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習
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ならい
ふりがな文庫
“
習
(
ならい
)” の例文
こころ合はでも
辞
(
いな
)
まむよしなきに、日々にあひ見て
忌
(
い
)
むこころ
飽
(
あ
)
くまで
募
(
つの
)
りたる時、これに添はする
習
(
ならい
)
さりとてはことわりなの世や。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
雪国の
習
(
ならい
)
として、板屋根には沢山の石が載せてあるので、彼は
手当
(
てあたり
)
次第に取って投げた。石の
礫
(
つぶて
)
と雪の礫とが
上下
(
うえした
)
から乱れて飛んだ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
これは湯宿の込合う折は、いつでも手伝いに
行
(
ゆ
)
く
習
(
ならい
)
。給仕に出た座敷の客の心づけたものであろう、その上に、
白金巾
(
しろかなきん
)
の西洋
前垂
(
まえだれ
)
。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
青空を見るたび、しばし胸の苦痛を忘れて、昔の夢を見るのが
習
(
ならい
)
となった。今、この苦しみを忘れるものは、青空を見るより他にない。
悪魔
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
どうもそれにしても、ポルジイは余り所嫌わずにそれを連れ歩くようではあるが、それは兎角そうなり
易
(
やす
)
い
習
(
ならい
)
だと見れば見られる。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
▼ もっと見る
手首は触れやすいために
習
(
ならい
)
となったのに過ぎぬと論ぜられたので、列座の人々は驚き
呆
(
あき
)
れ、首肯する者、否定する者、暫く騒然としたそうです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
ただ武門の
習
(
ならい
)
として一死
以
(
もっ
)
て二百五十年の恩に
報
(
むくい
)
るのみ、総督もし生を欲せば出でて降参せよ、
我等
(
われら
)
は我等の武士道に
斃
(
たお
)
れんのみとて
憤戦
(
ふんせん
)
止
(
とど
)
まらず
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
忽
(
たちま
)
ち
親
(
したし
)
み、忽ち
疎
(
うとん
)
ずるのが君の
習
(
ならい
)
で、
咬
(
か
)
み合せた歯をめったに開かず、真心を人の腹中に置くのが僕の性分であった。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
昔は六十を超えたる老人はすべてこの蓮台野へ追い遣るの
習
(
ならい
)
ありき。老人はいたずらに死んで
了
(
しま
)
うこともならぬ故に、日中は里へ下り農作して口を
糊
(
ぬら
)
したり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかし一方、
習
(
ならい
)
、性となった・あの文字を連ねることの霊妙な欣ばしさ、気に入った場面を描写することの楽しさが、自分を捨去るとは、ゆめゆめ思えない。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「
素足
(
すあし
)
も、野暮な
足袋
(
たび
)
ほしき、寒さもつらや」といいながら、江戸芸者は冬も素足を
習
(
ならい
)
とした。
粋者
(
すいしゃ
)
の間にはそれを
真似
(
まね
)
て足袋を
履
(
は
)
かない者も多かったという。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
そんな事はねえが
武士
(
さむらい
)
の果は外に
致方
(
いたしかた
)
もなく、旨い酒も飲めないから、どうせ永い浮世に短い命、斬り
取
(
ど
)
り強盗は
武士
(
ぶし
)
の
習
(
ならい
)
だ、今じゃア十四五人も手下が出来て
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
虫けらの死んだの草木の枯れたのまでに悲しみを起し、
是非
(
ぜひ
)
に生老病死がこの世の
習
(
ならい
)
なれば、この世を
出
(
い
)
でねばすまぬと志を立て、年二十五の時位を棄てて山へ入り
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
毎年の
習
(
ならい
)
で、ことしも
稲荷
(
いなり
)
様の境内から町内の
掛行燈
(
かけあんどん
)
の絵は、みんな
街子
(
まちこ
)
の父親が
描
(
か
)
いたのです。
最初の悲哀
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
春院
(
しゅんいん
)
いたずらに
更
(
ふ
)
けて、
花影
(
かえい
)
欄
(
おばしま
)
にたけなわなるを、
遅日
(
ちじつ
)
早く尽きんとする
風情
(
ふぜい
)
と見て、
琴
(
こと
)
を
抱
(
いだ
)
いて
恨
(
うら
)
み顔なるは、嫁ぎ
後
(
おく
)
れたる世の常の女の
習
(
ならい
)
なるに、
麈尾
(
ほっす
)
に払う折々の
空音
(
そらね
)
に
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
