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亡
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な
ふりがな文庫
“
亡
(
な
)” の例文
田舎では
問屋本陣
(
とんやほんじん
)
の家柄であった女主は、
良人
(
おっと
)
が
亡
(
な
)
くなってから、自分の経営していた製糸業に失敗して、それから東京へ出て来た。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それで、ひすいを
見分
(
みわ
)
けるために、
御殿
(
ごてん
)
へ
召
(
め
)
された
老人
(
ろうじん
)
は、
妃
(
きさき
)
が
亡
(
な
)
くなられると、もはや、
仕事
(
しごと
)
がなくなったので
暇
(
ひま
)
を
出
(
だ
)
されました。
ひすいを愛された妃
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
嫂は毎日絶え間なく、
亡
(
な
)
くした
息子
(
むすこ
)
のことを嘆いた。びしょびしょの狭い台所で、何かしながら呟いていることはそのことであった。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
あなたのお母さんが
亡
(
な
)
くなられた時に、私はこれほど悲しいことはないと思ったが、女の人は世間と交渉を持つことが少ないために
源氏物語:36 柏木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
それは
亡
(
な
)
くなった実母への呼びかけであるかもしれぬ。ただ母をよぶ声だけで終っている手紙のどこにも、帰ってほしい言葉はない。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
▼ もっと見る
此
(
こ
)
の
二人
(
ふたり
)
は、
母
(
はゝ
)
の
父母
(
ふぼ
)
で、
同家
(
ひとついへ
)
に
二階住居
(
にかいずまひ
)
で、
睦
(
むつま
)
じく
暮
(
くら
)
したが、
民也
(
たみや
)
のもの
心
(
ごころ
)
を
覺
(
おぼ
)
えて
後
(
のち
)
、
母
(
はゝ
)
に
先
(
さき
)
だつて、
前後
(
ぜんご
)
して
亡
(
な
)
くなられた……
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼等は最初の勢いにも似ず、じり/\と警戒しながら、そして主人の
亡
(
な
)
き
骸
(
がら
)
を蹈まないように大廻りしながら、床の間の方へ進んだ。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ふり返って見ると、入院中に、余と運命の
一角
(
いっかく
)
を同じくしながら、ついに広い世界を見る機会が来ないで
亡
(
な
)
くなった人は少なくない。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから半年後に、父は(
脳溢血
(
のういっけつ
)
のため)ペテルブルグで
亡
(
な
)
くなった。母やわたしを連れて、そこへ引移ったばかりのところだった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
その子どもがかわいらしくって、きれいであるか、あるいはその人たちの
亡
(
な
)
くした子どものことを思い出させるとかいうならくれる。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
将軍家がこういう手続きをする前に、熊本花畑の
館
(
やかた
)
では忠利の病が
革
(
すみや
)
かになって、とうとう三月十七日
申
(
さる
)
の刻に五十六歳で
亡
(
な
)
くなった。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
頼朝が
未
(
ま
)
だ病気にならない時、
御所
(
ごしょ
)
の女房頭周防の
女
(
むすめ
)
の十五になる女の子が、どこが悪いと云うことなしに
煩
(
わずら
)
っていて
亡
(
な
)
くなった。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
今
(
いま
)
こそ
彼女
(
かのぢよ
)
は、
亡
(
な
)
き
夫
(
をつと
)
の
靈
(
れい
)
と
純潔
(
じゆんけつ
)
な
子供
(
こども
)
の
前
(
まへ
)
に、たとへ
一時
(
いつとき
)
でもその
魂
(
たましひ
)
を
汚
(
けが
)
した
悔
(
くゐ
)
の
證
(
あかし
)
のために、
死
(
し
)
ぬことが
出來
(
でき
)
るやうにさへ
思
(
おも
)
つた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
流るるごとき長州弁に英国仕込みの論理法もて
滔々
(
とうとう
)
と言いまくられ、おのれのみかは
亡
(
な
)
き母の上までもおぼろげならずあてこすられて
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「あら、お母さんもつい先頃
亡
(
な
)
くなりました。ニューイングランドの行商相手にかんしゃくをおこして、血管を破ってしまったんです」
リップ・ヴァン・ウィンクル:ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
それは母の
亡
(
な
)
くなったのちも、母のために
我儘
(
わがまま
)
にせられていた私を前と変らずに大事にし、一たびも疎略にしなかったほどだった。
