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禍
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わざはひ
ふりがな文庫
“
禍
(
わざはひ
)” の例文
またそれが不意の風のやうに起つた
禍
(
わざはひ
)
であつたのであらうか。また自分のやうに靜かに襲つて來た病魔の仕業であつたかもしれない。
三十三の死
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
それを聽いてからお道には暗い陰が
絆
(
まつ
)
はつて離れなかつた。どんな
禍
(
わざはひ
)
が降りかゝつて來やうとも自分だけは前世の約束とも諦めよう。
半七捕物帳:01 お文の魂
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いかなれば我心は君をえ忘れず、いかなれば君は我心と化し給ひて、幸ある時も、
禍
(
わざはひ
)
に逢へる時も、君は我心を離れ給はざりけん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
自分のふとした罵倒が、瑠璃子父娘に、どんなに
禍
(
わざはひ
)
してゐるかと云ふことを聴けば、熱情な恋人は、どんな必死なことをやり出すかも分らない。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
恐
(
おそ
)
らく
私
(
わたくし
)
の
想像
(
さうぞう
)
は
誤
(
あやま
)
るまい、
實
(
じつ
)
に
天
(
てん
)
の
禍
(
わざはひ
)
は
人間
(
にんげん
)
の
力
(
ちから
)
の
及
(
およ
)
ぶ
處
(
ところ
)
ではないが、
今更
(
いまさら
)
斯
(
かゝ
)
る
災難
(
さいなん
)
に
遭
(
あ
)
ふとは、
實
(
じつ
)
に
無情
(
なさけな
)
い
次第
(
しだい
)
です。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
するとこの龍宮のお土産も、あの人間のもろもろの
禍
(
わざはひ
)
の種の充滿したパンドラの箱の如く、乙姫の深刻な復讐、或ひは懲罰の意を祕めた贈り物であつたのか。
お伽草紙
(旧字旧仮名)
/
太宰治
(著)
出やうが
早
(
はや
)
いと
魔劫
(
まごふ
)
が
未
(
ま
)
だ
除
(
と
)
れないから
何時
(
いつ
)
かはこれを
持
(
もつ
)
て居るものに
禍
(
わざはひ
)
するものじや、
一先
(
ひとまづ
)
拙者が
持歸
(
もちかへ
)
つて三年
經
(
たつ
)
て
後
(
のち
)
貴君
(
あなた
)
に
差上
(
さしあ
)
げることに
仕
(
し
)
たいものぢや
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
〔評〕
幕府
(
ばくふ
)
南洲に
禍
(
わざはひ
)
せんと欲す。
藩侯
(
はんこう
)
之を
患
(
うれ
)
へ、南洲を
大島
(
おほしま
)
に
竄
(
ざん
)
す。南洲
貶竄
(
へんざん
)
せらるゝこと前後數年なり、而て身益
壯
(
さかん
)
に、氣益
旺
(
さかん
)
に、讀書是より大に進むと云ふ。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
朕
(
わ
)
が
一二二
けんぞくのなすところ、人の
福
(
さいはひ
)
を見ては
転
(
うつ
)
して
禍
(
わざはひ
)
とし、世の
治
(
をさま
)
るを見ては
乱
(
みだれ
)
を
発
(
おこ
)
さしむ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
高木勇名といふ人が、伜を勘當したのも、
禍
(
わざはひ
)
の我が子に及ぶのを恐れたためだらう。萬一城彈三郎と生命のやり取りをして、勝てばいゝが、負けては取返しがつかない。
銭形平次捕物控:139 父の遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
禍
(
わざはひ
)
も悩みも昔と更に選ぶところない一ト色である。思想の進歩、道徳の進歩——何んにも無い。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
彼も
逭
(
のが
)
れ難き義理に迫りて連帯の
印捺
(
いんつ
)
きしより、不測の
禍
(
わざはひ
)
は起りてかかる憂き目を見るよと、
太
(
いた
)
く
己
(
おのれ
)
に懲りてければ、この際人に連帯を頼みて、同様の迷惑を
懸
(
か
)
くることもやと
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それ
鼬
(
いたち
)
の
道
(
みち
)
を
切
(
き
)
る
時
(
とき
)
押
(
お
)
して
進
(
すゝ
)
めば
禍
(
わざはひ
)
あり、
山
(
やま
)
に
櫛
(
くし
)
の
落
(
お
)
ちたる
時
(
とき
)
、
之
(
これ
)
を
避
(
さ
)
けざれば
身
(
み
)
を
損
(
そこな
)
ふ。
兩頭
(
りやうとう
