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邪慳
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じやけん
ふりがな文庫
“
邪慳
(
じやけん
)” の例文
何時間も、何時間も、私は人の顏さへ見れば噛みつくやうに
邪慳
(
じやけん
)
な事を言つてやりたいやうな氣持を抱きながら、死人のやうに穩しく寢てゐた。
病室より
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
女のかりそめの娯楽をも
邪慳
(
じやけん
)
に罪するやうな態度に出て、二人は絶間なく野獣同士のごと
啀
(
いが
)
み合つた。凡てが悔恨といふのも言ひ足りなかつた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
人
(
ひと
)
の
思
(
おもひ
)
ですわ、
眞暗
(
まつくら
)
だから
分
(
わか
)
らないつてお
疑
(
うたぐ
)
ンなさるのは、そりや、あなたが
邪慳
(
じやけん
)
だから、
邪慳
(
じやけん
)
な
方
(
かた
)
にや
分
(
わか
)
りません。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お秋 (振切る様に、少し
邪慳
(
じやけん
)
に)そんな、そんな、私が神様ぢやあるまいし、私にだつてわかりやしないのよ。
疵だらけのお秋
(新字旧仮名)
/
三好十郎
(著)
邪慳
(
じやけん
)
な
姑
(
しうとめ
)
のこと、意地くね曲つたヒステリーの
嫂
(
あによめ
)
のこと、相変らず愚図で気のきかぬ頼りない亭主のこと、それから今度のごた/\に
就
(
つい
)
てのことだつた。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
▼ もっと見る
どうかすると弟達が
邪慳
(
じやけん
)
にして
打
(
ぶ
)
つたり蹴つたりもしかねないので、私は中に立つてはら/\してるのだよ。
孫だち
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
勘次
(
かんじ
)
もそれを
知
(
し
)
らないのではないが、
今
(
いま
)
の
處
(
ところ
)
自分
(
じぶん
)
には
其
(
そ
)
の
餘裕
(
よゆう
)
がないのでおつぎがさういふ
度
(
たび
)
に
彼
(
かれ
)
の
心
(
こゝろ
)
は
堪
(
た
)
へず
苦
(
くる
)
しむので
態
(
わざ
)
と
邪慳
(
じやけん
)
にいつて
畢
(
しま
)
ふのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
私はくら
暗
(
やみ
)
の谷へ突落されたやうに暖かい日の影といふを見た事が御座りませぬ、はじめの中は何か
串談
(
じようだん
)
に
態
(
わざ
)
とらしく
邪慳
(
じやけん
)
に遊ばすのと思ふてをりましたけれど
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
何か思ひごとのある時のお父さんから、
邪慳
(
じやけん
)
な口のきき方で叱られるといつも栄蔵は、情けない気がするのだつた。そしてお父さんが恨めしくさへなるのだつた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
翌日
(
あくるひ
)
の新聞は、その話を伝へて、自分の崇拝者をこんなに
邪慳
(
じやけん
)
に取扱つたゴリキイには、お行儀作法の端くれでも教へ込まなければなるまいと、
冷
(
ひや
)
かしを言つてゐたが
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
あるひは姑が
邪慳
(
じやけん
)
で嫁を
縊
(
くび
)
り殺さうとしても、婦にはいつも自ら去るの義なしとて、夫の家を動かなかつたとか申す様な事を、この上もなき婦人の美徳と心得ておりました。
こわれ指環
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
さうして又その鎖の端を
邪慳
(
じやけん
)
にぐいと引きましたからたまりません。弟子の体ははづみを食つて、勢よく
床
(
ゆか
)
を鳴らしながら、ごろりとそこへ横倒しに倒れてしまつたのでございます。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「うるさい、女は黙つとれ」と、彼は
邪慳
(
じやけん
)
に唸つた。
