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児
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ご
ふりがな文庫
“
児
(
ご
)” の例文
旧字:
兒
「だって俊夫君、留吉は物を言うことさえできぬじゃないか?
年齢
(
とし
)
は十五だそうだが、その知恵は三ツ
児
(
ご
)
にも劣っているそうだよ」
白痴の知恵
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
生れて間もないらしい
乳呑
(
ちの
)
み
児
(
ご
)
を抱えていたが、外にもう一人、六つぐらいになる男の児が彼女のうしろに
含羞
(
はにか
)
みながら食っ着いていた。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そう
言
(
い
)
われるお
爺
(
じい
)
さんのお
顔
(
かお
)
には、
多年
(
たねん
)
手
(
て
)
がけた
教
(
おし
)
え
児
(
ご
)
の
身
(
み
)
の
振
(
ふ
)
り
方
(
かた
)
のついたのを
心
(
こころ
)
から
歓
(
よろこ
)
ぶと
言
(
い
)
った、
慈愛
(
じあい
)
と
安心
(
あんしん
)
の
色
(
いろ
)
が
湛
(
ただよ
)
って
居
(
お
)
りました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
(ああ、ああ、弟のやつは、なんて大ばかなんだ。あれじゃ、
一生
(
いっしょう
)
かかったって、ものになりゃしない。
三
(
み
)
つ
児
(
ご
)
の
魂
(
たましい
)
百までっていうからなあ。)
こわいことを知りたくて旅にでかけた男の話
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
「私は、この
南村
(
なんそん
)
に住んでいる、鄭宰相の
独
(
ひと
)
り
児
(
ご
)
の宣揚と云う者でございますが、
今日
(
こんにち
)
貴君
(
あなた
)
に
讐
(
かたき
)
を打ってもらいましたから、お礼にあがりました」
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
名古屋へ進んで行く十数人の人影、いずれも女で黒ずくめ、闇の申し
児
(
ご
)
と云いたげである。ただし尋常な旅装い、もっとも歩き方がいささか異う。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
客人は、二十七八歳の、弱い
側妻
(
そばめ
)
を求めていた。向島の一隅の、しもたやの二階を借りて住まっていて、五歳のててなし
児
(
ご
)
とふたりきりのくらしである。
雌に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
こう
三
(
み
)
ツ
児
(
ご
)
でもたしなめるように、しっかりした声で——しかし静かに叱っているのは、かの老母に間違いなく
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「みなし
児
(
ご
)
たちをお助けくださいまし! なくなったセミョーン・ザハールイチの
饗応
(
もてなし
)
をおぼし召して!……貴族といってもいいくらいの!……ああ!」
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
僕が、あたまが重いので、散歩でもしようと玄関を出ると、向うから、車の上に
乳飲
(
ちの
)
み
児
(
ご
)
を抱いて妻がやって来た。顔の
痩
(
や
)
せが目に立って、色が真ッ青だ。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
母親は泣き立てる
乳呑
(
ちの
)
み
児
(
ご
)
を抱えて、お庄の
明朝
(
あした
)
の髪を
結
(
ゆ
)
ったり、下の
井戸端
(
いどばた
)
で
襁褓
(
むつき
)
を洗ったりした。雨の降る日は部屋でそれを
乾
(
ほ
)
さなければならなかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼は、夕暮れに、
迷
(
ま
)
い
児
(
ご
)
となった遅鈍な鶩を、剣をつけた銃で突き殺そうとした。そして、追っかけた。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
上野ではしのばず池のあの泥くさりの水で
粉
(
こな
)
ミルクをといて
乳
(
ち
)
のみ
児
(
ご
)
にのませた婦人さえありました。
大震火災記
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
みどり
児
(
ご
)
を、
片袖
(
かたそで
)
で胸に
抱
(
いだ
)
いて、
御顔
(
おんかお
)
を少し
仰向
(
あおむ
)
けに、
吉祥果
(
きっしょうか
)
の枝を肩に
振掛
(
ふりか
)
け、
裳
(
もすそ
)
をひらりと、片足を軽く挙げて、——いいぐさは
拙
(
つたな
)
いが、
舞
(
まい
)
などしたまう
状
(
さま
)
に
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ニラの神さまが
寄木
(
よりき
)
の神を誘うて、生まれ
児
(
ご
)
の運と寿命を
定
(
き
)
めにくるという語りもあれば、或いはまた
海幸山幸
(
うみさちやまさち
)
と浦島とを
繋
(
つな
)
ぎ合わせたような沖永良部島の一話にも
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
エホバの
愛
(
いと
)
し
児
(
ご
)
、日の神の王子ホルスとも
称
(
たた
)
うべき、地上最初の生命の群れに外ならなかったのだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
