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みおろ
ふりがな文庫
“
見下
(
みおろ
)” の例文
と云ううちに燃ゆるような熱情を籠めた眼付で、今一度、吾輩を見上げ
見下
(
みおろ
)
した。吾輩はその瞬間純色透明になったような気がした。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ちょうど真蔵が窓から
見下
(
みおろ
)
した時は
土竈炭
(
どがまずみ
)
を
袂
(
たもと
)
に入れ
佐倉炭
(
さくら
)
を前掛に包んで左の手で
圧
(
おさ
)
え、更に
一個
(
ひとつ
)
取ろうとするところであったが
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
恐
(
おそ
)
ろしく
大
(
おほ
)
きな
犬
(
いぬ
)
ころが、
大
(
おほ
)
きな
圓
(
まる
)
い
眼
(
め
)
をして
愛
(
あい
)
ちやんを
見下
(
みおろ
)
して
居
(
ゐ
)
ました、
愛
(
あい
)
ちやんに
觸
(
さわ
)
らうとして
前足
(
まへあし
)
を一
本
(
ぽん
)
恐
(
おそ
)
る/\
伸
(
の
)
ばして。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
彼は梯子の上に
佇
(
たたず
)
んだまま、本の間に動いてゐる店員や客を
見下
(
みおろ
)
した。彼等は妙に小さかつた。のみならず如何にも見すぼらしかつた。
或阿呆の一生
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
雲仙には
薊
(
あざみ
)
谷、
鬼神
(
きじん
)
谷のような、上から
見下
(
みおろ
)
して美しい渓谷はあるが、渓谷それ自らの内部にこれほどの美を包容する渓谷はない。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
▼ もっと見る
我等すなはちこゝにいたりて
見下
(
みおろ
)
せるに、濠の中には民ありて
糞
(
ふん
)
に
浸
(
ひた
)
れり、こは人の厠より流れしものゝごとくなりき 一一二—一一四
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
Kと私はよく海岸の岩の上に
坐
(
すわ
)
って、遠い海の色や、近い水の底を
眺
(
なが
)
めました。岩の上から
見下
(
みおろ
)
す水は、また特別に
綺麗
(
きれい
)
なものでした。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
公子夫婦の我と醫師とを引き連れて舟に上り給ふとき、我は澄み渡れる海水を
見下
(
みおろ
)
して、忽ち前日の事を憶ひ起し、激しく心を動したり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
しかし
中洲
(
なかず
)
の河沿いの二階からでも下を
見下
(
みおろ
)
したなら大概の
下
(
くだ
)
り船は反対にこの度は左側なる
深川
(
ふかがわ
)
本所
(
ほんじょ
)
の岸に近く動いて行く。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
がこの
家
(
うち
)
の陰険な先祖の
仮髪
(
かつら
)
をかぶった蒼白いフフンというような顔が一つ二つ古色蒼然たる画布の中から
見下
(
みおろ
)
していた。
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
そのあくる晩も、三人はまたその泉ばかり
見下
(
みおろ
)
してゐました。泉は、ゆうべよりも、なほ一そううつくしく見えました。
星の女
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
自分が姉を見上げた時に、姉の後に
襷
(
たすき
)
を掛けた
守
(
も
)
りのお松が、
草箒
(
くさぼうき
)
とごみとりとを両手に持ったまま、立ってて姉の肩先から自分を
見下
(
みおろ
)
して居た。
守の家
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
と思ったが、六条は別にピストルがこっちを向いているのを気にするようでもなく、ゴンドラの中から朝霧のかかった海面をじっと
見下
(
みおろ
)
していた。
空中漂流一週間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし客はやはり何とも答えないで、どっしりと畳の上に立ったまま、濃い眉毛の下から黒いセルロイド縁の眼鏡越しに、冷やかに私を
見下
(
みおろ
)
した。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
山本氏は教壇の上から、居並んだ生徒を
見下
(
みおろ
)
した。生徒は蛙の子のやうに
臍
(
へそ
)
なぞ持つて居ないやうな顔をして、几帳面に膝の上に手を置いてゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
入側
(
いりがわ
)
付きで
折曲
(
おりまが
)
って十二畳敷であります、
肱掛窓
(
ひじかけまど
)
で谷川が
見下
(
みおろ
)
せる様になって、山を前にして
好
(
よ
)
い景色でございます。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ずつと遙に
見下
(
みおろ
)
せば、美しい、静な、然し荘厳なホトソンの流が帯の様に見えて、紫の雲、又は(此処彼処にその水晶の胸の上で
仮寐
(
うたゝね
)
をして居る様な)
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
川島は、其処の倒れた松に腰かけて一ぷくしながら、
