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恐怖
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おそれ
ふりがな文庫
“
恐怖
(
おそれ
)” の例文
後
(
あと
)
では
寧
(
むし
)
ろ
悔
(
く
)
いるまでも
羞恥
(
はぢ
)
と
恐怖
(
おそれ
)
とそれから
勘次
(
かんじ
)
を
憚
(
はゞか
)
ることから
由
(
よ
)
つて
來
(
きた
)
る
抑制
(
よくせい
)
の
念
(
ねん
)
とが
慌
(
あわ
)
てゝ
其
(
そ
)
の
手
(
て
)
を
振
(
ふ
)
り
挘
(
もき
)
らせるのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
『隠せ』——其を守る為には今日迄
何程
(
どれほど
)
の苦心を重ねたらう。『忘れるな』——其を繰返す度に何程の
猜疑
(
うたがひ
)
と
恐怖
(
おそれ
)
とを抱いたらう。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
目前の敵を
一人
(
ひとり
)
殪
(
たお
)
したので、市郎は少しく勇気を回復した。敵もこれに幾分の
恐怖
(
おそれ
)
を
作
(
な
)
したか、
其後
(
そのご
)
は石を降らさなくなった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼らを相手に戦うにはやはり彼らの胆を奪うような幻術的の奇道を使い、
恐怖
(
おそれ
)
させるに
如
(
し
)
くはないと、このように考えを決めたのであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
想ふに彼等の
驚愕
(
おどろき
)
と
恐怖
(
おそれ
)
とはその殺せし人の計らずも今生きて
来
(
きた
)
れるに会へるが如きものならん。気も
不覚
(
そぞろ
)
なれば母は
譫語
(
うはごと
)
のやうに
言出
(
いひいだ
)
せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
「
何
(
なあ
)
に」と思って、お島は聞いていたのであったが、女にどんな手があるか解らないような、
恐怖
(
おそれ
)
と
疑惧
(
ぎぐ
)
とを感じて来た。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
心
(
こゝろ
)
は
不覺
(
そゞろ
)
、
氣
(
き
)
は
動顛
(
どうてん
)
して、
匇卒
(
いきなり
)
、
室
(
へや
)
を
飛出
(
とびだ
)
したが、
帽
(
ばう
)
も
被
(
かぶ
)
らず、フロツクコートも
着
(
き
)
ずに、
恐怖
(
おそれ
)
に
驅
(
か
)
られたまゝ、
大通
(
おほどほり
)
を
眞
(
ま
)
一
文字
(
もんじ
)
に
走
(
はし
)
るのであつた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
と云ったが、遣手の剣幕に七分の
恐怖
(
おそれ
)
で、煙草入を取って、やッと立つと……まだ酔っている片膝がぐたりとのめる。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
飢餓
(
うゑ
)
と
恐怖
(
おそれ
)
と
困憊
(
つかれ
)
と
悔恨
(
くい
)
と……真暗な
洞穴
(
ほらあな
)
の中を真黒な衣を着てゾロゾロと行く乞食の群! 野村は目を
瞑
(
つぶ
)
つた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
鏡に映つた兒どもの、
面
(
つら
)
には凄いほど
眞白
(
まつしろ
)
に
白粉
(
おしろひ
)
を
塗
(
ぬ
)
つてあつた、
睫
(
まつげ
)
のみ黒くパツチリと
開
(
ひら
)
いた
兩
(
ふたつ
)
の眼の底から
恐怖
(
おそれ
)
に
竦
(
すく
)
んだ瞳が
生眞面目
(
きまじめ
)
に
震慄
(
わなな
)
いてゐた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
致さるゝやと云ひけるに左仲は
最初
(
さいしよ
)
より一言も云はず居たりしが彼の者の
容體
(
ようだい
)
を見て大いに恐れ
渠
(
かれ
)
紛
(
まぎ
)
れもなき盜賊なるべし我渠を見しより思はず
恐怖
(
おそれ
)
し事故我弱みを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それから三崎町の「苦学社」で
嘗
(
な
)
めた
苦痛
(
くるしみ
)
と
恐怖
(
おそれ
)
とを想い浮べて連想は果てしもなく、功名の夢の
破滅
(
やぶれ
)
に驚きながらいつしか私は高谷千代子に対する愚かなる恋を思うた。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
秋
日々
(
ひび
)
に老いて近づく冬の気息が一刻々々に身に響く頃の一種の
恐怖
(
おそれ
)
、死に先だつ深い絶望と悲哀は、東京附近の浅薄な冬の真似では到底分からぬ。東京附近の冬は、せい/″\半死半生である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
一語一語に、一句一句に巧な、今までの彼の舞台上の
凡
(
すべ
)
ての演戯にも、打ち
勝
(
まさ
)
った程の仕打を見せながら、しかも人妻をかき口説く、
恐怖
(
おそれ
)
と不安とを交えながら、小鳥のように
竦
(
すく
)
んでいる女の方へ
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
わが
夫
(
つま
)
よ
十年
