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尊
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とうと
ふりがな文庫
“
尊
(
とうと
)” の例文
わたくしは因縁こそ実に
尊
(
とうと
)
くそれを
飽迄
(
あくまで
)
も大切にすべきものだと信じて
居
(
お
)
ります。
其処
(
そこ
)
に優しい
深切
(
しんせつ
)
な愛情が当然
起
(
おこ
)
るのであります。
家庭愛増進術:――型でなしに
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
つらつら観ずれば、人の命なるもの、
尊
(
たつと
)
しと思えば、尊ときに相違なけれど、
尊
(
とうと
)
からずと見る時は、何のまた
些少
(
いささか
)
の尊さのあるべき。
一夜のうれい
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
読方
(
よみかた
)
だって、何だ、
大概
(
たいがい
)
、
大学朱熹章句
(
だいがくしゅきしょうく
)
で
行
(
ゆ
)
くんだから、
尊
(
とうと
)
い
御経
(
おきょう
)
を
勿体
(
もったい
)
ないが、この山には薬の草が多いから、気の
所為
(
せい
)
か知らん。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
勇
(
ゆう
)
すなわち
徳
(
とく
)
、
徳
(
とく
)
すなわち
勇
(
ゆう
)
と考えられていた。かかる時代にはよしや動物性が混じ、
匹夫
(
ひっぷ
)
の
勇
(
ゆう
)
以上に
昇
(
のぼ
)
らずとも、それが
尊
(
とうと
)
かった。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
これ一箇だけでも
時価
(
じか
)
百五十万円はするといわれていた(このダイヤは、ある
尊
(
とうと
)
い
仏像
(
ぶつぞう
)
からはずした物だといううわさもあった)。
骸骨館
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
最も容易に天を
尊
(
とうと
)
ぶ思想に移り得たのだが、それが沖縄ではやや遅く始まったために、まだ完全なる分離を
遂
(
と
)
げなかったのである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
この
豐玉姫様
(
とよたまひめさま
)
と
言
(
い
)
われる
御方
(
おかた
)
は、
第
(
だい
)
一の
乙姫様
(
おとひめさま
)
として
竜宮界
(
りゅうぐうかい
)
を
代表
(
だいひょう
)
遊
(
あそ
)
ばされる、
尊
(
とうと
)
い
御方
(
おかた
)
だけに、
矢張
(
やは
)
りどことなく
貫禄
(
おもみ
)
がございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そのうちに、あなたもわかってきますよ。いちばん
尊
(
とうと
)
い
御褒美
(
ごほうび
)
っていうのは、
名誉
(
めいよ
)
にだけなって、
別
(
べつ
)
に
得
(
とく
)
にはならないような
御褒美
(
ごほうび
)
です。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
それにもかかわらず、何故にブラームスの音楽は美しく
尊
(
とうと
)
いか、例によって私はその簡単な伝記から調べて一つの結論に到達しようと思う。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
総て功利の念を
以
(
もっ
)
て物を
視
(
み
)
候
(
そうら
)
わば、世の中に
尊
(
とうと
)
き物は無くなるべし、ましてやその方が持ち帰り候伽羅は早速
焚
(
た
)
き試み候に
興津弥五右衛門の遺書
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
葉子は生命の
尊
(
とうと
)
さをしみじみと思い知った。死もしくは死の隣へまでの不思議な冒険……そう思うと血は凍るかと疑われた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それならばなぜ彼がこの明白な事実をわざと秘密に附していたのだろう。簡単に云えば、彼はなるべく
己
(
おの
)
れを
尊
(
とうと
)
く考がえたかったからである。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一生のうちの、
尊
(
とうと
)
い季節だ。この小説は、わたくしが少年へ書いた長編の最初のもので、また、いちばん長いものである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
話
(
はなし
)
をお
聞
(
き
)
きになると、
王
(
おう
)
さまは、ほんとうに、そのやさしい
心
(
こころ
)
がけに
感心
(
かんしん
)
なされました。それから
星
(
ほし
)
を
尊
(
とうと
)
まれました。
王さまの感心された話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「次郎君、その
傷
(
きず
)
は僕の一命を救ってくれた
尊
(
とうと
)
い血なんだ、ぼくはみなに心配をかけた、すまない、ゆるしてくれたまえ」
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
わけて御化粧の間の御用具の中でも御鏡は
尊
(
とうと
)
いもの、
畏
(
かしこ
)
きあたりの御目にも留まることで、仕事の難易はとにかく
事
(
こと
)
疎
(
おろそ
)
かに取り掛かるものでないから
幕末維新懐古談:52 皇居御造営の事、鏡縁、欄間を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
また、神さまが、
大海
(
たいかい
)
のまん中へこの日本の島を作りお浮かべになった、そのときのありさまにもよく
似
(
に
)
ている。ほんとは
尊
(
とうと
