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敢
>
あ
ふりがな文庫
“
敢
(
あ
)” の例文
蹴爪
(
けづめ
)
を高く上げて、あたかも生きているあいだは
武侠
(
ぶきょう
)
の精神のおかげで
敢
(
あ
)
えて
請
(
こ
)
おうとしなかった助命を切望しているように見えた。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
俺は伍長の不幸な話を聞いたから
敢
(
あ
)
えて云うんだ。貴様ア避難民の住宅や、工場の為に一家を離散させられたと思ったら間違いだぞ。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
と言って
莞爾
(
にっこり
)
として、
敢
(
あ
)
えて
咎
(
とが
)
めることをしませんでした。お君が給仕としてこの室に入ることを許されている唯一の者であります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
巷説
(
こうせつ
)
の魯迅の転機は、私にはどうしても少し
腑
(
ふ
)
に落ちないところがあるので、
敢
(
あ
)
えて苦手の理窟を大骨折りで述べて見た次第である。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
結局
(
けつきよく
)
麻雀界
(
マアジヤンかい
)
から
抹殺
(
まつさつ
)
されるに
到
(
いた
)
つたなどは
甚
(
はなは
)
だ
殷鑑
(
ゐんかん
)
遠
(
とほ
)
からざるものとして、その
心根
(
こゝろね
)
の
哀
(
あは
)
れさ、
僕
(
ぼく
)
は
敢
(
あ
)
へて
憎
(
にく
)
む
氣
(
き
)
にさへならない。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
▼ もっと見る
敢
(
あ
)
えて諸君に反問したい。余は諸君の要請に応えて、世界一の飛行機を、世界一の艦艇を、世界一の弾薬数量を諸君の許へ送っている。
諜報中継局
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
という
畏怖
(
いふ
)
のみが先だって、信長が、武門の節義を正すために
敢
(
あ
)
えてした
大乗的
(
だいじょうてき
)
な憤りまでを読み知ることはできないのである。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
敢
(
あ
)
えなき
最期
(
さいご
)
、弱る心を
励
(
はげ
)
まして、私は小供
対手
(
あいて
)
にやはり紙屑拾いをばその日の
業
(
わざ
)
となしたりしに、
天道
(
てんどう
)
さまも聞えませぬ、貧乏こそすれ
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
されども
堰
(
せき
)
敢
(
あ
)
へず流るるは恩愛の涙なり。彼を
憚
(
はばか
)
りし父と彼を
畏
(
おそ
)
れし母とは、決して共に子として彼を
慈
(
いつくし
)
むを忘れざりけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
こういう字が嫌いだとかいうようなわがままを
敢
(
あ
)
えていたしまして、自分の好き
気儘
(
きまま
)
な習い方をするのがよいと思います。
習書要訣:――美の認識について――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
年頃受けし御恩をば、返しも
敢
(
あ
)
へずこれよりまた、
御暇
(
おんいとま
)
を取らんとは、義を弁へぬに似たれども、親のためなり許し給へ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
もはや啓坊の家に預けて置く訳には行かないこと、そう云ううちにも油断はならないので、雪子は取り
敢
(
あ
)
えず、斎藤医師を無理にも説き付けて
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
竿は
二本継
(
にほんつぎ
)
の、普通の
上物
(
じょうもの
)
でしたが、
継手
(
つぎて
)
の
元際
(
もとぎわ
)
がミチリと小さな音がして、そして糸は
敢
(
あ
)
えなく
断
(
き
)
れてしまいました。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
或いは桜田烈士、中岡
艮一
(
こんいち
)
、甘粕大尉、五・一五や二・二六事件の
所謂
(
いわゆる
)
、志士たち。
敢
(
あ
)
えて彼らに有島武郎、芥川、太宰さん等をつけ加えても好い。
さようなら
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
しかし
敢
(
あ
)
えて異議を立てるにも及ばないので、又四郎はそのときは感慨ありげな顔をして、早いものですねえと答え
百足ちがい
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「アハハ。そんなら貴下も僕等と同様、被害者の一人です。姫草に
欺瞞
(
だま
)
されて、医師法違反を
敢
(
あ
)
えてされたのです」
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
萬世橋
(
よろづよばし
)
へ
參
(
まゐ
)
りましたがお
宅
(
たく
)
は
何方
(
どちら
)
と
軾
(
かぢ
)
を
控
(
ひか
)
へて
佇
(
たゝず
)
む
車夫
(
しやふ
)
、
車上
(
しやじやう
)
の
人
(
ひと
)
は
聲
(
こゑ
)
ひくゝ
鍋町
(
なべちやう
)
までと
只
(
たゞ
)
一言
(
ひとこと
)
、
車夫
(
しやふ
)
は
聞
(
き
)
きも
敢
(
あ
)
へず
力
(
ちから
)
を
籠
(
こ
)
めて
今
(
いま
)
一勢
(
いつせい
)
と
挽
(
ひ
)
き
出
(
いだ
)
しぬ
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
麻川氏の部屋と
敢
(
あ
)
えて書くのは、この頃の麻川氏の部屋は、大川赫子によって
殆
