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挑
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いど
ふりがな文庫
“
挑
(
いど
)” の例文
呼びかけ、
挑
(
いど
)
みかけ、
脅
(
おど
)
しつける——しかし「もう一つの」は、きまった時間にでなければ
応
(
こた
)
えない。で、それも答えるのではない。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
その腕を広げて、あろうことか、私に
淫
(
みだ
)
らしい
挑
(
いど
)
みを見せてまいったのです。そして、その
獣物
(
けだもの
)
のような狂乱が、とうとう私に……
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
飛びついて来たからといって、この異様な珍客に争闘を
挑
(
いど
)
むのではない、これを懐かしがって心からの抱擁を試みんとするものらしい。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
または子供の野性というものは、余りに美しいものへは
嗜虐的
(
しぎゃくてき
)
に、かえって無性な暴に誘惑されて
挑
(
いど
)
みかかってみたくなるものか。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、その
挑
(
いど
)
むやうな強い眼の色と全身に滲み出た一種圧迫的な怒気とはその表面の叮重さを明かに裏切つてゐた。効果は
覿面
(
てきめん
)
だつた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
▼ もっと見る
追いつ追われつ
挑
(
いど
)
み合っているらしく、小勢ながらも必死の敵をあしらいかねて、討っ手も少しく攻めあぐんでいるようにも見られた。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかし善良なリーリ・ラインハルトは、何物にもまただれにも挑戦してはいなかった。他人に
挑
(
いど
)
みかかろうとは思っていなかった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それは何かわたしの来るのを待っているらしい表情だった。わたしはこう云う朝鮮牛の表情に穏かに戦を
挑
(
いど
)
んでいるのを感じた。
夢
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それを見たら、人間ならたちまち
震
(
ふる
)
えあがって逃げ出すのであろうが、犬は逃げるどころか、かえってますます勢い
烈
(
はげ
)
しく
挑
(
いど
)
みかかった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
正三がじろじろ観察していると、順一の視線とピッタリ
出喰
(
でく
)
わした。それは何かに
挑
(
いど
)
みかかるような、不思議な光を放っていた。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
敢然として世に闘いを
挑
(
いど
)
んでくれよう、という
料簡
(
りょうけん
)
から、
恰好
(
かっこう
)
な挑戦の相手として白樺派に白羽の矢を立てたのではあるまいか。
文壇昔ばなし
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それは倉地が葉子のしつっこい
挑
(
いど
)
みと、激しい
嫉妬
(
しっと
)
と、理不尽な
疳癖
(
かんぺき
)
の発作とを避けるばかりだとは葉子自身にさえ思えない
節
(
ふし
)
があった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
余裕
(
よゆう
)
綽々
(
しゃくしゃく
)
とした寺田の買い方にふと
小憎
(
こにく
)
らしくなった顔を見上げるのだったが、そんな時寺田の眼は
苛々
(
いらいら
)
と燃えて急に
挑
(
いど
)
み
掛
(
かか
)
るようだった。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
ある日、初日の商売を終わったその夜、その日の稼ぎが多かったためか、親方はいつもより酒を過ごして、またしても君子に
挑
(
いど
)
みかかった。
抱茗荷の説
(新字新仮名)
/
山本禾太郎
(著)
で、
親族
(
しんぞく
)
の
男
(
をとこ
)
どもが、
挑
(
いど
)
む、
嬲
(
なぶ
)
る、
威丈高
(
ゐたけだか
)
に
成
(
な
)
つて
袖褄
(
そでつま
)
を
引
(
ひ
)
く、
其
(
そ
)
の
遣瀬
(
やるせ
)
なさに、くよ/\
浮世
(
うきよ
)
を
柳隱
(
やなぎがく
)
れに、
水
(
みづ
)
の
流
(
なが
)
れを
見
(
み
)
るのだ、と
云
(
い
)
ふ。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
威丈高
(
いたけだか
)
にわめき立てると、
執拗
(
しつよう
)
な上にも執拗に
挑
(
いど
)
みかかりましたので、等しく群衆がはらはらと手に汗をにぎった途端——。
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
只興奮しているために、
瑣細
(
ささい
)
な事にも腹を立てる。又何事もないと、わざわざ人を
挑
(
いど
)
んで
詞尻
(
ことばじり
)
を取って、
怒
(
いかり
)
の動機を作る。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
モーラリッシュな素質あるものは、ものをいいたき心を
挑
(
いど
)
まるるようなことのみ起こってゆく。今日は沈黙することのじつに苦しい時代である。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
