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皮肉
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ひにく
ふりがな文庫
“
皮肉
(
ひにく
)” の例文
ちょっと
皮肉
(
ひにく
)
なところがありますが、
優
(
やさ
)
しい
微笑
(
びしょう
)
をたたえた皮肉で、世の中の不正や
醜
(
みにく
)
さに、それとなく
鋭
(
するど
)
い
鋒先
(
ほこさき
)
を向けています。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
私には一ことも、なんにも、おっしゃいませんでした。いま
迄
(
まで
)
は私が、あなたに何か世話でもすると、あとで必ず、ちょっとした
皮肉
(
ひにく
)
を
故郷
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
あまり、その
調子
(
ちょうし
)
がくだけていて、
自分
(
じぶん
)
に
対
(
たい
)
する
皮肉
(
ひにく
)
とはとれなかったので、お
竹
(
たけ
)
は、
前
(
まえ
)
にいた
女中
(
じょちゅう
)
のことだけに、ついつりこまれて
だまされた娘とちょうの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
喉を紋められたというよりも、三枚の長い鋭い爪で頸の左右を強く刺されたような形で、爪のあとが
皮肉
(
ひにく
)
のなかに深く喰い込んでいた。
半七捕物帳:58 菊人形の昔
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と帆村は
皮肉
(
ひにく
)
を云ったが、でも私が入ってきたときよりもずっと朗かさを加えたのだった。彼は今、話し相手が欲しくてたまらないのだ。
獏鸚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
A いよ/\
馬鹿
(
ばか
)
だなア
此奴
(
こいつ
)
は。
凡
(
およ
)
そ、
洒落
(
しやれ
)
、
皮肉
(
ひにく
)
、
諷刺
(
ふうし
)
の
類
(
るゐ
)
を
説明
(
せつめい
)
して
何
(
なん
)
になる。
刺身
(
さしみ
)
にワサビを
附
(
つ
)
けて
煮
(
に
)
て
食
(
く
)
ふ
樣
(
やう
)
なもんぢやないか。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
人の力でどうにもならないのは、
皮肉
(
ひにく
)
な
運命
(
うんめい
)
で、その運命をえて
案外
(
あんがい
)
にくるわすものは、これまた人力の自由にならぬ時間というものである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私がはいって行くと、笹川は例の
憫
(
あわ
)
れむようなまた
皮肉
(
ひにく
)
な眼つきして「今日はたいそうおめかしでいらっしゃいますね」
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
卓連俊 (よろよろしながら)卜い者に自分の運命がわからねえように、あんたにゃあ民族の運命がわからねえ、
皮肉
(
ひにく
)
だね。お互いに無駄なこった。
安重根:――十四の場面――
(新字新仮名)
/
谷譲次
、
林不忘
(著)
やがて
井口警部
(
いぐちけいぶ
)
は、
第
(
だい
)
三の
容疑者
(
ようぎしゃ
)
を
呼
(
よ
)
び
出
(
だ
)
したが、それは
皮肉
(
ひにく
)
なことに、あの
死
(
し
)
んでいたランチュウを、
刈谷老人
(
かりやろうじん
)
の
家
(
うち
)
へ
持
(
も
)
つてきたという
金魚屋
(
きんぎょや
)
である。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
萬之助は負け惜しみが強くて
皮肉
(
ひにく
)
で、お銀の樣子が
癪
(
しやく
)
に觸つてたまらなかつたんだらう。——美い女は大抵
高慢
(
かうまん
)
で人を人とも思はない。お銀もさうだつた。
銭形平次捕物控:151 お銀お玉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
あれは徳川氏が自分の政策上から、あんな料理法を拵へ上げたので、一体吾々の食べる魚肉といふものは、
皮肉
(
ひにく
)
の
間
(
あひだ
)
が
膩
(
あぶら
)
が乗つて一番うまいものなんです。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
僕はあながち勝者を
妬
(
ねた
)
んで
皮肉
(
ひにく
)
を
吐
(
は
)
く考えもなければ、誰がどうと具体的に指さすことを
能
(
よ
)
くせぬが、かくのごとき人が世にありそうであり、またありと聞いている。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「どうせ
俺
(
お
)
らあ、
佳味
(
うめ
)
えつたつてさうだに
減
(
へ
)
る
程
(
ほど
)
