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真直
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まつすぐ
ふりがな文庫
“
真直
(
まつすぐ
)” の例文
旧字:
眞直
与兵衛はさう考へながら、山の頂から
真直
(
まつすぐ
)
に川の方へ、
樹
(
き
)
の枝に
攫
(
つかま
)
りながら、
蔓
(
つる
)
に
縋
(
すが
)
りながら、大急ぎに急いで降りて行きました。
山さち川さち
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
引返して馬車を雇はうと思つたが
此
(
この
)
停車場
(
ステエシヨン
)
には馬車が居ないと曙村が云ふ。
路普請
(
みちぶしん
)
をして居る土方に聞くと、
此
(
この
)
路
(
みち
)
を
真直
(
まつすぐ
)
に
行
(
ゆ
)
け。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
髭
(
ひげ
)
を
濃
(
こ
)
く
生
(
は
)
やしてゐる。
面長
(
おもなが
)
の
瘠
(
やせ
)
ぎすの、どことなく
神主
(
かんぬし
)
じみた男であつた。たゞ鼻筋が
真直
(
まつすぐ
)
に通つてゐる所丈が西洋らしい。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しんとしたアカシヤの緑葉の並木の中には、狭いレエルを持つた
一条
(
ひとすぢ
)
の連頭路が
真直
(
まつすぐ
)
に真直に続いてゐるのが見わたされた。
アカシヤの花
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
方違神社から
真直
(
まつすぐ
)
に田圃の中を通つた道を町へ入つて来ますと、
其処
(
そこ
)
は
大小路
(
おほせうぢ
)
と云つて堺で一番広い町幅を持つた東西の道路になつて居ます。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
見
(
み
)
よ/\、
同
(
おな
)
じ
幻
(
まぼろし
)
ながら、
此
(
こ
)
の
影
(
かげ
)
は
出家
(
しゆつけ
)
の
口
(
くち
)
より
伝
(
つた
)
へられたやうな、
倒
(
さかさま
)
に
梁
(
うつばり
)
に
釣
(
つる
)
される、
繊弱
(
かよは
)
い
可哀
(
あはれ
)
なものでは
無
(
な
)
い。
真直
(
まつすぐ
)
に、
正
(
たゞ
)
しく、
美
(
うるは
)
しく
立
(
た
)
つ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『ミユンヘン人は何でも
真直
(
まつすぐ
)
に物云ひますから、先生も
喧嘩
(
けんくわ
)
なすつちやいけませんよ』などと云つたことがある。
日本媼
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
川蒸汽は
蔵前橋
(
くらまへばし
)
の下をくぐり、
廐橋
(
うまやばし
)
へ
真直
(
まつすぐ
)
に進んで行つた。そこへ向うから僕等の乗つたのとあまり変らない川蒸汽が一艘
矢張
(
やは
)
り
浪
(
なみ
)
を蹴つて近づき出した。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
向河岸
(
むかうがし
)
へつくと急に
思出
(
おもひだ
)
して近所の
菓子屋
(
くわしや
)
を探して
土産
(
みやげ
)
を買ひ
今戸橋
(
いまどばし
)
を渡つて
真直
(
まつすぐ
)
な道をば自分ばかりは
足許
(
あしもと
)
のたしかなつもりで、
実
(
じつ
)
は
大分
(
だいぶ
)
ふら/\しながら歩いて行つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
蓋
(
けだ
)
し人は生れながらにして理性を有し、希望を蓄へ、現在に甘んぜざる性質あるなり。社会の
夤縁
(
いんえん
)
に苦しめられず
真直
(
まつすぐ
)
に伸びたる小児は、本来の想世界に生長し、実世界を知らざる者なり。
厭世詩家と女性
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
「これを
真直
(
まつすぐ
)
にお
往
(
ゆ
)
きよ、さうすると
自然
(
ひとりで
)
にワシントンのお
家
(
うち
)
の前へ出ら。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
伝
(
つたへ
)
ていふ、
白髪
(
はくはつ
)
白
衣
(
