“参詣:さんけい” の例文
“参詣:さんけい”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花18
紫式部12
柳田国男6
山本周五郎6
岡本綺堂5
“参詣:さんけい”を含む作品のジャンル比率
哲学 > 心理学 > 超心理学・心霊研究40.9%
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸9.7%
文学 > 日本文学 > 小説 物語2.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
姫君のために紫夫人は上賀茂かみがもやしろ参詣さんけいするのであったが、いつものように院内の夫人を誘ってみた。
源氏物語:33 藤のうら葉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
その翌日七時過ぎに起きて、いよいよみんなでブダガヤに参詣さんけいに出掛けるということで朝御飯をべることになった。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
当日は村民一同夜のひきあけに氏神諏訪社すわしゃへの参詣さんけいを済まして来て、まず吉例として本陣の門口に集まった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
頼朝の外出も、ある区域に限っては、狩猟しゅりょうに出るも、走り湯へ参詣さんけいにゆくも、かなり自由にされているらしい。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
入道は大事がって年に二度ずつ娘を住吉すみよしやしろ参詣さんけいさせて、神の恩恵を人知れず頼みにしていた。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
二月の二十日はつか過ぎに兵部卿ひょうぶきょうの宮は大和やまと初瀬はせ寺へ参詣さんけいをあそばされることになった。
源氏物語:48 椎が本 (新字新仮名) / 紫式部(著)
保名やすなは五六にん家来けらいれて、信田しのだ明神みょうじん参詣さんけいに出かけました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
神奈川県中郡秦野地方の習慣として、盆の十三日の晩より三日間、毎夜祖先のお墓へ参詣さんけいし、碑前にて麦からを燃やす例あり。
おばけの正体 (新字新仮名) / 井上円了(著)
叱っているうちに、参詣さんけいすべきお寺について相談している婆さんの五、六人が、電車とバスの間にはさまれてうろうろする。
太陽は黄金の会堂の屋根に洪水のように光を投げ、列を作って参詣さんけいする男女の市民の顔や肩へも、同じように光を浴びせている。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
二十三日に先生と共にまたカルカッタに帰り、その日の夜ただちに先生と共に立ってブダガヤに参詣さんけいすることになりました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それから後は、立山に参詣さんけいする人が、草鞋を持って登れば、特に大きな御利益ごりやくを授けることにしたといっております。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
青空にはとびが一羽ぴょろぴょろ鳴きながら舞っていて、参詣さんけいのひとたちは大社様を拝んでからそのつぎに青空と鳶を拝んだ。
ロマネスク (新字新仮名) / 太宰治(著)
一昨年おととしの夏ここへ来た時に下磯部しもいそべ松岸寺しょうがんじ参詣さんけいしたが、今年も散歩ながら重ねて行った。
磯部の若葉 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
朝のうち参詣さんけいの路で見た時には、あれほど生い茂ってどうしようかと思った田の草が、帰りに見るともう一つも残らずとってある。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
八王子を経て、甲斐国かいのくにに入って、郡内、甲府を二日に廻って、身延山みのぶさん参詣さんけいした。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
水月寺の尼僧達が盂蘭盆会うらぼんえを行ったので、その日はそれに参詣さんけいする女が四方から集まって来た。
封三娘 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
一行が逢坂おうさかの関を越えようとする日は、偶然にも源氏が石山寺へ願ほどきに参詣さんけいする日であった。
源氏物語:16 関屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
余が羽前うぜんの上の山温泉に行きたるとき、旅館の下女の案内にて名高い稲荷いなり参詣さんけいしてみた。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
妙見様へ参詣さんけいの帰りに友達のところへよると、殿村南平とのむらなんぺいという男がきていた。その男が、
安吾史譚:05 勝夢酔 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
いつのころかたいへん流行はやった弁天で、特に各地の花柳界の女性たちが参詣さんけいに列を作ったそうである。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
いつのころかたいへん流行はやった弁天で、特に各地の花柳界の女性たちが参詣さんけいに列を作ったそうである。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
