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捉
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つかま
ふりがな文庫
“
捉
(
つかま
)” の例文
町に
別嬪
(
べっぴん
)
が多くて、山遊びが
好
(
すき
)
な土地柄だろう。果して寝転んでいて、振袖を
生捉
(
いけど
)
った。……場所をかえて、もう二三人
捉
(
つかま
)
えよう。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
側にいた人を押し退けて、安達君の腕を
捉
(
つかま
)
えながら第一着に乗り込んだ。しかし朝の電車は混んでいる。坐る席は無論なかった。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
太い、逞ましい喬木でも、
心
(
しん
)
が朽ちているから、うっかり
捉
(
つかま
)
ると枝が折れて、コイワカガミや、ミヤマカタバミの草の
褥
(
しとね
)
へ
俯
(
のめ
)
ったりする。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
この
八月
(
はちがつ
)
の
十五日
(
じゆうごにち
)
には
天
(
てん
)
から
迎
(
むか
)
への
者
(
もの
)
が
來
(
く
)
ると
申
(
まを
)
してをりますが、その
時
(
とき
)
には
人數
(
にんず
)
をお
遣
(
つか
)
はしになつて、
月
(
つき
)
の
都
(
みやこ
)
の
人々
(
ひと/″\
)
を
捉
(
つかま
)
へて
下
(
くだ
)
さいませ
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
談
(
はなし
)
がトンと
興
(
はず
)
まない。特に女中を
捉
(
つかま
)
へてキヤツ/\騒ぎ立てる支那人の
傍若無人
(
ばうじやくぶじん
)
さに、湯村は眉を
顰
(
ひそ
)
めてたゞガブ/\酒を
呷上
(
あふりあ
)
げて居る。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
▼ もっと見る
腎臓病の青膨れのまま
駈着
(
かけつ
)
けて来た父親の乙束区長がオロオロしているマユミを
捉
(
つかま
)
えて様子を
訊
(
き
)
いてみたが
薩張
(
さっぱ
)
り要領を得ない。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それを聞いていると、捨吉の心は
捉
(
つかま
)
えどころの無いような牧師の言葉の方へ行ったり、自分の想像する世界の方へ行ったりした。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
私はそれが嬉しかつた。
奈何
(
どんな
)
に
尫弱
(
かよわ
)
い體質でも、私は流石に男の兒、藤野さんはキッと口を結んで
敏
(
さと
)
く追つて來るけれど、容易に
捉
(
つかま
)
らない。
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
笹村は、冴え冴えした声でいつに変らず裏で地主の大工の
内儀
(
かみ
)
さんと話していたお銀が入って来ると、じきに
捉
(
つかま
)
えてその問題を担ぎ出した。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
この巡査が泥棒などを
捉
(
つかま
)
えに行く時でも決して旅費を持って行かない。行った先で飯を喰い酒を飲み自由自在にやって行く。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
従来やり来った翻訳法で見ると、よし成功はしない乍らも、形は原文に
捉
(
つかま
)
っているのだから、非常にやり損うことがない。
余が翻訳の標準
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
其處
(
そこ
)
には
又
(
また
)
此
(
こ
)
れも
春
(
はる
)
のやうな
日
(
ひ
)
に
騙
(
だま
)
されて、
疾
(
とう
)
から
鳴
(
な
)
かなく
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
た
蛙
(
かへる
)
がふわりと
浮
(
う
)
いてはこそつぱい
稻
(
いね
)
の
穗
(
ほ
)
に
捉
(
つかま
)
りながらげら/\と
鳴
(
な
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
と言ったら、お雪さんが、『まあ! 其様なことまでいうの? 本当に雪岡には呆れて了う。おばさんを
捉
(
つかま
)
えて私に言う通りに言っているのよ。』
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
と、言訳をしいしい、その片腕を
捉
(
つかま
)
へて堅く握りつめた五本の指を
解
(
ほど
)
いた。竿から外された片腕は黙つて沈んで行つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そんな
訳
(
わけ
)
ですから、全部架空の事実で、頼家の
仮面
(
めん
)
……ただそれだけが
捉
(
つかま
)
え所で、
他
(
ほか
)
には何の根拠もないのです。
修禅寺物語:――明治座五月興行――
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ローラは
拳
(
こぶし
)
をふりあげながら、あとから追いかけてくる。
捉
(
つかま
)
ってはたいへんと、敬二は、ビルの裏へにげこんだ。
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「は?——」と立ちどまって、デッキに
捉
(
つかま
)
