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荷
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にな
ふりがな文庫
“
荷
(
にな
)” の例文
膝の下の隠れるばかり、甲斐々々しく、水色
唐縮緬
(
とうちりめん
)
の腰巻で、
手拭
(
てぬぐい
)
を肩に当て、縄からげにして巻いた
茣蓙
(
ござ
)
を
軽
(
かろ
)
げに
荷
(
にな
)
った、
商
(
あきない
)
帰り。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鍛冶屋のお爺さんはいよいよ慌てて、お金を払って荷物を
荷
(
にな
)
って出てゆこうとしました。その袖を店の主人はしっかりと捕えまして
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
妙義
(
みょうぎ
)
の山も西に見えない。
赤城
(
あかぎ
)
、
榛名
(
はるな
)
も東北に陰っている。
蓑笠
(
みのかさ
)
の人が桑を
荷
(
にな
)
って忙がしそうに通る、馬が桑を重そうに積んでゆく。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
右の南条と覚しき奇異なる労働者は、相変らず毎日石を運んだり土を
荷
(
にな
)
ったりして、他の労働者と同じことに働いているのであります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
だが真柄の領内で、この太刀を
担
(
かつ
)
げる百姓はたった一人で、常に家来が四人で
荷
(
にな
)
ったというから、七尺八寸という方が本当かも知れない。
姉川合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
「武蔵野」もまた
頗
(
すこぶ
)
る雅文臭いもので、時代の先後をいったら二葉亭の方が当然その試みに率先した名誉を
荷
(
にな
)
うべきはずである。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
数千の軍中よりただ一人選抜された名誉は顧みぬとしても、全
源氏
(
げんじ
)
軍の名誉をただ一身に
荷
(
にな
)
って弓を引いたときの心はいかであったろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
顔を合せる度に、二人は
種々
(
さまざま
)
な感に打たれた。でも、正太は元気で、父の失敗を双肩に
荷
(
にな
)
おうとする程の意気込を見せていた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「それは違ふ、眼にも見えず、形にもあらはれぬ
業
(
ごう
)
といふ重荷を、われ/\はどれほど過ぎ
来
(
こ
)
しかたに人にも自身にも
荷
(
にな
)
はせてゐるか知れぬ」
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
身体強健、なおよく
鋤
(
くわ
)
を執り、
畚
(
もっこ
)
を
荷
(
にな
)
い、
旦暮
(
たんぼ
)
灌漑
(
かんがい
)
して
自
(
み
)
ずから楽んでおります。いわゆる
老而益壮
(
おいてますますさかん
)
なると申すは、この人の
謂
(
いい
)
でござりましょう。
禾花媒助法之説
(新字新仮名)
/
津田仙
(著)
ピラミッドを組み立つるおのおのの石塊は、全体をピラミッドたらしめた深く遠い原因と、全体より来る重力とを、おのれ自身の上に
荷
(
にな
)
っている。
ジャン・クリストフ:01 序
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
一行は私をいれて四人の他に、もう一人、これはどちらの下僕か知らないが、主人達の防寒具やら食糧やら弾薬やらを
荷
(
にな
)
った男がついて来ていた。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「さもあらうず。おぬしは今宵と云ふ今宵こそ、世界の苦しみを身に
荷
(
にな
)
うた『えす・きりしと』を負ひないたのぢや。」
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして、すぐそばにいながらしかも遠い彼女に向かって、その圧倒してくる重荷を自分にも共に
荷
(
にな
)
わしてくれと願った。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
この会見の栄を肩身狭くも双肩に
荷
(
にな
)
える余に向って婆さんは
媾和
(
こうわ
)
条件の第一款として命令的に左のごとく申し渡した
自転車日記
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
目見は
此
(
かく
)
の如く世の人に重視せられる
習
(
ならい
)
であったから、この栄を
荷
(
にな
)
うものは多くの費用を弁ぜなくてはならなかった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
暇
(
ひま
)
さえあればその事の
外
(
ほか
)
に余念もなく、ある時は運動がてら、
水撒
(
みずまき
)
なども
気散
(
きさん
)
じなるべしとて、自ら水を
荷
(
にな
)
い来りて、
切
(
せつ
)
に運動を勧めしこともありき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
僕は民さん
一寸
(
ちょっと
)
御出でと無理に背戸へ引張って行って、
二間梯子
(
にけんばしご
)
