私共わたくしども)” の例文
可愛相かあいさうにねえ貴方あなたその書面しよめんによると亞尼アンニーは、弦月丸げんげつまる沈沒ちんぼついて、私共わたくしどもまぬとあまになつたのですよ。その事柄ことがら一塲いちじやう悲劇トラジデーです。
まことに御尤ごもっともではございますが、あなたは萩原様におうらみがございましょうとも、私共わたくしども夫婦は萩原様のお蔭で斯うやっているので
大きな声では申されませぬが私共わたくしどもの考えますには無益なものに手数てすうをかけて楽しんでいられるようなら此様こんな結構な事はないじゃ御座いませんか。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
で、松島さん、私共わたくしどもは此際ですから、決して特別の御取扱を御願致す次第ではわせん、だ郵船会社同様に願ひたいので——本来を申せば郵船会社の如き
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
さう容易ようい出來できるものなら、いくら私共わたくしども馬鹿ばかだつて、うして十ねんも二十ねんくるしむわけ御座ございません
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
私共わたくしども商買しようばいの者は善くさう申しますが、女の惚れるには、見惚みぼれに、気惚きぼれに、底惚そこぼれと、かう三様みとほり有つて、見惚と云ふと、ちよいと見たところで惚込んで了ふので、これは十五六の赤襟あかえり盛に在る事で
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
もし今日のことがまた新聞に出ますようだと、何物か我々社会の挙動を探って世に曝露ばくろしようとくわだてるものがあるのです。そうした日には私共わたくしどももその心得が無ければなりません。で、試してみたのです。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
張せられしが右樣の儀ならばまへ以て私共わたくしどもへおはなしの有べきはずなり若し此事町奉行所まちぶぎやうしよより御沙汰ごさたあらば貸主かしぬし三郎兵衞は勿論もちろん世話人の庄藏までの難儀なんぎなり何卒なにとぞ右の表札へうさつと御玄關なる御紋付ごもんつきのお幕はお取外とりはづしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一つあなたのような方に召していただいて、是非皆さんに御吹聴して頂きたいのでございます。どういたしましても、親方のようなお顔の売れた方の御贔屓ひいきにあずかりませんと、私共わたくしどもの商売は成立って行きませんのでございます
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
たゞさへ神仙しんせん遊樂ゆうらくきやうこと私共わたくしどもは、極端きよくたんなる苦境くきやうから、この極端きよくたんなる樂境らくきやう上陸じやうりくしたこととて、はじめはみづかゆめでないかとうたがはるゝばかり。
鹽「はい全く私共わたくしどもの家来でございまして、手前を世に出したいばかりで、此の様な事をいたしました、何卒どうぞ御勘弁を願います」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其れは私共わたくしどもの方で申上げたいと存じまする所です、ヤ、モウ、先刻も横須賀へ参れば、艦隊の連中からは、大臣が弱いの、軍令部が腰抜だのと勝手な攻撃を受けます
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
書物しよもつむのはごくわる御座ございます。有體ありていふと、讀書どくしよほど修業しゆげふさまたげになるものはやうです。私共わたくしどもでも、うして碧巖へきがんなどみますが、自分じぶん程度ていど以上いじやうところになると、まる見當けんたうきません。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
中々御重症だという事でございまして、私共わたくしどもは下役ゆえ深い事は分りませんが、此のお屋敷近い処へ立廻るはお宜しくない事で
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それでは、稻妻いなづま私共わたくしどもわかれて、單獨ひとりで、このさびしい、おそろしいやまえて、大佐たいさ叔父おぢさんのいへへお使者つかひくのですか。
梅子は良久しばらくしてわづかかほを上げぬ「私共わたくしども一家が、何程どんなに賤しきものと御見えになるで御座いませう、——私は神様にお祈するさへはづかしさに堪へないので御座いますよ——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
へえ入らっしゃいまし、私共わたくしどもは何も知ってる訳じゃアありませんが……ちょいと只今……へえ人の噂を聞きまして、ちょいとおちゃッぴいを
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
番「若旦那様/\、かね/″\お噂の八右衞門様がお出でになりました、えゝ、これは私共わたくしどもの若主人で、今晩は主人は居りませんからだいを致しますので」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
余計な口を出さねえでもい……へい私共わたくしどもは何も此の品でなければならないと云う訳で求めたのでは有りませんし
私共わたくしども彼処あすこに待受けていまして、つい取逃がそうとした処を、旦那様のお蔭でようやくお取押えなされ、有難うございます、どうかお引渡しを願いとう存じます
どうだかわたくしゃア矢張やっぱり船に居るような心持で、ふら/\して、此処がもし外国だと、貴方と両人ふたり私共わたくしどもは日本人で助けてと云ってもむこうにゃア知れますまいねえ
昨晩大曲りで御当家の孝助と私共わたくしどもの相助と喧嘩を致し、相助はさん/″\にたれ、ほう/\のていで逃げ帰りましたが、兄上が大層に怒り、しからん奴だ
