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潔
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きよ
ふりがな文庫
“
潔
(
きよ
)” の例文
そして魂が浴する青春の泉は、力と喜悦との
潔
(
きよ
)
い光輝は、麗わしくかつ有益であって、人の心をますます偉大ならしむるものである。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
お通さんだけは、世間の悪も人間の表裏も知らずに、娘となり、おかみさんとなり、やがては婆さんとなって、
無憂華
(
むゆうげ
)
の
潔
(
きよ
)
い生涯を
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
翌日
(
よくじつ
)
の
明
(
あ
)
け
方
(
がた
)
、
子供
(
こども
)
は、ついにこの
世界
(
せかい
)
から
去
(
さ
)
りました。
雪
(
ゆき
)
は、その
道筋
(
みちすじ
)
を
潔
(
きよ
)
めるため、
白
(
しろ
)
く
化粧
(
けしょう
)
して、
野原
(
のはら
)
や、
森
(
もり
)
までを
清浄
(
せいじょう
)
にしました。
雲と子守歌
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「われ
雪水
(
ゆきみず
)
をもて身を洗い、
灰汁
(
あく
)
をもて手を
潔
(
きよ
)
むるとも、汝われを汚らわしき穴の中に
陥
(
おとし
)
いれ給わん、しかしてわが衣も我を
厭
(
いと
)
うに至らん」
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
お
追従
(
ついしょう
)
を並べていないが、大塩中斎あたりが、雪は
潔
(
きよ
)
し聖君立旗の野、風は
腥
(
なまぐさ
)
し
豎子
(
じゅし
)
山を走るの路なんぞとお太鼓を叩いているのが心外じゃ
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
「何ゆえ汝の弟子たちは古の人の言い伝えに従いて歩まず、
潔
(
きよ
)
からぬ手にて食事するか」と詰問したのです(七の一—五)。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
文吉は九郎右衛門にことわって、翌日行水して身を
潔
(
きよ
)
めて、玉造をさして出て行った。敵のありかと宇平の行方とを伺って見ようと思ったのである。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
仕事は複雑で、探険とともに
浚渫
(
しゅんせつ
)
の役をも兼ねていた。
潔
(
きよ
)
めながらまた同時に種々の測量をしなければならなかった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
また
神魂
(
たま
)
は骸と分かりては、なお清く
潔
(
きよ
)
かる
謂
(
いわ
)
れありとみえて、火の
汚穢
(
けがれ
)
をいみじく
忌
(
い
)
み、その
祭祠
(
まつり
)
をなすにも、
汚
(
けがれ
)
のありては、その
享
(
まつり
)
を受けざるなり
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
潔
(
きよ
)
くせよと申されければ平左衞門は
心中
(
しんちう
)
に偖々音に聞えし
名奉行
(
めいぶぎやう
)
だけありて
何事
(
なにごと
)
も
天眼通
(
てんがんつう
)
を得られし如き
糺問
(
きうもん
)
アラ恐しき
器量哉
(
きりやうかな
)
と暫時默止て居たりけり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私はその苦しみの中で、せめてはN家との縁談を断ってでも、幾分一身を
潔
(
きよ
)
くしようと決心したのでございます。
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
溜り水を瀦というも豕が汚水を好むからだろう。
蘇東坡
(
そとうば
)
仏印と飲んで一令を行うを要す。一庭に四物あり、あるいは
潔
(
きよ
)
くあるいはきたなく韻を
差
(
たが
)
うを得ず。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「おれだツて、もう友人の手を付けたものを二度とは、可愛がれないよ——たとひ、お前の決心は精神に於いてお前を
潔
(
きよ
)
めたものと許してやつても、ね。」
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
泰平つづきの
公方様
(
くぼうさま
)
の世だ。その新年の盛儀である。大手
下馬
(
げば
)
さきは掃き
潔
(
きよ
)
められて塵一本もとどめない。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そうして、女もし慎みと信仰と愛と
潔
(
きよ
)
きとに居らば、子を生む事に
因
(
よ
)
りて救わるべし、と言い結んである。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
天皇は非常にお
嘆
(
なげ
)
きになって、どうしたらよいか、神のお告げをいただこうとおぼしめして、
御身
(
おんみ
)
を
潔
(
きよ
)
めて、
慎
(
つつし
)
んでお
寝床
(
ねどこ
)
の上にすわっておいでになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
凡ては
潔
(
きよ
)
い静寂のうちに在った。月の光りは水銀のように重たい湖水の面に煙って薄すらとした靄に匂った。そして森や野や遠くの山まで一面に青白い素絹を投げた。