(
ととせ
)
昔のきちがひのわが
恐怖
(
おそれ
)
たる
桜花
(
はな
)
あらぬ春
桜
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
汚い
恐怖
(
おそれ
)
を
感
(
おぼ
)
える時は、どんなにはぢしめられ
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
冬の
凡
(
すべ
)
ては——
憤怒
(
いかり
)
と
憎悪
(
にくしみ
)
、
戦慄
(
おののき
)
と
恐怖
(
おそれ
)
や
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
この不安の内には
恐怖
(
おそれ
)
も
羞恥
(
はじ
)
も
籠
(
こも
)
っていた。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
時には
恐怖
(
おそれ
)
に沈むかなしき
界
(
よ
)
の
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
心の
罠
(
わな
)
よ 肉の
恐怖
(
おそれ
)
よ。
深夜
(新字旧仮名)
/
三富朽葉
(著)
稚兒
(
ちご
)
ひとり
恐怖
(
おそれ
)
をしらず
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
第九講
恐怖
(
おそれ
)
なきもの
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
霧
(
きり
)
の奧に
恐怖
(
おそれ
)
を叫ぶ
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
赤い
恐怖
(
おそれ
)
の時が来た
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
劫運の
恐怖
(
おそれ
)
の
帳
(
とばり
)
しやうりの歌
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
勘次
(
かんじ
)
は一
度
(
ど
)
整骨醫
(
せいこつい
)
の
門
(
もん
)
を
潜
(
くゞ
)
つてからは、
世間
(
せけん
)
には
這麽
(
こんな
)
に
怪我人
(
けがにん
)
の
數
(
かず
)
が
有
(
あ
)
るものだらうかと
絶
(
た
)
えず
驚愕
(
おどろき
)
と
恐怖
(
おそれ
)
との
念
(
ねん
)
に
壓
(
あつ
)
せられて
居
(
ゐ
)
たが
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
あゝ——お志保だ——お志保の
嗚咽
(
すゝりなき
)
だ——斯う思ひ附くと同時に、言ふに言はれぬ
恐怖
(
おそれ
)
と
哀憐
(
あはれみ
)
とが身を
襲
(
おそ
)
ふやうに感ぜられる。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
如何
(
いかん
)
となれば、
人間
(
にんげん
)
全體
(
ぜんたい
)
は、
餓
(
うゑ
)
だとか、
寒
(
さむさ
)
だとか、
凌辱
(
はづかし
)
めだとか、
損失
(
そんしつ
)
だとか、
死
(
し
)
に
對
(
たい
)
するハムレツト
的
(
てき
)
の
恐怖
(
おそれ
)
などの
感覺
(
かんかく
)
から
成立
(
なりた
)
つてゐるのです。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
恐怖
(
おそれ
)
と、
恥羞
(
はじ
)
に震う身は、
人膚
(
ひとはだ
)
の
温
(
あたた
)
かさ、唇の燃ゆるさえ、清く涼しい月の前の母君の有様に、
懐
(
なつか
)
しさが劣らずなって、振切りもせず、また
猶予
(
ためら
)
う。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
突かれて
蹣跚
(
よろめ
)
いた源三郎は、ドンと壁へぶつかったが、充分の
恐怖
(
おそれ
)
、充分の怒り、しかし依然として心は夢中で……
前記天満焼
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
怪
(
あやし
)
むべし、彼はこの日頃さしも憎からぬ人を見ることを
懼
(
おそ
)
れぬ。見ねばさすがに見まほしく思ひながら、
面
(
おもて
)
を合すれば
冷汗
(
ひやあせ
)
も出づべき
恐怖
(
おそれ
)
を生ずるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
先に立つた
女児等
(
こどもら
)
の心々は、まだ何か
恐怖
(
おそれ
)
に囚はれてゐて、手に手に小い螢籠を携へて、
密々
(
ひそひそ
)
と露を踏んでゆく。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
六尺と
漸次
(
しだい
)
に
振積
(
ふりつ
)
んで、町や村にあるほどの人々を、暗い家の中に一切封じ込めて
了
(
しま
)
う雪の威力を想像すると、何と無く一種の
恐怖
(
おそれ
)
を
懐
(
いだ
)
かぬ訳には
行
(
ゆ
)
かぬ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
凡てが
恐怖
(
おそれ
)
に蒼くなつた私の耳に小さな剃刀をいれるやうに絶間なく沁み込んで來る。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
真蒼
(
まっさお
)
になって裏の廊下へ飛出したのであったが、その時
段梯子
(
だんばしご
)
の上まで追っかけて来たお島の形相の
凄
(
すご
)
さに、取殺されでもするような