即ち不良性は
直
(
ただち
)
に人間性で、逆に云えば人間として不良性を備えざるなしという事になる。孔子の「
習
(
ならい
)
」、
基督
(
キリスト
)
の「罪」、釈迦の「
業
(
ごう
)
」等いう言葉は、この意味を含んでいはしまいかと思われる。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
汝心を
静
(
きよ
)
めて良き日の来るを待て、変り易きは世の
習
(
ならい
)
なり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
兎角そんな時の
習
(
ならい
)
で
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
当時道家には中気真術と云うものを行う
習
(
ならい
)
があった。毎月
朔望
(
さくぼう
)
の二度、予め三日の
斎
(
ものいみ
)
をして、
所謂
(
いわゆる
)
四目四鼻孔
云々
(
うんぬん
)
の法を修するのである。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
立去りあえず
彳
(
たたず
)
むのが
習
(
ならい
)
であったが、恋しさも
慕
(
したわ
)
しさも、ただ
青海
(
あおうみ
)
の空の雲の形を見るように漠然とした、幻に過ぎなかった。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
日本の
演劇
(
しばい
)
で蛙の声を聞かせる場合には、赤貝を
摺
(
す
)
り合せるのが昔からの
習
(
ならい
)
であるが、『
太功記
(
たいこうき
)
』十段目の光秀が
夕顔棚
(
ゆうがおだな
)
のこなたより
現
(
あらわ
)
れ
出
(
い
)
でた時に
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
昇平
(
しょうへい
)
百年にして
奢侈
(
しゃし
)
習
(
ならい
)
となり、費用
古
(
いにしえ
)
に十倍せり。窮せざることを欲すとも得べからず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
四九 仙人峠は登り十五里
降
(
くだ
)
り十五里あり。その中ほどに仙人の像を祀りたる堂あり。この堂の
壁
(
かべ
)
には旅人がこの山中にて遭いたる不思議の出来事を書き
識
(
しる
)
すこと昔よりの
習
(
ならい
)
なり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
心は
何処
(
どこ
)
か余所になってしまっていて、
貴
(
とうと
)
い熱も身を
温
(
あたた
)
めず、貴い波も身を漂わさず、
他
(
ほか
)
の人が
何日
(
いつ
)
か出会って、一
度
(
たび
)
は争って、
終
(
つい
)
には恵みを受ける
習
(
ならい
)
の神には己は逢わずにしまった。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
物おほくいはぬ人の
習
(
ならい
)
とて、
遽
(
にわか
)
に
出
(
いだ
)
ししこと葉と共に、顔さと
赤
(
あか
)
めしが、はや先に立ちて
誘
(
いざな
)
ふに、われは
訝
(
いぶか
)
りつつも随ひ行きぬ。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
北国の
習
(
ならい
)
であろう、大池の橋を渡って、
真紅
(
まっか
)
に色を染めた桜の葉の中に、
細滝
(
ほそたき
)
を見て通る頃から、ぽつりと雨が
掛
(
かか
)
った。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
昔から世間に
能
(
よ
)
くある
習
(
ならい
)
で、田舎のお
大尽
(
だいじん
)
を罠に掛ける酌婦の紋切形であろう位に、極めて単純に解釈していた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
目見は
此
(
かく
)
の如く世の人に重視せられる
習
(
ならい
)
であったから、この栄を
荷
(
にな
)
うものは多くの費用を弁ぜなくてはならなかった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
見る見る、目の下の
田畠
(
たはた
)
が小さくなり遠くなるに従うて、波の色が
蒼
(
あお
)
う、ひたひたと足許に近づくのは、海を
抱
(
いだ
)
いたかかる山の、
何処
(
いずこ
)
も同じ
習
(
ならい
)
である。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ここらの
町家
(
まちや
)
は裏手に庭や
空地
(
あきち
)
を
有
(
も
)
っているのが
習
(
ならい
)
であるから、巡査等は
同家
(
どうけ
)
に
踏込
(
ふみこ
)
んで
先
(
ま
)
ず裏庭を
穿索
(
せんさく
)
した。が、縁の下にも庭の隅にも重太郎の姿は見えなかった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いかんせん世の
習
(
ならい
)
である。いずれは身のつまりで、
遁
(
に
)
げて心中の覚悟だった、が、
華厳
(
けごん
)
の滝へ飛込んだり、並木の杉でぶら下ろうなどというのではない。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
出羽
(
でわ
)
の山形は江戸から九十里で、弘前に至る行程の
半
(
なかば
)
である。常の旅には
此
(
ここ
)
に来ると祝う