緑
(
あお
)
いゼリーのような、地図に無い沼を
見下
(
みおろ
)
していたが、やがて煙草を棄てて水際までおりて行った。
植物人間
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
笠の裏に
書
(
かゝ
)
んとせしが茶店の亭主仔細らしき顏して二人が姿を見上げ
見下
(
みおろ
)
し小首
傾
(
かたぶ
)
け痛はしやいかなる雲の上人の
抔
(
など
)
云出ん樣子なればチヤクと其笠に姿を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
とバリストルは新聞を置いて、
乃公
(
おれ
)
を
見下
(
みおろ
)
した。
荒刻
(
あらぼり
)
の仁王を微笑ませるのも
偏
(
ひと
)
えにお春姉さんの威光である。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
高い高い椰子の樹のてっぺんから
見下
(
みおろ
)
したのは、深い深い底も知れない海、怪物が住まっている海でした。
椰子蟹
(新字新仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
すぐ近くの日比谷公園は、飛行機から
見下
(
みおろ
)
すように、
立樹
(
たちき
)
も建物も押しつぶされたように平ったく見える。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
というわけは、雷の神は空を鳴りはためきながら、どこに落ちてやろうかと
見下
(
みおろ
)
しているうちに、長者の庭の木に
仕掛
(
しか
)
けがしてあるのを気づいてしまったのです。
雷神の珠
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
僕はいつ来たとも知らぬ
中
(
うち
)
に婆やの側に来て立ったままで八っちゃんの顔を
見下
(
みおろ
)
していた。八っちゃんの顔は血が出るほど
紅
(
あか
)
くなっていた。婆やはどもりながら
碁石を呑んだ八っちゃん
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
年郎
(
としろう
)
くんの
新
(
あたら
)
しい
龍
(
りゅう
)
の
字
(
じ
)
のたこは、たびたび一
番
(
ばん
)
だことなって、
大空
(
おおぞら
)
からみんなのたこを
見下
(
みおろ
)
ろしましたが、
前
(
まえ
)
にたびたび一
番
(
ばん
)
だことなった六
角
(
かく
)
だこは、どうしたのか
西洋だこと六角だこ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その時背後で、異様な
嗄
(
しゃが
)
れ声が起った。三人が
吃驚
(
びっくり
)
して後を振り向くと、そこには、執事の田郷真斎がいつの間にか
入
(
はい
)
り込んでいて、
大風
(
おおふう
)
な微笑をたたえて
見下
(
みおろ
)
している。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
と
見下
(
みおろ
)
す顔を、斜めに振仰いだ、
蒼白
(
あおじろ
)
い姉の顔に、血が
上
(
のぼ
)
って、
屹
(
きっ
)
となったが、寂しく笑って
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は、うつぶしになつて、村の方を
見下
(
みおろ
)
してゐる。谷川の音がさん/\ときこえます。
八の字山
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
そこは恐ろしいほど切り立った崖で、下を
見下
(
みおろ
)
すと約百
米突
(
メートル
)
ばかりの深い絶壁で、その下には大きな
巌
(
いわ
)
に波が恐ろしい
勢
(
いきおい
)
で打ちつけている。たぶんそこへ投げ捨てたものと思われる。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
『嘘なもんか。實際だよ。』と松公は
獨
(
ひとり
)
で笑つて、『第一
己
(
おれ
)
は金さんに濟まないと云ふ、其も有るからね。が、
孰
(
どつち
)
にしても行く。今夜
必然
(
きつと
)
行く。』と
胡散
(
うさん
)
くさい
目色
(
めつき
)
をして、女を
見下
(
みおろ
)
す。
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
そこまで読んで私は、その夕顔日誌を閉じ、木の箱にかえして、それから窓のほうに歩いて行き、窓を一ぱいにひらいて、白い雨に煙っているお庭を
見下
(
みおろ
)
しながら、あの頃の事を考えた。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ジーナとスパセニアと馬を並べて、静かな湖の回りを散歩したり、
豪宕
(
ごうとう
)
な
天草灘
(
あまくさなだ
)
の
怒濤
(
どとう
)
を脚下に
見下
(
みおろ
)
して、高原の夏草の間を、思う存分に馬を走らせたり……学校はまだ休暇ではないのです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
ジロリと
此方
(
こなた
)
の頭の先から足の先
迄
(
まで
)
見下
(
みおろ
)
しましたこのやうな
問答
(
もんだう
)
は
行水
(
ゆくみづ
)
の流れ
絶
(
た
)
えず
昔
(
むかし
)
から
此河岸
(
このかし
)
に
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
されるのですがたゞ
其時
(
そのとき
)
私
(
わたくし
)
の面白いと思ひましたのは、
見下
(
みおろ
)
した人も
見下
(
みおろ
)
された人も
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
