あつ)” の例文
第三、平素勝手元不如意ふにょいを申し立てながら、多く人をあつめ、酒振舞ふるまいなどいたし、武家屋敷にあるまじき囃子はやしなど時折りれ聞え候事
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
因って衆をあつめ自身の夢と侍臣が見た所を語り、一同これはきっとその穴に財宝がかくされおり王がこれを得るに定まりいると決した。
玉江さん暑い時分に唐辛とうがらしのような刺戟物がるのは暑くなると人の身体からだは皮膚へ熱の刺撃を受て内部の血液が皮膚の方へあつまります。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
敬太郎はどこの何物とも知れない男女なんにょあつまったり散ったりするために、自分の前で無作法に演じ出す一分時いっぷんじの争を何度となく見た。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いやしくもこの道に反せば、なんぞよく人民をあつめ、国を成し、不正をして正を犯すことを得ざらしめ、もってその治安を保つべけんや。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
その上に当代の有名な学者の数々をあつめているのであるから、この際思い切って気象台の観測事業の範囲を徹底的に拡張して
新春偶語 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ほりあめあとみづあつめてさら/\ときしひたしてく。あをしげつてかたむいて川楊かはやなぎえだが一つみづについて、ながちからかるうごかされてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
通「お前のうちにこれだけの幽霊の掛物をあつめるには、幽霊というものが有るか無いかをしかと知っての上でかように聚めたのでございましょう」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
鮎の蚊針かばりなどになると、色と糸の巻き方が一色違つても名が違ふ、それに土佐、加賀、と産地があつて、悉くあつめたら千余種にのぼるであらう。
日本の釣技 (新字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)
桜の根は貪婪どんらんたこのやうに、それを抱きかかへ、いそぎんちやくの食糸のやうな毛根をあつめて、その液体を吸つてゐる。
桜の樹の下には (新字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
あの燃えるような紅い花に、世界のありとある悪があつまっていたのだ。彼は罌粟けしからは阿片あへんの採れることを知っていた。
蒲田が一切を引受けて見事にらち開けんといふに励されて、さては一生の怨敵おんてき退散のいはひと、おのおのそぞろすすむ膝をあつめて、長夜ちようやの宴を催さんとぞひしめいたる。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
遠く望めばブランデンブルク門を隔てゝ緑樹枝をさしはしたる中より、半天に浮び出でたる凱旋塔の神女の像、この許多あまたの景物目睫もくせふの間にあつまりたれば
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
諸新聞の記事をあつめ、又警視庁の調書も読ませて貰い、なるほど証拠不充分、乃至ないしは証拠絶無の事実を合点することが出来たのであったが、どうしたものか
赤耀館事件の真相 (新字新仮名) / 海野十三(著)
方孝孺に語りたまわく、燕王は孝康こうこう皇帝同産どうさんの弟なり、ちん叔父しゅくふなり、われ他日宗廟そうびょう神霊にまみえざらんやと。孝孺曰く、兵一たび散すれば、急にあつむ可からず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
たちまちにして世人の視線をあつめ、未だ読まざるものはもって恥となし、一度読みたるものは嘖々さくさくその美を嘆賞し、洛陽の紙価これがために貴しという盛況を呈した。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
それを焚けば精気が溶けて散じ、再びあつまることが出来なくなる。また何かる所があれば妖をなす。それを焚けば憑る所をうしなう。それが物理の自然である。
彼らはまた吉凶を卜相し、厭符や巫術で病を療することを禁じられていた。寺院外に道場を設けて衆をあつめて教化し、みだりに罪福を説くことをも許されなかった。
俗法師考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
二 遠野の町は南北の川の落合おちあいにあり。以前は七七十里しちしちじゅうりとて、七つの渓谷おのおの七十里の奥より売買ばいばいの貨物をあつめ、そのいちの日は馬千匹、人千人のにぎわしさなりき。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
村人は趙七爺が村へ来たのを見てみな大急ぎで飯を済まして、七斤家の食卓のまわりにあつまった。
風波 (新字新仮名) / 魯迅(著)
緑葉が枝に対生し五、六月の候枝梢の傘房状をなして多数の五雄蕊小白花をあつめ開き、その時分に山野へ行くとそこここでこれに出会いその攅簇さんそうせる白花がよく眼に着く。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
三年東京六小学始メテ建ツヤ、第一小学大訓導ニ任ゼラレ、マタ命ヲこうむツテ教科書ヲ撰ス。東京府師範学校教諭、中学校教諭ニ歴任シ、かたわら家塾ヲ開キ徒ヲあつメテ業ヲ講ズ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
此處は村での景色を一處にあつめた。北から流れて來る北上川が、觀音下の崖に突當つて西に折れて、透徹る水が淺瀬に跳つて此吊橋の下を流れる。五六町行つて、川はまた南に曲つた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
凡そ政界にも、教界にも、旗亭に集まるものも、富豪の骨牌かるたづくゑのめぐりに寄るものも、社會といふ社會の限、必ず太郎冠者くわじやのやうなるものありて、もろ人の嘲戲は一身にあつまる習なり。
「うむ……たまらんさ。」と、先生も部屋を見廻して軽くうなずいたが、まゆのあたりが始終曇っていた。それでもこのような日にみんなあつまって来ているということが、大いなる満足であった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それ、一滴の雨水もあつまれば大洋を成し、一粒の土砂も合すれば地球を為す。余が力、微々なりといえども、熱心してこれを久しきに用うれば、又あるいは積て世に利益する所あらん乎(謹聴、喝采)。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
