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彩
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いろど
ふりがな文庫
“
彩
(
いろど
)” の例文
かかる折から、柳、桜、
緋桃
(
ひもも
)
の
小路
(
こみち
)
を、
麗
(
うらら
)
かな日に
徐
(
そっ
)
と通る、と
霞
(
かすみ
)
を
彩
(
いろど
)
る
日光
(
ひざし
)
の
裡
(
うち
)
に、
何処
(
どこ
)
ともなく雛の影、人形の影が
徜徉
(
さまよ
)
う、……
雛がたり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
家々の国旗、殊にこの春は新調したのが多いとみえて、旗の色がみな新しく鮮やかであるのも、新年の町を明るく華やかに
彩
(
いろど
)
っていた。
正月の思い出
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
主題たる戦争行為だとか
群雄割拠
(
ぐんゆうかっきょ
)
の状などは、さながら
彩
(
いろど
)
られた彼の民俗絵巻でもあり、その
生々動流
(
せいせいどうりゅう
)
する
相
(
すがた
)
は、天地間を舞台として
三国志:01 序
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(い)
腰
(
こし
)
より足首迄の間に一行より五六行位の
横線
(
わうせん
)
を
畫
(
ゑが
)
きたるもの。是等の中には
單
(
たん
)
に
凹
(
くぼ
)
ましたるも有り亦朱にて
彩
(
いろど
)
りたるも有り。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
あくる
日
(
ひ
)
から、
日暮
(
ひぐ
)
れ
方
(
がた
)
になって
夕焼
(
ゆうや
)
けが
西
(
にし
)
の
空
(
そら
)
を
彩
(
いろど
)
るころになると、
三郎
(
さぶろう
)
は
野
(
の
)
の
方
(
ほう
)
へと
憧
(
あこが
)
れて、
友
(
とも
)
だちの
群
(
む
)
れから
離
(
はな
)
れてゆきました。
空色の着物をきた子供
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
それらが如何に弱さの生み出す空想によって色濃く
彩
(
いろど
)
られていたかは、私が見事に人の眼をくらましていたのでも察することが出来る。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ヱルレトリの少女の群は、頭に環かざりを戴き、美しき肩、圓き乳房の
露
(
あらは
)
るゝやうに着たる衣に、襟の
邊
(
あたり
)
より、
彩
(
いろど
)
りたる
巾
(
きれ
)
を下げたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
真紅
(
しんく
)
や、白や、
琥珀
(
こはく
)
のような黄や、いろ/\変った色の、
少女
(
おとめ
)
のような優しい花の姿が、荒れた庭園の夏を
彩
(
いろど
)
る
唯一
(
ゆいいつ
)
の色彩だった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
三、佐藤の作品中、道徳を諷するものなきにあらず、哲学を寓するもの亦なきにあらざれど、その思想を
彩
(
いろど
)
るものは常に一脈の詩情なり。
佐藤春夫氏の事
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
海を左にし丘陵を右にする星ヶ浦の景勝と欧風住宅とは、アカシヤの明緑に
彩
(
いろど
)
られて、さながら南欧の一角を過ぐる感を与へた。
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
伸子は珍しく思って、
金
(
きん
)
を打った観音開きの扉や内部の欄間に親鸞上人の一代記を赤や水色に
彩
(
いろど
)
りした浮彫で刻みつけてあるのを眺めた。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
天下の大阪の城を傾けた
淀君
(
よどぎみ
)
というものが、ここから擁し去られて、秀吉の後半生の閨門を支配して、その子孫を血の悲劇で
彩
(
いろど
)
らしめた。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
日本西教史の幾ページを
彩
(
いろど
)
る雲仙地獄の凄惨な物語りは、
原
(
はら
)
城の歴史と共に雲仙を訪れるものの、必ずや記憶によみがえるところであろう。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
妙念 (下手あたかも月色の渦巻ける片隅に立ちたれば、
彩
(
いろど
)
られたる血の色
鮮
(
あざや
)
かに、怪体なる微笑を浮めつつ狂喜の語調にて)
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
和漢古典のあらゆる文辞は『鶉衣』を
織成
(
おりな
)
す
緯
(
い
)
となり
元禄
(
げんろく
)
以後の俗体はその
経
(
けい
)
をなしこれを
彩
(
いろど
)
るに也有一家の
文藻
(
ぶんそう
)
と独自の奇才とを以てす。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
過去
(
くわこ
)
を
振
(
ふ
)
り
向
(
む
)
いて、
事
(
こと
)
の
成行
(
なりゆき
)
を
逆
(
ぎやく
)
に
眺
(
なが
)
め
返
(
かへ
)
しては、
此