夕暮れには、赤い夕焼けの雲を望んで、弥勒の野に静かに
幼
(
おさ
)
な
児
(
ご
)
を
伴侶
(
はんりょ
)
としているさびしき、友の心を思うと書いてあった。弥勒野から都を望む心はいっそう
切
(
せつ
)
であった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
産み落した暁にお前の方で育てる事が出来なければ
己
(
おら
)
ア方で里に遣っても
大
(
えか
)
くするが、それともお前の方で引取るとも、金を附けて
他
(
わき
)
へくれて
父
(
てゝ
)
なし
児
(
ご
)
にするのは
不便
(
ふびん
)
だが
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
元来捨て
児
(
ご
)
だったのを、或る百姓に拾われて暫く育てられたが、また捨てられてしまった。
乞食
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
二人
(
ふたり
)
とも、あまり
年
(
とし
)
がいっていませんのに、もう
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
出
(
で
)
て
働
(
はたら
)
いて、
貧
(
まず
)
しい
一家
(
いっか
)
のために
生活
(
せいかつ
)
の
助
(
たす
)
けをしなければならないのです。
母親
(
ははおや
)
は、
乳飲
(
ちの
)
み
児
(
ご
)
を
抱
(
だ
)
いて
休
(
やす
)
んでいました。
ある夜の星たちの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ある時、あなたの子だと、名乗っているものがある、それが誠に美しい
容貌
(
ようぼう
)
の男の子なので、誰しもそれを疑わずにその者のいう通り、あなたの隠し
児
(
ご
)
であるのかと信じている。
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
まきの言ふところによるとひろ子の店は、ひろ子の親の店には違ひないが、父母は早く
歿
(
ぼっ
)
し、みなし
児
(
ご
)
のひろ子のために、
伯母
(
おば
)
夫婦が入つて来て、家の面倒をみてゐるのだつた。
蔦の門
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
江戸の
児曹
(
こども
)
が春の遊は、女
児
(
こ
)
は
繍毬
(
てまり
)
羽子擢
(
はごつき
)
、男
児
(
ご
)
は
紙鴟
(
たこ
)
を
揚
(
あげ
)
ざるはなし。我国のこどもは春になりても前にいへるごとく地として雪ならざる処なければ、
歩行
(
ほかう
)
に
苦
(
くる
)
しく
路上
(
みちなか
)
に遊をなす事
少
(
すくな
)
し。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
おゆうにほかに子供があったのではないかとさえ、きくのだ。お高は、すっかりその話に飽きてしまっていた。自分には兄弟も姉妹もないし、母に隠し
児
(
ご
)
があったなどとは、想像もできない。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
野良猫の
隠
(
かく
)
し
児
(
ご
)
を
発見
(
みつ
)
けたりするのは、大抵が床下で、もしか床下に何一つ落ちてないやうな
家
(
うち
)
があつたなら、そこの祖先は落す程の物を持合はさなかつたので、こんな気の毒な事はない筈だ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
お繁と
乳呑
(
ちの
)
み
児
(
ご
)
の妹とは、こうして親たちに捨てられたのであった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
汝
(
な
)
が
神経
(
しんけい
)
と
知覚
(
ちかく
)
とは
痛
(
いた
)
ましきほど
慄
(
わなな
)
けども、
力
(
ちから
)
なき
骨
(
ほね
)
なし
児
(
ご
)
よ。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
をさな
児
(
ご
)
も、
老
(
おい
)
も
若
(
わかき
)
も、さをとめも、妻も、夫も。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「褒美の代りに
減
(
へ
)
し
児
(
ご
)
を禁じてもらいたい」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「お前はたかが
父無
(
ててな
)
し
児
(
ご
)
じゃないか!」
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
今、世に来たりしみどり
児
(
ご
)
。
今、生まれしみどり児
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
わがをさな
児
(
ご
)
は賢し
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
いづくより 来ませし仏か 敷島の 大和の国に
廬
(
いほり
)
して
千年
(
ちとせ
)
へにける けふ日まで
微笑
(
ゑみ
)
たまふなり 床しくも 立ちたまふなり ほのぼのと 見とれてあれば 長き日に 思ひ積みこし
憂
(
うれひ
)
さり 安けくなりぬ
草枕
(
くさまくら
)
旅のおもひぞ ふるさとの わぎ
妹
(
も
)
に告げむ 青によし 奈良の都ゆ 玉づさの 文しおくらむ 朝戸出の 旅の門出に 送りこし わがみどり
児
(
ご
)
も 花咲ける 乙女とならば 友禅の
振袖
(
ふりそで
)
着せて 率ゐ行かむぞ このみ仏に
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