りながら大沼喜三郎は目をあげた。「おお、あなたは、阿賀妻さん! いかにもこれでおしまいでございますよ」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
函館停車場は
極
(
ごく
)
粗朴
(
そぼく
)
な停車場である。待合室では、真赤に
喰
(
くら
)
い酔うた
金襴
(
きんらん
)
の
袈裟
(
けさ
)
の坊さんが、仏蘭西人らしい
髯
(
ひげ
)
の長い宣教師を
捉
(
つかま
)
えて、色々
管
(
くだ
)
を捲いて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
由「
私
(
わし
)
は
馬
(
むま
)
をいたゞきたいが、馬に
乗
(
のっか
)
って
捉
(
つかま
)
ってヒョコ/\
往
(
い
)
くなア好い心持で、馬をねえ……女中さん」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
さあ、
捉
(
つかま
)
つて了つて、
其処
(
そこ
)
の
場図
(
ばつ
)
で
迯
(
にげ
)
るには迯られず、
阿母
(
おつか
)
さんは
得
(
え
)
たり
賢
(
かしこ
)
しなんでせう、一処に行け行けと
聒
(
やかまし
)
く言ふし、那奴は何でも来いと云つて放さない。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
神尾主膳はお銀様に刀を見せるのではなく、お銀様を
捉
(
つかま
)
えて刀を突きつけているのでありました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小雨に濡れながら欄干に
捉
(
つかま
)
つてゐると、船は正しくいまこの突き出た岬の端を𢌞つてゐるのだ。
熊野奈智山
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
こうして来る日本の旅客を
捉
(
つかま
)
え、案内役を引き受ける以外に方法はないであろうと察せられる。
罌粟の中
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
そうして
年々
(
としどし
)
頻繁に、氏神其外の神々を祭っている。其度毎に、家の語部
大伴語造
(
おおとものかたりのみやつこ
)
の
嫗
(
おむな
)
たちを呼んで、之に
捉
(
つかま
)
え処もない
昔代
(
むかしよ
)
の物語りをさせて、氏人に傾聴を強いて居る。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
霞
(
かす
)
んだやうな平次の頭にも、これだけの記憶が
蘇
(
よみがへ
)
つて來ました。今日までに毒矢の曲者を
捉
(
つかま
)
へる筈だつたのが、天井裏に閉ぢ籠められてすつかり豫定が狂つてしまつたのです。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「さうだ、罰だもの。
私
(
わし
)
もさつきから、どうもこの人が
捉
(
つかま
)
らないから變だと思つたんだ。」
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
主
(
しゆ
)
はあたしに
下
(
くだ
)
さらなかつたので、
主
(
しゆ
)
に
属
(
ぞく
)
する
者
(
もの
)
を
捉
(
つかま
)
へたくなつて
堪
(
たま
)
らない。さてこそ、あたしは、ヷンドオムの
地
(
ち
)
から、このロアアルの
森
(
もり
)
へ
下
(
お
)
りて
来
(
く
)
る
幼児
(
をさなご
)
たちを
跟
(
つ
)
けて
来
(
き
)
た。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
確
(
しっか
)
りつかまってろ。(切れた捕縄を投げて)さあ、そいつに
捉
(
つかま
)
れ——あがって来い。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
吾々は紙に印刷した日附だの文字だのでさういふものを捉へようとするが、
捉
(
つかま
)
つた試しはめつたにない。それなら、房一が盛子の何気ない一言ですつかり感動してしまつたのはどうしてだらう?
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
机
(
つくゑ
)
の
前
(
まへ
)
にマツチは
有
(
あ
)
つて、
彼
(
かれ
)
は
其
(
そ
)
れを
見
(
み
)
てゐながら、
其癖
(
そのくせ
)
、
大聲
(
おほごゑ
)
を
上
(
あ
)
げて
小使
(
こづかひ
)
を
呼
(
よ
)
んでマツチを
持
(
も
)
つて
來
(
こ
)
いなどと
云
(
い
)
ひ、
女中
(
ぢよちゆう
)
のゐる
前
(
まへ
)
でも
平氣
(
へいき
)
で
下着
(
したぎ
)
一つで
歩
(
ある
)
いてゐる、
下僕
(
しもべ
)
や、
小使
(
こづかひ
)
を
捉
(
つかま
)
へては
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
彼は此の男を
捉
(
つかま
)
へて来たことを悔恨した。自分自身の行為を憤ふる気持で一杯になった。先刻、此の男を引張って来た時の誇らしげな自分が呪はしくなった。その時、部長は彼の方を向いて云った。
奥間巡査
(新字旧仮名)
/
池宮城積宝
(著)
一台の
俥
(
くるま
)
が勢よく表通りからその横丁へ曲って来た。幌をはずして若い女が斜めに乗り、白い小さい顔が幸福そうに笑っている。見ると、俥の後に一人若い袴をつけた男が
捉
(
つかま
)
り、俥と共に走っていた。
高台寺
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「
捉
(
つかま
)
えてくれ。そいつが曲者だ。そいつが本当の曲者だ」
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ゆき子はいま恐るべき殺人団の手に
捉
(
つかま
)
っているのだ。