(
この
)
淡泊
(
たんぱく
)
な
挨拶
(
あいさつ
)
が、
如何
(
いか
)
に
自分等
(
じぶんら
)
の
歴史
(
れきし
)
を
濃
(
こ
)
く
彩
(
いろど
)
つたかを、
胸
(
むね
)
の
中
(
なか
)
で
飽迄
(
あくまで
)
味
(
あぢ
)
はひつゝ
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
美しく
描
(
えが
)
かれた梅や
牡丹
(
ぼたん
)
や菊や
紅葉
(
もみじ
)
の花ガルタは、その晩から一雄の六
色
(
いろ
)
の色鉛筆で惜しげもなく
彩
(
いろど
)
られてしまいました。
祖母
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
一頃は先生も随分奥さんを派手にさして、どうかすると奥さんの頬には薄紅い人工の美しさが
彩
(
いろど
)
られていることも有った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
色の悪い唇の生地の色を、紅で
彩
(
いろど
)
ることもなかったろう閑子の半生を哀れに思い、ミネは舶来のその口紅を彼女にやった。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
もし花の美が稀有なある種の少数のものに限られていたら、自然は荒野に帰るでしょう。だが無数の野花が健康な美を以て自然を
彩
(
いろど
)
っています。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
この後この空想には仏教芸術の影響が豊富に加わって行くが、しかしいかに仏教的に
彩
(
いろど
)
られてもそれは決して神仙譚的な輪郭を失うことがない。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
伊豆の
温泉場
(
ゆば
)
では、浅井は二日ばかり遊んでいた。海岸の山には、木々の梢が美しく
彩
(
いろど
)
られて、空が毎日澄みきっていた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
六月はじめの
田圃
(
たんぼ
)
は麦の波が薄く黄褐色に
彩
(
いろど
)
られて、そよそよとしているけれど、桑は濃緑色に茂り合い、畑から溢れんばかり盛り上がっている。
しゃもじ(杓子)
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
早朝から試合がつづいて、入れ代わり立ちかわり、もう武者窓を洩れる夕焼けの色が赤々と道場を
彩
(
いろど
)
り、竹刀をとる影を長く板の間に倒している。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その上、床の上に二尺四方ほどを、
真紅
(
まっか
)
に
彩
(
いろど
)
っているところをみると、出血は極めて瞬間的に多量だったものと見える。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
蔦の茂葉の真盛りの時分に北支事変が始まつて、それが金朱のいろに
彩
(
いろど
)
られるころます/\皇軍の戦勝は報じ越される。
蔦の門
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
ドヴォルシャークの曲のすべてが清らかな魂と、正直な心と、豊かな人間愛と、そして優しき
郷愁
(
ノスタルジア
)
とに
彩
(
いろど
)
られぬはない。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
それもただバタで拵えただけに止らず、その上に
金箔
(
きんぱく
)
あるいは五色で
彩
(
いろど
)
りをしてあるから、あたかも美しい絹の着物を着て居るように見えて居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
かがやく日没の光りが、大氷原を血の
湖
(
うみ
)
のように
彩
(
いろど
)
った。私はこんな美しい、またこんな気味の悪い光景を見たことがない。風は吹きまわしている。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
朱と金で
彩
(
いろど
)
った
一抱
(
ひとかか
)
えほどもある大
木魚
(
もくぎょ
)
が転がッているかと思うと、支那美人を描いた六角の彩燈が投げ出してある。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
上州境の連山が
丁度
(
ちやうど
)
屏風
(
びやうぶ
)
を立廻したやうに一帯に
連
(
つらな
)
り渡つて、それが
藍
(
あゐ
)
でも無ければ紫でも無い一種の色に
彩
(
いろど
)
られて
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
それが
譬
(
たと
)
えていえば、小川に洗われて底に沈んでいる陶器の破片が
染付
(
そめつけ
)
や
錦手
(
にしきで
)
に
彩
(
いろど
)
られた草木
花卉
(
かき
)
の模様、アラベスクの鎖の一環を反映屈折させて
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
月日
(
つきひ
)
の
暈
(
かさ
)
が、これを
支
(
さゝ
)
ふる水氣のいと
濃
(
こ
)
き時にあたり、これを
彩
(
いろど
)
る光を卷きつゝその
邊
(
ほとり
)
に見ゆるばかりの 二二—二四
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
吃水面際の赤い
彩
(
いろど
)
り、薄くたなびいた煙り、またはこれ等一切を取りまく、
