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乾
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ほ
ふりがな文庫
“
乾
(
ほ
)” の例文
花
(
はな
)
が
終
(
お
)
わったとき、
子供
(
こども
)
らは、その
根
(
ね
)
を
乾
(
ほ
)
してから、これを
袋
(
ふくろ
)
の
中
(
なか
)
へ
入
(
い
)
れて、その
上
(
うえ
)
に「アネモネ」と
書
(
か
)
いて、しまっておきました。
花と人の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
米国の黒人は兎脳を生で食えば脳力を強くしまたそれを
乾
(
ほ
)
して
摩
(
す
)
れば歯痛まずに生えると信ず(一八九三年版『
老兎巫蠱篇
(
オールド・ラビット・ゼ・ヴーズー
)
』二〇七頁)
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
畑
(
はたけ
)
の
黒
(
くろ
)
い
土
(
つち
)
は
彼等
(
かれら
)
の
技巧
(
ぎかう
)
を
發揮
(
はつき
)
して
叮嚀
(
ていねい
)
に
耕
(
たがや
)
されゝば
日
(
ひ
)
がまだそれを
乾
(
ほ
)
さない
内
(
うち
)
は
只
(
たゞ
)
清潔
(
せいけつ
)
で
快
(
こゝろ
)
よい
感
(
かん
)
じを
見
(
み
)
る
人
(
ひと
)
の
心
(
こゝろ
)
に
與
(
あた
)
へるのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ここには、いまだに、鬼ごっこや、罰金遊び、目隠し当てもの、白パン盗み、
林檎
(
りんご
)
受け、
乾
(
ほ
)
し
葡萄
(
ぶどう
)
つかみなど、昔の遊戯が行われている。
クリスマス・イーヴ
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
僕は
戸外
(
そと
)
へ飛びだした。夜見たよりも一段、
蕭条
(
しょうじょう
)
たる海
辺
(
べ
)
であった。家の
周囲
(
まわり
)
は
鰯
(
いわし
)
が軒の高さほどにつるして一面に
乾
(
ほ
)
してある。
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
知らなかったものだからと
詫
(
わ
)
びながら、——(今まで、ここで彼女が飲んでいるのを見たことがなかった。)急いで盃を
乾
(
ほ
)
した。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
こう仰せられまして、火にあたれ、肌着を
乾
(
ほ
)
せ、薬はいかに、
粥
(
かゆ
)
を喰べよと、
傷負
(
ておい
)
には馬まで下されて、放たれたのでござります
日本名婦伝:大楠公夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、改めてめずらしそうにまえの広場に大根を並べ
乾
(
ほ
)
してそれにぼんやりと、うすら寒い初冬の陽がさしているのを眺めていた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それらの人が私を見てあの人は仏法のありがたいラマであるらしいと言って、いろいろな奇なる
乾
(
ほ
)
した樹の実などをくれました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
もう
先刻
(
さっき
)
から、一升以上も飲み
乾
(
ほ
)
している勝平は、濁った
眸
(
ひとみ
)
を見据えながら、威丈高に瑠璃子にのしかゝるような態度を見せた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「殿様、卑怯千万。敵に後ろを見せるという法はございません。グッと、グッとお
乾
(
ほ
)
し遊ばして。お流れは、へッ、この私が頂戴仕ります」
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これを
燒
(
や
)
いて二十
食
(
く
)
つた、
酢
(
す
)
にして
十
(
とを
)
食
(
く
)
つたと
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
だて
澤山
(
たくさん
)
なり。
次手
(
ついで
)
に、
目刺
(
めざし
)
なし。
大小
(
だいせう
)
いづれも
串
(
くし
)
を
用
(
もち
)
ゐず、
乾
(
ほ
)
したるは
干鰯
(
ひいわし
)
といふ。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
屋根のある家に、新
乾
(
ほ
)
し
海苔
(
のり
)
とて、近頃にない色黒く艶よろしいものを発見、一帖八円のもの五帖買求めて土産にした。ほかにみかん十円。
海野十三敗戦日記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
饂飩
(
うどん
)
屋のガラスの
箱
(
はこ
)
の中にある饂飩の玉までが
鮮
(
あざ
)
やかである。往来には軒先に
莚
(
むしろ
)
を
敷
(
し
)
いたり、
箕
(
み
)
を置いたりして、それに
消炭
(
けしずみ
)
が
乾
(
ほ
)
してある。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
無神経な捨鉢らしい風に杯の酒をぐうっと飲み
乾
(
ほ
)
し、例の風変りな小さい亜麻色の
仮髪
(
かつら
)
を耳のところでしっかりと抑えつけて
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
と次郎が
乾