習
(
ならい
)
であったが、五百らはわざと旅店を避けて
鰻屋
(
うなぎや
)
に宿を求めた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
死人に
六文銭
(
ろくもんせん
)
を添へて
葬
(
ほうむ
)
るのが
古来
(
こらい
)
の
習
(
ならい
)
である。その六文銭のある間、母はわが子を養育するために毎日一文づつの飴を買つてゐたのであるが、けふは六日目でその銭も尽きた。
小夜の中山夜啼石
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
天は
蒼々
(
そうそう
)
として
上
(
かみ
)
にあり。人は
両間
(
りょうかん
)
に生れて性皆相近し。
習
(
ならい
)
相遠きなり。世の始より性なきの人なし。習なきの俗なし。世界万国皆其国々の習ありて同じからず。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
舞台に
顕
(
あらわ
)
す……しゃ、
習
(
ならい
)
よ、芸よ、術よとて、
胡麻
(
ごま
)
の油で揚げすまいた鼠の
罠
(
わな
)
に狂いかかると、わっと云うのが
可笑
(
おか
)
しさを
囃
(
はや
)
すので、
小児
(
こども
)
は一同、声を上げて
哄
(
どつ
)
と笑う。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
又
(
ま
)
た不思議がらつしやるが、目に見えぬで、どないな事があらうも知れぬが世間の
習
(
ならい
)
ぢや。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
こう云う時の
習
(
ならい
)
として、最初は一同遠慮をして酒肴に手を出さずに、只
睨
(
にら
)
み合っていた。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
辺幅
(
へんぷく
)
を修めない、質素な人の、
住居
(
すまい
)
が芝の
高輪
(
たかなわ
)
にあるので、毎日病院へ通うのに、この院線を使って、お茶の水で下車して、あれから大学の所在地まで徒歩するのが
習
(
ならい
)
であったが
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
先づ二人が
面
(
おもて
)
を
撲
(
う
)
つはたばこの
烟
(
けぶり
)
にて、
遽
(
にわか
)
に入りたる目には、
中
(
なか
)
なる人をも見わきがたし。日は暮れたれど暑き頃なるに、窓
悉
(
ことごと
)
くあけ
放
(
はな
)
ちはせで、かかる烟の中に居るも、
習
(
ならい
)
となりたるなるべし。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
尠
(
すくな
)
からず悩まされて、自分にお蔦と云う
弱点
(
よわみ
)
があるだけ、人知れず冷汗が
習
(
ならい
)
であったから、その事ならもう聞くまい、と手強く念を入れると、今夜はズボンの膝を
畏
(
かしこま
)
っただけ大真面目。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少
(
わか
)
い
世捨人
(
よすてびと
)
な、これ、坊さまも
沢山
(
たんと
)
あるではないかいの、まだ/\、死んだ者に
信女
(
しんにょ
)
や、
大姉
(
だいし
)
居士
(
こじ
)
なぞいうて、名をつける
習
(
ならい
)
でござらうが、何で又、其の
旅商人
(
たびあきうど
)
に
婦人
(
おんな
)
が
懸想
(
けそう
)
したことを
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
黒ずんだが
鬱金
(
うこん
)
の裏の附いた、はぎ/\の、
之
(
これ
)
はまた美しい、
褪
(
あ
)
せては居るが色々、
浅葱
(
あさぎ
)
の
麻
(
あさ
)
の葉、
鹿子
(
かのこ
)
の
緋
(
ひ
)
、国の
習
(
ならい
)
で百軒から
切
(
きれ
)
一
(
ひと
)
ツづゝ集めて
継
(
つ
)
ぎ合す
処
(
ところ
)
がある、其のちやん/\を着て
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
窓を開けたままで寝ると、夜気に襲われ、胸苦しいは間々ある
習
(
ならい
)
で。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
印半纏
(
しるしばんてん
)
、
股引
(
ももひき
)
、腹掛けの若いものが、さし心得て、露じとりの地に据えた床几に、お珊は
真先
(
まっさき
)
に腰を掛けた。が、これは
我儘
(
わがまま
)
ではない。
練
(
ねり
)
ものは、揃って、宗右衛門町のここに休むのが
習
(
ならい
)
であった。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
回生剤
(
きつけ
)
として、その水にしたたらして置くが
習
(
ならい
)
じゃ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“習”の解説
習(しゅう)は漢姓の一つ。『百家姓』の332番目の姓である。2020年の中華人民共和国の統計では人数順の上位100姓に入っておらず、台湾の2018年の統計では508番目に多い姓で、130人がいる。
(出典:Wikipedia)
習
常用漢字
小3
部首:⽻
11画
“習”を含む語句
習慣
復習
慣習
風習
温習
練習
常習
手習
近習
演習
習俗
因習
習性
見習
御近習
習字
手習草紙
習々
習練
陋習
...