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以
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もっ
ふりがな文庫
“
以
(
もっ
)” の例文
世の伝うるところの賽児の事既に
甚
(
はなは
)
だ奇、修飾を
仮
(
か
)
らずして、一部
稗史
(
はいし
)
たり。女仙外史の作者の
藉
(
か
)
りて
以
(
もっ
)
て筆墨を
鼓
(
こ
)
するも
亦
(
また
)
宜
(
むべ
)
なり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
かるが故に、新たなる啓示が出現した時には、
先
(
ま
)
ず
以
(
もっ
)
て、
旧
(
ふる
)
い啓示の上に築き上げられた迷信の大部分を
掃蕩
(
そうとう
)
するの必要に迫られる。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
雨か雪が降った後で非常によく晴れた、そして少くとも北西の風が秒速十米前後の速力を
以
(
もっ
)
て吹いて居る日であれば先ず
申分
(
もうしぶん
)
がない。
望岳都東京
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
こう云う代助は無論
臆病
(
おくびょう
)
である。又臆病で
耻
(
は
)
ずかしいという気は
心
(
しん
)
から起らない。ある場合には臆病を
以
(
もっ
)
て自任したくなる位である。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
里子は怨霊の本体を知らず、たゞ母も僕も此怨霊に苦しめられて居るものと信じ、祈念の誠を
以
(
もっ
)
て母と
所天
(
おっと
)
を
救
(
すくお
)
うとして居るのです。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
これを
以
(
もっ
)
てこれを見れば、古来貞操に関する
疑
(
うたがい
)
を受けて
弁疏
(
べんそ
)
する
能
(
あた
)
わず、
冤枉
(
えんおう
)
に死せし婦人の中にはかかる類例なしというべからず。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
若しや、この小蛇こそ、明智が想像した通り、怪賊魔術師が、死を
以
(
もっ
)
てこの世に送り出した、復讐の
魔虫
(
まちゅう
)
ではなかったのであろうか。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
金で
以
(
もっ
)
て、こんな白痴の妻——
否
(
いな
)
弄
(
もてあそ
)
び物に、自分をしようとしたのだと思うと、勝平に対する
憎悪
(
ぞうお
)
が又新しく心の中に蒸し返された。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
西洋の学者に往々
自
(
みず
)
から伝記を記すの例あるを
以
(
もっ
)
て、兼てより福澤先生自伝の著述を希望して、親しく
之
(
これ
)
を勧めたるものありしかども
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
西洋の学者に往々
自
(
みず
)
から伝記を記すの例あるを
以
(
もっ
)
て、兼てより福澤先生自伝の著述を希望して、親しく
之
(
これ
)
を勧めたるものありしかども
福翁自伝:01 〔慶應義塾の社中にては〕
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
私は病気その他いろいろの事情のために五六年前から今
以
(
もっ
)
て独居の生活を続けている。私は別に独身主義を主張しているわけではない。
独居雑感
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「マリー・ロージェー事件」を読んでいると、精巧な機械が、整然として運動し、
以
(
もっ
)
てその仕事を行ってゆく姿を見ているようである。
ヂュパンとカリング
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
例えば第九十二段に弓の修業の心得から修道者の覚悟を説くのでも、直ちに移して
以
(
もっ
)
て吾等科学研究者の坐右の銘とすることが出来る。
徒然草の鑑賞
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
否、私はむしろ切り離して、それ自体として見ることが正当で、格闘のあげくの殉国の情熱を最大の讃美を
以
(
もっ
)
て敬愛したいと思うのだ。
特攻隊に捧ぐ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
これは一例に過ぎないが、文章ないし国語の問題に対する創作家の冷やかな表情は、この一事を
以
(
もっ
)
てしても永く記憶されていいと思う。
翻訳遅疑の説
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
それにかかわらず男子より軽侮せられ従属者を
以
(
もっ
)
て冷遇されているのは、唯手足のみを器械的に働かして頭脳を働かさないからである。
婦人と思想
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
俄然
(
がぜん
)
鉱山の敷地が陥落をはじめて、建物も人も恐ろしい
勢
(
いきおい
)
を
以
(
もっ
)
て
瞬
(
またた
)
く間に総崩れに
陥
(
お
)
ち込んでしまった、ということが書いてある。
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