釜ヶ崎
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
仰ぎつ「ぢや、今から
阿母
(
おつか
)
さんと言つても
可
(
よ
)
う御座んすか——何だか
全
(
まる
)
で夢の様ですのねネ——昨日までの
邪慳
(
じやけん
)
な心が、何処へか
去
(
い
)
つて仕舞つたの——
私
(
わたし
)
ヤ、すつかり生れ変はりましたわねエ——阿母さん、——」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
先生の態度の
邪慳
(
じやけん
)
さがみんなの反抗心を強めた。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
「まア、何て、
邪慳
(
じやけん
)
なんでせう」
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
近所
合壁
(
がつぺき
)
から
邪慳
(
じやけん
)
に。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
少ない白髮を
茶筅髮
(
ちやせんがみ
)
にした紫の被布を着た氣丈な婆さんに顏を
蹙
(
しか
)
め手を振つて
邪慳
(
じやけん
)
に斷られての歸途、圭一郎は幾年前の父の言葉をはたと思ひ出し
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
と
邪慳
(
じやけん
)
に、
胸先
(
むなさき
)
を
取
(
と
)
つて
片手
(
かたて
)
で
引立
(
ひつた
)
てざまに、
渠
(
かれ
)
は
棒立
(
ぼうだ
)
ちにぬつくり
立
(
た
)
つ。
可憐
(
あはれ
)
や
艶麗
(
あでやか
)
な
女
(
をんな
)
の
姿
(
すがた
)
は、
背筋
(
せすぢ
)
を
弓形
(
ゆみなり
)
、
裳
(
もすそ
)
を
宙
(
ちう
)
に、
縊
(
くび
)
られた
如
(
ごと
)
くぶらりと
成
(
な
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私
(
わたし
)
はくら
暗
(
やみ
)
の
谷
(
たに
)
へ
突落
(
つきおと
)
されたやうに
暖
(
あたゝ
)
かい
日
(
ひ
)
の
影
(
かげ
)
といふを
見
(
み
)
た
事
(
こと
)
が
御座
(
ござ
)
りませぬ、はじめの
中
(
うち
)
は
何
(
なに
)
か
串談
(
じようだん
)
に
態
(
わざ
)
とらしく
邪慳
(
じやけん
)
に
遊
(
あそ
)
ばすのと
思
(
おも
)
ふて
居
(
を
)
りましたけれど
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
悄然
(
せうぜん
)
として
後
(
あと
)
に
跟
(
つ
)
いて
來
(
く
)
る
勘次
(
かんじ
)
を
要
(
えう
)
はないからと
巡査
(
じゆんさ
)
は
邪慳
(
じやけん
)
に
叱
(
しか
)
つて
逐
(
お
)
ひやつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
邪慳
(
じやけん
)
に繩尻を引くと
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼女は産みの兩親の顏も知らぬ薄命の孤兒であつて、伯父や伯母の家に轉々と引き取られて育てられたが、身内の人達は皆な揃ひも揃つて
貪婪
(
どんらん
)
で
邪慳
(
じやけん
)
であつた。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
(
否
(
いえ
)
ぢやあござんせぬ、それ、それ、お
法衣
(
ころも
)
の
袖
(
そで
)
に
浸
(
ひた
)
るではありませんか、)といふと
突然
(
いきなり
)
背後
(
うしろ
)
から
帯
(
おび
)
に
手
(
て
)
をかけて、
身悶
(
みもだえ
)
をして
縮
(
ちゞ
)
むのを、
邪慳
(
じやけん
)
らしくすつぱり
脱
(
ぬ
)
いで
取
(
と
)
つた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
これほど
邪慳
(
じやけん
)
の人ではなかりしをと女房あきれて、女に魂を奪はるればこれほどまでも浅ましくなる物か、女房が歎きは更なり、
遂
(
つ
)
ひには
可愛
(
かわゆ
)
き子をも餓へ死させるかも知れぬ人
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