宮崎氏は、皮肉な微笑を浮べて、この有名な素人探偵の苦境を
見下
(
みおろ
)
した。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
おりかは娘を
見下
(
みおろ
)
すと、黙って少し
赧
(
あか
)
い顔をして肩から
襷
(
たすき
)
をはずした。
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
古川をさしはさむ町々を
見下
(
みおろ
)
し、
雑木
(
ぞうき
)
の多い
麻布台
(
あざぶだい
)
と向あっていた。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
眼下に
陪臣共
(
またものども
)
を
見下
(
みおろ
)
して、一喝の下にこれを撃退してやろうと思って命じたのに、亭主とも見え番頭とも思われるその男はさながらに、主水之介の何者であるかもちゃんと知っているかのごとくに
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
そを見ると
見下
(
みおろ
)
せる
人々
(
ひとびと
)
が
倦
(
う
)
みし
面
(
おもて
)
も。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
羅馬
(
ロオマ
)
を
見下
(
みおろ
)
す丘の上の
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
きっと見上げる上から兄は分ったかとやはり
見下
(
みおろ
)
している。何事とも知らず「
埃及
(
エジプト
)
の
御代
(
みよ
)
しろし召す人の最後ぞ、かくありてこそ」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鬼神谷は深くその間に落込んでいるので、
暫
(
しばら
)
くこの落葉樹林に包まれた美くしい渓谷を
見下
(
みおろ
)
しながら、
岨
(
そば
)
伝いに進んで行く。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
寺は後ろの松林の間に
凪
(
な
)
いだ海を
見下
(
みおろ
)
している。ふだんは定めし閑静であろう。が、今は門の中は葬列の先に立って来た学校の生徒に
埋
(
うず
)
められている。
文章
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
昼寐
(
ひるね
)
の
夜具
(
やぐ
)
を
敷
(
し
)
きながら
墓地
(
ぼち
)
の
方
(
はう
)
を
見下
(
みおろ
)
すと、いつも
落葉
(
おちば
)
に
埋
(
うづも
)
れたまゝ
打棄
(
うちす
)
てゝある
古
(
ふる
)
びた
墓
(
はか
)
も
今日
(
けふ
)
は
奇麗
(
きれい
)
に
掃除
(
さうぢ
)
されて、
花
(
はな
)
や
線香
(
せんかう
)
が
供
(
そな
)
へられてゐる。
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
玄関は
向側
(
むかうがわ
)
にあって細長い島の庭を
見下
(
みおろ
)
している、二人の訪問者は低い
檐
(
やぐら
)
の下に、ほとんど家の三方を縁どっている
小径
(
こみち
)
について廻って行ったのである。
サレーダイン公爵の罪業
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
喧嘩早いKは、いきなり拳をふり揚げて
厭
(
いや
)
といふ程相手の頭をどやしつけた。が、相手は蚊の止つた程にも感ぜぬらしく、Kを
見下
(
みおろ
)
してにや/\笑つてゐる。
酒
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
見上
(
みあぐ
)
る山には松にかゝりて藤の花盛りなり
見下
(
みおろ
)
せば岩をつゝみて山吹咲こぼれたり
躑躅
(
つゝぢ
)
石楠花
(
しやくなげ
)
其間に色を交へ木曾川は雪と散り玉と碎け木曾山は雲を吐き
烟
(
けぶり
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
瓦斯器修繕屋
(
ガスなおしや
)
然たる吾輩を二人で、マジリマジリと見上げ
見下
(
みおろ
)
し初めた。何だか新派悲劇じみて来たようだ。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ドーレ。と
木綿
(
もめん
)
の
袴
(
はかま
)
を
着
(
つ
)
けた
御家来
(
ごけらい
)
が出て
来
(
き
)
ましたが
当今
(
たゞいま
)
とは
違
(
ちが
)
つて
其頃
(
そのころ
)
はまだお
武家
(
ぶけ
)
に
豪
(
えら
)
い
権
(
けん
)
があつて
町人抔
(
ちやうにんなど
)
は
眼下
(
がんか
)
に
見下
(
みおろ
)
したもので「アヽ
何所
(
どこ
)
から
来
(
き
)
たい。 ...
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
足
(
あし
)
よ!(
足
(
あし
)
を
見下
(
みおろ
)
した
時
(
とき
)
に、それが
何處
(
どこ
)
か
遠
(
とほ
)
くの
方
(
はう
)
へ
行
(
い
)
つて
了
(
しま
)
つたと
見
(
み
)
えて、
殆
(
ほと
)
んど
見
(
み
)
えませんでした)。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
ずばぬけて背の高い山田は、
見下
(
みおろ
)
すように一男を眺めていたが、遠慮なしにはっきり答えた。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“見下”で始まる語句
見下果