を二人で
荷
(
にな
)
い出し、柿の木へ掛けたのを民子に抑えさせ、僕が登って柿を
六個
(
むっつ
)
許りとる。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
少年時代からピアノに異常の才能を現し、両親の大きな期待を
荷
(
にな
)
って十五歳の時、パリ音楽院に入学し、ピアノとオルガンの演奏でしばしば賞を受けた。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
相伝
(
あいつた
)
う、
維亭
(
いてい
)
の張小舎、
善
(
よ
)
く
盗
(
とう
)
を察すと。たまたま市中を歩く。一人の衣冠甚だ整いたるが、草を
荷
(
にな
)
う者に遭うて、数茎を抜き取り、
因
(
よ
)
って
厠
(
かわや
)
にゆくを見る。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その話は敦賀港の町
外
(
はず
)
れで、
荷
(
にな
)
い茶屋を営業する小橋の利助といえる者、朝茶を売りて大問屋となり、出精するうち悪心起り、越中、越後に若い者を派遣し
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
谷間の泉から、苦力が水を
荷
(
にな
)
って病院まで登って来る道々、こぼした水が
凍
(
こお
)
って、それが毎日のことなので、道の両側に氷がうず高く、山脈のように連っていた。
雪のシベリア
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
其
(
そ
)
の
槃特
(
はんどく
)
が
相果
(
あひは
)
てゝから
之
(
これ
)
を
葬
(
はうむ
)
ると、
其墓場
(
そのはかば
)
へ
生
(
は
)
えたのが
茗荷
(
めうが
)
だと
云
(
い
)
ふ事だ、されば「名を
荷
(
にな
)
ふ」と書いて「めうが」と
読
(
よ
)
ませる、だから
茗荷
(
めうが
)
を
喰
(
く
)
へば
馬鹿
(
ばか
)
になる
(和)茗荷
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
僕はそれを想う
毎
(
ごと
)
に、友情を表明し得なかった腑甲斐なさを、
口惜
(
くちお
)
しく思い、残念に思い、不本意に思って、浅からぬ罪を
荷
(
にな
)
っている様な心持がして堪らなかった。
友人一家の死
(新字新仮名)
/
松崎天民
(著)
ふと林に入ろうとする畠から、
鋤
(
すき
)
を
荷
(
にな
)
った一人の百姓が出てきて、だんだんとこっちへおりてきたが、前の番頭に
出逢
(
であ
)
うと、二人は立ち留まって何ごとをか語った。
ネギ一束
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
この戦争はもはや、あの大戦役をもまたあの大政策をも思い起こさしめない悲しき運命を
荷
(
にな
)
っていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
だから「名を
荷
(
にな
)
う」という所から、「名」という字に、草冠をつけて「
茗荷
(
みょうが
)
」としたのだといいます。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
その棒にまた小さい棒を二本横たえてその棒を網のように
搦
(
から
)
み付け、その上に敷物を敷いて屍体を載せ、その屍体の上へ白い布片を被せた儘で人が
荷
(
にな
)
って行くんです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
古詩に「何
レ
蓑何
レ
笠」などという句もある。「何」は
荷
(
にな
)
うの意である。江為の詩に「何時洞庭上、春雨満
二
蓑衣
一
」とあるから、支那では「
蓑衣
(
さい
)
」なる言葉も用いた。
蓑のこと
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
然れども維新の戦乱は甚だ長からず、足利氏の末路に於て文学の庇護者たりし仏教は、此時に至りては既にその活力を失ひて、再び文学の庇護者たる名誉を
荷
(
にな
)
ふ能はず。
明治文学管見:(日本文学史骨)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
この事からも科学界における女性の栄誉を夫人が一身に
荷
(
にな
)
っていることがよくわかるでしょう。
キュリー夫人
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
添て
荷
(
にな
)
ひ不淨門へ向ひ屆ける
樣
(
やう
)
は今日用人平石次右衞門
老母儀
(
らうぼぎ
)
病死
(
びやうし
)
致候依て只今
菩提所
(
ぼだいしよ
)
へ送り申なり御門御通し下さるべしと
斷
(
ことわ
)
りけるに
當番
(
たうばん
)
の御小人目附は
錠
(
ぢやう
)
を明け駕籠を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
蜘蛛
(
くも
)
の巣までが、埃を
荷
(
にな
)
って太くなっている、立場つづきの人家は、丈は低いが、檜や
椹
(
さわら
)
の厚板で、屋根を葺いて、その上に石コロを載せている、松林の間から、北の方に
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
彼女は、長羅を身辺に引き寄せる手段として、
胄
(
かぶと
)
の上から人目を奪う
紅
(
くれない
)
の
染衣
(
しめごろも
)
を
纏
(
まと
)
っていた。一団の
殿
(
しんがり
)
には背に投げ槍と食糧とを
荷
(
