たきゞ)” の例文
勘次かんじ自分じぶん壁際かべぎはにはたきゞが一ぱいまれてある。そのうへ開墾かいこん仕事しごとたづさはつてなんといつてもたきゞ段々だんだんえてくばかりである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
毎日こゝかしこの木を心のまゝにきりとりてたきゞにつくり、小屋のほとりにあまたつみおき、心にるほどにいたればそのまゝにつみおきて家にかへる。
……ところ千丈せんぢやうみねからくづれかゝる雪雪頽ゆきなだれしたたきゞるよりあぶなツかしいのに——度胸どきようでないと復興ふくこう覺束おぼつかない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのエー男女なんにょ同権たる処の道を心得ずんば有るべからず、しばらく男女同権はなしと雖も、此事これは五十百把の論で、先ず之をたきゞ見做みなさんければならんよ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
間もなく焚き付けたたきゞが煖炉の中で燃え始めた。その薪を兼ねて煖炉の中に積み上げてある薪の山に近寄せると、部屋中の摸様が、今までとはまるで変つて来る。
真っ暗なのでよくは見えないが、竃の下にちら/\しているたきゞのあかりと外からさし込む月の光とで、法師丸にはそれだけが分った。と、同時に異様な臭気を感じた。
あららげて打すゑると雖も知らぬとばかりゆゑ掃部は茂助になはを取てきたれと言に茂助は臺所より荒繩あらなは持來もちきたりければ和尚を高手たかて小手こてしばはり釣上つりあたきゞを以て散々さん/″\打てば和尚は眼を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たきゞる翁、牛ひくわらんべ、餘念なく歌ふふし、餘所に聞くだに樂しげなり。瀧口く/\四方よもの景色を打ち眺め、稍〻やゝ疲れを覺えたれば、とある路傍の民家に腰打ち掛けて、暫く休らひぬ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「実はたきゞにしたいんでお願ひに来たんですが譲つておくんなさいな。あゝして打つちやらかして置いちや勿体もつたいなうござんす。今に木の子が立つちやあ薪にもつかへやしませんぜ。どうでせう……」
老残 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
名護がよひたきゞむ舟
舟夫 (新字旧仮名) / 渡久山水鳴(著)
草木さうもくねむりにすくなくとも五六十にちあひだは、彼等かれらまれ冬懇ふゆばりというてむぎ畦間うねまたがやすことやはやしあひだ落葉おちばたきゞもとめることがあるにぎぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これをとまり山といふ。(山にとまりゐて㕝をなすゆゑ也)さて夏秋にいたればつみおきたるたきゞかわくゆゑ、牛馬ぎうばつかひてたきゞを家にはこびて用にあつる也。
貴方の方にたきゞが五十把あると松五郎殿の方にはまきが一把もえから、君が方にまきが有らばおらの方へ二十把ばかり分けて貰いてえ、いや分ける事はなんねえと云う場合に於てからに
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
盡し兄弟はらからなかむつましく兄は弟を思ひ弟は兄を尊敬うやまひ日々にち/\農業のうげふ耕作かうさく油斷ゆだんなくせいを出しひまある時は山に入てたきゞこり或ひは日雇ひよう走り使ひ等に雇はれ兩人とも晝夜を分たずかせぎて親半左衞門を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かつ河陽かやう金谷きんこく別莊べつさういとなむや、花果くわくわ草樹さうじゆ異類いるゐ禽獸きんじうひとつとしてあらざるものなし。とき武帝ぶていしうと王鎧わうがいへるものあり。驕奢けうしや石崇せきそう相競あひきそふ。がいあめもつかまれば、そうらふもつたきゞとす。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「どうしたもんだ、他人ひとのこと使つかつて小憎こにくらしいこと、そんなことふとおつけてつから」おつぎはいぶつたたきゞかね博勞ばくらうちかくへした。かね博勞ばくらうあわてゝ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かくてその年もくれて翌年よくとしの二月のはじめ、此弥左ヱ門山にいりたきゞを取りしかへるさ、谷におちたる雪頽なだれの雪のなかにきは/\しくくろものありはるかにこれを
春見は口へ手を当て様子をうかゞうとすっかり呼吸が止った様子ゆえ、細引をき、懐中へ手を入れ、先刻渡した千円の金を取返とりかえし、たきゞ木片こっぱ死人しびとの上へ積み、縁の下から石炭油せきたんゆびんを出し
つけて是迄は參りしなれども夜中やちういひ御知己おちかづきにも有らねば河岸かしにある材木ざいもくたきゞなどのかげにて夜をあか兩國りやうごくいたりて食事をなしよき時分じぶんと存じ只今たゞいま參上さんじやう仕つりしなり昨夜鈴ヶ森にて助十と御呼およびなされたるゆゑそれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
混堂ゆやつゞきて厨処だいどころあり、かまどにも穴ありて地火を引て物をにることたきゞに同じ。次に中のあり、ゆかの下より竹筩たけつゝを出し、口には一寸ばかりあかゞねはめて火をいださしむ。
只一人かゝる山の中に居って、みずか自然薯じねんじょを掘って来るとか、あるいきのこるとか、たきゞを採るとか、女ながら随分荒い稼ぎをしてかすかに暮しておるという独身者ひとりものさ、見れば器量もなか/\
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
囲炉裏ゐろりは五尺あまり、ふかさははひまで二尺もあるべし、たきゞおほき所にて大火おほびくゆゑ也。家にかちたるものは木鉢きばちの大なるが三ツ四ツあり、所にて作るゆゑ也。
たきゞ米なぞも運びますから
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
山々の喬木たかききも春二月のころは雪にうづまりたるがこずゑの雪はやゝきえ遠目とほめにも見ゆる也。此時たきゞきるやすければ農人等のうにんらおの/\そりひきて山に入る、或はそりをばふもとおくもあり。