私は他の兄弟もない
独
(
ひと
)
り
児
(
ご
)
のことでしたから、非常に父からも母からも可愛がられていたのです、教育もフランス人とイタリヤ人の二人の教師を家へ呼んで
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「そちにとってはふた
児
(
ご
)
の姉、君尾の身の上心もとない。駕籠は危険、
矢弾
(
やだま
)
のマト。杉窪まではわずか半里。そちも紀州頼宣の娘、勇を
鼓
(
こ
)
して徒歩で行け!」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ええ、
人参湯
(
にんじんゆ
)
でございますからね」と、
乳呑
(
ちの
)
み
児
(
ご
)
を抱えた、近所の若いお
内儀
(
かみ
)
さんらしいのが話しかける。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
娘ならば、竜宮のもうし
児
(
ご
)
であると
称
(
とな
)
えても、茄子の
種子
(
たね
)
を
云々
(
うんぬん
)
より、恐らく聞くものは疑うまい。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
銀子が初めて不断着のままで、均平の屋敷を訪れた時、彼女は看板をかりていた
家
(
うち
)
の、若い
女主
(
おんなあるじ
)
と一緒であった。女主は誕生を迎えて間もない
乳呑
(
ちの
)
み
児
(
ご
)
を抱いていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
三
(
み
)
つ
児
(
ご
)
も知っていた
舌切雀
(
したきりすずめ
)
、お宿はどこじゃなどもその一つの場合であり、東北では
豆
(
まめ
)
こ
噺
(
ばなし
)
などといって、
座頭
(
ざとう
)
がよく人を笑わせた
大話
(
おおばなし
)
も、是から導かれているようだ。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
みなし
児
(
ご
)
の感じがしてなりません。無邪気に遊び狂っている人々は
嫉
(
ねた
)
ましく憤おろしく、それで花畑へ、果樹園へ自分と同じ気持らしい草木をなつかしみに避けて行くのでした。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
江戸の
児曹
(
こども
)
が春の遊は、女
児
(
こ
)
は
繍毬
(
てまり
)
羽子擢
(
はごつき
)
、男
児
(
ご
)
は
紙鴟
(
たこ
)
を
揚
(
あげ
)
ざるはなし。我国のこどもは春になりても前にいへるごとく地として雪ならざる処なければ、
歩行
(
ほかう
)
に
苦
(
くる
)
しく
路上
(
みちなか
)
に遊をなす事
少
(
すくな
)
し。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
それでも生れた子が
可愛
(
かわい
)
くはないかそなたがそんなに強情を張るなら
父
(
てて
)
なし
児
(
ご
)
を育てる訳には行かぬ
断
(
た
)
って縁組みが
厭
(
いや
)
だとあれば
可哀
(
かわい
)
そうでも
嬰児
(
ややこ
)
はどこぞへくれてやるより仕方がないがと子を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
あのひとが出たとしたら、それはみなし
児
(
ご
)
たちのことで、あの婦人を訪問したに違いないから。あの子たちは母親をなくしたんでね。わたしもちょっと手を出して、世話をしてやったんですよ。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
お繁と
乳呑
(
ちの
)
み
児
(
ご
)
の妹とは、こうして親たちに捨てられたのであった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そのうち四回は
双児
(
ふたご
)
を産み、一回は三
児
(
ご
)
を生んだといふ事だ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ああ
骨
(
ほね
)
なし
児
(
ご
)
よ。この
薄暮
(
くれがた
)
の
反射
(
はんしや
)
に
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その宰相の家には
宣揚
(
せんよう
)
と云う
独
(
ひと
)
り
児
(
ご
)
の秀才があったが、それが十八歳になると父の宰相は、同族の
両班
(
ヤンパン
)
の家から一人の女を見つけて来てそれを我が児の嫁にした。
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「それでもあなた、この葉之助は、
授
(
さずか
)
り
児
(
ご
)
ではございませぬか」お石は
咽
(
むせ
)
びながらまた云い出す。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして、その重いからだを、
乳呑
(
ちの
)
み
児
(
ご
)
のように抱いて、自分の寝ていたうすい夜具の中へかかえ入れた。トム公は、眼をあいていながら、母のなすがままに、甘えていた。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして
逆歯
(
さかば
)
の生えるみどり
児
(
ご
)
の全部でなく、
丙午
(
ひのえうま
)
の年に生まれた児にそうするといい、または赤ん坊が夜なきをしてこまるときにも、この日返り機を織って着せる村があった。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
児
常用漢字
小4
部首:⼉
7画
“児”を含む語句
嬰児
孩児
女児
幼児
小児
赤児
児童
男児
童児
児女
児戯
遺児
私生児
稚児
混血児
迷児
狗児
乳児
天児屋根命
児曹
...