今日いずれの国の法律を
以
(
もっ
)
てしても、殺人罪は一番重く
罰
(
ばっ
)
せられる。間接ではあるけれども、ビジテリアンたちも又この罪を
免
(
まぬか
)
れない。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
彼は指の股に挟んで居た専門器械を
以
(
もっ
)
て電光の早さの
中
(
うち
)
に鎖を切断した。山吹色の懐中時計は訳もなく彼の掌中へ転げ込んで来た。
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
時の唇薄き群臣どもは、この事実を
以
(
もっ
)
て、アグリパイナの
類
(
たぐい
)
まれなる才女たる証左となし、いよいよ、やんやの
喝采
(
かっさい
)
を惜しまなかった。
古典風
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ベンヺ いや、これは
和睦
(
わぼく
)
させうためにしたことぢゃ。
劍
(
けん
)
を
藏
(
をさ
)
めい、でなくば、
其
(
その
)
劍
(
けん
)
を
以
(
もっ
)
て
予
(
わし
)
と
共
(
とも
)
に、こいつらを
引分
(
ひきわ
)
けておくりゃれ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
自分の名誉のために刀を
以
(
もっ
)
て立ち向って
呉
(
く
)
れた彼の
断乎
(
だんこ
)
たる態度、それだけでどんな恥辱も拭い去られるような気がしたのである。
城中の霜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
女の写真屋の話はそれ
切
(
ぎり
)
で、その後コッチから水を向けても「アレは空談サ」とばかり一笑に附してしまったから今
以
(
もっ
)
て不可解である。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
私はこういう心持を
以
(
もっ
)
て「鳥の名と昔話」を集めて見ようとしている。静かな山近くの村里に住む諸君の、援助を求めたいものである。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
◯ヨブの
曩
(
さき
)
の地位を
以
(
もっ
)
てしては、彼はむしろ友の多きに苦しんだであろう。しかしこれらの友は皆彼の
零落
(
れいらく
)
と共に彼を離れたであろう。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
で、
高等
(
こうとう
)
に
成
(
な
)
れば
随
(
したがっ
)
てより
強
(
つよ
)
き
勢力
(
せいりょく
)
を
以
(
もっ
)
て、
実際
(
じっさい
)
に
反応
(
はんのう
)
するのです。
貴方
(
あなた
)
は
医者
(
いしゃ
)
でおいでて、どうしてこんな
訳
(
わけ
)
がお
解
(
わか
)
りにならんです。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
彼の心は
事業
(
しごと
)
の方へ向いた。その自分の気質に適した努力の中に、何物を
以
(
もっ
)
ても
満
(
みた
)
すことの出来ない心の空虚を
充
(
みた
)
そうとしていた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「鬼黒田探偵秘譚」という、連作物の幾篇かに由って、才筆を謳われた石川大策氏が、其後筆を納めたのは、洵に
以
(
もっ
)
て
勿体
(
もったい
)
ない。
日本探偵小説界寸評
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「首の座に直っておる覚悟を
以
(
もっ
)
て、事に当ろうとする時ほど、すがすがしい心持の致すことはまたとないな。のう。どう思うか」
老中の眼鏡
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ことに
此
(
こ
)
の
家
(
や
)
の老婦人も兄も、全く同じ「崩れる鬼影」という言葉を叫んだのですから、いよいよ
以
(
もっ
)
て出鱈目ではありますまい。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
樺太
(
からふと
)
ハロ人雑居ノ地ナルヲ
以
(
もっ
)
テ、
彼此
(
ひし
)
親睦
(
しんぼく
)
、事変ヲ生ゼザラシメ、シカル後手ヲ下シ、功ヲ他日ニ収メン」とするものであり
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「
人
(
ひと
)
を
知
(
し
)
るは
難
(
かた
)
くして
易
(
やす
)
く、
自
(
みずか
)
ら
知
(
し
)
るは
易
(
やす
)
くして
難
(
かた
)
し、
但
(
ただ
)
し
当
(
まさ
)
にこれを
夢寐
(
むび
)
に
徴
(
ちょう
)
し
以
(
もっ
)
て
自
(
みずか
)
ら
知
(
し
)
るべし、
夢寐
(
むび
)
自
(
みずか
)
ら
欺
(
あざむ
)
く
能
(
あた
)
わず」と。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
洋燈
(
ランプ
)
の光
明
(
あきら
)
かなる四畳半の書斎、かの女の若々しい心は色彩ある恋物語に
憧
(
あこが
)
れ渡って、表情ある眼は更に深い深い意味を
以
(
もっ
)
て輝きわたった。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
主義に忠実なる同志兄弟姉妹よ。願わくば無政府党を日本全土より駆逐せよ、全世界より放逐せよ。而して
以
(
もっ
)