春光
(
はるび
)
のもとの
明色
(
めいしよく
)
の濃い海の青を、三十何年來幻のやうに思ひ泛べられる。
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
それは、背中の部分がイボイボして、毳々しい緑色で
彩
(
いろど
)
られた一寸五分位な、芋虫を
剥製
(
はくせい
)
にしたやうなものだつた。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
ロレ
灰色目
(
はひいろめ
)
の
旦
(
あした
)
が
顰縮面
(
しかめつら
)
の
夜
(
よる
)
に
對
(
むか
)
うて
笑
(
ゑ
)
めば、
光明
(
ひかり
)
の
縞
(
しま
)
が
東方
(
とうばう
)
の
雲
(
くも
)
を
彩
(
いろど
)
り、
剥
(
は
)
げかゝる
暗
(
やみ
)
は、
日
(
ひ
)
の
神
(
かみ
)
の
火
(
ひ
)
の
輪
(
わ
)
の
前
(
まへ
)
に、さながら
醉人
(
ゑひどれ
)
のやうに
蹣跚
(
よろめ
)
く。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
しかし、きつとあなたはこの不思議な色を合せたり
彩
(
いろど
)
つたりしてゐる間は、一種の藝術家の夢の國に住んでゐたのですね。毎日長い間やつたのですか。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
そこで彼は絵筆を取って、適度の
目隈
(
めくま
)
を入れ、眼尻には紅をさし、乾いた眼球そのものをさえ、油絵具で
彩
(
いろど
)
った。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
弱い、晩秋の陽に、黄色く霜枯れた、かややすすきが土手を一面に
彩
(
いろど
)
って、山のくろまで続いていた。
野焼
(
のやけ
)
が山火事になった例は従来もあったのだった。
あまり者
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
落ちかけた夏の日が、熟して割れた
柘榴
(
ざくろ
)
色の光線を、青々とした麥畑の上に流して、眞正面に二人の顏を
彩
(
いろど
)
つた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
西半球の猴は一同この原皮を欠き、アフリカのマイモン猴は顔と尻が
鮮
(
あざ
)
やかな朱碧二色で
彩
(
いろど
)
られ獣中最美という。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
もう日が
薄紅
(
うすくれなゐ
)
に中庭を
彩
(
いろど
)
つてゐた。雇はれて来た
女原
(
をんなばら
)
が、痩せた胸をあらはにして、慟哭の声を天に響かせた。
フロルスと賊と
(新字旧仮名)
/
ミカイル・アレクセーヴィチ・クスミン
(著)
何処を見ても物の色は
佳
(
よ
)
い。暗く影の深い鎮守の森、白く日に光る渓川の水、それを
彩
(
いろど
)
るものは秋の色である。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
好き
嫌
(
きら
)
いや、偏見や、希望的な観測や、更には権力者の圧迫に対する恐怖などによって、
彩
(
いろど
)
られるのである。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
それは実によく晴れわたった、
穏
(
おだやか
)
な夏の夕だった。眼のまえの屏風岩のギザギザした
鋸歯
(
きょし
)
のようなグラートのうえにはまだ、夕雲はかがやかに
彩
(
いろど
)
られていた。
涸沢の岩小屋のある夜のこと
(新字新仮名)
/
大島亮吉
(著)
今の東京の暗黒面を最も深刻に、且つ不可思議な美しさで
彩
(
いろど
)
っているは、実にこうした職業婦人なのである。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
しかし、あの醜い手足も青葉の蔭に隠れ、不気味な妖怪めいた頭蓋の模様も、その
下映
(
したばえ
)
に
彩
(
いろど
)
られていて、変形の
要所
(
かなめ
)
は、それと見定めることは出来なかった。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
殺生関白が残虐の血を以て
彩
(
いろど
)
られた罪悪史のうちでも、分けて此の一事が太閤の嫉妬と憤激を買ったと云うのも道理であって、謀叛よりは寧ろ此の種の行為が
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
が、冷澄な空気の底に
冴
(
さ
)
え
冴
(
ざ
)
えとした一塊の
彩
(
いろど
)
りは、何故かいつもじっと
凝視
(
みつ
)
めずにはいられなかった。
冬の日
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
もう夕陽に
彩
(
いろど
)
られた沖のほうから、
勇
(
いさま
)
しい
櫓声
(
ろせい
)
がして、吾れさきにと帰って来た漁船からは、魚を眼まぐろしくあげて、それを魚市場の
沙利
(
じゃり
)
の上へ一面に並べた。
妖影
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
“彩”の意味
《名詞》
(いろどり)色をつけること。配色。
(だみ)金泥や銀泥で彩色すること。
(出典:Wiktionary)
彩
常用漢字
中学
部首:⼺
11画
“彩”を含む語句
彩色
色彩
光彩
彩色硝子
彩画
彩雲
極彩色
五彩
薄彩色
彩色画
彩畫
淡彩
彩糸
迷彩
彩虹
風彩
彩絹
色彩間苅豆
彩色絵
彩玻璃
...