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肝
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きも
ふりがな文庫
“
肝
(
きも
)” の例文
私は
肝
(
きも
)
のつぶれるほどに驚倒し、それから、不愉快になりました。「
自惚
(
うぬぼ
)
れちゃいけない。誰が君なんかに本気で恋をするものか。」
風の便り
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と屏風を開けて入り、其の人を見ると、秋月喜一郎という重役ゆえ、源兵衞は
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し、胸にぎっくりと
応
(
こた
)
えたが、
素知
(
そし
)
らぬ
体
(
てい
)
にて。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
十五、この日の夜半、霜は夢に
打手
(
うつて
)
のかかるを見、
肝
(
きも
)
を冷やし候よし、大声に何か呼ばはりながら、お廊下を四五間走りまはり候。
糸女覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「手前も……だろう——って言われた時にゃあ、あたいも
肝
(
きも
)
っ玉がふっとんじゃったぞ。活動写真たあまるっきり違うんだからな」
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
じぶんと富五郎が
請人
(
うけにん
)
にたって本所法恩寺橋まえの五百石お旗本鈴川源十郎様方へ下女にあげ、娘のお艶には、これも自分が
肝
(
きも
)
いりで
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
北八
(
きたはち
)
は、にやり/\、
中流
(
ちうりう
)
に
至
(
いた
)
る
頃
(
ころほ
)
ひ
一錢蒸汽
(
いつせんじようき
)
の
餘波
(
よは
)
來
(
きた
)
る、ぴツたり
突伏
(
つツぷ
)
して
了
(
しま
)
ふ。
危
(
あぶね
)
えといふは
船頭
(
せんどう
)
の
聲
(
こゑ
)
、ヒヤアと
肝
(
きも
)
を
冷
(
ひや
)
す。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
いかんせん昔おもえば見ず知らずとこれもまた寝心わるく
諦
(
あきら
)
めていつぞや聞き流した誰やらの異見をその時初めて
肝
(
きも
)
のなかから探り
出
(
いだ
)
しぬ
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
そうれまんだ
肝
(
きも
)
べ焼けるか。こう
可愛
(
めんこ
)
がられても肝べ焼けるか。
可愛
(
めんこ
)
い
獣物
(
けだもの
)
ぞい
汝
(
われ
)
は。見ずに。
今
(
いんま
)
にな
俺
(
お
)
ら汝に絹の衣装べ着せてこすぞ。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
肝
(
きも
)
に銘じて分って来るに従い、自分のようなものがこれだけの人を独占している罪の深さを、反省しないではいられなくなった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
此処に
眉
(
まゆ
)
を
顰
(
ひそ
)
めて語るは
児島惟謙
(
こじまゐけん
)
氏なり。顔も太く、腹も太く、
肝
(
きも
)
太く、のそり/\と眼をあげて見廻すは大倉喜八郎氏なり。
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
私は溝に落ちたときには
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
したが、その驚きもしずまると、こうして助ちゃんといっしょに湯に入ったことが珍らしくて
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
おじいさんは
肝
(
きも
)
をつぶして、またうろの中へ
首
(
くび
)
を
引
(
ひ
)
っ
込
(
こ
)
めてしまいました。そしてぶるぶるふるえながら、
小
(
ちい
)
さくなって
息
(
いき
)
を
殺
(
ころ
)
していました。
瘤とり
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
……娘は、いつかの私のいたずらに、よほど
肝
(
きも
)
をツブしたのらしく、一度だって前のように歌いながら下宿の窓の下を過ぎたことはなかった。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
小さな
肝
(
きも
)
ね。こういうこと書くと、ユリ、又宵っぱりしたな、とお思いになるでしょうが、それは断然そうではないのです。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
その色は
今日
(
こんにち
)
までのように酸の作用を
蒙
(
こうむ
)
った
不明暸
(
ふめいりょう
)
なものではなかった。白い底に大きな動物の
肝
(
きも
)
のごとくどろりと固まっていたように思う。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
少しも騒がず
手箪笥
(
てだんす
)
の中から一
包
(
つつみ
)
の金(百円包のよし)を取出し与えますと、泥坊はこれほどまでとは思いもよらず
肝
(
きも
)
をつぶした様子なりしが
蓮月焼
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
米や野菜や
布団
(
ふとん
)
などはもちろんのこと、病気に
利
(
き
)
くというほととぎすの
黒焼
(
くろやき
)
やうなぎの
肝
(
きも
)
など、めいめい何かしら見舞の品を持っていきました。
キンショキショキ
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
このときばかりはさすがの机博士も、よっぽど