湖水と彼等
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
職務のためのこととはいいながら、前夜来のあだがましかった青まゆの女との不潔な酒のやりとりに、濁ったからだを
浄
(
きよ
)
め
潔
(
きよ
)
めるように、ばらばらとふりかけました。
右門捕物帖:04 青眉の女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その度附添婦はその赤いものに充たされたコップを戸外に持って行ってはそれを
潔
(
きよ
)
めて帰って来た。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
酷
(
むご
)
たらしい話をするとお思いでない。——聞きな。さてとよ……生肝を取って、
壺
(
つぼ
)
に入れて、組屋敷の
陪臣
(
ばいしん
)
は、行水、
嗽
(
うがい
)
に、身を
潔
(
きよ
)
め、
麻上下
(
あさがみしも
)
で、主人の邸へ持って行く。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうしてこの浜の小石というのは、本来はただの
数取
(
かずと
)
りではなかったのである。すなわち海の
潮
(
うしお
)
をもって、まず身と心を
潔
(
きよ
)
くしてから、祈りを神に申すという意味があった。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
鹿は
木実
(
きのみ
)
や清らかな草を好んで喰うと申すことで、鹿の肉は魚よりも
潔
(
きよ
)
いから召上れ、御婦人には尚お薬でございます……おい婆さん何を持って来て、ソレこれへ
打込
(
ぶっこ
)
みねえ
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
姜はそこで
懼
(
おそ
)
れて結納をかえした。薛老人は心配して、
牲
(
にえ
)
を
潔
(
きよ
)
めて祠に往って
祷
(
いの
)
った。
青蛙神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
おのおの貧富にしたがって、
紅粉
(
こうふん
)
を装い、衣裳を着け、その
装
(
よそおい
)
潔
(
きよ
)
くして華ならず、粗にして汚れず、言語
嬌艶
(
きょうえん
)
、容貌温和、ものいわざる者も
臆
(
おく
)
する気なく、笑わざるも悦ぶ色あり。
京都学校の記
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
これも御多分に
洩
(
も
)
れないズボラであって、一度は金のために奇禍を買ったので、その後を
潔
(
きよ
)
くする意味で雪後と改称したが、一生借金の苦労に追われて終に名を成す
遑
(
いとま
)
がない中に
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
更
(
さら
)
に
日本
(
につぽん
)
では、
火山
(
かざん
)
の
主
(
ぬし
)
が
靈場
(
れいじよう
)
を
俗界
(
ぞつかい
)
に
穢
(
けが
)
されることを
厭
(
いと
)
はせ
給
(
たま
)
ふがため、
其處
(
そこ
)
を
潔
(
きよ
)
める
目的
(
もくてき
)
を
以
(
もつ
)
て
時々
(
とき/″\
)
爆發
(
ばくはつ
)
を
起
(
おこ
)
し、
或
(
あるひ
)
は
鳴動
(
めいどう
)
によつて
神怒
(
しんど
)
のほどを
知
(
し
)
らしめ
給
(
たま
)
ふとしたものである。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
彼の
潔
(
きよ
)
しと謂ふなる直道が潔き心の同情は、彼の
微見
(
ほのめか
)
したる述懐の為に
稍
(
やや
)
動されぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ある人の言葉に、溪水を飮む地方の人は心までも
潔
(
きよ
)
いとやら。日頃飮む水の輕さ、重さ、荒さ、やはらかさが、自然とわたしたちの體質や氣質にまで影響することはありさうに思はれる。
桃の雫
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
暗い過去ではあつたがどうにか弱い身體と弱い心とを二十三歳の年まで
潔
(
きよ
)
く支へて來た彼女が、選りも選んで妻子ある男と駈落ちまでしなければならなくなつた呪うても足りない宿命が
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
宮柱太しく立てる神殿いと広く
潔
(
きよ
)
らなるに、
此方
(
こなた
)
より
彼方
(
かなた
)
へ
二行
(
ふたつら
)
に
点
(
とも
)
しつらねたる
御燈明
(
みあかし
)
の奥深く見えたる、祝詞の声のほがらかに澄みて聞えたる、胆にこたえ身に
浸
(
し
)
みて有りがたく覚えぬ。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
長い漂浪の旅から帰って来たお島たちを、思いのほか
潔
(
きよ
)
く受納れてくれた川西は、
被服廠
(
ひふくしょう
)
の仕事が出なくなったところから、その頃職人や店員の手を減して、店がめっきり寂しくなっていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「鉄幹君に酬ゆ」の篇には「
娶
(
めと
)
らず
嫁
(
ゆ
)
かず
天童
(
てんどう
)
の
潔
(
きよ
)
きぞ
法
(
はふ
)
と思ふもの」
『行く春』を読む
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
