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背
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せい
ふりがな文庫
“
背
(
せい
)” の例文
背
(
せい
)
は少し低い方であったが、品位と優美と才気とを備えたりっぱな男であった。その生涯の前半は社交と情事とのうちに費やされた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「まだ面白い事があります首を
縊
(
くく
)
ると
背
(
せい
)
が
一寸
(
いっすん
)
ばかり延びるそうです。これはたしかに医者が計って見たのだから間違はありません」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
子供らは古い時計のかかった茶の間に集まって、そこにある柱のそばへ各自の
背丈
(
せたけ
)
を比べに行った。次郎の
背
(
せい
)
の高くなったのにも驚く。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
福間先生は常人よりも
寧
(
むし
)
ろ
背
(
せい
)
は低かつたであらう。
何
(
なん
)
でも
金縁
(
きんぶち
)
の
近眼鏡
(
きんがんきやう
)
をかけ、
可成
(
かなり
)
長い
口髭
(
くちひげ
)
を
蓄
(
たくは
)
へてゐられたやうに覚えてゐる。
二人の友
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
色の浅黒い、眼に剣のある、一見して一癖あるべき
面魂
(
つらだましい
)
というのが母の人相。
背
(
せい
)
は自分と
異
(
ちが
)
ってすらりと高い方。言葉に力がある。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
其処
(
そこ
)
から
下
(
お
)
りるのだと
思
(
おも
)
はれる、
松
(
まつ
)
の
木
(
き
)
の
細
(
ほそ
)
くツて
度外
(
どはづ
)
れに
背
(
せい
)
の
高
(
たか
)
いひよろ/\した
凡
(
およ
)
そ五六
間
(
けん
)
上
(
うへ
)
までは
小枝
(
こえだ
)
一ツもないのがある。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
あの
背
(
せい
)
の高い後ろ姿のいいところが気に入る人もあるよ。またあの背の高いお嫌ひな人が君でなくってはならなかったらどうする。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
ギンは一しょうけんめいに二人を見くらべましたが、二人とも顔も
背
(
せい
)
も着物もかざりも、そっくり
同
(
おんな
)
じで、ちっとも見わけがつきません。
湖水の女
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
あの
背
(
せい
)
の低い、肥満した体を
巴里為立
(
パリイじた
)
てのフロックコオトに包んで、鋭い目の周囲に横着そうな微笑を
湛
(
たた
)
えた新社主
誉田
(
ほんだ
)
男爵は
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
やはり草ばかり喰って居りました。その大きさが猫の二倍半あるいは三倍位ある。形はちょうど鹿のようであるがあんなに
背
(
せい
)
が高くない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
玄関の
扉
(
と
)
が、内側から無造作に引きあけられて、よく釣り合いのとれた、
背
(
せい
)
の高い、三十五、六の青年が屈託のないようすで現われて来た。
キャラコさん:09 雁来紅の家
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
黒の靴下に
高踵靴
(
ハイヒイル
)
だけの着付けだった。すこし
背
(
せい
)
の低い前列は、それに一様に黒い毛皮の
襟巻
(
えりまき
)
をして、つばの広い黒い帽子をかぶっていた。
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
といいながら、一
度
(
ど
)
振
(
ふ
)
りますと
背
(
せい
)
が一
尺
(
しゃく
)
のび、二
度
(
ど
)
振
(
ふ
)
りますと三
尺
(
じゃく
)
のび、三
度
(
ど
)
めには六
尺
(
しゃく
)
に
近
(
ちか
)
いりっぱな
大男
(
おおおとこ
)
になりました。
一寸法師
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
豚吉
(
ぶたきち
)
は
背
(
せい
)
の高さが当り前の半分位しかないのに、その肥り方はまた
普通
(
あたりまえ
)
の人の二倍の上もあるので、村の人がみんなで豚吉という名をつけたのです。
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
ところがそこへ、いつのまにか
背
(
せい
)
の高い、色の黒いおじいさんがやって来て、じっとアラジンを見つめていました。
アラビヤンナイト:01 一、アラジンとふしぎなランプ
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
スックと——なんていうと、馬鹿に
背
(
せい
)
が高いようですが、三尺ほどの愚楽老人なんですから、たてになっても横になっても、たいした違いはないんで。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それで、今度は普通のチャボの、つまり
背
(
せい
)
の低い方のを探したいと思い、
御成街道
(
おなりかいどう
)
の
錺屋
(
かざりや
)
に好いのがいるという話を聞いたので、また出掛けて行きました。
幕末維新懐古談:57 矮鶏のモデルを探したはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