彼はその日三沢家を代表して、築地の本願寺の境内けいだいとかにある菩提所ぼだいしょ参詣さんけいした。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「その安珍がまた、山伏のくせにばかに好い男なのだ、そうして熊野参詣さんけいの道すがら、清姫様のところで一夜の宿を借りたと思いなさい」
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
清水きよみずの方角にだけがたくさんに見えて多くの参詣さんけい人の気配けはいも聞かれるのである。
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
……参詣さんけい旁々かたがた遠眼にお姿を拝見したいから、六ツ半ごろ、眼に立つところにお立ち出でくださるようにと書いて差上げました。
平賀源内捕物帳:萩寺の女 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
常陸介と山尾とは、疫病の原因を知っているため、かえって疫病が恐ろしく他人ひとにも増して神社仏閣へ熱心に参詣さんけいするのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そのあひだに、千ねんすぎ並木なみきふかく、わたしたちは参詣さんけいしたので。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
——これは鎮守様へ参詣さんけいは、奈良井宿一統への礼儀挨拶あいさつというお心だったようでございます。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
午前の十時ころ、——仲町の通りは、浅草寺せんそうじ参詣さんけいする人で、かなりにぎわっていた。
筑前国ではず大宰府天満宮に参詣さんけいして祈願を籠め、博多はかた、福岡に二日いて、豊前国小倉こくらから舟に乗って九州を離れた。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
大久保彦左衛門おおくぼひこざえもん様おかかえ屋敷の横から鬼子母神へ出て、お参詣さんけいをすました。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
誰もが少しずつ遣るものですから、参詣さんけいの多い日の夕方などには、もう下りて来ないとのことでした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
たまたま門前に一人の跛者があって、毎日匍匐ほふくして参詣さんけいし、「ドウゾ神様、この足をなおして下され」と一心をこめて祈願している。
おばけの正体 (新字新仮名) / 井上円了(著)
参詣さんけい者はこの淵の上より銭を投げ下ろし、その沈み方を見て運命の吉凶を判断することになっている。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
彼女もまた何十年となく、毎年今頃に参詣さんけいすることにしてゐて、その占ひを信じてゐるのであつた。
哀しき父 (新字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
やがて半蔵は身をきよめ、かさ草鞋わらじなどを宿に預けて置いて、禰宜の子息むすこと連れだちながら里宮参詣さんけいの山道を踏んだ。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その皮の水鉄砲。小児こどもは争って買競かいきそって、手のなまぐさいのをいといなく、参詣さんけい群集のすきを見ては、シュッ。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
寧楽ならの盛時には、貴人はむろんかような風景をみつつ南大門から堂々と参詣さんけいしたのであろう。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
新吉は内で此の話を聞いて居りましたが、お久を葬むったと云うから参詣さんけいしなければ悪いと思い、
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ところがそのうちに嫁女が姙娠したことがわかると、オシノ婆さんは八幡様へ参詣さんけいしなくなった。
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「つい、そこの不動様ふどうさまへ、参詣さんけいったのさ。——そうしておまえさんは」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
参詣さんけいはしましたが、亀井戸の境内で、人間こうなると、目がくらみます、藤の花が咲いていたか、まだだったか、それさえも覚えていません。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
実は、横須賀のさる海軍士官の令嬢が、江の島へ参詣さんけいに出懸けたまま、今もって、帰って来ない。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこへ三つの団子を樹の枝の三つまたにさして、参詣さんけいかたがた村の人が焼きに来るのである。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
並んでいる茶店では、もうしきりに客を呼ぶ声がしていたし、参詣さんけいする人たちもかなり出ていた。
参詣さんけい人が長い廊下をまはつて本堂へ帰つてると、何時いつにか幾千本いくせんぼんの蝋燭が一度いちどいてゐる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
……参詣さんけいの散った夜更よふけには、人目を避けて、素膚すはだ水垢離みずごりを取るのが時々あるから、と思うとあるいはそれかも知れぬ。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