てんの・善人ぜんにん報施はうしする、如何いかん(四九)盜跖たうせき(五〇)不辜ふこころし、(五一)ひとにくかんにし、(五二)暴戻恣睢ばうれいしきたうあつむることすうにん天下てんか横行わうかうせしが、つひじゆもつをはれり。
人様々の顔の相好すまい、おもいおもいの結髪風姿かみかたち聞覩ぶんとあつまる衣香襟影いこうきんえいは紛然雑然として千態万状ばんじょう、ナッカなか以て一々枚挙するにいとまあらずで、それにこの辺は道幅みちはば狭隘せばいので尚お一段と雑沓ざっとうする。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その情の焦点をあつめているのであるから身にかえても不便ふびんでならぬ。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
右諸家の書をあつめ長を抜取り、人物格別功あるは学習院中へ神牌を設くる等の評議は中々大議に付き、天下の人物をあつめねば出来ず、人物聚らずとも諸国へ京師より人をつかわし豪傑の議論を聞聚め
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
称す是れ盗魁とうかい 匹として蜃気楼しんきろう堂を吐くが如し 百年の艸木そうぼく腥丘せいきゆうを余す 数里の山河劫灰こうかいに付す 敗卒庭にあつまる真に幻矣 精兵あなを潜る亦奇なる哉 誰か知らん一滴黄金水 翻つて全州に向つて毒を
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
地下水の響くをきけば月かげや鋼管の蓋にあつまり光れり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
今夕首をあつ
翩翩 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
物の理窟りくつのよく分かる所にあつまると早合点はやがてんして、この年月としつきを今度こそ、今度こそ、と経験の足らぬ吾身わがみに、待ち受けたのは生涯しょうがいの誤りである。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
腿の骨を肉の上からトントンと叩いて砕いておいて膝の下即ち脛の裏を庖丁でたてに裂くと八本の筋が其処そこあつまっています。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「おめえ、さういに自分じぶんとこれえばかしかねえでせな」とよわものところさかづきあつめてこまるのをようとさへするやうつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
桜の根は貪婪どんらんたこのように、それを抱きかかえ、いそぎんちゃくの食糸のような毛根をあつめて、その液体を吸っている。
桜の樹の下には (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
けれど、富むと云ふのはむさぼつてあつむるのではない、又貪つて聚めんけりや貨は得られんのではない、不正な手段をもちゐんでも、富む道は幾多いくらも有るぢやらう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
政治の権は教門の道とその本をおなじうせず云々うんぬん、その主とするところ人民をあつめ国を成し、不正をして正を犯すことを得ざらしめ、もってその治安を保す云々
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
シリア人の畑が毛虫に犯さるれば、素女をあつめてその内の一人を毛虫の母と定め、毛虫多い処へ伴れ行きて毛虫がここを去るから御気の毒ですと悔みを述ぶ。
遠く望めばブランデンブルゲル門を隔てて緑樹枝をさしわしたる中より、半天に浮かびいでたる凱旋塔がいせんとうの神女の像、このあまたの景物目睫もくしょうかんあつまりたれば
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
さア何うしたのだろう鮮血淋漓ちみどりちがい、一人は吊下ぶらさがって居るから驚きまして、隣と云っても遠うございますから駈出して人をあつめて来ましたが、此の儘に棄て置く訳にもきません
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
初大郷某ニ従テ游ビ、後ニヲ佐藤一斎先生ニ執ル。年十九、事ニ遇ヒ流移シテ遠州ニ客寓スルコトほとんど十年。ここニ於テ致仕シヲ都下ニ下シ徒ヲあつメテ教授ス。名声日ニ興ル。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
辻川博士の庭内に造られた鉄檻には、不思議にもこうした巨大な生き物ばかりがあつめられてあったのである。嘘のような巨大な生き物! どうしてこんな怪物が生じたのであろう。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
此処は村での景色を一処ひとところあつめた。北から流れて来る北上川が、観音下の崖に突当つて西に折れて、透徹る水が浅瀬に跳つて此吊橋の下を流れる。五六町行つて、川はまた南に曲つた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
景行天皇のみことのりにも、山に邪神あり、郊に姦鬼あり、みちを遮り、径に塞がりて、多く人を苦しましむとも、またそれを具体的に述べて、東夷のうち蝦夷もっとも強く、党類をあつめて辺界を犯し
人身御供と人柱 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
土民をもあつめて、黎明れいめいとともに、各山上において、大喊声だいかんせいを発せしめよ。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
政宗は小十郎の意見をただすと、小十郎は、天下の兵はたとえばはえのようなもので、これをってうても、散じてはまたあつまってまいりまする、と丁度手にして居た団扇うちわふるって蠅を撲つまねをした。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
以前は七七十里とて、七つの渓谷各七十里の奥より売買の貨物をあつめ、その市の日は馬千匹、人千人の賑はしさなりき。四方の山々の中に最も秀でたるを早池峰はやちねといふ。北の方附馬牛つくもうしの奥にあり。
遠野物語 (新字旧仮名) / 柳田国男(著)
地下水の響くをきけば月かげや鋼管の蓋にあつまり光れり
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)