)
くもめでたいことである。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
山育ちの彼は、
之
(
これ
)
を形容すべき適当の
詞
(
ことば
)
を知らなかった。重太郎は
徒爾
(
いたずら
)
に眼を
瞠
(
みは
)
り、手を拡げて、
其
(
そ
)
の
尊
(
とうと
)
き宝であるべきことを
頻
(
しきり
)
に説明
為
(
し
)
ようと試みた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
よく何年、何十年の経験とか言って、世間の人から
尊
(
とうと
)
がられますが、経験だとて間違いがないとは限りませんよ
誤った鑑定
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
武士族
(
ぶしぞく
)
の
尊
(
とうと
)
いお方をも、いやしい
穢多
(
えた
)
をもひとしくうやまいます。ひとりをたっとびひとりをいやしみません。
手紙 二
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
殆
(
ほとん
)
ど信じ難い奇怪事である。
若
(
も
)
しかしたら、
耄碌
(
もうろく
)
した老人の幻覚であったかも知れぬ。だが本人は確かに
阿弥陀
(
あみだ
)
様の様な
尊
(
とうと
)
い金色の人を見たといっている。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
右の事実はすべてを説明するものであった。そしてゲルマン式自尊心は、ますますおのれを
尊
(
とうと
)
むとともに敵を軽蔑するの理由を、そこに見出したのであった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
今一つ短いのは
何
(
なん
)
でしたッけ、うむ鎧通しともいう、一事一点間違があれば切腹致すべき
尊
(
とうと
)
い処の腰の物、それを
何
(
なん
)
だ無礼至極、どの様に仰しゃっても宜しい
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あなたのような
尊
(
とうと
)
いお
上人
(
しょうにん
)
さまにお
目
(
め
)
にかかったのは、わたしのしあわせでした。どうかあなたのあらたかな
法力
(
ほうりき
)
で、わたしをお
救
(
すく
)
いなすって
下
(
くだ
)
さいませんか。
殺生石
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
七兵衛はそれを見ると、
尊
(
とうと
)
いような気がしました。内で、一切を忘れて清らかな興に
耽
(
ふけ
)
っている人たちも尊いが、こうして忘れられながら夜を守っている犬も尊い。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それで、不思議な魔法めいた術のことも、空の星の数も頭の毛の数も、誰にも伝えられずに、ただ彼の石の身体だけが、永く残りまして、学者達から
尊
(
とうと
)
ばれ
拝
(
おが
)
まれています。
魔法探し
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
いつもひだるい腹を抱えて居るところで
尊
(
とうと
)
いラマに逢いに行くと、ラマというのは大抵皆金満家ですから昼
御膳
(
ごぜん
)
などはなかなか立派なもので、前には
乾肉
(
ほしにく
)
の山が出来て居る位。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
朧
(
おぼろ
)
げに感得していたものの、先きは人も知った人格者であり、
尊
(
とうと
)
いあたりへも伺候して、限りない光栄を
担
(
にな
)
っている博士なので、もし葉子の
嬌態
(
きょうたい
)
に魅惑された人があるとしても
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
山の頂の夕焼は最後の光を見せている。あの
広野
(
ひろの
)
を
女神達
(
めがみたち
)
が歩いていて、手足の疲れる
代
(
かわ
)
りには、
尊
(
とうと
)
い草を摘み取って来るのだが、それが何だか我身に近付いて来るように思われる。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
「俺の避難所はプアだけれど安全なものだ。俺も今こそかの芸術の仮面家どもを千里の遠くに
唾棄
(
だき
)
して、安んじて生命の
尊
(
とうと
)
く、人類の運命の大きくして悲しきを想うことができる……」
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
宇宙の神を以て余の父の父と
尊
(
とうと
)
み、彼自身よりの黙示を以て真理の標準と信じ、己の一身を処するにおいても、余の国に尽さんとするにおいても、基督教会に対する余の位置においても
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
すべておのが人を教ふるは、道を明らかにせむとなれば、とにもかくにも道を明らかにせむぞ、吾を用ふるにはありける。道を思はで、いたづらに吾を
尊
(
とうと
)
まんは、わが心にあらざるぞかし。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼はそれが自分の無能力に裏書きをするように思われて、寂しくなったこともよくあった。が、一方またそれが自分の芸術的良心を計る物差しとして、
尊
(
とうと
)
みたいと思ったこともたびたびある。
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
十分に手当をしてやるがよい——源蔵ッ! 狂人の
所業
(
しょぎょう
)
とみなしてこのたびは差し許す、重ねてかようなことをいたさんよう自ら身分を
尊
(
とうと
)
び……ではない、第一に法をたっとばんければいかん。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
祷
(
いのり
)
には効あり、
言
(
ことば
)
には
験
(
げん
)