)
の
蛇
(
へび
)
を
見
(
み
)
たるものは
死
(
し
)
し、
路
(
みち
)
に
小兒
(
こども
)
を
抱
(
だ
)
いた
亭主
(
ていしゆ
)
を
見
(
み
)
れば、
壽
(
ことぶき
)
長
(
なが
)
からずとしてある
也
(
なり
)
。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
俗
(
ぞく
)
の
欲
(
ほつ
)
する
所
(
ところ
)
は
因
(
よ
)
つて
之
(
これ
)
を
(二五)
予
(
あた
)
へ、
俗
(
ぞく
)
の
否
(
ひ
)
とする
所
(
ところ
)
は
因
(
よ
)
つて
之
(
これ
)
を
去
(
さ
)
る。
其
(
そ
)
の
政
(
まつりごと
)
を
爲
(
な
)
すや、
善
(
よ
)
く
禍
(
わざはひ
)
に
因
(
よ
)
つて
福
(
さいはひ
)
と
爲
(
な
)
し、
敗
(
やぶ
)
れを
轉
(
てん
)
じて
功
(
こう
)
と
爲
(
な
)
し、
(二六)
輕重
(
けいぢう
)
を
貴
(
たつと
)
び、
權衡
(
けんかう
)
を
愼
(
つつし
)
めり。
国訳史記列伝:02 管晏列伝第二
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
本当に
左様
(
さう
)
だ、先生を殺すものは先生の愛心だ、花ちやんを救ふ、すると直ぐ其れが先生に
禍
(
わざはひ
)
するのだ、其れに梅子さん——
何
(
どう
)
も不思議だ、
何故
(
なぜ
)
社会は
虚誕
(
きよたん
)
を伝へて喜ぶのだらう、が
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
世間の多くの人たちは何もかも神樣にお
任
(
まか
)
せして安心しようとします。ですが神樣は私共が
思慮
(
かんがへ
)
深くしてゐますときにはお惠みを下さいますが、神樣でも
禍
(
わざはひ
)
を防ぐ手だては下さいませんですから。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
弟の義經、範頼にも碌に福を分たぬのみならず、卻つて
禍
(
わざはひ
)
を贈つたのである。頼朝の家の爲に死力を出す人は少く、平家に忠臣の多かつたのも、偶然では無い。
奈破崙
(
なぽれおん
)
も亦能く福を分つた人である。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
生れながらにして自然の形を完全に備へ、自然の心を完全に有せる者は
禍
(
わざはひ
)
なるかな、けれど、この自然児は人間界に生れて、果して何の音もなく、何の
業
(
わざ
)
もなく、
徒
(
いたづ
)
らに
敗績
(
はいせき
)
して死んで了ふであらうか
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
第二の幽霊 不朽もかうなつちや
禍
(
わざはひ
)
だね。(書物を
抛
(
はふ
)
り出す。)
LOS CAPRICHOS
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そも勇者には、
忽然
(
こつねん
)
と
禍
(
わざはひ
)
福
(
ふく
)
に轉ずべく
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
怖
(
おそ
)
ろしい
禍
(
わざはひ
)
でないでせうか。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
さうして、これが
彼
(
か
)
の恐ろしい
禍
(
わざはひ
)
の來る前觸れではないかとも恐れられた。彼女の眼の前にもお文の姿がまぼろしのやうに現れた。
半七捕物帳:01 お文の魂
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
諸君
(
しよくん
)
は
好奇心
(
こうきしん
)
から
禍
(
わざはひ
)
を
招
(
まね
)
いた
罰
(
ばつ
)
として、
海底戰鬪艇
(
かいていせんとうてい
)
の
竣成
(
しゆんせい
)
した
曉
(
あかつき
)
にも、
裝飾
(
かざり
)
の
無
(
な
)
い
船室
(
せんしつ
)
に
辛房
(
しんぼう
)
せねばなりませんよ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
するとこの竜宮のお土産も、あの人間のもろもろの
禍
(
わざはひ
)
の種の充満したパンドラの箱の如く、乙姫の深刻な復讐、或いは懲罰の意を秘めた贈り物であつたのか。
お伽草紙
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
われは敢て自家を以て否運の兒となさじ。神の
禍
(
わざはひ
)
を轉じて
福
(
さいはひ
)
となし給へる
迹
(
あと
)
は
掩
(
おほ
)
ふ可からざるものあればなり。初めわれ不測の禍のために母上を
喪
(
うしな
)
ひまゐらせき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
が、その後伊之助はもう少し金が欲しくなり、殘して置いた迷子札を持つて、