清盛が厳島いつくしま参詣さんけいする道をなおくするために切り開かした音戸おんど瀬戸せとで、傾く日をも呼び返したと人は申しまする。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
稲荷様いなりさまへの参詣さんけいは二のぎに、れの隠居いんきょ台詞通せりふどおり、つちへつかないあしかせて
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
わたし身延山みのぶさん参詣さんけいまゐつた者ですが、雪のめに難渋なんじふして宿屋やどやもなにもないやうでございますが
たちまち、このうわさが世間せけんつたわると、もはや、だれも、このやまうえのおみや参詣さんけいするものがなくなりました。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
家は古い料理屋で、東京から西新井にしあらいの薬師やお祖師様へ参詣さんけいする人たちの立ち寄って飲食する場所であったが、土地の客も少くなかった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
石山寺へ参詣さんけいさせようとして母の夫人から迎えがよこされることになっている日なのである。
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
——芝の三田から中目黒の不動堂へ参詣さんけいして、ここまで尋ねて来るのに半日かかった。だがこの目黒というところはなかなか見どころの多いところだ。
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
古美術の本を携えて夢殿見物に出かける人は多いが、たとえば親鸞しんらんの太子奉讃の和讃を心にとなえつつ参詣さんけいする人はまれであろう。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
その頃は神仏参詣さんけいが唯一の遊山ゆさんであって、流行の神仏は参詣人が群集したもんだ。
内宮ないぐう参詣さんけいした時にも、長者は外宮げぐうのような不敬な詞を繰返しました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
唖の巳代吉が裸馬はだかうまに乗って来た。女子供がキャッ/\さわぎながら麦畑の向うを通る。若い者が大勢おおぜい大師様の参詣さんけいに出かける。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
と祈っているのであった。国々の参詣さんけい者が多かった。大和守やまとのかみの妻も来た。その派手はでな参詣ぶりをうらやんで、三条は仏に祈っていた。
源氏物語:22 玉鬘 (新字新仮名) / 紫式部(著)
この魚市場に近い、本願寺別院—末寺ととなえる大道場へ、山から、里から、泊りがけに参詣さんけいする爺婆じじばばが、また土産にも買って帰るらしい。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
四万六千日の日で、境内は参詣さんけいの人たちでいっぱいだったが、念仏堂の脇の人混みの中で、二人は真正面から出会い、お互いを認めて立竦たちすくんだ。
ただ野田山の墳墓をはらいて、母上と呼びながら土にすがりて泣き伏すをば、此上無こよな娯楽たのしみとして、お通は日課の如く参詣さんけいせり。
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たとえ神社じんじゃへは参詣さんけいせずとも、熱心ねっしんこころねんじてくだされば、ちゃんとこちらへつうずるのでございますから……。
けるにしたがって、おどりのもちり、参詣さんけいの人もたえ、いつか、あなたこなたの燈籠とうろうさえ、一つ一つ消えかかってくる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寛永寺へ参詣さんけいした帰りだろう、どこかの大名の行列が、黒門から出て来て、往来の人たちは横丁へ避け、おみやと新八も、いそいで仲町のほうへ道を曲った。
ちょうどこの日であった、明石の君が毎年の例で参詣さんけいするのを、去年もこの春もさわりがあって果たすことのできなかった謝罪も兼ねて、船で住吉へ来た。
源氏物語:14 澪標 (新字新仮名) / 紫式部(著)
しかしそれまで幾度となく湯殿山に参詣さんけい道中だうちゆう自慢じまんであつた。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
修善寺の宿につくと、あくる日はすぐに指月ヶ岡にのぼって、頼家の墓に参詣さんけいした。
春の修善寺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ちょうどその夜は、三島明神の祭で、山木家の家人も、大半は参詣さんけいに出払っていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、いかなる高山へも毎年参詣さんけい者が登り、山上にこもりて修行することがある。
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)
長者の一行はようやく伊勢に着いて、外宮げぐう参詣さんけいしました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
七日まえにまず増上寺へ正式のお使者が立って、お参詣さんけいお成りのお達しがある。
その氏神への参詣さんけいを済ましても、まだ彼は家の方へ引き返す気にならなかった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
伊右衛門はますます恐れて雑司ヶ谷ぞうしがや鬼子母神きしもじんなどへ参詣さんけいしたが、怪異はどうしても鎮まらないで女房が病気になったところへ、四月八日
四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「東の夫人は参詣さんけいに出られたそうですね。あちらにいた人はまだおいでですか」