い
)
の
老翁
(
らうをう
)
幣
(
へい
)
をもちてなだれに
乗
(
の
)
り
下
(
くだ
)
るといふ。また此なだれ須川村の方へ二十町余の処
真直
(
まつすぐ
)
に
突
(
つき
)
下す年は
豊作
(
ほうさく
)
也、菖蒲村の方へ
斜
(
なゝめ
)
にくだす年は
凶作
(
きやうさく
)
也。
其験
(
そのしるし
)
少
(
すこし
)
も
違
(
たが
)
ふ事なし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
亭乎
(
すらり
)
とした体を
真直
(
まつすぐ
)
にして玄関から上つて行くと、早出の生徒は、毎朝、控所の
彼方此方
(
かなたこなた
)
から駆けて来て、
敬
(
うやうや
)
しく渠を迎へる。中には
態々
(
わざわざ
)
渠に
叩頭
(
おじぎ
)
をする
許
(
ばつか
)
りに、其処に待つてゐるのもあつた。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
寂しけど煌々と照るのぼり坂ただ
真直
(
まつすぐ
)
にのぼりけるかも
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
マス君は
屡
(
しば/\
)
真直
(
まつすぐ
)
な鋭い剣を送つたが、
偶
(
たま/\
)
其れを避け外したカ君の
右腕
(
うわん
)
から血が流れた。
可
(
か
)
なり深い負傷であるに
拘
(
かゝは
)
らずカ君は戦闘を続けた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
此女は
素直
(
すなほ
)
な足を
真直
(
まつすぐ
)
に前へ
運
(
はこ
)
ぶ。わざと女らしく
甘
(
あま
)
へた
歩
(
ある
)
き
方
(
かた
)
をしない。従つて無暗に
此方
(
こつち
)
から手を貸す訳に行かない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
長く
真直
(
まつすぐ
)
に延びて、やつとひろびろした青空に出たやつが、折角枝を張つて見ると、幹が細く長いために、風などに逢つて、思ひきりいぢめられて
樹木と空飛ぶ鳥
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
今は
塞
(
ふさ
)
がつてゐるけれど、四五日
経
(
た
)
てばどれかが明くといふことである。かへり
途
(
みち
)
で、日本媼の息子は、『
民顕
(
ミユンヘン
)
人は何でも
真直
(
まつすぐ
)
に物いふから
喧嘩
(
けんくわ
)
してはいけませんよ』
南京虫日記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
と、
画工
(
ゑかき
)
さん、三
浦
(
うら
)
さんがばた/\と
出
(
で
)
た、その
自動車
(
じどうしや
)
が、
柴小屋
(
しばごや
)
を
小
(
ちい
)
さく
背景
(
はいけい
)
にして
真直
(
まつすぐ
)
に
着
(
つ
)
くと、
吹降
(
ふきぶり
)
を
厭
(
いと
)
つた
私
(
わたし
)
たちの
自動車
(
じどうしや
)
も、じり/\と
把手
(
ハンドル
)
を
縦
(
たて
)
に
寄
(
よ
)
つた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
半町四方程をつつんで
真直
(
まつすぐ
)
に天を貫く勢で上つて居ました。火の子はまかれる水のやうに近い家々の上へ落ちるのでした。女中の顔も、
丁稚
(
でつち
)
の顔も金太郎のやうに赤く見えました。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
と
唐突
(
だしぬけ
)
に訊いてみるが
好
(
い
)
い。愕堂氏は屹度鉛筆のやうに
身体
(
からだ
)
を
真直
(
まつすぐ
)
にして
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
松は尖つた岩の中から、
真直
(
まつすぐ
)
に空へ生え抜いてゐる。その
梢
(
こずゑ
)
には
石英
(
せきえい
)
のやうに、
角張
(
かどば
)
つた
雲煙
(
うんえん
)
が
横
(
よこた
)
はつてゐる。画中の景はそれだけである。しかしこの幽絶な世界には、
雲林
(
うんりん
)
の
外
(
ほか
)
に行つたものはない。
支那の画
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
其処
(
そこ
)
を辞して電車の通つて居るメエル
町
(
ちやう
)
を
真直
(
まつすぐ
)
に
行
(
ゆ
)
くと、三角に成つた街の人家に