花を持てる女
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
また身その分にあらざるに、暴力や呪言もてかかる財を取った者は、必ず後嗣
亡
(
な
)
しと(同氏の『グジャラット民俗記』一四〇頁)。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
ところでその流行病のおりに、マニョンは同じ日の朝と晩に、まだごく幼いふたりの男の児を
亡
(
な
)
くした。それは少なからぬ打撃だった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
継母にはまたしかられるかもしれないが
亡
(
な
)
き吉左衛門が彼にのこして行った本陣林のうちを
割
(
さ
)
いてその返済方にあてたいと頼んだ。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
けれど聞く方の
愕
(
おどろ
)
きは沙汰のほかだった。なぜならば松千代はすでに世に
亡
(
な
)
い者ということが誰もの通念になっていたからである。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また隣家の主婦も、またその隣家の主婦も日ならずして
亡
(
な
)
くなった。すると、その亡くなった斜め向いの主婦も間もなく死んでしまった。
睡蓮
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「こんどのおかあさんもいいおかあさんだから、
亡
(
な
)
くなったおかあさんと
同
(
おな
)
じように、だいじにして、いうことを
聴
(
き
)
くのだよ。」
松山鏡
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
でも、この
赤人
(
あかひと
)
といふ
人
(
ひと
)
は、かういふ
傾向
(
けいこう
)
の
景色
(
けしき
)
を
詠
(
よ
)
む
歌
(
うた
)
ひてを
亡
(
な
)
くして、だん/\
自分
(
じぶん
)
の
進
(
すゝ
)
むべき
領分
(
りようぶん
)
を
見出
(
みいだ
)
して
行
(
ゆ
)
きました。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「お孃さんが
亡
(
な
)
くなつたばかりのところへ、こんなことを訊くのは氣がなさ過ぎますが、調べの都合と思つて、勘辨して下さい」
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
早くから奥様とお子さんをお
亡
(
な
)
くしになってから熱心な
基督
(
キリスト
)
教信者となって、教育事業に生涯を捧げると言っておられる立派なお方です。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
唯懐
(
ただおもひ
)
を
亡
(
な
)
き人に寄せて、形見こそ
仇
(
あだ
)
ならず書斎の壁に掛けたる半身像は、
彼女
(
かのをんな
)
が十九の春の色を
苦
(
ねんごろ
)
に
手写
(
しゆしや
)
して、
嘗
(
かつ
)
て
貽
(
おく
)
りしものなりけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「今はね。ですがおありになつたのですよ——でなくも御親戚の方位はね。あの方は何年前かにお兄さまをお
亡
(
な
)
くしになつたのですよ。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
探偵の苦労というものを熟知しているこの検事には、親の
亡
(
な
)
い娘の身で、苦労し抜いている亡友の子への
不愍
(
ふびん
)
さが加わっているのであろう。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
しかし御二人とも御回春を見ずして、一カ月後の二月二十一日に膳大刀自が
亡
(
な
)
くなられ、その翌二十二日には太子が薨去せられたのである。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
云えば
直
(
すぐ
)
に殺されるか、刺違えて
死兼
(
しにかね
)
ぬ忠義
無類
(
むるい
)
の
極
(
ごく
)
頑固
(
かたくな
)
な
老爺
(
おやじ
)
でございますから、これを
亡
(
な
)
いものにせんけりアなりません。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
年
経
(
へ
)
て
朧気
(
おぼろげ
)
なる一個の写真ぞ安置せらる、
是
(
こ
)
れ此の伯母が、
未
(
いま
)
だ
合衾
(
がふきん
)
の式を拳ぐるに及ばずして
亡
(
な
)
き
数
(
かず
)
に入りたる人の影なり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
やがて櫛名田姫の
亡
(
な
)
き
骸
(
がら
)
は、生前彼女が用ひてゐた、玉や鏡や衣服と共に、須賀の宮から遠くない、小山の腹に埋められた。
老いたる素戔嗚尊
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いまの入江家は、少し違っている。結婚した人もある。
亡
(
な
)
くなられた人さえある。四年以前にくらべて、いささか暗くなっているようである。
ろまん灯籠
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
いちばんのお兄上の
伊邪本別皇子
(
いざほわけのおうじ
)
は、お父上の
亡
(
な
)
きおあとをおつぎになって、同じ