由「へい、マア左様そういうことで、それから私共わたくしどもまで心安くなったので、其の初めは五月の二日でございます」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なんだつておまへまつてらアね、うけたまはりますれば御邸おやしきからなに御拝領物ごはいりやうものきまして、私共わたくしどもまでお赤飯せきはん有難ありがたぞんじますてんだよ。亭「おせきさんを有難ありがたう。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
私共わたくしども夫婦のものは、あなたの親の敵でございます、さぞにくい奴と思召おぼしめしましょうから何卒どうぞ此の鎌でズタ/\に斬って下さいまし、お詫びのこと申し上げますが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
娘「御親切様、有難う存じます、私共わたくしども母親おふくろは事によったら焼け死んだかも知れませんが、焼け死にますれば、わたしの身体は身抜けが出来て、かえって仕合しあわせでございます」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
めてはお帰りの時には立派にしたいと若旦那さまも仰しゃいまするし、私共わたくしどももお立派になってお帰りになるように致したいと存じまする、それに差支えますると云うは
うむ、おまへがてえのか、でなんてんだ。妻「うけたまはりますれば、なに御邸おやしきから御拝領物ごはいりやうものいて、私共わたくしどもまでお赤飯せきはんをおかどおほいのに有難ありがたぞんじますつて。亭「少しえたなア。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
私共わたくしどもうちには御出家様が時々お泊りになりますが、御膳の時はお経をんで御膳をおきせに取分けて召上りますな、あなたも此のあいだお遣りなすったしお経もお読みなさいますが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
段々月日も経って跡から追手も掛らぬ様子、何処どこか是から指してく所がありますかと云うから、私共わたくしどもは何処も行く所はないが、まア越後の方へでも行こうと実は思うと云うと
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あれの母は私共わたくしどもへ勤めて実銘じつめいな者で、それも亡なりましたそうですが、それでも彼が芸者とか何とかで母を養いまして、商売柄に似合わない親切者で、何うか贔屓ひいきにしており遊ばして
あの車夫しゃふの峯松と云うものはわたくしの供じゃア有りません、雇人やといにんでもないので、実は渋川の達磨茶屋で私共わたくしども昼食ちゅうじきを致して居りますと、車夫が多勢おおぜい来て供をようと勧めました其のうち
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
誠にどうもお仕立したてまうし、お落着おちつきのある流石さすが松花堂しようくわだうはまた別でございます、あゝ結構けつこう御品おしなで、斯様かやうなお道具だうぐ拝見はいけんいたすのは私共わたくしども修業しゆげふ相成あひなりますとつて、卑下ひげするんだ。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
由「それも私共わたくしどもが好んで致したのではございません、よんどころなく頼まれましたので」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
新「少々お願いがございますが、私共わたくしどもは旅のもので此の通りの雨で難渋致しますが、どうか少々の間雨止あまやみ仕度したいと存じますが、お邪魔でも此の軒下を拝借願いいものでございまする」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
御参列ごさんれつのお役人やくにんところ御参拝ごさんぱいがあるといふ事で、それを思ふと私共わたくしども有難ありがたい事で、おともをいたしてまゐりましても毎日々々うまもの御馳走ごちそうになつて、ひるも風が吹くと外へ出られんといふので
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
昔は私共わたくしどもの画を見ると、もう決して悪い事はしまいと思いまして、女は子が出来ないと血の池地獄へ落ちて燈心で竹の根を掘らせられ、男は子が出来ないと提灯ちょうちんで餅をかせられると云う
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
困るねえ、うけたまはりますればなに御邸おやしきから御拝領物ごはいりやうものきまして私共わたくしどもまでお赤飯せきはん有難ありがたぞんじますついで女房にようばうよろしくてえんだよ。亭「え。妻「本当ほんたうに子供ぢやアなし、しやうがないね、しつかりおしよ。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
私共わたくしどもも随分大火災おおやけでもございますと、五十両百両とほどこしを出した事もありますが、一軒前一分か二朱にしきゃア当りませんで、それは名聞みょうもん、貴方は見ず知らずの者へ、おいそれと百両の金子を下すって
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其の時は友之助に対してみさおを破らなければなるまい、己が冗談を云ったら己の手を払いけ、旦那貴方はくないお方だ、私共わたくしども両人ふたりを助けて夫婦にして下すった恩人でありながら、かりそめにも宜くない
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
由「何う致しまして私共わたくしどもは決して同類などではございません」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
藤「何ともどうも私共わたくしどもには」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)