百人前の仕事をしたからとつて
褒美
(
ほうび
)
の一つも出やうでは無し朝から晩まで一寸法師の
言
(
いは
)
れつづけで、それだからと言つて一生立つてもこの
背
(
せい
)
が延びやうかい
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
中の巻の発端に「かゝる親には似ぬ娘、お夏は深き
濡
(
ぬれ
)
ゆゑに、菩提
心
(
ごゝろ
)
と意地ばりて、嫁入も
背
(
せい
)
ものび/\の」………と
書出
(
かきいだ
)
して、お夏に既に恋ある事を示せり
「歌念仏」を読みて
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
一
體
(
たい
)
日本
(
にほん
)
の
婦
(
をんな
)
の足と
來
(
く
)
たら、周三
等
(
ら
)
の
所謂
(
いはゆる
)
大根
(
だいこん
)
で、
不恰好
(
ぶかつかう
)
に
短
(
みぢか
)
いけれども、お房の足はすツと長い、
從
(
したが
)
ツて
背
(
せい
)
も
高
(
たか
)
かツたが、と謂ツて
不態
(
ぶざま
)
な
大柄
(
おほがら
)
ではなかツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
スラリと伸び切った
背
(
せい
)
や、イギリスのビロードのような深い味のある黒髪や、少し蒼白い
細面
(
ほそおもて
)
や、聡明らしい大きい眼や、情熱的な美しいカーヴを持った唇や
奇談クラブ〔戦後版〕:13 食魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
背
(
せい
)
の高いかれは首をまっすぐに立て、
胸
(
むね
)
を前へつき出して、おもしろそうにふえでワルツをふきながら、手足で
拍子
(
ひょうし
)
をとって行った。その後ろにカピが
続
(
つづ
)
いた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
「何しろ懐中電灯の光で眼がくらんでいてよく分りませんでしたが、肥って
背
(
せい
)
の高い男のようでした。」
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
わたしは
硬
(
こは
)
ばつた心が急に融ける思ひがして、同じくらゐ
背
(
せい
)
の高い相手の顏に、感動の眼を見張つた。
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
今一人は年が若くて、色が白くて、
背
(
せい
)
がすらりと高くて、天国から来た天使のやうな顔をしてゐる。
尼
(新字旧仮名)
/
グスターフ・ウィード
(著)
美しい着物の
坊様
(
ぼうさま
)
が見えたとか、
背
(
せい
)
の高い武士が歩いて来るとか、詩人がお祝いの詩を声ほがらかに読み上げているとか、むすめの群れがおどりながら現われたとか
燕と王子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「八か、十九。
背
(
せい
)
があるからもう少しにも見える。何しても、今時の娘の度胸のいいにゃ驚くなあ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其切先
(
そのきっさき
)
は
危
(
あやう
)
くも巡査の喉を
掠
(
かす
)
めて、
背後
(
うしろ
)
の岩に
戞然
(
がちり
)
と
中
(
あた
)
ると、
溌
(
ぱっ
)
と立つ火花に敵は眼が
眩
(
くら
)
んだらしい。
其隙
(
そのすき
)
を見て巡査は再び組んだ。
背
(
せい
)
の低い敵は巡査の足を取った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さぁて
皆
(
みな
)
さん。皆さんは今まで、
私
(
わたくし
)
を世界一の小男と見て、
子供
(
こども
)
さんまでが私と
背
(
せい
)
くらべをしたりしまして
馬鹿
(
ばか
)
になさいましたが、ただ今は世界一の大男となりました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
背
(
せい
)
は中背より少し高目で、捲毛をなして渦まいている黒味がかった濃い髮の毛と、ぐりぐりした、眞向から人を見つめる黒眼とが、彼の容貌のなかでは一際目だっている。
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
そのお友達は、私よりさらに一寸くらい
背
(
せい
)
が高くて、語学がとてもよく出来て、赤いベレー帽がよく似合って、お顔もジョコンダみたいだという評判の、美しいひとだった。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と、
画家
(
がか
)
がいうと、
黒
(
くろ
)
い
服
(
ふく
)
をきた
背
(
せい
)
の
高
(
たか
)
い
役人
(
やくにん
)
が、きっと、
青年
(
せいねん
)
をにらんで、
口
(
くち
)
をとがらし、なにかいおうとしました。そのとき、ダイヤをはめた
美
(
うつく
)
しいお
嬢
(
じょう
)
さんふうの
女
(
おんな
)
が
托児所のある村
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
瓜実顔
(
うりざねがお
)
で富士額、
生死
(
いきしに
)
を含む眼元の塩にピンとはねた
眉
(
まゆ
)
で
力味
(
りきみ
)
を付け、
壺々口
(
つぼつぼぐち
)
の
緊笑
(
しめわら
)
いにも
愛嬌
(
あいきょう
)
をくくんで
無暗
(
むやみ
)
には
滴
(
こぼ
)
さぬほどのさび、
背
(
せい
)
はスラリとして風に
揺
(
ゆら
)
めく
女郎花
(
おみなえし
)
の
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「おじさんは
背
(
せい
)
が低いねえ、
俺
(
おい
)
らと同じぐらいだねえ、どうしてそんなに低いんだろう」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