肝
(
きも
)
をひやしたと見えて、
青菜
(
あおな
)
に
塩
(
しお
)
のようにげんなりしていたが、それでも、いうことだけはいい。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
以て當寺の
檀家
(
だんか
)
一同へ御目見を仰付らるべし此旨
村中
(
むらぢう
)
へ申達すべしとの事なり
下男共
(
げなんども
)
何事も知らざれば是を聞て
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し此頃迄
臺所
(
だいどころ
)
で一つに
食事
(
しよくじ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ハラムはイヨイヨ
肝
(
きも
)
を潰したらしかった。眼の玉を血のニジムほど剥き出した。唇をわななかして何か云おうとした。
ココナットの実
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
工匠らの出現によって
肝
(
きも
)
を消す皇子、喜び勇む姫、あるいは工匠らを血の流るるまで
打擲
(
ちょうちゃく
)
して山に隠るる皇子などの姿は、決して涙なき滑稽でない。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
「道義
肝
(
きも
)
を貫き、忠義骨髄に
填
(
み
)
ち、ただちに
須
(
すべから
)
く死生の間に談笑すべし」と悠然として
饑餲
(
きかつ
)
に対せし
蘇軾
(
そしょく
)
を思え、エレミヤを思え、ダニエルを思え
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
吉村右京は血気盛んの
壮者
(
わかもの
)
であったから、
素手
(
すで
)
でこの
曲者
(
くせもの
)
に立ち向ったが、
肝腎
(
かんじん
)
の主人の刀を持った金輪勇は、
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
してやみくもに逃げてしまう。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
重い
桶
(
おけ
)
をになっているから自由もきかない。私が半分泣声になって叫ぶと、とたんに犬は
肝
(
きも
)
をつぶすような
吠
(
ほ
)
え声をあげて、猛然と跳びかかってきた。
こんにゃく売り
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
いや、面白いぞ、面白いぞ。島津が対手ならば、久方ぶりに
肝
(
きも
)
ならしも出来ると申すものじゃ。街道の釣男、飛んだところで思わぬ大漁に会うたわい。
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
かれらも最初は強情を張っていたのであるが、舶来の人形の首——この一句に
肝
(
きも
)
をひしがれて、もろくも一切の秘密を吐き出してしまったのであった。
半七捕物帳:40 異人の首
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
入れ代りに従者らしき男が一
嚢
(
のう
)
の
沙金
(
さきん
)
をおいて風の如くぷッと去ってしまった。なんたる
大人
(
たいじん
)
ぶり、いや
肝
(
きも
)
ッ玉だろう。てんで歯の立つ相手ではない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お前さんは入口の格子を開けて入って、廊下から唐紙を開けて、中の死骸を見、
肝
(
きも
)
をつぶして元の入口に戻った。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これは紛れもなく
海神
(
わたつみ
)
の宮の
口女
(
くちめ
)
であり、また猿の
肝
(
きも
)
の昔話の
竜宮
(
りゅうぐう
)
の
海月
(
くらげ
)
であって、こういう者が出てこないと、やはり話にはなりにくかったのである。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
お前になんの
栄
(
さか
)
えをも与えることもできないで。恥と
煩
(
わずら
)
いとのみ負わせた。お前がわしの妻子に最後までつくしてくれたことは、わしの
肝
(
きも
)
に
銘
(
めい
)
じている。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
奈落の
暗闇
(
くらやみ
)
で、男に抱きつかれたといったら、も一度
此処
(
ここ
)
でも、
肝
(
きも
)
を冷されるほど
叱
(
しか
)
られるにきまっているから、
弟子
(
でし
)
娘は
乳房
(
ちぶさ
)
を
抱
(
かか
)
えて、息を殺している。
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
奇っ怪に思って、一人の武士がそれを棒で掻き出し、眼を近よせて見ると、狸の
肝
(
きも
)
らしい。庭下駄で蹴った。
純情狸
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
うっかりと夜道を戻って来た酔払いなどが突然狐や赤鬼に
嚇
(
おどか
)
されて
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
したり娘たちがひょっとこに追いかけられたりする騒ぎが
頻繁
(
ひんぱん
)
に起ったりするので
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
欺て河豚を喰わせる
夫
(
そ
)
れから又一度
遣
(
やっ
)
た
後
(
あと
)
で怖いと
思
(
おもっ
)
たのは人をだまして
河豚
(
ふぐ
)
を
喰
(
く
)
わせた事だ。私は大阪に居るとき
颯々
(
さっさ
)
と河豚も喰えば河豚の
肝
(
きも
)
も
喰
(
くっ
)
て居た。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
万寿寺に往って寺の中を見ていると、
彼
(
か
)
