番人ばんにん)” の例文
「こんどは、ゆだんをして、このおとこがすようなことがあってはならないぞ。」と、番人ばんにんは、目上めうえ役人やくにんから注意ちゅういをされました。
おけらになった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
でも、さいわい、ストックホルムのスカンセンという公園こうえん番人ばんにんのおじいさんにもらわれて、一月ひとつきばかりその公園の中でくらしました。
わたしはお稻荷いなりさまの使つかひですよ。このやしろ番人ばんにんですよ。わたしもこれでわか時分じぶんには隨分ずゐぶんいたずらなきつねでして、諸方はう/″\はたけあらしました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
また當時とうじ少女しようじよはまだきてゐて、そこからあまりとほくないむらんでゐるといふことを番人ばんにんをんなからきましたが
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
しばらくのあいだ、あれに住めといったばかり、要するに呂宋兵衛は、荒廃こうはいした南蛮寺の番人ばんにんにおかれたわけである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然うさ、阿父おやじの想は解かツてゐる、俺を家の番人ばんにんにしやうといふんだ………魂のある道具どうぐにして置かうといふんだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
おもことに一せん融通ゆうづうかなふまじく、いはゞたからくら番人ばんにんにておはるべきの、らぬつままでとは彌〻いよ/\重荷おもになり、うき義理ぎりといふしがらみのなくば
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
代目だいめ時代じだい鷄屋とりや番人ばんにん老人らうじんて、いろ/\世話せわをしてちやなどれてれてたが、其老人そのろうじんもなくんだので、んとなく寂寞せきばくかんじたのであつた。
水戸中納言綱條卿は越前守に打對うちむかひ給ひ其方死人の體にて不淨門ふじやうもんより出たりとの事なれば歸宅むづかしからんとの御意ぎよいに越前守平伏して御意の通御役宅を出候には番人ばんにん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つひ一晩ひとばんかさねえで、四手場よつでばぢいも、きし居着ゐつきのいはのやうだ——さてけばひよんなことぬまぬし魅入みいられた、なに前世ぜんせ約束やくそくで、じやうぬま番人ばんにんつたゞかな。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いちばんおしまいに、井戸いどのかれてしまった町にきました。ここでも福の子は、番人ばんにん
牢屋ろうや番人ばんにんは、たまげてしまいました。まったくかげのごとくにえてしまったこのおとこを、普通ふつうのものとはおもわれなかったのです。
おけらになった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしめる時分じぶんには、だれわたしふことを本當ほんたうにしてれるものはありませんでした。御覽ごらんとほり、わたしいま、お稻荷いなりさまのやしろ番人ばんにんをしてます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
かけたりける徳太郎君當然たうぜんの理に申わけなければ是非ぜひなく山田奉行の役宅やくたくへ引れ給へりさて其夜そのよ明家あきやへ入れ番人ばんにんを付て翌朝よくてう白洲しらすへ引出し大岡忠右衞門は次上下つぎがみしも威儀ゐぎたゞし若ものを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
やがて、のならなくなった木のはえている町へきますと、ここでも番人ばんにんが、福の子のへんじをっていました。そこで福の子は、おにからきいたとおりのことを話してやりました。
その不審ふしんはごもっともであるが、じつはきょうのうまこくまえに、南蛮寺なんばんじ番人ばんにん和田呂宋兵衛わだるそんべえをはじめその他の者が、ちりぢりばらばらとなって、桑名くわなのご陣へかけつけてまいりました
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さすがせて、とがつたつらなが尻尾しつぽさぬけれど、さてうしてには、足代あじろんで四手よつでしづめて、身体からだつて、ていよく賃無ちんなしでやとはれたじやうぬま番人ばんにん同然どうぜん寐酒ねざけにもらず
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのおとこは、なんでも昼間ひるまくろ百合ゆりはなろうとしたのです。それを番人ばんにんつかって、しかられたのです。おとこは、よる、ここへやってきました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしもひと金米糖こんぺいたうでもいたゞいて、みなさんのおともをしたいものです。御覽ごらんとほり、わたしはこの棧橋かけはし番人ばんにんでして、みなさんのおともをしたいにも、こゝをいてはかれません。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
付てうはさしけるゆゑ彌々いよ/\人々あつまり來り自身番の前はきりを立る地もなき程なれば番人ばんにん鐵棒かなぼうを引出し皆々人を拂ひ退のけるに笠原粂之進は大橋文右衞門并びに油屋の番頭久兵衞の兩人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ふくの子がずんずん歩いていきますと、やがて、とある大きな町にきました。町の門のところで、番人ばんにんが、おまえはどんなしょくをこころえているか、どんなことを知っているか、と福の子にたずねました。
はあ、よもや、とはおもふたが、矢張やつぱなまづめがせたげな。えゝ、らちもない、とけて、また番人ばんにんぢや、と落胆がつかりしたゞが、ばんもう一度いちどく、とつともよるけても、何時いつもかげうつらなんだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
番人ばんにんは、またと、そんなような手落ておちがあっては、自分じぶん生活せいかつ関係かんけいすると、不安ふあんかんじましたから、日夜にちやおこたりなく、このおとこ注意ちゅういしたのであります。
おけらになった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、先生せんせいのおかあさんと、おとうとさんは、そのまちにあった、教会堂きょうかいどう番人ばんにんをなさっていることもったのでした。
青い星の国へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
つまにはわかれ、たよりとする子供こどもも、また病気びょうきでなくなり、わたしは、中風ちゅうふう気味きみで、半身はんしんがよくきかなくなりましたので、はたらくにもはたらかれず、たとえ番人ばんにんにさえもやとってくれるひとがありませんので
窓の下を通った男 (新字新仮名) / 小川未明(著)