彼の眼は
火花
(
ひばな
)
でもあり、
燧石
(
ひうちいし
)
でもあつた。彼は何事も否認しなかつたが、あらゆるものに
挑
(
いど
)
みかけるかのやうであつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「坊んち、阿母さんが死んだら踊りまへうか。」と、定吉は手に唾を付けて、竹丸に角力を
挑
(
いど
)
む
状
(
さま
)
をしながら言つた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
が、次の瞬間、
挑
(
いど
)
みかかる激情の光に急変すると、彼は立ち上って訶和郎の死体を毛皮のままに抱きかかえた。彼は荒々しく遣戸の外へ出ていった。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
行く
路
(
みち
)
を
扼
(
やく
)
すとは、その
上
(
かみ
)
騎士の間に行われた習慣である。幅広からぬ往還に立ちて、通り掛りの武士に
戦
(
たたかい
)
を
挑
(
いど
)
む。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
北條某
(
ほうじょうなにがし
)
とやら
申
(
もう
)
す
老獪
(
ずる
)
い
成上
(
なりあが
)
り
者
(
もの
)
から
戦闘
(
たたかい
)
を
挑
(
いど
)
まれ、
幾度
(
いくたび
)
かのはげしい
合戦
(
かっせん
)
の
挙句
(
あげく
)
の
果
(
はて
)
が、あの三
年
(
ねん
)
越
(
ご
)
しの
長
(
なが
)
の
籠城
(
ろうじょう
)
、とうとう
武運
(
ぶうん
)
拙
(
つたな
)
く
三浦
(
みうら
)
の一
族
(
ぞく
)
は
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
鏃の深さと狙いの確かさは二人の精神的に
重畳
(
ちょうじょう
)
されたものが、かくも鮮やかな互のいのちを取り合うことに、その生涯をかけて
挑
(
いど
)
まれたものに思えた。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
わが奇を好む心は、かの
露肆
(
ほしみせ
)
の主人が言に
挑
(
いど
)
まれて、愈〻
熾
(
さかん
)
になりぬ。われは人なき處に於いて、はじめて此卷を
繙
(
ひもと
)
かん折を、待ち兼ぬるのみなりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
話し手の男は自分の話に
昂奮
(
こうふん
)
を持ちながらも、今度は自嘲的なそして悪魔的といえるかも知れない
挑
(
いど
)
んだ表情を眼に浮かべながら、相手の顔を見ていた。
ある崖上の感情
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
宮廷の二人の女御ははなやかに
挑
(
いど
)
み合った。帝は何よりも絵に興味を持っておいでになった。特別にお好きなせいかお
描
(
か
)
きになることもお
上手
(
じょうず
)
であった。
源氏物語:17 絵合
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
山内侯に見染められたのも、水戸の
武田耕雲斎
(
たけだこううんさい
)
に思込まれて、隅田川の舟へ連れ出して
白刃
(
はくじん
)
をぬいて
挑
(
いど
)
まれたのも、みな彼女の若き日の夢のあとである。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それを
引分
(
ひきわ
)
けうとて
拔劍
(
ぬ
)
きましたる
途端
(
とたん
)
に、
彼
(
あ
)
のチッバルトの
我武者
(
がむしゃ
)
めが
劍
(
けん
)
を
拔
(
ぬ
)
いて
駈付
(
かけつ
)
け、
鬪戰
(
たゝかひ
)
を
挑
(
いど
)
み、
白刃
(
しらは
)
を
揮𢌞
(
ふりまは
)
し、
徒
(
いたづ
)
らに
虚空
(
こくう
)
をば
斫
(
き
)
りまする
程
(
ほど
)
に
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
彼らは知を誇らず、風に
奢
(
おご
)
らない。奇異とか
威嚇
(
いかく
)
とか、少しだにそれらの
工
(
たくら
)
みが含まれない。
挑
(
いど
)
むこともあらわな
態
(
さま
)
もなく、いつも穏かであり静かである。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
挑
(
いど
)
むような声だった。だが、すぐ顎の手を外し、首をガクッと落すと、急に弱々しい
媚
(
こ
)
びるような声になって
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
むかし
袈裟
(
けさ
)
が遠藤
盛遠
(
もりとお
)
に
挑
(
いど
)
まれたときには、無理を忍んでハイハイと返事し、もって母の危急を防いだが、いよいよ最後の守らねばならぬ点にいたっては
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
敵
(
てき
)
は
米國軍艦
(
べいこくぐんかん
)
、
我
(
われ
)
は
帝國軍艦
(
ていこくぐんかん
)
、
水雷
(
すいらい
)
砲火
(
ほうくわ
)
ならぬ
陸上
(
りくじやう
)
の
運動
(
うんどう
)
をもつて
互
(
たがひ
)
に
挑
(
いど
)
み
鬪
(
たゝか
)
ふも
亦
(
ま
)
た
一興
(
いつきよう
)
であらうと
思
(
おも
)
ふ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
是などはこしらえ話で、どうやら
下
(
しも
)
の句の方が前にできていたようにも見える。或いはまた下の句の十四字をまず提出して、
上
(
かみ