劇団「笑う妖魔」
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
子蛙が
眼子菜
(
ひるも
)
の茎に
捉
(
つかま
)
つて泣いてゐると
都会と田園
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
あの心をきうきうきゆつと
捉
(
つかま
)
へてゐる
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
と
隣家
(
となり
)
の書生が木刀を握って武者慄いをした。お歌さんは乃公の手を
捉
(
つかま
)
えている。捉えているのか捉っているのか分らない。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
夫人 (間)私には厳しく
追手
(
おって
)
が
掛
(
かか
)
っております。見附かりますと、いまにも
捉
(
つかま
)
えられなければなりませんものですから。
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その頃木山は、一時下火になつてゐた牛込の女が、ちやうど好い旦那を
捉
(
つかま
)
へたところで、好い意味での紐か好い
人
(
ひと
)
といつた格で、その辺で遊んでゐた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
さうして
卯平
(
うへい
)
は
菓子
(
くわし
)
を
持
(
も
)
つた
右
(
みぎ
)
の
手
(
て
)
を
左
(
ひだり
)
の
袖口
(
そでくち
)
から
出
(
だ
)
して
與吉
(
よきち
)
へ
見
(
み
)
せる、
與吉
(
よきち
)
はふら/\と
漸
(
やうや
)
く
歩
(
ある
)
いて
行
(
い
)
つては、
衝
(
つ
)
き
當
(
あた
)
り
相
(
さう
)
に
卯平
(
うへい
)
へ
捉
(
つかま
)
つて
袂
(
たもと
)
を
探
(
さが
)
す。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
人の事を
浮気者
(
うわきもん
)
だなンぞッて
罵
(
ののし
)
ッて置きながら、三日も経たないうちに、人の部屋へつかつか入ッて来て……人の袂なンぞ
捉
(
つかま
)
えて、
咄
(
はなし
)
が有るだの、何だの
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
と御隠居さんが言葉を掛けた頃は、裁縫師は柿田の腕をしつかり
捉
(
つかま
)
へた。それを親しげに組合せるやうにして、物をも言はせず経師屋の外の方へ連れ出した。
死の床
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「ですから私、何度逃げ出したか知れやしない。……その度毎に追掛けて来て
捉
(
つかま
)
えて放さないんだもの……はあッ!
一昨日
(
おととい
)
からまた其の事で、
彼方
(
あっち
)
此方
(
こっち
)
していた。」
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
その事件はセライ・アムチーの住んで居った家の前大蔵大臣及び大臣の官邸に在る老尼僧、それからその
下僕
(
げぼく
)
の大臣に最も親しくして居った者一人が
捉
(
つかま
)
って下獄された。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
先刻
(
さっき
)
も云った通り、巡査が一度
追掛
(
おっか
)
けたことも有ったが、
到頭
(
とうとう
)
捉
(
つかま
)
らなかった。何しろ、猿と同じように樹にも登る、山坂を平気で
駈
(
かけ
)
る、
到底
(
とても
)
人間の足では追い付かないよ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
例のドレエフス事件の折などは、自分も進んでその関係者の一
人
(
にん
)
となつただけに、新聞記者に
捉
(
つかま
)
つて、大袈裟に畳み掛けた質問にでも
出会
(
でくは
)
しはしなからうかと
怯々
(
びく/\
)
ものでゐた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
両手をのばして、彼は
傍
(
かたわ
)
らにあった大きな角材を、その角のところで
捉
(
つかま
)
えていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
驚いたな、どうも、
先刻
(
さっき
)
子供達が河岸っ縁で
捉
(
つかま
)
えて、自身番へ持って来ましたよ。
緋鹿
(
ひか
)
の
子
(
こ
)
の結綿で足を縛られて、その上
櫛
(
くし
)
を差し込んであるんだから、どんな烏だって飛びやしません。
銭形平次捕物控:005 幽霊にされた女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
遊「なかなか逐返らんのだよ。
陰忍
(
ひねくね
)
した皮肉な奴でね、
那奴
(
あいつ
)
に
捉
(
つかま
)
つたら
耐
(
たま
)
らん」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
先生は南北戦争の
逸事
(
いつじ
)
を話して、ある夜
火光
(
あかり
)
を見さえすれば敵が射撃するので、時計を見るにマッチを
擦
(
す
)
ることもならず、
恰
(
ちょうど
)
飛んで居た螢を
捉
(
つかま
)
えて時計にのせて時間を見た、と云う話をされた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
捉
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
“捉”を含む語句
引捉
取捉
捕捉
把捉
択捉
生捉
蛇捉
捉績
電捉
盲捉戯
擇捉島
捕捉滅尽
捕捉殲滅
一捉
捉出
拘捉
利腕捉
不捉