今は
縦
(
たと
)
い葛飾で出来た早稲の新米を神様に供えてお祭をしている大切な、身を
潔
(
きよ
)
くしていなければならない時であっても、あの
恋
(
いと
)
しいお方のことですから、
空
(
むな
)
しく家の外に立たせては置きませぬ
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
それから
己
(
おのれ
)
は草の上に
仰向
(
あおむ
)
けにねころんで快い疲労感にウットリと見上げる
碧落
(
へきらく
)
の
潔
(
きよ
)
さ、高さ、広さ。ああ我もと天地間の
一粒子
(
いちりゅうし
)
のみ、なんぞまた漢と
胡
(
こ
)
とあらんやとふとそんな気のすることもある。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
癩病
(
らいびやう
)
を
潔
(
きよ
)
くし、
死
(
し
)
したる
者
(
もの
)
を
甦
(
よみがへ
)
らせ、
鬼
(
おに
)
を
逐
(
お
)
ひ
出
(
だ
)
す
事
(
こと
)
をせよ。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
剣執り闘ふかぎり
斎庭
(
ゆには
)
なり塵だにとめじ朝
潔
(
きよ
)
めつつ
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
孤独者の
潔
(
きよ
)
き
水浴
(
ゆあみ
)
に真清水を噴く——
わがひとに与ふる哀歌
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
よし さあ
潔
(
きよ
)
くなれ
貧しき信徒
(新字新仮名)
/
八木重吉
(著)
彼は二人のどちらにも、最も
潔
(
きよ
)
い愛情をいだいていた。そして恋愛の何物であるかを知らなかったので、自分は恋してるのだと思っていた。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
(
否
(
いな
)
とよ。牢獄の闇にも、陽は
映
(
さ
)
したではないか。正大な天道の下には、この世ほど
潔
(
きよ
)
く気高い所はなく、人間程
崇厳
(
すうごん
)
善美
(
ぜんび
)
なものはないのだ)
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
◯次の十二節—十六節は「人はいかなる者ぞ、いかにして
潔
(
きよ
)
からん、女の産みし者はいかなる者ぞ、いかにして
義
(
ただ
)
しからん」
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
一歳半の方の子供は、かわいらしい腹部を
露
(
あら
)
わに見せていたが、その不作法さもかえって幼児の
潔
(
きよ
)
らかさであった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「その磯屋五兵衛を、あんたのような
潔
(
きよ
)
げな女が相識の模様でかばい立てしようとは、思わなんだ」
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
道徳的に
潔
(
きよ
)
い人間になろうと思えば思うほど、自分が下らない人間であることがわかってくる。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
ウンチミッタ辺で毎朝蝋のごとき粗製の黒砂糖と麦粉と
牛酪
(
バター
)
を練り合せて泥丸となし、馬に
嚥
(
の
)
ましめ、その後口を洗い歯を
潔
(
きよ
)
めやると見え、サウシの『
随得手録
(
コンモンプレース・ブック
)
』二には
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
と、半身を斜めにして、溢れかかる水の一筋を、玉の
雫
(
しずく
)
に、
颯
(
さっ
)
と散らして、赤く燃ゆるような唇に
請
(
う
)
けた。ちょうど
渇
(
かわ
)
いてもいたし、水の
潔
(
きよ
)
い事を見たのは言うまでもない。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ペテロよ、足だけ洗えば、もうそれで、おまえの全身は
潔
(
きよ
)
いのだ、ああ、おまえだけでなく、ヤコブも、ヨハネも、みんな汚れの無い、潔いからだになったのだ。けれども」
駈込み訴え
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それから集まる日には風呂を立てて、必ず身を
潔
(
きよ
)
めるということも意味がある。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
潔
(
きよ
)
く致せと云れけるに源八は
覺悟
(
かくご
)
をせし
樣子
(
やうす
)
にて
仰
(
おほせ
)
の如く我々白状致すべし先第一は
南都
(
なんと
)
に於て
大森通仙
(
おほもりつうせん
)
娘お高に
戀慕
(
れんぼ
)
致
(
いた
)
し戀の
叶
(
かな
)
はぬ
意趣
(
いしゆ
)
に鹿を殺し
通仙
(
つうせん
)
の家の前へ
置
(
おき
)
しにより通仙は
奈良
(
なら
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その男はそう言って
潔
(
きよ
)
く引受けたが、
胡散
(
うさん
)
な目をして笑っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
潔
常用漢字
小5
部首:⽔
15画
“潔”を含む語句
清潔
潔斎
純潔
不潔
皎潔
小清潔
潔癖
潔白
精進潔斎
高潔
清潔好
清浄潔白
潔清
潔浄
清潔法
廉潔
清廉潔白
不潔物
皓潔
簡潔
...