でも
食
(
く
)
ふべぢやなし、
管
(
かま
)
やしねえが」
卯平
(
うへい
)
は
皮肉
(
ひにく
)
らしい
口調
(
くてう
)
でいつた。
勘次
(
かんじ
)
は
只
(
たゞ
)
默
(
だま
)
つてむしや/\と
不味相
(
まづさう
)
に
噛
(
か
)
んだ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「それは
普通
(
ふつう
)
無智
(
むち
)
な
女
(
おんな
)
に
対
(
たい
)
してのことさ。I
子
(
こ
)
ならS、H
君
(
くん
)
でもきつとおとなしくするよ。」
私
(
わたし
)
は
自家
(
じか
)
謙
(
けん
)
遜の
意味
(
いみ
)
で
言
(
い
)
つたが、いくらかの
皮肉
(
ひにく
)
もないとは
言
(
い
)
へなかつた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
蜂
(
はち
)
の
眞劍
(
しんけん
)
さが、その
子供
(
こども
)
に
對
(
たい
)
する
用意周到
(
よういしうたう
)
さが
何
(
なに
)
か
皮肉
(
ひにく
)
に
胸
(
むね
)
に
呼
(
よ
)
びかけてゐるやうな
氣持
(
きもち
)
だつた。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
彼の言葉は平生から
皮肉
(
ひにく
)
たくさんに自分の耳を襲った。しかしそれは彼の智力が我々よりも鋭敏に働き過ぎる結果で、その他に悪気のない事は、自分によく呑み込めていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
滝田
君
(
くん
)
は
僕
(
ぼく
)
にその
小説
(
しょうせつ
)
のことを「ちょっと
皮肉
(
ひにく
)
なものですな」といった。
滝田哲太郎君
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
とある隅の壁の方に肩を小さくして
探
(
さが
)
し手を待つてゐる間に、しばしば埋もれた鶩の卵を見つけ出し、さうして棟木のかげからぬるぬると匍ひ下る青大將のあの凄い
皮肉
(
ひにく
)
な晝の眼つきを恐れた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
浮雲の筆は
枯
(
か
)
れきって、ぱっちり眼を開いた五十男の
皮肉
(
ひにく
)
と
鋭利
(
えいり
)
と、
醒
(
さ
)
めきった人のさびしさが
犇々
(
ひしひし
)
と胸に
迫
(
せま
)
るものがあった。朝日から露西亜へ
派遣
(
はけん
)
された時、余は其通信の一
行
(
ぎょう
)
も見落さなかった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
しかしいくぶんかの
皮肉
(
ひにく
)
をまじえていった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
皮肉
(
ひにく
)
つたやうな聲が云つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
抱せ
海老
(
ゑび
)
に掛らるゝ事既に十三度に及び
皮肉
(
ひにく
)
も
切破
(
きれやぶ
)
れ
骨
(
ほね
)
も
碎
(
くだく
)
るばかりの
苦痛
(
くつう
)
に
堪兼
(
たへがね
)
是非なく無實の罪に
陷
(
おち
)
し所此度是なる
妻
(
さい
)
節恐れ多くも松平縫殿頭樣へ御
駕籠訴
(
かごそ
)
仕つりしより江戸
表
(
おもて
)
へ召出され
再應
(
さいおう
)
の御
吟味
(
ぎんみ
)
に
預
(
あづか
)
ること有難仕合に私し
風情
(
ふぜい
)
の女房が願を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と
皮肉
(
ひにく
)
をいふ。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
と、金博士は謙遜とも
皮肉
(
ひにく
)
とも分からない笑い方をして、大統領をはじめ、建艦委員たちを案内して、驚異軍艦ホノルル号についていった。
不沈軍艦の見本:――金博士シリーズ・10――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして、その
中
(
なか
)
に
幸吉
(
こうきち
)
が
立
(
た
)
っていると、おじさんの、そのずるそうな
目
(
め
)
つきは
幸吉
(
こうきち
)
の
顔
(
かお
)
の
上
(
うえ
)
に
止
(
と
)
まりました。おじさんは、
幸吉
(
こうきち
)
にさも
皮肉
(
ひにく
)
そうに
花の咲く前
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そのいわれのある
古戦場
(
こせんじょう
)
で、その信玄の
孫
(
まご
)
が、わずかふたりの
従者
(
じゅうしゃ
)
とともに、
錆刀
(
さびがたな
)
で首を落とされるとは、なんと、あわれにもまた
皮肉
(
ひにく
)
な
因縁
(
いんねん
)
よ!
