)
い城内も、だん/\
狭隘
(
きょうあい
)
を告げるようになった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
處
(
ところ
)
で、一
錢
(
せん
)
たりとも
茶代
(
ちやだい
)
を
置
(
お
)
いてなんぞ、
憩
(
やす
)
む
餘裕
(
よゆう
)
の
無
(
な
)
かつた
私
(
わたし
)
ですが、……
然
(
さ
)
うやつて
賣藥
(
ばいやく
)
の
行商
(
ぎやうしやう
)
に
歩行
(
ある
)
きます
時分
(
じぶん
)
は、
世
(
よ
)
に
無
(
な
)
い
兩親
(
りやうしん
)
へせめてもの
供養
(
くやう
)
のため、と
思
(
おも
)
つて
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
不幸
(
ふかう
)
にして
今
(
いま
)
の
小六
(
ころく
)
は、
此
(
この
)
嫂
(
あによめ
)
の
態度
(
たいど
)
に
對
(
たい
)
して
程
(
ほど
)
の
好
(
い
)
い
調子
(
てうし
)
を
出
(
だ
)
す
丈
(
だけ
)
の
餘裕
(
よゆう
)
と
分別
(
ふんべつ
)
を
頭
(
あたま
)
の
中
(
うち
)
に
發見
(
はつけん
)
し
得
(
え
)
なかつたのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
然
(
しか
)
しそれも
依然
(
いぜん
)
として
金錢
(
きんせん
)
に
幾
(
いく
)
らでも
餘裕
(
よゆう
)
のある
人
(
ひと
)
にのみ
便利
(
べんり
)
なのであつて、
貧乏
(
びんばふ
)
な
百姓
(
ひやくしやう
)
には
牛
(
うし
)
や
馬
(
うま
)
が
馬塞棒
(
ませぼう
)
で
遮
(
さへぎ
)
られたやうな
形
(
かたち
)
でなければならぬ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
今
(
いま
)
までは、
春雨
(
はるさめ
)
に、
春雨
(
はるさめ
)
にしよぼと
濡
(
ぬ
)
れたもよいものを、
夏
(
なつ
)
はなほと、はら/\はらと
降
(
ふ
)
りかゝるを、
我
(
われ
)
ながらサテ
情知
(
なさけし
)
り
顏
(
がほ
)
の
袖
(
そで
)
にうけて、
綽々
(
しやく/\
)
として
餘裕
(
よゆう
)
ありし
傘
(
からかさ
)
とともに
肩
(
かた
)
をすぼめ
森の紫陽花
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
餘
部首:⾷
16画
裕
常用漢字
中学
部首:⾐
12画
“餘裕”で始まる語句
餘裕家