難波
(
なにわ
)
のお宮で、
履仲天皇
(
りちゅうてんのう
)
としてお位におつきになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
小さい子供を連れて、
亡
(
な
)
き夫のお墓に詣るらしい若い未亡人や、
珠数
(
じゅず
)
を手にかけた大家の老夫人らしい人にも、行き違った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その中、未亡人も没し、政吉氏も
亡
(
な
)
くなって、とても
大店
(
おおみせ
)
がやって行けなくなり、手元は
不如意
(
ふにょい
)
がちでついに店を人手に渡すことになりました。
幕末維新懐古談:44 東雲師の家の跡のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
事實
(
じゝつ
)
、
此世
(
このよ
)
に
亡
(
な
)
い
人
(
ひと
)
かも
知
(
し
)
れないが、
僕
(
ぼく
)
の
眼
(
め
)
にはあり/\と
見
(
み
)
える、
菅笠
(
すげがさ
)
を
冠
(
かぶ
)
つた
老爺
(
らうや
)
のボズさんが
細雨
(
さいう
)
の
中
(
うち
)
に
立
(
たつ
)
て
居
(
ゐ
)
る。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
それは和作の
亡
(
な
)
い父親と、当時死んで間もなかつた徳次郎の父との関係から来てゐた。二人は同じ藩の先覚者で、××伯系統の政治家であつた。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
しかし実際起ったのは、その晩父がまったく急に
亡
(
な
)
くなったことで、そのために他の事は皆そっちのけになってしまった。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
季康子問う、弟子
孰
(
たれ
)
か学を好むと
為
(
な
)
す。孔子
対
(
こた
)
えて曰く、
顔回
(
がんかい
)
という
者
(
ひと
)
ありて学を好みしが、不幸短命にして死し、今は則ち
亡
(
な
)
し。(先進、七)
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
重縁の親族というだけではない、
亡
(
な
)
き佐月さまから、周防さまへと、誰よりも親しく、心の底から信じあって来られた。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それが脚気を
煩
(
わづら
)
つて、二週間程の間に眼もふさがる位の
水腫
(
みづば
)
れがして、心臓麻痺で誰も知らないうちに
亡
(
な
)
くなつて居た。
お末の死
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
人の話だと、あの子の母親が
亡
(
な
)
くなる前、
莫大
(
ばくだい
)
な財産を一文のこらず、すっかりご主人の名義に書きかえたんですって。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そんなら
其子
(
そのこ
)
は
亡
(
な
)
くなつてか、
可憐
(
かわい
)
さうなと
奧
(
おく
)
さま
憐
(
あはれ
)
がり
給
(
たま
)
ふ、
福
(
ふく
)
は
得意
(
とくい
)
に、
此戀
(
このこひ
)
いふも
言
(
い
)
はぬも
御座
(
ござ
)
りませぬ、
子供
(
こども
)
の
事
(
こと
)
なれば
心
(
こゝろ
)
にばかり
思
(
おも
)
ふて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
君はこう云う「
和歌
(
うた
)
」知ってるかい? 「
嘆
(
なげ
)
きわび 身をば捨つとも
亡
(
な
)
き
影
(
かげ
)
に
浮名
(
うきな
)
流さむ ことをこそ思え……」
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
私は、出来たらば書いて見よう、と約束した。その後十年、二十年と月日が
経
(
た
)
って、茂雄君は
亡
(
な
)
くなってしまった。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
血の気を絞り取ってしまったら
乾干
(
ひぼ
)
しになって、孫を産む活力などは
亡
(
な
)
くなってしまいはしないかという気がする。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
女君は
一一七
国のとなりまでも聞え給ふ
美人
(
かほよびと
)
なるが、
一一八
此の君によりてぞ家
所領
(
しよりやう
)
をも
亡
(
な
)
くし給ひぬれとかたる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
それから後の噂は、藤沢は最近に妻を
亡
(
な
)
くし、ちょうど子供が無かったので、彼女を後妻に入れたのだと伝えた。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
黒き
蔦
(
つた
)
の葉の鳥なんどの如く風に搖らるゝも見ゆ。我は十字を切りて眠に就きぬ。
亡
(
な
)
き母上、聖母、刑せられたる盜人の手足、皆わが怪しき夢に入りぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
亡
常用漢字
小6
部首:⼇
3画
“亡”を含む語句
死亡
亡父
未亡人
逃亡
亡者
亡母
滅亡
亡妻
亡夫
亡魂
亡霊
流亡
亡兄
敗亡
遁亡
焼亡
亡骸
隠亡
御亡
罪亡
...