強請
(
ゆすり
)
がましく御當家へ來たのを、後の
禍
(
わざはひ
)
を絶つ爲、
後閑
(
こが
)
樣が手に掛けた、——それとも、石澤樣かな
銭形平次捕物控:051 迷子札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
他の国にゆかしめば、必ずも後の
禍
(
わざはひ
)
となるべしと、
苦
(
ねんごろ
)
に教へて、又商鞅を
私
(
ひそ
)
かにまねき、吾汝を
一三四
すすむれども王
許
(
ゆる
)
さざる色あれば、用ゐずばかへりて汝を害し給へと教ふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
如此
(
かくのごと
)
き
輩
(
やから
)
を
出入
(
でいり
)
せしむる鴫沢の家は、
終
(
つひ
)
に不慮の
禍
(
わざはひ
)
を招くに至らんも知るべからざるを、と彼は心中
遽
(
にはか
)
に
懼
(
おそれ
)
を生じて、さては彼の恨深く
言
(
ことば
)
を
容
(
い
)
れざるを
幸
(
さいはひ
)
に、
今日
(
こんにち
)
は
一先
(
ひとまづ
)
立還
(
たちかへ
)
りて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
必ず一点の
汚涜
(
をどく
)
もありません——貴方の為めに
禍
(
わざはひ
)
の種となるのです、——篠田さん、我が
夫
(
つま
)
、何卒
御赦
(
おゆる
)
し下ださいまし、貴方の博大の御心には泣いて居るのです、私は
既
(
も
)
う決心致しました
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
やつと自分を襲つた
禍
(
わざはひ
)
の前後を思ひ出したやうであつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
そも勇者には、
忽然
(
こつねん
)
と
禍
(
わざはひ
)
福
(
ふく
)
に転ずべく
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
世に生れしは
禍
(
わざはひ
)
か
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
呪はれた母と娘とは
何方
(
どちら
)
が先に
禍
(
わざはひ
)
を受けるのであらうか。そんな恐れと悲しみとが彼女の胸一ぱいに擴がつて、あはれなる母は今年の白酒に酔へなかつた。
半七捕物帳:01 お文の魂
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
若
(
も
)
し
此樣
(
こん
)
な
禍
(
わざはひ
)
が
起
(
おこ
)
らなかつたなら、
今頃
(
いまごろ
)
は
既
(
すで
)
に
大佐
(
たいさ
)
の
家
(
いへ
)
に
歸
(
かへ
)
つて
居
(
を
)
つて、あの
景色
(
けしき
)
の
美
(
うる
)
はしい
海岸
(
かいがん
)
の
邊
(
へん
)
で、
如何
(
いか
)
に
愉快
(
ゆくわい
)
な
日
(
ひ
)
を
迎
(
むか
)
へて
居
(
を
)
るだらうと
考
(
かんが
)
へると
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
我は尊き愛の膏油を地上に
覆
(
くつがへ
)
して、これを焚いて光を放ち熱を發せしむるに及ばざりき。こは濫用して人に
禍
(
わざはひ
)
せしならねど、遂に徒費して天に
背
(
そむ
)
きしことを免れず。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
奉公大事ゆゑに
怨
(
うらみ
)
を結びて、憂き目に
遭
(
あ
)
ひし貫一は、夫の
禍
(
わざはひ
)
を転じて身の
仇
(
あだ
)
とせし
可憫
(
あはれ
)
さを、日頃の手柄に増して
浸々
(
しみじみ
)
難有
(
ありがた
)
く、かれを
念
(
おも
)
ひ、これを思ひて、
絶
(
したたか
)
に心弱くのみ成行くほどに
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
八一
何となく
悩
(
なや
)
み出でて、
八二
鬼化
(
もののけ
)
のやうに狂はしげなれば、ここに来りて幾日もあらず、此の
禍
(
わざはひ
)
に
係
(
かか
)
る悲しさに、
八三
みづからも
食
(
もの
)
さへわすれて
八四
抱
(
いだ
)
き
扶
(
たす
)
くれども、只
八五
音
(
ね
)
をのみ泣きて
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
百の
禍
(
わざはひ
)
も
何
(
なに
)
ぞ
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
“禍”の解説
禍(か)
(出典:Wikipedia)
禍
常用漢字
中学
部首:⽰
13画
“禍”を含む語句
災禍
禍害
禍殃
禍根
奇禍
禍乱
禍機
禍津日
禍福
禍事
八十禍津日
大禍津日
惨禍
禍因
黄禍論
戦禍
吉凶禍福
筆禍
筆禍史
言八十禍津日
...