叔父の
後
(
あと
)
に続いて
伴
(
とも
)
の女中をつれてしとやかに玄関を上ッて来た娘は、なるほど、母の賞めた通り誠に美しい娘だ,
背
(
せい
)
はすらりと高く、色はくッきりと白く、目はぱッちりと
清
(
すず
)
しく
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
俺は
背
(
せい
)
が低い。顔は一見頑丈だが、下膨れの為に愛嬌はあつても、威厳がない。寒さうに肩をすぼめてあの宏壮な建物の入口の石段を踏んだとき、之が高津暢であるとは誰れも思ふまい。
畜生道
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
馬はがばつとはねあがり、ソン将軍は
俄
(
には
)
かに
背
(
せい
)
が高くなる、将軍は馬のたづなをとり、弟子とならんで
室
(
へや
)
を出る。それから庭をよこぎつて厚い
土塀
(
どべい
)
の前に来た。小さな
潜
(
くぐ
)
りがあいてゐる。
北守将軍と三人兄弟の医者
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
本
(
ほん
)
がみつかったので、
講堂
(
こうどう
)
へ
走
(
はし
)
って
帰
(
かえ
)
ると、もう
生徒
(
せいと
)
らはお
祈
(
いの
)
りの
整列
(
せいれつ
)
をしていた。
背
(
せい
)
の
順
(
じゅん
)
に
長
(
なが
)
い
行列
(
ぎょうれつ
)
を
作
(
つく
)
っているので、小さいのは前の方で
聖像
(
せいぞう
)
に近く、大きいのはうしろに立っている。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
「まあ、ちょうど同じようね。あら、照彦さん、
背
(
せい
)
のびしちゃずるいわ」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そのすぐ外には、人の
背
(
せい
)
よりは少し高いコンクリートの塀があった。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その名刺には警視庁刑事巡査
吉田虎蔵
(
よしだとらぞう
)
とある。虎蔵君と並んで立っているのは二十五六の
背
(
せい
)
の高い、いなせな
唐桟
(
とうざん
)
ずくめの男である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼等には彼の後で飛んだ——彼よりも幅の狭い所を彼よりも楽に飛び越えた、
背
(
せい
)
の高い
美貌
(
びぼう
)
の若者の方が、
遥
(
はるか
)
に人気があるらしかった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この国境では、国と国とが寝ながらお話のできるくらいですから、両国の山々も
背
(
せい
)
くらべをしては楽しむほど仲がいいところです。
力餅
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お
母
(
っか
)
さんの方は、私だって知ってるわ。品の
可
(
い
)
い、
背
(
せい
)
のすらりとした人よ。水菓子屋の
御新造
(
ごしん
)
さんって、
皆
(
みんな
)
がそう言ったの。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いくら
歩
(
ある
)
いても
家
(
いえ
)
らしいものも
見
(
み
)
えませんでしたが、そのうちいつどこから出て
来
(
き
)
たか、一
丈
(
じょう
)
も
背
(
せい
)
の
高
(
たか
)
さのある
大男
(
おおおとこ
)
がのそのそと出て
来
(
き
)
ました。
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
有がたう御座いますと済まして行く顔つき
背
(
せい
)
さへあれば人
串談
(
ぢようだん
)
とて
免
(
ゆる
)
すまじけれど、一寸法師の生意気と
爪
(
つま
)
はぢきして好い
嬲
(
なぶ
)
りものに
烟草
(
たばこ
)
休みの話しの種成き。
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そのころ、私の家から三丁ばかり離れて飯塚という家がございましたがそこの娘におさよと申しまして十五ばかりの
背
(
せい
)
のすらりとして可愛らしい児がいました。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
若様の吉弥は十四歳というにしては、
背
(
せい
)
も智恵も伸び切って、何となく
逞
(
たくま
)
しい感じのする少年でした。
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、
其
(
そ
)
の一
刹那
(
せつな
)
に講師が認めた彼の姿は、極めて
背
(
せい
)
の低い、殆ど
赤裸
(
あかはだか
)
で、皮膚の色は
赭土色
(
あかつちいろ
)
で……。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
わたしのいたすぐ向こうのすみには、白いひげを長く生やした
背
(
せい
)
の高い
老人
(
ろうじん
)
がいた。かれはきみょうな着物を着ていた。わたしはまだこんな様子の人を見たことがなかった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
“背”の意味
《名詞》
背(せ、せい)
背中。胴の後ろ側のうち、腰より頭に近(ちか)い部分。胸と腹の反対側。
ものを人や動物(の胴)に見立ときの背中に当たる部分。刃の切(き)れない方の縁。
服や道具の中で、人の背中に接する部分。
身長。
(出典:Wiktionary)
背
常用漢字
小6
部首:⾁
9画
“背”を含む語句
背負
背後
背丈
背嚢
背高
背向
背景
山背
背中
引背負
背反
背延
背屈
背負梯子
違背
背恰好
中背
背負上
背伸
刀背
...