(
ほ
)
し
餅
(
もち
)
をさしだした。婦人は目に喜びの色を見せて、せわしくとるかと見れば口に運び、一気にのみこんでしまった。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「そのなかに車一台の
乾
(
ほ
)
し
草
(
くさ
)
を押し入れうる」——それを持って行ける人間がいるなら——ほどの大きな穴を見た、と称する。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
別天地の
小生涯
(
しょうせいがい
)
、
川辺
(
かわべ
)
に
風呂
(
ふろ
)
、
炊事場
(
すいじば
)
を設け、林の蔭に便所をしつらい、
麻縄
(
あさなわ
)
を張って洗濯物を
乾
(
ほ
)
し、少しの
空地
(
あきち
)
には
青菜
(
あおな
)
まで出来て居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その晩も夜中にばらばらと落ちてきたので、三階に住んでいる一人のおかみさんが、
乾
(
ほ
)
し忘れたままになっている洗濯物のことを思い出した。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
五時になると、四人がいっせいに起き出す。
朝飯
(
あさはん
)
を喰べている間にサッサと寝床を片づけ、
寝袋
(
スリーピング・バッグ
)
をよくたたいて
戸外
(
おもて
)
へ
乾
(
ほ
)
す。
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そのあたたかいお情に、濡れたのを
乾
(
ほ
)
してまいれば、すぐかわくことでございましょう。私は、都の者ではございません。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「これでおれも気持ちがいいし、だれもがまた気持ちがいいわい」波田は、その着物を洗って
乾
(
ほ
)
すために、罐場へ行った。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
洞穴の中には、ボロボロに破れた着物を着た骸骨が、くずれもせず、断末魔の苦悶の姿をそのまま、
乾
(
ほ
)
しかたまっていた。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「青山さん、あなただって今度の事件は、御国のためと思ってしたことなんでしょう。まあ、その
盃
(
さかずき
)
をお
乾
(
ほ
)
しなさるさ。」
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
乾
(
ほ
)
した貝柱である。鋸屋の好物か、あるいはこういう行きづまりの場合のため、一時の飢え
凌
(
しの
)
ぎの用意だったのだろうか。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
此處でも籾を
乾
(
ほ
)
してゐる牛部屋の前の廣場には、人影が見えないで、耳の垂れた
洋犬
(
かめ
)
が
此方
(
こつち
)
を向いて大きな欠伸をした。
父の婚礼
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
その泣く
状
(
さま
)
は、青山は枯山なす泣き枯らし
河海
(
うみかは
)
は
悉
(
ことごと
)
に泣き
乾
(
ほ
)
しき。ここを以ちて
惡
(
あら
)
ぶる神の音なひ
二二
、
狹蠅
(
さばへ
)
なす皆
滿
(
み
)
ち、萬の物の
妖
(
わざはひ
)
悉に
發
(
おこ
)
りき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
久野は冷たい酒を
呑
(
の
)
み
乾
(
ほ
)
しては、その場の光景を冷観しようと骨を折った。がしかし彼もまた、勝利を語るのには酔わなくちゃならぬ人であった。
競漕
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
しきたる布につゝみ水にひたしおく事四五日にしてとりいだし、
絞
(
しぼ
)
りて水をさりて
乾
(
ほ
)
しあぐる、その白き事雪のごとし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
病人はいとしや。——母より小包み来る。私が鼻が悪いと云ってやったので、ガラガラに
乾
(
ほ
)
してある
煎
(
せん
)
じ薬と足袋と絞り木綿の腰巻を送って来た。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
あなたも
濡衣
(
ぬれぎぬ
)
をお
乾
(
ほ
)
しになれないでしょう。それも無情に私をお追いになった報いとお思いになるほかはないでしょう
源氏物語:39 夕霧一
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
手前が乱暴を働くのを見て
居
(
お
)
るのが辛いから
食
(
しょく
)
を
止
(
とゞ
)
めて死ぬのじゃによって、
仮令
(
たとえ
)
手を下さずとも
其方
(
そなた
)
が親を
乾
(
ほ
)
し殺すも同じじゃによって左様心得ろ
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
長野県の上田市にある上田城は、名将真田幸村の居城として知られているが、その上田城の濠の水を明治初年になって、替え
乾
(
ほ
)
そうと云う事になった。
赤い牛
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
樅の中味や
乾
(
ほ
)
したすかんぽで作り、味や栄養をつけるために
碾割
(
ひきわり
)
を少しも混じていない、パンで生活したのである。
