微妙びめう)” の例文
時候じこうと、ときと、光線くわうせんの、微妙びめう配合はいがふによつて、しかも、品行ひんかう方正はうせいなるものにのみあらはるゝ幻影まぼろしだと、宿やど風呂番ふろばんの(しんさん)がつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
兩性りやうせいしか他人たにんりてひとつに婚姻こんいん事實じじつ聯想れんさうすることから彼等かれらこゝろ微妙びめう刺戟しげきされる。彼等かれらすべてはことごと異性いせいまたらんとしてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
タツ! タツ! タツ! あゝあのおと形容けいようするのはむづかしい、なんといふ文字もんじまづしいことであらう、あれあんなにやさしい微妙びめうおとをたてゝゐるのに……。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
二人で相談してこんな芝居を打つといふ微妙びめうな細工は、半次や助七の智惠では出來さうもなく、それほど深いたくらみがないとすれば、お互に疑はれた業腹さで
ばけものゝ一めんきはめて雄大ゆうだい全宇宙ぜんうちう抱括はうくわつする、しかの一めんきはめて微妙びめうで、ほとんさいわたる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
太史公たいしこういはく、老子らうしたつとところみちは、(一二二)虚無きよむにして因應いんおうし、無爲むゐ變化へんくわす、ゆゑ著書ちよしよ(一二三)辭稱じしよう微妙びめうにしてがたし。莊子さうじ(一二四)道徳だうとくさんじて放論はうろんす、えうまたこれ自然しぜんせり。
而も日中、晴れわたつた壮厳さうごん微妙びめうの海に
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
みねたにかゝおもひくれなゐこずゑ汽車きしやさへ、とゞろきさへ、おとなきけむりの、ゆきなすたきをさかのぼつて、かる群青ぐんじやうくもひゞく、かすかなる、微妙びめうなる音樂おんがくであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すなはもつと高遠かうゑんなるは神話しんわとなり、もつと卑近ひきんなるはお伽噺とぎばなしとなり、一ぱん學術がくじゆつとく歴史上れきしじやうおいても、またぱん生活上せいくわつじやうおいても、じつ微妙びめうなる關係くわんけいいうしてるのである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
さらにくすんだあかけやきこずゑにも微妙びめう色彩しきさい發揮はつきせしめて、ことあひだまじつたもみぢ大樹たいじゆこれえないこずゑ全力ぜんりよく傾注けいちゆうしておどろくべき莊嚴さうごん鮮麗せんれいひかり放射はうしやせしめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
代々の後藤家は金座の御金改役として、天下の通貨をつかさどり、わけても祖先後藤祐乘の打つた極印に對しては、一種微妙びめうな鑑定法が、一子相傳的に傳へられて居たといふことです。
微妙びめう端厳たんごんなるその馬は
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
おつぎはどうといふこともなくむしほとん無意識むいしき青年せいねんるのであつたが、手拭てぬぐひしたひかあたゝかいふたつのひとみにはじやうふくんでることが青年等せいねんらにも微妙びめう感應かんおうした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あゝ、それぢや、木彫きぼり美人びじんが、ちゝのナイフに突刺つきさされて、暖炉ストーブなかかれたときまで、ちつとも秘密ひみつかさなかつた、微妙びめうのしたものは、同一おなじさいであつたかもれない。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その邊の微妙びめうな關係は、八五郎には解りさうもありません。
微妙びめう端厳たんごん緑玉エメロウド
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
またつね琥珀こはくもつおびとして、襲衣しふいうち人知ひとしれずつゝみてむ。立居たちゐたびになよやかなるたまほねひとつ/\こといとごと微妙びめうひゞきして、くもののし、にくくだかしめき。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ねえさん、』とつかまつたときなぞ、かたれると、ころりん、ころりんとそれじつに……なんとも微妙びめうかすかる、……父母ふたおやをはじめ、るほどのものは、なんだらうなんだらう、とひ/\したが
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから障子しやうじうちそとで、はなしをしたり、わらつたり、それから谷川たにがは二人ふたりして、其時そのとき婦人をんな裸体はだかになつて、わし背中せなか呼吸いきかよつて、微妙びめうかほりはなびらにあたゝかつゝまれたら、そのまゝいのちせてもい!
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)