“ならい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
47.3%
奈良井10.8%
北風9.5%
習慣9.5%
4.1%
慣習4.1%
慣例2.7%
常習1.4%
性情1.4%
朔風1.4%
東南風1.4%
楢井1.4%
西北風1.4%
西南風1.4%
西風1.4%
風習1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
雪国のならいとして、板屋根には沢山の石が載せてあるので、彼は手当てあたり次第に取って投げた。石のつぶてと雪の礫とが上下うえしたから乱れて飛んだ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
洗馬から本山もとやまへ出、本山から新川にいがわ奈良井ならいへ出て、奈良井から藪原やぶはらへ参りまするには、此の間に鳥居峠とりいとうげがございます。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
辻に黒山を築いた、が北風ならいの通す、寒い背後うしろからやぶを押分けるように、ステッキで背伸びをして
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
古郷ふるさと涅槃会ねはんえには、はだに抱き、たもとに捧げて、町方の娘たち、一人が三ツ二ツ手毬を携え、同じように着飾って、山寺へ来て突競つきくらを戯れる習慣ならいがある。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かれは大勢たいせいの既に定まったのを知らずに、己の事情の帰国に適せぬことを縷々るるとして説こうとした。霊肉共に許した恋人のならいとして、いかようにしても離れまいとするのである。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
……伊達だて煙管きせるは、煙を吸うより、手すさみのしぐさが多い慣習ならいである。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
動物学上から云へば、猫の立つて歩くのもあるいは当然の事かも知れぬ。しかし我々俗人はこれをも不思議の一つにかぞへるのが慣例ならいだ。
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
このころいくさがあッたと見え、そこここには腐れた、見るも情ない死骸しがいが数多く散ッているが、戦国の常習ならい、それを葬ッてやる和尚おしょうもなく、ただところどころにばかり
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
総じて貴人というものは、上淫じょういんたしなむのです。そなた二人は、にじとだに雲の上にかける思いと——いう、恋歌を御存じか。そのとおり、王侯のきさきさえも、犯したいと思うのが性情ならいなのじゃ。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それからこうくと丁度朔風ならいと申して四月時分も北風が吹く事がありまして、舟は益々早く、忽ち只今なれば四時間ばかりで天神山の松屋と云う馴染の所へ参りました。
どうも今朝五時頃に裾野に靡いていた雲で見ると私は東南風ならいらしいと見たがという人が居ると、イヤ、あれは確かに西風にし
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
「すがの荒野」を地名とすると、和名鈔わみょうしょうの筑摩郡苧賀ソガ郷で、あずさ川と楢井ならい川との間の曠野こうやだとする説(地名辞書)が有力だが、他にも説があって一定しない。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
……(寒い風だよ、ちょぼ一風いちかぜは、しわりごわりと吹いて来る)と田越村たごえむら一番の若衆わかいしゅうが、泣声を立てる、大根の煮える、富士おろし、西北風ならいの烈しい夕暮に、いそがしいのと、寒いのに、向うみずに
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ヒマラヤ・カラコルムに吹きつける、狂暴な西南風ならい。大雨、烈風となる最悪の時期に、折竹は速流氷河をわたると言う。
人外魔境:10 地軸二万哩 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
山三郎はじり/\して居りますが、何うも仕方がない、朝の内は西風ならいが吹き、昼少々前から東風こちから南風みなみかぜに変って、彼是れ今の四時頃に漸く浦賀へ這入りました。
無念は言葉にも尽せぬが、それより一層恐ろしいのは、この西班牙イスパニア風習ならいとして屍骸なきがらに首のない時は、天界に産れ変わることが出来ないのじゃ。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)