て社会改造の聖戦に驀進せよ。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
古
(
いにしえ
)
は
曾子
(
そうし
)
のいわく「
以
(
もっ
)
て六尺の孤を託す
可
(
べ
)
し、以て百里の命を寄す可し、大節に臨んで奪う可からず、君子人か君子人
也
(
なり
)
」と。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
また、人を導く上にも私の信ずるところの客観写生を
以
(
もっ
)
てします。それは決して感情を粗末にせよという意味ではありません。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
文治郎は細竹を
以
(
もっ
)
てズーッと突きさえすれば、ヒラリと高い屋根へ
飛上
(
とびあが
)
る妙術のある人でございますから、
何
(
なん
)
ぞ竹はないかと
四辺
(
あたり
)
を見ると
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
総て功利の念を
以
(
もっ
)
て物を
視
(
み
)
候
(
そうら
)
わば、世の中に
尊
(
とうと
)
き物は無くなるべし、ましてやその方が持ち帰り候伽羅は早速
焚
(
た
)
き試み候に
興津弥五右衛門の遺書
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
間
(
たまた
)
ま
荷葉
(
かよう
)
披麻
(
ひま
)
を
作
(
な
)
すものあり、波浪を
濯
(
あろ
)
うて
以
(
もっ
)
て
出
(
い
)
ず、交替去来、応接に
暇
(
いとま
)
あらず、けだし
譎詭
(
けっき
)
変幻中
(
へんげんちゅう
)
清秀
(
せいしゅう
)
深穏
(
しんおん
)
の
態
(
たい
)
を
帯
(
お
)
ぶ。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
加賀の国
黒壁
(
くろかべ
)
は、金沢市の郊外一
里程
(
りてい
)
の処にあり、魔境を
以
(
もっ
)
て
国中
(
こくちゅう
)
に鳴る。
蓋
(
けだ
)
し
野田山
(
のだやま
)
の奥、深林幽暗の地たるに因れり。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
古来人間が着物のこと衣裳のことに多大な関心を
以
(
もっ
)
てデザインが研究され、素地である織物、染色に驚くばかりの進歩が成し遂げられています。
近作鉢の会に一言
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
第四十五条 衆議院解散ヲ命セラレタルトキハ
勅命
(
ちょくめい
)
ヲ
以
(
もっ
)
テ
新
(
あらた
)
ニ議員ヲ選挙セシメ解散ノ日ヨリ五箇月以内ニ
之
(
これ
)
ヲ召集スヘシ
大日本帝国憲法
(旧字旧仮名)
/
日本国
(著)
しかし大きく廻る時代の歯車には、何物を
以
(
もっ
)
てしても反抗しようの無いことも事実です。幾度かの偶像破壊時代を経ても、残るものは残ります。
奇談クラブ〔戦後版〕:07 観音様の頬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし私は、昔、
球
(
たま
)
ころがしの店先きへ立った時位のうれしさを
以
(
もっ
)
てあらゆる動くものの速度や形の美しさを眺めている。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
伺
(
うかが
)
いまして私は何より
悦
(
よろこ
)
ばしく思います。氷水の害はお医者に聞いておりましたがさて何を
以
(
もっ
)
て氷水に
換
(
か
)
えようという事を
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
命
(
みこと
)
は
御国
(
みくに
)
にとりてかけがえのない、
大切
(
だいじ
)
の
御身
(
おみ
)
の
上
(
うえ
)
……
何卒
(
なにとぞ
)
この
数
(
かず
)
ならぬ
女
(
おんな
)
の
生命
(
いのち
)
を
以
(
もっ
)
て
命
(
みこと
)
の
御生命
(
おんいのち
)
にかえさせ
玉
(
たま
)
え……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
交易航海する強国は、和親を旨とし、日本に右様の緩優交易(自由貿易の意)取り結び候ほか、
実
(
まこと
)
に
以
(
もっ
)
て他事之無く候。
空罎
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
諸君は経験があるまいが、
以
(
もっ
)
て帳尻不足の銀行電話の口実にもなるし又以て債権者避けの楽天境でもある。——その五銭だから、僕の問題になる。
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
前にもいったように、私はより高い大きなものに対する欲求を
以
(
もっ
)
て、知り得たる現在に安住し得るのを自己に感謝する。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
老いたる親に思いもよらぬ
煩
(
わずらい
)
をかけて先だつ身さえ不幸なるに、死しての
後
(
のち
)
までかかる御手数をかけるは、何とも心苦しいが、
何卒
(
なにとぞ
)
この金を
以
(
もっ
)
て
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
以
常用漢字
小4
部首:⼈
5画
“以”を含む語句
以前
所以
以上
以来
以後
以太利
以外
前以
以為
以來
人間以上
今以
以而
細木香以
此以後
以降
角倉了以
以下
以爲
其以前
...