恁
(
か
)
く
嬌瞋
(
きやうしん
)
を
発
(
はつ
)
しては
屹度
(
きつと
)
可
(
い
)
いことはあるまい、
今
(
いま
)
此
(
こ
)
の
婦人
(
をんな
)
に
邪慳
(
じやけん
)
にされては
木
(
き
)
から
落
(
お
)
ちた
猿
(
さる
)
同然
(
どうぜん
)
ぢやと、おつかなびつくりで、おづ/\
控
(
ひか
)
へて
居
(
ゐ
)
たが、いや
案
(
あん
)
ずるより
産
(
うむ
)
が
安
(
やす
)
い。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
これほど
邪慳
(
じやけん
)
の
人
(
ひと
)
ではなかりしをと
女房
(
にようぼう
)
あきれて、
女
(
をんな
)
に
魂
(
たましひ
)
を
奪
(
うば
)
はるれば
是
(
こ
)
れほどまでも
淺
(
あさ
)
ましくなる
物
(
もの
)
か、
女房
(
にようぼう
)
が
歎
(
なげ
)
きは
更
(
さら
)
なり、
遂
(
つ
)
ひには
可愛
(
かわゆ
)
き
子
(
こ
)
をも
餓
(
う
)
へ
死
(
じに
)
させるかも
知
(
し
)
れぬ
人
(
ひと
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
邪慳
(
じやけん
)
に
払
(
はら
)
ひ
退
(
の
)
けて、
屹
(
きツ
)
と
睨
(
にら
)
むで
見
(
み
)
せると、
其
(
その
)
まゝがつくりと
頭
(
かうべ
)
を
垂
(
た
)
れた、
総
(
すべ
)
ての
光景
(
くわうけい
)
は
行燈
(
あんどう
)
の
火
(
ひ
)
も
幽
(
かす
)
かに
幻
(
まぼろし
)
のやうに
見
(
み
)
えたが、
炉
(
ろ
)
にくべた
柴
(
しば
)
がひら/\と
炎先
(
ほさき
)
を
立
(
た
)
てたので、
婦人
(
をんな
)
は
衝
(
つ
)
と
走
(
はし
)
つて
入
(
はい
)
る。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
とても/\
旦那樣
(
だんなさま
)
のやうな
邪慳
(
じやけん
)
の
方
(
かた
)
のお
子
(
こ
)
ではない、これは
私
(
わたし
)
一人
(
ひとり
)
の
物
(
もの
)
だと
斯
(
か
)
う
極
(
き
)
めて
居
(
ゐ
)
まするに、
旦那
(
だんな
)
さまが
他處
(
よそ
)
からでもお
歸
(
かへ
)
りになつて、
不愉快
(
ふゆくわい
)
さうなお
顏
(
かほ
)
つきで
此子
(
これ
)
の
枕
(
まくら
)
もとへお
坐
(
すわ
)
り
遊
(
あそ
)
ばして
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「
邪慳
(
じやけん
)
だねえ。」
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
抱持
(
はうぢ
)
の
不十分
(
ふじふぶん
)
さ
甲斐
(
かひ
)
なき
身
(
み
)
恨
(
うら
)
めしくなりて
捨
(
す
)
てたしと
思
(
おも
)
ひしは
咋日
(
きのふ
)
今日
(
けふ
)
ならず
我々
(
われ/\
)
二人
(
ふたり
)
斯
(
か
)
くと
聞
(
き
)
かば
流石
(
さすが
)
運平
(
うんぺい
)
が
邪慳
(
じやけん
)
の
角
(
つの
)
も
折
(
を
)
れる
心
(
こゝろ
)
になるは
定
(
ぢやう
)
なり
我
(
わ
)
が
親
(
おや
)
とても
其
(
そ
)
の
通
(
とほ
)
り
一徹
(
いつてつ
)
の
心
(
こゝろ
)
和
(
やは
)
らぎ
寄
(
よ
)
らば
兩家
(
りやうけ
)
の
幸福
(
かうふく
)
この
上
(
うへ
)
やある
我々
(
われ/\
)
二人
(
ふたり
)
世
(
よ
)
にありては
如何
(
いか
)
に
千辛萬苦
(
せんしんばんく
)
するとも
運平
(
うんぺい
)
に
後悔
(
こうくわい
)
の
念
(
ねん
)
も
出
(
で
)
まじく
況
(
ま
)
してや
手
(
て
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“邪慳”の意味
《名詞》
慈悲の心が無く、物事を荒く扱うこと。意地が悪いこと。
(出典:Wiktionary)
邪
常用漢字
中学
部首:⾢
8画
慳
漢検1級
部首:⼼
14画
“邪慳”で始まる語句
邪慳一国