かゝ)” の例文
しかなほこれは眞直まつすぐ眞四角ましかくきつたもので、およそかゝかく材木ざいもくようといふには、そまが八にん五日いつかあまりもかゝらねばならぬとく。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かゝる田舍の習慣で、若い男は、忍んで行く女の數の多いのを誇りにし、娘共も亦、口に出していふ事は無いけれ共、通つて來る男の多きを喜ぶ。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
アンドレイ、エヒミチは院長ゐんちやうとして其職そのしよくいたのちかゝ亂脈らんみやくたいして、はたしてこれ如何樣いかやう所置しよちしたらう、敏捷てきぱき院内ゐんない秩序ちつじよ改革かいかくしたらうか。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かゝる事は円朝わたくし薩張さつぱりぞんぜずにりましたが、談洲楼焉馬だんしゆうろうえんばしたゝめた文によつ承知しようちいたしました。其文そのぶん
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
しばらくしてまたばさりとさはつた、かゝときかゝ山家やまがゆき夜半よはおと恐氣おぢけだつた、婦人氣をんなぎはどんなであらう。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かゝ議論ぎろん全然まるでこゝろあつしられたアンドレイ、エヒミチはつひさじげて、病院びやうゐんにも毎日まいにちかよはなくなるにいたつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
みねたにかゝおもひくれなゐこずゑ汽車きしやさへ、とゞろきさへ、おとなきけむりの、ゆきなすたきをさかのぼつて、かる群青ぐんじやうくもひゞく、かすかなる、微妙びめうなる音樂おんがくであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かれまたかゝ位置ゐちになつてからも、ひと自分じぶん抛棄うつちやつてはいてれぬのが、かへつて迷惑めいわく殘念ざんねんつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
穿物はきものおもいために、細君さいくんあしはこ敏活びんくわつならず。がそれ所爲せゐ散策さんさくかゝ長時間ちやうじかんつひやしたのではない。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かゝおもむきつたため、わたし一頃ひところ小遣錢こづかひがあると、東京とうきやうまちをふら/\とくるま歩行あるくせがあつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひとはれたあはれなものの、まさなんとするみゝに、與吉よきち福音ふくいんつたへたのである、この與吉よきちのやうなものでなければ、實際じつさいまたかゝ福音ふくいんつたへられなかつたのであらう。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
をあげて黒髪くろかみをおさへながらわきした手拭てぬぐひでぐいとき、あとを両手りやうてしぼりながらつた姿すがたたゞこれゆきのやうなのをかゝ霊水れいすいきよめた、恁云かういをんなあせ薄紅うすくれなゐになつてながれやう。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あんずるに、これ修善寺しゆぜんじ温泉いでゆける、河鹿かじか蜃氣樓しんきろうであるらしい。かた/″\、そんなことはあるまいけれども、獨鈷とつこかゝ状態じやうたいをあてにして、おかけにつては不可いけない。……
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かくごと風雲ふううんは、加能丸かのうまる既往きわう航海史上かうかいしじやうめづらしからぬ現象げんしやうなれども、(一人坊主ひとりばうず)の前兆ぜんてうりて臆測おくそくせる乘客じやうかくは、かゝ現象げんしやうもつすゐすべき、風雨ふうう程度ていどよりも、むし幾十倍いくじふばいおそれいだきて
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
如何いかんとなれば、乘客等じようかくらしかころしてじんさむとせし、この大聖人だいせいじんとく宏大くわうだいなる、てん報酬はうしうとしてかれ水難すゐなんあたふべき理由いはれのあらざるをだんじ、かゝ聖僧せいそうともにあるものは、この結縁けちえんりて
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すなはひといへとは、さかえるので、かゝ景色けしきおもかげがなくならうとする、末路まつろしめして、滅亡めつばうてうあらはすので、せんずるに、へびすゝんでころもぎ、せみさかえてからてる、ひといへとが、みな光榮くわうえいあり
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)