“附着(くツつ)” の例文
草鞋(わらじ)を穿(は)いた足(あし)の甲(かふ)へも落(おち)た上(うへ)へ又(また)累(かさな)り、並(なら)んだ傍(わき)へ又(また)附着(くツつ)いて爪先(つまさき)も分(わか)らなくなつた、然(さ)うして活(い)きてると思(おも)ふだけ脈(みやく)を打(う)つて血(ち)を吸(す)ふやうな。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
何處(どこ)から繰出(くりだ)したか——まさか臍(へそ)からではあるまい——蛙(かへる)の胞衣(えな)のやうな管(くだ)をづるりと伸(の)ばして、護謨輪(ごむわ)に附着(くツつ)けたと思(おも)ふと、握拳(にぎりこぶし)で操(あやつ)つて、ぶツ/\と風(かぜ)を入(い)れる。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
鉛(なまり)の重(おもり)かとおもふ心持(こゝろもち)、何(なに)か木(き)の実(み)でゞもあるか知(し)らんと、二三度(ど)振(ふつ)て見(み)たが附着(くツつ)いて居(ゐ)て其(その)まゝには取(と)れないから、何心(なにごゝろ)なく手(て)をやつて掴(つか)むと、滑(なめ)らかに冷(ひや)りと来(き)た。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
扨(さて)其黄昏(そのたそがれ)は、少(すこ)し風(かぜ)の心持(こゝろもち)、私(わたし)は熱(ねつ)が出(で)て惡寒(さむけ)がしたから掻卷(かいまき)にくるまつて、轉寢(うたゝね)の内(うち)も心(こゝろ)が置(お)かれる小説(せうせつ)の搜索(さうさく)をされまいため、貸本(かしほん)を藏(かく)してある件(くだん)の押入(おしいれ)に附着(くツつ)いて寢(ね)た。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そ、それが五分(ごぶ)と間(ま)がない、目(め)も鼻(はな)も口(くち)も一所(いつしよ)に、僕(ぼく)の顏(かほ)とぴつたりと附着(くツつ)きました、——あなたのお住居(すまひ)の時分(じぶん)から怪猫(ばけねこ)が居(ゐ)たんでせうか……一體(いつたい)猫(ねこ)が大嫌(だいきら)ひで、いえ可恐(おそろし)いので。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
白(しろ)い踵(くびす)を揚(あ)げました、階段(かいだん)を辷(すべ)り下(お)りる、と、後(あと)から、ころ/\と轉(ころ)げて附着(くツつ)く。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
此(こ)の廂(ひさし)はづれに、階下(した)の住居(すまひ)の八疊(でふ)の縁前(えんさき)、二坪(ふたつぼ)に足(た)らぬ明取(あかりと)りの小庭(こには)の竹垣(たけがき)を一(ひと)ツ隔(へだ)てたばかり、裏(うら)に附着(くツつ)いた一軒(けん)、二階家(にかいや)の二階(にかい)の同(おな)じ肱掛窓(ひぢかけまど)が、南(みなみ)を受(う)けて、此方(こなた)とは向(むき)を異(ちが)へて
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
睫毛(まつげ)ばかりに附着(くツつ)いて、小(ちひ)さな枯葉(かれは)をかぶりながら、あの蓑蟲(みのむし)は掛(かゝ)つて居(ゐ)た。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
三人(にん)が根(ね)をおろしたらしく見(み)て取(と)ると、坂上(さかがみ)も、急(きふ)には踏出(ふみだ)せさうもなく、足(あし)が地(ち)に附着(くツつ)いたが、前途(さき)を急(いそ)ぐ胸(むね)は、はツ/\と、毒氣(どくき)を掴(つか)んで口(くち)から吹込(ふきこ)まれさうに躍(をど)つて、血(ち)を動(うご)かしては
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
表(おもて)からは、木戸(きど)を一(ひと)つ丁字形(ちやうじがた)に入組(いりく)んだ細(ほそ)い露地(ろぢ)で、家(いへ)と家(いへ)と、屋根(やね)と屋根(やね)と附着(くツつ)いて居(ゐ)る處(ところ)だから、珊瑚(さんご)の流(なが)れは、壁(かべ)、廂(ひさし)にしがらんで、堰(せ)かるゝと見(み)えて、表欄干(おもてらんかん)から見(み)たのと較(くら)べては
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
後(あと)なる一人(ひとり)は、中脊(ちうぜい)の細(ほそ)い男(をとこ)で、眞中(まんなか)の、其(そ)の盲目婦(めくらをんな)の髮(かみ)の影(かげ)にも隱(かく)れさうに、帶(おび)に體(からだ)を附着(くツつ)けて行違(ゆきちが)つたのであるから、形(なり)、恰好(かつかう)、孰(ど)れも判然(はつきり)としない中(なか)に、此(こ)の三人目(にんめ)のが就中(なかんづく)朧(おぼろ)に見(み)えた。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
場所(ばしよ)、所(ところ)を變(か)へつゝ、彼(あ)の守宮(やもり)の形(かたち)で、天窓(あたま)にすぽりと何(なに)か被(かぶ)つた、あだ白(じろ)い、胴(どう)の長(なが)い、四足(よつあし)で畝(うね)るものが、ぴつたりと附着(くツつ)いたり、ことりと圓(まる)くなつたり、長々(なが/\)と這(は)ふのが見(み)えたり……やがて
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
見附(みつけ)を入(はひ)つて、牛込(うしごめ)から、飯田町(いひだまち)へ曲(まが)るあたりの帳場(ちやうば)に、(人力(じんりき))を附着(くツつ)けて、一寸(ちよつと)(分(ふん))の字(じ)の形(かたち)にしたのに、車(くるま)をつくりに添(そ)へて、大(おほ)きく一字(いちじ)にした横看板(よこかんばん)を、通(とほ)りがかりに見(み)て、それを先生(せんせい)に
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
ト頭(あたま)から頬(ほゝ)へ縱横(たてよこ)に繃帶(ほうたい)を掛(か)けて居(ゐ)る。片頬(かたほゝ)が然(さ)らでも大面(おほづら)の面(つら)を、別(べつ)に一面(ひとつ)顏(かほ)を横(よこ)に附着(くツつ)けたやうに、だぶりと膨(ふく)れて、咽喉(のど)の下(した)まで垂下(たれさが)つて、はち切(き)れさうで、ぶよ/\して、わづかに目(め)と、鼻(はな)。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)