源氏物語:55 手習 (新字新仮名) / 紫式部(著)
愛宕山のいただきには小さきほこらありて、参詣さんけいの路は林の中にあり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
この親子の尼君が昔かけた願果たしに大和やまと初瀬はせ参詣さんけいした。
源氏物語:55 手習 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「大丈夫ですよ。あそこは、参詣さんけいの人も多いから、心配しないでくださいよ」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
大勘の姿が、参詣さんけい道に見えたという。もうグズグズしてはいられなかった。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家は参詣さんけい客のための茶屋で、飲み食いもできるように、座敷も幾つかある。
これは婦人れんが昨日すでに参詣さんけいしたというのを口実に、我々二人だけが行く事にしたのであるが、その実兄の依頼を聞くために自分が彼から誘い出されたのである。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれども、いずれそのうち、と云った、地蔵様へ参詣さんけいをしたのではない。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
或る男が賀茂かも参詣さんけいするとて、紙のはばきを巻いて家の前を通る。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そのコリント風の円柱の立った中には参詣さんけい人が何人も歩いていました。
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「六時に起きて、七時半に湯から出て、八時に飯を食って、八時半に便所から出て、そうして宿を出て、十一時に阿蘇神社あそじんじゃ参詣さんけいして、十二時から登るのだ」
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この地方を治める諸侯卿相も、赴任するとともにまずここに参詣さんけいする。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
軽井沢に一泊して善光寺に参詣さんけいしてそれから伏見山まで来て一泊した。
くだもの (新字新仮名) / 正岡子規(著)
ヒ、ヒ、ヒ、空ざまに、波の上の女郎花おみなえし桔梗ききょうの帯を見ますと、や、背負守しょいまもりの扉を透いて、道中、道すがら参詣さんけいした、中山の法華経寺か
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しからん、神様へ参詣さんけいする前に、遊女屋へ行く奴があるか」
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
摂津守が出て来て一行を饗応きょうおうした。普通の大臣の参詣さんけいを扱うのとはおのずから違ったことになるのは言うまでもない。明石の君はますます自分がみじめに見えた。
源氏物語:14 澪標 (新字新仮名) / 紫式部(著)
およめさんが水神すいじんさまのおやしろ参詣さんけいして、まごころをこめておいのりしてくれたおかげで、ふうじがとけて、このとおりりっぱなわかものの姿すがた
たにしの出世 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
伊勢いせへ、津島へ、金毘羅こんぴらへ、あるいは善光寺への参詣さんけいもそのころから始まって、それらの団体をつくって通る旅人の群れの動きがこの街道に活気をそそぎ入れる。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
伊勢の大廟たいびょうから二見の浦、宇治橋の下で橋の上から参詣さんけい人の投げるぜにを網で受ける話や、あいの山で昔女がへらでぜにを受けとめた話などをして聞かせた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
住居をる十町ばかりの築土八幡宮つくどはちまんぐう参詣さんけいして、愛児の病気を救わせ給えといのり、平生へいぜいたしなめる食物娯楽をさえにちたるに
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
参詣さんけいが果てると雑煮を祝って、すぐにお正月が来るのであったが、これはいつまでも大晦日おおみそかで、餅どころか、たもとに、煎餅せんべいも、かやの実もない。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
帰りには平河ひらかわの天神様へも参詣さんけいして行こうといった。
二階から (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その日、増上寺参詣さんけいを名として、大奥を出た将軍家の愛妾おみちの方の駕は、山内の休所で供の者を減らし、ほんのお忍び同様な二、三人で愛宕あたごの裏坂へ向って行った。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後世ごせこそ大事なれと、上総かずさから六部に出た老人が、善光寺へ参詣さんけいの途中、浅間山の麓に……といえば、まずその硫黄いおうにおい黒煙くろけぶりが想われる。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これは東山道方面ばかりでないと見えて、豊川稲荷とよかわいなりから秋葉山へかけての参詣さんけいを済まして帰村したものの話に、旅人の往来は東海道筋にも至ってさみしかったという。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)