の女が出て来て奥の方へ
伴
(
つ
)
れて往ったので、荻原の
僕
(
しもべ
)
は
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
して逃げ帰り、家の者に知らしたので皆で往ってみると
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
魔術師のような女賊の手なみのほどは、Kホテルの事件で
肝
(
きも
)
に銘じている。岩瀬庄兵衛氏ならずとも、これほどの用心をしないではいられなかったに違いない。
黒蜥蜴
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
豊太閤
(
ほうたいこう
)
が
朝鮮
(
ちょうせん
)
を攻めてから、朝鮮と日本との間には往来が全く絶えていたのに、
宗対馬守義智
(
そうつしまのかみよしとし
)
が
徳川
(
とくがわ
)
家の
旨
(
むね
)
を
承
(
う
)
けて
肝
(
きも
)
いりをして、
慶長
(
けいちょう
)
九年の
暮
(
く
)
れに、
松雲孫
(
しょううんそん
)
、
文※
(
ぶんいく
)
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
すっぽんはどうだといってみても問題がちがう。フランスの
鵞鳥
(
がちょう
)
の
肝
(
きも
)
だろうが、
蝸牛
(
かたつむり
)
だろうが、比較にならない。もとよりてんぷら、うなぎ、すしなど問題ではない。
河豚は毒魚か
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
出てきた人形が口をあいて、見たな、といきなり不気味な声で叫んだので、登勢は
肝
(
きも
)
をつぶした。
蛍
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「おい、
肝
(
きも
)
を喰うとよいぞ。もう蒸れたろうからな。あの病いにはそれが一番ええそうなんじゃ」
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それは第一回のときにこの地方に旅行に来て、清水青年団の
肝
(
きも
)
いりで
一泊
(
いっぱく
)
して以来、たびたび
厄介
(
やっかい
)
をかけ、住職の伊藤老師ともすっかり仲よしになっていたからである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
頭
(
かしら
)
に
髪
(
かみ
)
あらば
一三〇
ふとるべきばかりに
凄
(
すざま
)
しく
一三一
肝
(
きも
)
魂
(
たましひ
)
も
虚
(
そら
)
にかへるここちして、
振
(
ふる
)
ふ振ふ、
一三二
頭陀嚢
(
づだぶくろ
)
より清き紙取り
出
(
い
)
でて、筆も
一三三
しどろに書きつけてさし出すを
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
小腰を
屈
(
ひく
)
めて「ちょいとお湯へ」と云ッてから、ふと何か思い出して、
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
した顔をして
周章
(
あわて
)
て、「それから、あの、若し
御新造
(
ごしんぞ
)
さまがお
帰
(
かえん
)
なすって
御膳
(
ごぜん
)
を
召上
(
めしやが
)
ると
仰
(
おッしゃ
)
ッたら、 ...
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
松島氏がピストルを打ったのである。実験とはいいながら、さすがに人々は
肝
(
きも
)
を冷したが、程なく再び電燈がついて、首相にもI警視総監にも何の異常もなかったのでホッとした。
外務大臣の死
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
火が燃え上がって廊は焼けていく。人々は心も
肝
(
きも
)
も皆失ったようになっていた。
源氏物語:13 明石
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ジウラさん、御免なさいね。もう、
肝
(
きも
)
ためしだなんて、あんな危ない目に
貴方
(
あなた
)
を
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
肝
(
きも
)
の太いもんだなとつくづく舌を
捲
(
ま
)
きましたが、娘二人は慣れ切ったもので、何の物
怯
(
お
)
じするところもなく、私に電蓄をかけて——父親が
拵
(
こしら
)
えたとかいう、電気代りの回転装置をかけて
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
此兄弟
剛気
(
がうき
)
なるものゆゑかの光り物を見きはめ、もし
妖怪
(
ばけもの
)
ならば
退治
(
たいぢ
)
して村のものどもが
肝
(
きも
)
をひしがんとて、ある夜兄弟かしこにいたりしに、をりしも秋の頃水もまさりし川
面
(
づら
)
をみるに
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
かの君の
肝
(
きも
)
太きことよ、直ちに二郎に向かって、少し賜わずやと求めたもう。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
田舎でも
野原
(
のら
)
へなど出る必要もない身分であったが、かなりな製糸場などを持って、土地の物持ちの数に入っているある家の嫁に、お今をくれることに、
肝
(
きも
)
を
煎
(
い
)
ってくれる人のあるのを幸い
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
“肝”の意味
《名詞》
(カン、きも)肝臓。
(カン)東洋医学における五臓のひとつ。
(カン)(古)心。
(きも)広く、内臓全体。
(きも)精神力。度胸。また、精神。意志。
(出典:Wiktionary)
肝
常用漢字
中学
部首:⾁
7画
“肝”を含む語句
肝要
肝魂
肝臓
肝煎
肝胆
肝癪
肝胆相照
肝入
荒肝
肝玉
肝癪持
肝脳
肝試
肝腎
肝心
度肝
肝腎要
生肝
肺肝
肝膽
...