祖母そぼ)” の例文
ちゝゆめだ、とつてわらつた、……祖母そぼもともにきてで、火鉢ひばちうへには、ふたゝかんばしいかをり滿つる、餅網もちあみがかゝつたのである。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また松島まつしまでは、老母ろうぼ少女しようじよとがあはせてはうむつてありましたが、これはさだめし祖母そぼ孫娘まごむすめとが同時どうじ病死びようししたものをはうむつたものとおもはれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
けれど、病気びょうきであったなら、ははも、祖母そぼも、かならずくちをそろえて、「おおかわいそうに。」といって、かえった自分じぶんなぐさめてくれるにちがいない。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
祖父そふにつきはなされた松女まつじょ祖母そぼにまつわって祖母そぼにしかられ、しくしくべそをかいて母のこしにまつわるのである。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
はるかに思いもよらぬ後方のぐんを抜いた空に、ぽっかり浮んでいるのは祖母そぼの頂である。離れて久住くじゅうの頂が、やや低いところに見える。英彦えひこが見える、市房いちふさが見える。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
重吉やいねから受けた器用さと思いつきのよさ、祖母そぼの血をついだらしい人づきあいのよさなどが人をくのか、引っきりなしの注文に実枝は夜をかして働いた。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
かならず身のこなしや足の運びように、祖母そぼから母への代々だいだいの練習が、積み重なっているのである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
またはるかの雲際うんさい祖母そぼ山脈、又それに並行した二、三の山脈を見はるかして景色がよい。
別府温泉 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
危險きけんをかしてめたといひ、十一歳じゆういつさいになる糸井重幸いとゐしげゆきといふ島津小學校しまづしようがつこう四年生よねんせいは、祖母そぼいもうととも下敷したじきになりながら、二人ふたりには退くちをあてがつて、自分じぶんだけはつてかへ
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
そして、ふらふらしながらあるつづけてゐるうち現實的げんじつてき意識いしきほとんえて、へんにぼやけたあたまなか祖母そぼ友達ともだちかほうかあがつたり、三四日前かまへにKくわん活動寫眞くわつどうしやしん場面ばめんはしつたりした。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
 すると父が母もまだ伊勢詣いせまいりさえしないのだし祖母そぼだって伊勢詣り一ぺんとここらの観音巡かんのんめぐり一ぺんしただけこの十何年ぬまでに善光寺ぜんこうじへお詣りしたいとそればかり云っているのだ
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わが祖母そぼの母はわが知らぬ人なれど
そぞろごと (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
祖母そぼ
祖母 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
にん子供こどもらは、よく祖母そぼや、母親ははおやから、ごとにてんからろうそくがってくるとか、また下界げかいで、このやまかみさまにいのりをささげるろうそくの
不死の薬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
祖母そぼと、ちゝと、きやくことばはしたが、言葉ことばも、晃々きら/\と、ふるへてうごいて、さへぎ電光いなびかり隙間すきまた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二箇所にかしよ火元ひもとゆきもつしにかゝつたが、祖母そぼいへよりも身體からだ大事だいじだといつて重幸少年しげゆきしようねんせいしたけれども、少年しようねんはこれをきかないで、幾度いくどゆきはこんでて、つひめたといふ。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
五月十一日 日曜 くもり 午前は母や祖母そぼといっしょに田打たうちをした。午后ごごはうちのひばがきをはさんだ。何だか修学旅行しゅうがくりょこうの話が出てから家中へんになってしまった。僕はもう行かなくてもいい。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
うみ生活せいかつ戦場せんじょうとするものには、うみうえぬことは、本望ほんもうです。わたしいのちは、うみささげます。どうぞ、祖母そぼ達者たっしゃのうちだけ、わたしいのちたすけてください。
海の踊り (新字新仮名) / 小川未明(著)
こゝの障子しやうじは、をさないものの夜更よふかしをまもつて、さむいに一まいけたまゝ、あられなかにも、ちゝ祖母そぼなさけゆめは、紙一重かみひとへさへぎるさへなく、つくゑのあたりにかよつたのであつた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
祖母そぼや母に気兼ねをしているのかもしれない。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「あんまり、一人ひとりとおくへゆくと、ひとさらいにれられていってしまう。」といった、祖母そぼ母親ははおや言葉ことばおもされて、わたしは、しみじみかなしくなっていていました。
子供の時分の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
……うか、とうもかへつておそろしくさむかつたので、いきなりちや六疊ろくでふはひつて、祖母そぼ行火あんくわすそはひつて、しりまでもぐると、祖母おばあさんが、むく/\ときて
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたし祖母そぼや、母親ははおやは、わたしいえまえからけっしてとおくへはやらなかったのであります。
子供の時分の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
祖母そぼ佛壇ぶつだんりんつてすわつた。わたしおなじやうにすわつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うみかみさま、どうぞ、わたしをおたすけください。わたしは、たよりないとしとった祖母そぼがあります。ちちは、やはりうみんだのでした。ははは、これをかなしんで、そのまもなく、なくなりました。
海の踊り (新字新仮名) / 小川未明(著)
年老としとった祖母そぼは、うみえるまどぎわに、仏壇ぶつだんにろうそくをあげ、まごが、やみなかをこいでくる時分じぶんに、この燈火ともしびあてにすることもあろうと、そのしたにすわって、無事ぶじかえるようにと
海の踊り (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれが、故郷こきょうのことをおもすと、まずこのやさしい祖母そぼ姿すがたかんだのです。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは、いつもその弱虫よわむしなかはいっていました。わたし祖母そぼ母親ははおやが、かわへいくことをあぶないといってきびしくしかったからです。そして、わたしはいつも弱虫よわむし仲間なかまはいって、うちほうへとかえっていきました。
子供の時分の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうかとおもうと、白髪しらが祖母そぼかおが、眼前がんぜんえて
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、あね祖母そぼが、三郎さぶろうにいいました。
少年の日の悲哀 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、三郎さぶろうは、あね祖母そぼにいいました。
少年の日の悲哀 (新字新仮名) / 小川未明(著)