日輪にちりん)” の例文
此世界このせかい地球ちきうとなまろきものにて自分じぶんひながら日輪にちりん周圍まはりまはること、これをたとへば獨樂こまひながら丸行燈まるあんどう周圍まはりまはるがごとし。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
わたしたちの先祖せんぞは、ちょうどここにいなさるからすさんのご先祖せんぞといっしょに、日輪にちりんたにから、つなしばってそらげるときに、ほねをおったのです。
紅すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
俊寛 (月をにらみつつ)いかに月天子げってんしなんじの照らすこの世界をわしはのろうぞよ。汝の偶たる日輪にちりんをも呪うぞよ。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
稀薄きはくな空気がみんみん鳴っていましたがそれは多分は白磁器はくじきの雲のむこうをさびしくわたった日輪にちりんがもう高原の西を
インドラの網 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
丁度わたり一尺位に見える橙黄色たうわうしよく日輪にちりんが、真向うの水と空と接した処から出た。水平線を基線にして見てゐるので、日はずんずんのぼつて行くやうに感ぜられる。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
なぜこの花を日輪にちりん、すなわち太陽にたとえたかというと、あの大きな黄色の花盤かばんを太陽の面とし、その周辺に射出しゃしゅつしている舌状花弁を、その光線になぞらえたものだ。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
見るまに、それを一手として、つぎには、大岩山おおいわやま木之本附近きのもとふきん岩崎山いわさきやまのとりでとおぼしきところから山火事のような黒煙こくえんがうずをまいて、日輪にちりんの光をかくした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
戸をけて、海——かと思うた。家をめぐって鉛色なまりいろ朝霞あさがすみ。村々の森のこずえが、幽霊ゆうれいの様にそらに浮いて居る。雨かと舌鼓したつづみをうったら、かすみの中からぼんやりと日輪にちりんが出て来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
日輪にちりんを仰ぐ信仰や、山岳をうやまう信心は人間の抱く必然な感情でありました。我が国の日の丸の旗も、万物を照らし育てる太陽の大をたたえる心の現れだと見てよいでありましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
さて奧方ある夜のゆめ日輪にちりん月輪ぐわつりん兩手りやうてにぎると見給みたまひ是より御懷姙ごくわいにん御身おんみとはなり給ふ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
変らぬものはお日輪にちりんの慈悲ばかり。どうでもここは日蓮大菩薩を拝むべき場合。おれがこう言ったからには、そうさせにゃおかぬ。今日から念仏をやめてお題目をとなえることにする。
重吉漂流紀聞 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
僅かにわかるのはテダは日輪にちりんのことだが、ここではタクシという土地の頭目とうもくを意味し、その長久を石と金属との永続性によそえたもので、おそらくはこの「おもろ」の生まれた時代には
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
埃及エジプトと、羅馬ローマと、そうしてドラヴィデア王国の星たちが美々しく称神の舞踊をおどりつづけ、塔の根もとには向日葵ひまわり日輪にちりんへ話しかけ、諸国から遊学に来た大学者のむれが天文の書物を背負い
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
この軍艦ふね排水はいすい噸數とんすう二千七百ばかり、二本にほん烟筒ゑんとうきはめて壯麗さうれいなる裝甲巡洋艦さうかうじゆんやうかんである。いましも波浪なみまれて、此方こなたまはりしその艦尾かんびには、赫々かく/\たる日輪にちりんてらされて「日の出」の三あざやかにまれた。
背後うしろから呼ぶやさしい声に、医王山いおうざんの半腹、樹木の鬱葱うっそうたる中をでて、ふと夜の明けたように、空み、気きよく、時しも夏のはじめを、秋見る昼の月のごとく、前途遥ゆくてはるかなる高峰たかねの上に日輪にちりんあおいだ高坂こうさか
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼等かれらそと壁際かべぎはから麁朶そだの一つてものつた。舊暦きうれきの二ぐわつなかばると例年れいねんごと念佛ねんぶつあつまりがるのである。彼等かれらはそれが日輪にちりんたいする報謝はうしや意味いみしてるのでお天念佛てんねんぶつというてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
日輪にちりんまはる、廻る、廻る、おつそろしいほど真赤まつかな太陽が
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
此宿はのぞく日輪にちりんさへも
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
「地の上の日輪にちりんは我の姫。」
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
ほのほゆる日輪にちりん
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
また、なつ晩方ばんがたには、日輪にちりんに、おおきなたまころがるようにうみなかおともなくしずんでゆくこともありました。
紅すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
(……できない。できないから尊い。故に、もしそういう一者が出れば、一世の日輪にちりん、民の師父だが)
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正面まともに見てまぶしくない大きな黄銅色しんちゅういろ日輪にちりんが、今しも橋場はしば杉木立すぎこだちに沈みかけた所である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
大陽たいやうとは日輪にちりんのことなり。大陰たいゝんとはつきのことなり。れきとはこよみのことなり。ゆゑ大陽暦たいやうれきとは日輪にちりんもとにしてたてたるこよみ、大陰暦たいゝんれきとはつきもとにしてたてたるこよみとなり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
南の島々の父神は日輪にちりんであるが、その数ある所生しょせいの中に、生まれそこないのふさわぬ子があって、わざわいを人の世に及ぼす故に、小舟に載せて、これを大海に流すという点が、わが神代史の蛭子説話と
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
天心てんしんにかゞやくは、いち日輪にちりん
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
すずめさん、おうたがいは無理むりもありません。しかしこれには子細しさいのあることです。あなたはあの日輪にちりんが、ふか谷間たにましずんでいたときのことをおりですか。
紅すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
予言よげんの文字にいつけられていたひとみをあげてふと有明ありあけの空をふりあおぐと、おお希望の象徴しょうちょう! 熱血ねっけつのかがやき! らんらんたる日輪にちりん半身はんしんが、白馬金鞍はくばきんあん若武者わかむしゃのように
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すなは地球ちきう自轉じてんにてへば三百六十五と、四半分しはんぶんまはあひだに六億里おくりみちはしることなり。大陽暦たいやうれきはこの勘定かんぢやうもとにして日輪にちりん周圍まはり地球ちきう一廻ひとまはりするあひだを一年とさだめたるものなり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
其処そこには白金はつきん日輪にちりんちひさく
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
武将いでたちとなると、秀吉の威風いふう、あたりをはらって、日輪にちりんのごとき赫々かっかくさがある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日輪にちりん月輪げつりん
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日輪にちりん
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)