恐怖
(
おそれ
)
にわななきながら、一散に外へ駈出した。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
恐怖
(
おそれ
)
を
抱
(
いだ
)
くものゝごと
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
恐怖
(
おそれ
)
なり、
咀
(
のろ
)
ひなり
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
恐怖
(
おそれ
)
の
一夜
(
ひとよ
)
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
漠然
(
ばくぜん
)
とした
恐怖
(
おそれ
)
の情は絶えず丑松の心を刺激して、先輩に就いての記事を読み乍らも、唯もう自分の一生のことばかり考へつゞけたのであつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
如何
(
いかん
)
となれば、
人間
(
にんげん
)
全体
(
ぜんたい
)
は、
餓
(
うえ
)
だとか、
寒
(
さむさ
)
だとか、
凌辱
(
はずかし
)
めだとか、
損失
(
そんしつ
)
だとか、
死
(
し
)
に
対
(
たい
)
するハムレット
的
(
てき
)
の
恐怖
(
おそれ
)
などの
感覚
(
かんかく
)
から
成立
(
なりた
)
っているのです。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
彼
(
かれ
)
は、まだ
羞恥
(
はぢ
)
と
恐怖
(
おそれ
)
とが
全身
(
ぜんしん
)
を
支配
(
しはい
)
して
居
(
ゐ
)
るおつぎを
捕
(
とら
)
へて
只
(
たゞ
)
凝然
(
ぢつ
)
と
動
(
うご
)
かさないまでには
幾度
(
いくたび
)
か
手
(
て
)
を
換
(
かへ
)
て
苦心
(
くしん
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
と額に押頂くと、得ならず
艶
(
えん
)
なるものの
薫
(
かおり
)
に、魂は
空
(
くう
)
になりながら、
恐怖
(
おそれ
)
と
恥
(
はじ
)
とに、
渠
(
かれ
)
は、ずるずると膝で
退
(
さが
)
った。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
溜息をする者、啜り泣く者、列を放れてよろめく者、
恐怖
(
おそれ
)
と
疲労
(
つかれ
)
とで若者達は、
萎
(
な
)
え切っているように思われた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
つづいて第二第三の畚が
卸
(
おろ
)
されて、穴の底にも大勢の味方が
殖
(
ふ
)
えた。もう
斯
(
こ
)
うなっては、隠れたる敵も
恐怖
(
おそれ
)
を
作
(
な
)
したのであろう、何等危害を加えようとも
為
(
し
)
なかった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
宮は唯胸の
中
(
うち
)
を
車輪
(
くるま
)
などの
廻
(
めぐ
)
るやうに覚ゆるのみにて、誠にも
詐
(
いつはり
)
にも
言
(
ことば
)
を
出
(
いだ
)
すべき
術
(
すべ
)
を知らざりき。彼は犯せる罪の
終
(
つひ
)
に
秘
(
つつ
)
む
能
(
あた
)
はざるを悟れる如き
恐怖
(
おそれ
)
の為に
心慄
(
こころをのの
)
けるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
女児等
(
こどもら
)
は
恐怖
(
おそれ
)
に口を
噤
(
つぐ
)
んで、ブル/\顫へて立つてゐる。小いのはシク/\泣いてゐた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
日が暮れるとこの妄想の
恐怖
(
おそれ
)
は
何時
(
いつ
)
も小さな幼兒の胸に鋭利な鋏の
尖端
(
さき
)
を突きつけた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
遠く離れて節子のことを考える度に、彼は罪の深いあわれさを感ずるばかりでなかった。同時に言いあらわし難い
恐怖
(
おそれ
)
をすら感ずるように成った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
心
(
こころ
)
は
不覚
(
そぞろ
)
、
気
(
き
)
は
動顛
(
どうてん
)
して、いきなり、
室
(
へや
)
を
飛出
(
とびだ
)
したが、
帽
(
ぼう
)
も
被
(
かぶ
)
らず、フロックコートも
着
(
き
)
ずに、
恐怖
(
おそれ
)
に
駆
(
か
)
られたまま、
大通
(
おおどおり
)
を
真
(
ま
)
一
文字
(
もんじ
)
に
走
(
はし
)
るのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
更に爺さんの
恐怖
(
おそれ
)
がどれ程であつたでせう。其地主に向つては殆んど絶對の服從をすら甘んずるばかりに物堅い爺さんの頭は
馴致
(
なら
)
されて居るのであります。
白瓜と青瓜
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
“恐怖”の解説
恐怖(きょうふ)、または恐れ(おそれ)(en: fear)は、動物や人間のもつ感情の一つで、こわいと思うことやその気持ち。
(出典:Wikipedia)
恐
常用漢字
中学
部首:⼼
10画
怖
常用漢字
中学
部首:⼼
8画
“恐怖”で始まる語句
恐怖心
恐怖症
恐怖王
恐怖的
恐怖紛
恐怖事件
恐怖戦慄