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次はツイ
合槌
(
あひづち
)
を打ちました。才八といふのは、さう言つた、物の考への
皮肉
(
ひにく
)
な男だつたのです。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
事実また、それを
揶揄
(
やゆ
)
し
皮肉
(
ひにく
)
るのは、いい気持のものさ。けれども、その皮肉は、どんなに安易な、危険な遊戯であるか知らなければならぬ。なんの責任も無いんだからね。
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
よし
皮肉
(
ひにく
)
をもって一時勝利を得るにしても、その実は敵に
敗
(
ま
)
けたものである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
B
僕
(
ぼく
)
は
又折々
(
またをり/\
)
葉書
(
はがき
)
で
友人
(
いうじん
)
と
論戰
(
ろんせん
)
する
事
(
こと
)
がある。十
枚
(
まい
)
づつも
葉書
(
はがき
)
を
往復
(
わうふく
)
すると
可
(
か
)
なり
面白
(
おもしろ
)
い
論戰
(
ろんせん
)
が
出來
(
でき
)
る。まじめな
論戰
(
ろんせん
)
をやる
事
(
こと
)
もあれば、
惡口
(
あくこう
)
の
吐
(
つ
)
きあひや
皮肉
(
ひにく
)
の
言
(
い
)
ひあひをする
事
(
こと
)
もある。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
成程
(
なるほど
)
血
(
ち
)
は
流
(
なが
)
れない、
男
(
をとこ
)
は
立派
(
りつぱ
)
に
生
(
い
)
きてゐる、——しかしそれでも
殺
(
ころ
)
したのです。
罪
(
つみ
)
の
深
(
ふか
)
さを
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
れば、あなた
方
(
がた
)
が
惡
(
わる
)
いか、わたしが
惡
(
わる
)
いか、どちらが
惡
(
わる
)
いかわかりません。(
皮肉
(
ひにく
)
なる
微笑
(
びせう
)
)
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「相変らず
皮肉
(
ひにく
)
るな」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「あなた、この
広
(
ひろ
)
い
東京
(
とうきょう
)
ですもの……。」といって、
男
(
おとこ
)
は、きつねのような
顔
(
かお
)
つきをして、
皮肉
(
ひにく
)
な
笑
(
わら
)
い
方
(
かた
)
をしたのです。
さかずきの輪廻
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「あんた、なんか
業病
(
ごうびょう
)
があるんじゃない。だって指先に一向力がはいらないじゃないの」責任者のお
紋
(
もん
)
というのに、光枝はたっぷり
皮肉
(
ひにく
)
をいわれた。
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
これまた何たる
皮肉
(
ひにく
)
! 空から中庭のまん中へ、ズシーンとばかり飛び降りてきた、
雷獣
(
らいじゅう
)
のような一個の
奇童
(
きどう
)
がある。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「たつたそれだけだが、ちよいと變ぢやありませんか親分。神田から番町へかけて、並ぶ者のないと言はれた上總屋音次郎が、死んで一文もないなんざ、
皮肉
(
ひにく
)
過ぎますよ」
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その一弾が
皮肉
(
ひにく
)
にも
棺桶
(
かんおけ
)
ならぬ此のタンクの中へ残ったわけなんです。本当に恐ろしいことですね。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「おまえさんは
目
(
め
)
が
悪
(
わる
)
くなってあの
船
(
ふね
)
が
見
(
み
)
えないからだろう。」と、
中
(
なか
)
には
皮肉
(
ひにく
)
をいって、いままで
自慢
(
じまん
)
をしていた
老人
(
ろうじん
)
の
鼻
(
はな
)
を
折
(
お
)
ってやろうと
思
(
おも
)
ったものもありました。
カラカラ鳴る海
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
がそれも、友達に抗議されて不本意ながら重大な変更を余儀なくされ、同時に作曲した「
嵐
(
あらし
)
」が、異邦フランスのパリ博覧会で演奏され、熱狂的な喝采を博したことも
皮肉
(
ひにく
)
である。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
ピシリッ、ピシリッと
皮肉
(
ひにく
)
を破る
鞭
(
むち
)
の苦痛を万吉じっとこらえている。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかるに、
上役
(
うわやく
)
は、
冷然
(
れいぜん
)
として、
皮肉
(
ひにく
)
な
目
(
め
)
つきで、その
男
(
おとこ
)
を
見下
(
みくだ
)
して、
命令
(
めいれい
)
します。この
場合
(
ばあい
)
、だれが
聞
(
き
)
いても
無理
(
むり
)
と
思
(
おも
)
われるようなことでも、
男
(
おとこ
)
は、
服従
(
ふくじゅう
)
しなければなりませんでした。
風はささやく
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
藤三郎の顏には、
皮肉
(
ひにく
)
な薄笑ひが浮びました。土藏の
海鼠壁
(
なまこかべ
)
は、あの通り見事に切り拔かれて居るのに、泥棒が鍵を盜んで入りはしないかと言ふ問が、あまりに
迂濶
(
うくわつ
)
だと思つたのでせう。
銭形平次捕物控:009 人肌地藏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
帆村は、課長の勇猛心に顔負けがして、ちょっと
皮肉
(
ひにく
)
を飛ばした。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「貴方はよくお調べですね」と警部が
皮肉
(
ひにく
)
のつもりで云った。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そばの
人々
(
ひとびと
)
は、
皮肉
(
ひにく
)
にも、
彼女
(
かのじょ
)
をそんなようにいいました。
砂漠の町とサフラン酒
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と、
皮肉
(
ひにく
)
のようになぐさめるように、いったのでした。
すみれとうぐいすの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「それだけだって。ふふン」と頭目は
皮肉
(
ひにく
)
に笑って
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
僕は、いささか
皮肉
(
ひにく
)
なもののいい方をした。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ラルサンは
皮肉
(
ひにく
)
をとばす。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
皮
常用漢字
小3
部首:⽪
5画
肉
常用漢字
小2
部首:⾁
6画
“皮肉”で始まる語句
皮肉家