打附
(
ぶつつ
)
かつて
路
(
みち
)
が
俄
(
にはか
)
に細く左右に分れ
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「
好
(
い
)
い
香
(
にほひ
)
でせう」と云つて、自分の
鼻
(
はな
)
を、
瓣
(
はなびら
)
の
傍
(
そば
)
迄
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
て、ふんと
嗅
(
か
)
いで見せた。代助は思はず
足
(
あし
)
を
真直
(
まつすぐ
)
に
踏
(
ふ
)
ん
張
(
ば
)
つて、
身
(
み
)
を
後
(
うしろ
)
の方へ
反
(
そ
)
らした。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
立
(
た
)
ちながら、すつと
白
(
しろ
)
い
裳
(
もすそ
)
が
真直
(
まつすぐ
)
に
立靡
(
たちなび
)
いて、
中
(
なか
)
ばでふくらみを
持
(
も
)
つて、
筋
(
すぢ
)
が
凹
(
くぼ
)
むやうに、
二条
(
ふたすぢ
)
に
分
(
わか
)
れようとして、
軟
(
やはらか
)
にまた
合
(
あ
)
つて、
颯
(
さつ
)
と
濃
(
こ
)
く
成
(
な
)
るのが、
肩
(
かた
)
に
見
(
み
)
え、
頸脚
(
えりあし
)
に
見
(
み
)
えた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
乗合馬車、乗合自動車の渦の中を
真直
(
まつすぐ
)
に横ぎり
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
角上
(
つのかみ
)
を
下
(
お
)
りた時、
日
(
ひ
)
は
暮
(
く
)
れ
掛
(
か
)
かつた。士官学校の
前
(
まへ
)
を
真直
(
まつすぐ
)
に
濠端
(
ほりばた
)
へ
出
(
で
)
て、二三町
来
(
く
)
ると
砂土原
(
さどはら
)
町へ
曲
(
ま
)
がるべき所を、代助はわざと電車
路
(
みち
)
に
付
(
つ
)
いて
歩
(
ある
)
いた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
鳥
(
とり
)
か
獣
(
けもの
)
か、こゝにバサリと
名
(
な
)
づくるものが
住
(
す
)
んで、
案山子
(
かゝし
)
に
呼出
(
よびだ
)
されたのであらう、と
思
(
おも
)
つたが、やがて
其
(
それ
)
が
二
(
ふた
)
つが
並
(
なら
)
んで、
真直
(
まつすぐ
)
にひよいと
立
(
た
)
つ、と
左右
(
さいう
)
へ
倒
(
たふ
)
れざまに、
又
(
また
)
ばさりと言つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
真直
(
まつすぐ
)
に本堂へ向ふ半町ばかりの路は、草だらけで
誰
(
だれ
)
も掃除の仕手が無い。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
真直
(
まつすぐ
)
に横断すればいいのである。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
野々宮が
此所
(
こゝ
)
へ
移
(
うつ
)
つてから、三四郎は二三度訪問した事がある。野々宮の部屋は
広
(
ひろ
)
い廊下を
突
(
つ
)
き
当
(
あた
)
つて、二段ばかり
真直
(
まつすぐ
)
に
上
(
のぼ
)
ると、
左手
(
ひだりて
)
に離れた
二間
(
ふたま
)
である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
真直
(
まつすぐ
)
に広場を横断するには
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
其内
(
そのうち
)
に時は段々
移
(
うつ
)
つた。代助は断えず置時計の
針
(
はり
)
を見た。又
覗
(
のぞ
)
く様に、
軒
(
のき
)
から
外
(
そと
)
の
雨
(
あめ
)
を見た。
雨
(
あめ
)
は依然として、
空
(
そら
)
から
真直
(
まつすぐ
)
に
降
(
ふ
)
つてゐた。
空
(
そら
)
は
前
(
まへ
)
よりも稍
暗
(
くら
)
くなつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
真
常用漢字
小3
部首:⽬
10画
直
常用漢字
小2
部首:⽬
8画
“真”で始まる語句
真
真似
真面目
真実
真中
真紅
真暗
真赤
真鍮
真白