)
十七字の答を
挑
(
いど
)
む例もあった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そして力に余る困難に
挑
(
いど
)
むことそれ自体が赤蛙の目的意志ででもあるかに考へてゐるやうな、私の
迂愚
(
うぐ
)
を
嗤
(
わら
)
ふであらう。私はしかし必ずさうだといふのではない。
赤蛙
(新字旧仮名)
/
島木健作
(著)
其男が勘当を
赦
(
ゆる
)
されて新に
召還
(
めしかえ
)
されたばかりの次の日出仕すると、左馬允、汝は大力相撲上手よナ、さあ一番来い、おれに勝てるか、といって氏郷が相撲を
挑
(
いど
)
んだ。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
むかし
桜子
(
さくらこ
)
という
娘子
(
おとめ
)
がいたが、二人の青年に
挑
(
いど
)
まれたときに、ひとりの
女身
(
にょしん
)
を以て二つの門に往き
適
(
かの
)
う
能
(
あた
)
わざるを嘆じ、林中に尋ね入ってついに
縊死
(
いし
)
して果てた。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
挑
(
いど
)
みあひ、
絡
(
から
)
まりあつて、そこにいかにも詩人らしい運命のアラベスクを織り出しはじめてはゐる。
モオリス・ド・ゲラン:「そしてこの稀有で、偉大で、しかも果敢ないもの、一個の詩人」
(旧字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
それは自動車の助手をしながら夜になると英語や数学を習いに来る李という元気な若者であった。彼は戸を閉めると
挑
(
いど
)
みかかるような調子で私の前に立ちはだかった。
光の中に
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
それがきっかけとなり、ミミは僕をつかまえて、輪投げを
挑
(
いど
)
んでしかたがなかった。結局、すこし狭いけれど、倶楽部の部屋を斜めに使って、輪投げ場をこしらえた。
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
此の時に多助が
盗賊
(
どろぼう
)
とか
何
(
な
)
んとか云えばよいのに、唯痛い/\と云って居ります。痛いには違いないが、
誰
(
たれ
)
も助ける人はありません。多助は金を
奪
(
と
)
られまいと
挑
(
いど
)
み争う。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
又も
飛付
(
とびつく
)
女の一
念
(
ねん
)
止
(
とま
)
らぬ遣らじと
爭
(
あらそ
)
ひける中茶屋の
簀
(
す
)
の
子
(
こ
)
を
撞乎
(
どつかり
)
踏拔
(
ふみぬき
)
罵
(
のゝし
)
り合て
挑
(
いど
)
みける此物
音
(
おと
)
本坊
(
ほんばう
)
へ聞えしにや何事ならんと
朝
(
あさ
)
看經
(
かんきん
)
の
僧侶達
(
そうりよたち
)
下男諸共十六七人手に/\
棒
(
ぼう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それはそこにいる者ぜんぶの感情を一つに固め、一団の火となって「官権」に
挑
(
いど
)
みかかった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「病気? あの男が病気だっておっしゃるんですね?」そして、その紳士が病気そのものででもあるかのように、ほとんど
挑
(
いど
)
みかかるような様子で男のほうに近づいていった。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
さて山城のワカラ河に行きました時に、果してタケハニヤスの王が軍を興して待つており、互に河を挾んで
對
(
むか
)
い立つて
挑
(
いど
)
み合いました。それで其處の名をイドミというのです。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
酒など飲んだ後などはただわけもなく女共に
挑
(
いど
)
み掛っては
躁
(
はしゃ
)
ぎ廻る程の男なんですが、それでもD50・444号の無気味な経歴に対しては少からず敬遠——とでも言いますか
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
今日電車通に繁昌せる魚久は当時魚屋にて仕出しをなせしのみ。三番町表通に大周楼といふ牛肉屋に接して小料理や魚清あり。
麹坊派
(
きくぼうは
)
の文士画家一時競つて魚清の娘お清を
挑
(
いど
)
む。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
うろうろと原野をさまよい、ゆるりゆるりと流れひろがるのであった。数々の草や木は、その水に向ってたたかい
挑
(
いど
)
んだ。根を張ろうとあせるのだ。季節が来ると川はあふれた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
雪之丞は、敵が、
挑
(
いど
)
みに応じて、荒ら立って来るのを望んだ。そこに、彼はたやすく活路を見いだし、
左
(
さ
)
まで精力を費すこと無しに、身の自由を得られることを信じるのだった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
家来たちに真剣勝負を
挑
(
いど
)
んだ。けれども家来たちは、真剣勝負に於いてさえも、本気に戦ってくれなかった。あっけなく殿様が勝って、家来たちは死んでゆく。殿様は、狂いまわった。
水仙
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
挑
常用漢字
中学
部首:⼿
9画
“挑”を含む語句
挑灯
挑戦
挑発
挑發
挑撥
挑戦的
挑燈
挑戯
挑戰
琴心挑美人
雪挑
生挑
盆挑灯
相挑
筥挑灯
箱挑灯
紅挑灯
脅威挑戦
軒挑灯
剽挑
...