ありければ、民
翕然
(
きゅうぜん
)
として之に従いけるに、賽児また
饑者
(
きしゃ
)
には
食
(
し
)
を与え、凍者には衣を給し、
賑済
(
しんさい
)
すること多かりしより、
終
(
つい
)
に追随する者数万に及び、
尊
(
とうと
)
びて仏母と称し
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
人のいのちの
尊
(
とうと
)
さを、しみじみと味わえる年になってきた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
子供の教育の一番
尊
(
とうと
)
い立場はただそこにあると思います。
おさなごを発見せよ
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
「好い仕事の貴いことが分っているなら、大友氏を
尊
(
とうと
)
べ」
首切り問答
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
詳
(
くわ
)
しいことは
後
(
あと
)
で
追々
(
おいおい
)
話
(
はな
)
すとして、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
人間
(
にんげん
)
は
竜神
(
りゅうじん
)
の
子孫
(
しそん
)
、
汝
(
そち
)
とても
元
(
もと
)
へ
溯
(
さかのぼ
)
れば、
矢張
(
やは
)
りさる
尊
(
とうと
)
い
竜神様
(
りゅうじんさま
)
の
御末裔
(
みすえ
)
なのじゃ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「これだこれだ。この金環だ。ああよくもわが手に帰ってきたものだ。わが生命よりも
尊
(
とうと
)
いこの世界の
宝物
(
ほうもつ
)
! どれ、よく中を改めてみよう」
見えざる敵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
外界の音と絶った大音楽家が、四つの弦楽器のために作曲した後期の四重奏曲はまことに
尊
(
とうと
)
い(作品一二七、一三〇、一三一、一三二、一三五)
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
かよ
子
(
こ
)
は、お
母
(
かあ
)
さんが、まだ
生徒
(
せいと
)
の
時代
(
じだい
)
から、この
学校
(
がっこう
)
に
教
(
おし
)
えていられる
先生
(
せんせい
)
の
生活
(
せいかつ
)
を
考
(
かんがえ
)
えると、なんとなく
尊
(
とうと
)
く
頭
(
あたま
)
の
下
(
さ
)
がるような
気
(
き
)
がしました。
汽車は走る
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「朝ならば夜の前に死ぬと思え。夜ならば
翌日
(
あす
)
ありと頼むな。覚悟をこそ
尊
(
とうと
)
べ。見苦しき死に
様
(
ざま
)
ぞ恥の極みなる……」
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕がいかなる人に対してもかかる力を持っているというのではないのです。ただあなたに対してです。あなたはいつでも僕の品性を
尊
(
とうと
)
く導いてくれます。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「ええ、ありがとう、ですからマグノリアの木は
寂静
(
じゃくじょう
)
です。あの花びらは天の
山羊
(
やぎ
)
の
乳
(
ちち
)
よりしめやかです。あのかおりは
覚者
(
かくしゃ
)
たちの
尊
(
とうと
)
い
偈
(
げ
)
を人に
送
(
おく
)
ります。」
マグノリアの木
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
いつもは
一晩
(
ひとばん
)
ぐらいお
籠
(
こも
)
りになっても、
明日
(
あす
)
の
朝
(
あさ
)
はきっとお
出
(
で
)
ましになって、みんなにいろいろと
尊
(
とうと
)
いお
話
(
はなし
)
をなさるのに、
今日
(
きょう
)
はどうしたものだろうと
思
(
おも
)
って
夢殿
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
文「いつに変らぬお情、切腹を御免になり、又流罪を御赦免下さいましたのも、皆
其許
(
そこもと
)
のお
執成
(
とりなし
)
と右京殿の
御仁心
(
ごじんしん
)
による事、文治は神仏より
尊
(
とうと
)
く思うて居ります」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかして男子として
褒
(
ほ
)
むべきはこの種の
勇
(
ゆう
)
を有したからで、国がやや進歩し、法律をもって善悪
曲直
(
きょくちょく
)
を
判別
(
はんべつ
)
する時代にいたっても、依然としてなお
匹夫
(
ひっぷ
)
の
勇
(
ゆう
)
が
尊
(
とうと
)
ばれ
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「そしてだれがみずから一命をかけて、この
冒険
(
ぼうけん
)
をやるのだ、まちがえば
尊
(
とうと
)
い人命をなくすのだ」
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
神は人よりも常に
貴
(
とう
)
といという今日の考えかたとはちがって、人のすぐれて霊あるものをも、カミと名づけてあがめ
尊
(
とうと
)
む習わしが昔はあり、それが職分となり世襲となれば
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
“尊”の意味
《名詞》
(ソン)中国古代の酒器。
(みこと)神や神格化された人物に付ける敬称。
(出典:Wiktionary)
尊
常用漢字
小6
部首:⼨
12画
“尊”を含む語句
尊敬
尊重
尊者
日本武尊
素盞嗚尊
尊澄
天真宗豊祖父尊様
尊体
足利尊氏
本尊
尊氏
武尊
尊崇
尊王攘夷
唯我独尊
地蔵尊
素戔嗚尊
自尊心
伊弉諾尊
尊公
...