人口論:02 第二篇 近代ヨオロッパ諸国における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
土地
(
ところ
)
の人これを
重忠
(
しげただ
)
の鬢水と名づけて、
旱
(
ひでり
)
つづきたる時こを
汲
(
く
)
み
乾
(
ほ
)
せば必ず雨ふるよしにいい伝う。また二つ岩とて大なる岩の川中に横たわれるあり。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「そうさ」と、平田はしばらく考え、ぐッと一息に飲み
乾
(
ほ
)
した猪口を小万にさし、「どうだい、酔ッてもいいかい」
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
お末は抵抗もせずに眼をつぶつてぐつと飲み
乾
(
ほ
)
した。それから暫くの間
昏々
(
こん/\
)
として苦しさうな
仮睡
(
まどろみ
)
に落ちた。助手は手を握つて脈を取りつゞけて居た。
お末の死
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
「あなたの健康の爲めに、私に奉仕してくれる
妖精
(
えうせい
)
よ!」と彼は云つた。
中味
(
なかみ
)
を
嚥
(
の
)
み
乾
(
ほ
)
すとそれを私に返した。「皆んな何をしてゐます、ジエィン?」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
復一の家の縁に、立てかけて
乾
(
ほ
)
してある金魚
桶
(
おけ
)
と
並
(
なら
)
んで腰をかけて鼎造は復一の育ての親の宗十郎と話を始めた。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
昔ある
博労
(
ばくろう
)
の女房、
邪見
(
じゃけん
)
で馬を
乾
(
ほ
)
し殺してその罰で馬と化し、終始雨ばかり待っているという話は、大よそ他の地方も同じである(『相州内郷村話』)。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
フィールス 昔は、さよう四、五十年まえには、桜んぼを
乾
(
ほ
)
して、砂糖づけにしたり、酢につけたり、ジャムに煮たりしたものだった。それから、よく……
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
天気さえよければおるいさんは一日じゅう、いや、殆んどというべきだろうが、いつも水道端にいて、なにかかにか洗い、器物類は家の横に並べて
乾
(
ほ
)
した。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
母親は泣き立てる
乳呑
(
ちの
)
み
児
(
ご
)
を抱えて、お庄の
明朝
(
あした
)
の髪を
結
(
ゆ
)
ったり、下の
井戸端
(
いどばた
)
で
襁褓
(
むつき
)
を洗ったりした。雨の降る日は部屋でそれを
乾
(
ほ
)
さなければならなかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
佐々爺は何時でも冷酒を、縁のかけた汁椀についで、「なんばん」の
乾
(
ほ
)
したのを噛り、噛り飲んだ。
不在地主
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
同時に
胃嚢
(
いぶくろ
)
が運動を停止して、雨に逢った鹿皮を
天日
(
てんぴ
)
で
乾
(
ほ
)
し堅めたように腹の中が
窮窟
(
きゅうくつ
)
になる。犬が
吠
(
ほ
)
えれば
善
(
よ
)
いと思う。吠えているうちは
厭
(
いや
)
でも、厭な度合が分る。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見る人見らるる人の笑ひ声の中にまた笛鳴りて、ボオイの引ける麻綱の上にタオルは
乾
(
ほ
)
され申し
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
それから
麦酒樽
(
ビイルだる
)
の
天水桶
(
てんすいおけ
)
の上に
乾
(
ほ
)
し忘れたままの
爪革
(
つまかわ
)
だった。それから、往来の水たまりだった。それから、——あとは何だったにせよ、どこにも犬の影は見なかった。
保吉の手帳から
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それから見世物に
蛇
(
じゃ
)
の
骨
(
こつ
)
だといってよく出ているのがあれも牛の軟骨を
乾
(
ほ
)
し
固
(
かた
)
めたのだそうです。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
旅中の
実咏
(
じつえい
)
である。青葉の茂った夏木立の街道を通って来ると、魚くさい
臭
(
にお
)
いのする、小さな村に出たというのである。家々の軒先に、魚の干物でも
乾
(
ほ
)
してあるのだろう。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
いつもなら私の海水着をそこへ置いておくと、兄たちのと一緒に、お前がゆすいで
乾
(
ほ
)
して置いてくれるのだ。そのことでお前はさっきお前の母に叱られていたものと見える。
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
“乾”の意味
《名詞》
(いぬい)北西の方角。戌(いぬ)と亥(い)の間であることから。
(出典:Wiktionary)
“乾”の解説
乾(けん)は八卦の一つ。卦の形はであり、三爻がすべて陽。または六十四卦の一つであり、乾為天。乾下乾上で構成される。
(出典:Wikipedia)
乾
常用漢字
中学
部首:⼄
11画
“乾”を含む語句
乾燥
乾酪
乾干
乾魚
干乾
乾涸
乾葡萄
乾飯
乾坤
乾物
乾草
乾枯
乾鮭
生乾
乾杯
乾菓子
乾菜
乾田
乾麺麭
乾声
...