にな
)
いつけられた数十疋の野牛の群が
連
(
つらな
)
った。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
段〻と左へ
燈光
(
ともしび
)
を移すと、大中小それぞれの民家があり、
老人
(
としより
)
や若いものや、
蔬菜
(
そさい
)
を
荷
(
にな
)
っているものもあれば、
蓋
(
かさ
)
を張らせて
威張
(
いば
)
って馬に
騎
(
の
)
っている
官人
(
かんじん
)
のようなものもあり
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
おん身若し
扶
(
たす
)
け起し給はずば、わが怪我はいかなりけん。されば我はおん身の恩を
荷
(
にな
)
へり。父母も
然
(
し
)
か思ひて、御身のいちはやく救ひ給ひしを感じ給ひぬ。獨り此事のみにはあらず。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
それは最劣等の土地の農業者の
荷
(
にな
)
う負担に比例して穀価を騰貴せしめるであろう。
経済学及び課税の諸原理
(新字新仮名)
/
デイヴィッド・リカード
(著)
混血というものの
荷
(
にな
)
いかた(女主人公として)にやはり問題があると思われます。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
然
(
しか
)
らば此
輕
(
かる
)
き舟とは何を
指
(
さ
)
すかと云ふに、口碑に隨へば、こは陸上にて
荷
(
にな
)
ひ
易
(
やす
)
く、水上にては人を乘するに
足
(
た
)
る物なりとの事なり。エスキモ其他
北地
(
ほくち
)
現住民の用ゐる獸皮舟は是に
似
(
に
)
たり。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
三百人も四百人も集つて、声を
嗄
(
か
)
らして歌ひながら、雨乞踊を踊つてゐますと、そこへ向ふの方から、青い物を
荷
(
にな
)
つた男が、一人やつて来ました。よく/\見ると、それは馬鹿七でありました。
馬鹿七
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
陳辯
(
いひわけ
)
も
分䟽
(
ぶんそ
)
も
聽
(
き
)
かぬ。
涙
(
なみだ
)
も
祈祷
(
きとう
)
も
罪
(
つみ
)
をば
贖
(
あがな
)
はぬぞよ。それゆゑに
何
(
なに
)
も
申
(
まう
)
すな。
急
(
いそ
)
ぎロミオを
退去
(
たちさ
)
らせい。さもなうて
見附
(
みつ
)
けられなば、
其時
(
そのとき
)
が
即
(
やが
)
て
最期
(
さいご
)
ぢゃ。
此
(
この
)
死骸
(
しがい
)
を
荷
(
にな
)
ひゆきて、
予
(
よ
)
が
命
(
めい
)
を
待
(
ま
)
て。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
彼は幕府を経由せずして、皇家と直接の関係を有したり。彼は京都に藩邸を置くの特許を得たり。彼は三条橋上を、白毛
毿々
(
さんさん
)
たる長槍を
荷
(
にな
)
い、
儀衛
(
ぎえい
)
堂々、横行
濶歩
(
かっぽ
)
して練り行くの特権を有したり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
幕府
砲臺
(
はうだい
)
を神奈川に
築
(
きづ
)
き、外人の來り觀るを許さず、木戸公
役徒
(
えきと
)
に雜り、自ら
畚
(
ふご
)
を
荷
(
にな
)
うて之を觀る。茶店の
老嫗
(
らうをう
)
あり、公の常人に非ざるを知り、善く之を遇す。公志を得るに及んで、厚く之に報ゆ。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
「しかし
先方
(
むこう
)
は御一緒に銀ブラの光栄を
荷
(
にな
)
っていますよ」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「三偉人と其背景」という講演をなすの光栄を
荷
(
にな
)
った。
琉球史の趨勢
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
児
(
こ
)
は
懐
(
ふところ
)
にいれ
死骸
(
しがい
)
は
簑
(
みの
)
につゝみ
夫
(
をつと
)
の
家
(
いへ
)
に
荷
(
にな
)
ひゆきけり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
帆織る戸へ
信天翁
(
おきのたいふ
)
を
荷
(
にな
)
ひ入る人めづらしや初冬の磯
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
そちが重責
荷
(
にな
)
った節婦になるのじゃ。
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
霜しろく
荷
(
にな
)
ひつれけり
肴
(
さかな
)
ふご 鶴声
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
でつちが
荷
(
にな
)
ふ水こぼしたり 兆
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
“荷”の意味
《名詞》
(に)運搬の対象となるもの。
(に)負担、責任。
(出典:Wiktionary)
荷
常用漢字
小3
部首:⾋
10画
“荷”を含む語句
荷物
薄荷
荷担
荷葉
荷厄介
茗荷谷
荷馬車
茗荷
一荷
茗荷屋
荷嵩
上荷
荷担夫
稲荷
荷車
荷足
荷拵
永井荷風
抱茗荷
荷梱
...