(
ほとん
)
ど領されて居る形であって最もよく混成された麻川氏と赫子の意志が
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
伯母は涙
堰
(
せ
)
きも
敢
(
あ
)
へず「——長二や、——私や、
斯
(
かう
)
してお前と
歩
(
あ
)
るいて居ながら、コツクリと死にたいやうだ——」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
とにかく、今は我国は
未曾有
(
みぞう
)
の非常時局に直面しているのであるから、取り
敢
(
あ
)
えずは、日本意識に眼覚めた科学などに注意を向ける暇はないはずである。
語呂の論理
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
またそれを
敢
(
あ
)
えてするだけの実力をも
有
(
も
)
っていなかったことを証明するものだとしか思われないからであります。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
少し大きい口を利いて、笹野新三郎に別れて來た平次は、暫らく去りも
敢
(
あ
)
へず、彫辰の戸口で
唸
(
うな
)
つて居りました。
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
子、子貢に
謂
(
かた
)
って曰く、汝回と
孰
(
いず
)
れか
愈
(
まさ
)
れる。
対
(
こた
)
えて曰く、
賜
(
し
)
は何を
敢
(
あ
)
えて回を望まん、回は一を聞いて以て十を知る、賜は一を聞いて以て二を知るのみ。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
人間の大事、社会の体面のためと思えばこそ、
敢
(
あ
)
えてこれを明言する者なけれども、その実は万物の霊たるを忘れて単に獣慾の奴隷たる者さえなきにあらず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
午後はチト風が出たがますます上天気、
殊
(
こと
)
には日曜と云うので団子坂近傍は花観る人が道去り
敢
(
あ
)
えぬばかり。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
人は何ともいえ、雨乞いの勝ち負けなど論にも及ばぬ。ただ無念なは我が秘法の
敢
(
あ
)
えなくも破れたことじゃ。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「いざ子どもはやく
日本
(
やまと
)
へ」(巻一・六三)、「いざ子ども
敢
(
あ
)
へて
榜
(
こ
)
ぎ出む」(巻三・三八八)、「いざ子ども香椎の潟に」(巻六・九五七)等諸例がある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
私はそれを聞くと、
満腔
(
まんかう
)
の反感を抑へて、
取
(
と
)
り
敢
(
あ
)
へずかう答へた。それは私の精一ぱいの強気であつた。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
とり
敢
(
あ
)
へず本署に電話をかけた、署長はじめ自動車で来ると云つてゐたから、まごまごしてゐるうちには着くだらう、さうなるとこのまゝでは
納
(
をさま
)
りがつかなくなる
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
馬琴の『
烹雑記
(
にまぜのき
)
』の大意にいわく、牛の性はその死を聞く時は
太
(
いた
)
く怖る。また羊の性はその死を聞きても
敢
(
あ
)
えて怖れぬという宋の王逵が明文あり。『
蠡海集
(
れいかいしゅう
)
』にいう。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
取
(
と
)
り
敢
(
あ
)
えず
祭神
(
さいしん
)
となってからの
生活
(
せいかつ
)
の
変化
(
へんか
)
と
言
(
い
)
ったような
点
(
てん
)
を
簡単
(
かんたん
)
に
申上
(
もうしあ
)
げて
置
(
お
)
こうかと
存
(
ぞん
)
じます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
私
(
わたくし
)
は
取
(
と
)
り
敢
(
あ
)
へずこんな
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
つた。
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
に
先頃
(
さきころ
)
掛
(
か
)
けてあつた
畫
(
ゑ
)
をおぼえてゐるだらう。
唐子
(
からこ
)
のやうな
人
(
ひと
)
が
二人
(
ふたり
)
で
笑
(
わら
)
つてゐた。あれが
寒山
(
かんざん
)
と
拾得
(
じつとく
)
とをかいたものである。
寒山拾得縁起
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
私は
敢
(
あ
)
えて妻や恋人ばかりではない。母親をも永久に若い美しい花やかな人を持っていたいのです。私は老込んだ母の様子を見ると、実際
箸
(
はし
)
を取る気もなくなりました。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この切実な思いは胸にせまって
緊
(
し
)
めつけて来た。彼らの家中にとって、そのトウベツの地には起死回生の想いがこもっていた。
敢
(
あ
)
えて、女や子供だけの念願ではなかった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
私の暮れの仕事は、かうしてはじめから
蹉跌
(
さてつ
)
して了つた。私は、甚しく疲労
困憊
(
こんぱい
)
してゐるにも拘らず、最も不健康な消費面に沈溺して、その間中、
敢
(
あ
)
へて他事を顧なかつた。
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
敢
(
あ
)
えて小生は、世界的探検家なる折竹氏に言う。この地上にもし、まだ誰も知らず一人も踏まぬ国ありとすれば、その所在を、ご貴殿にはお買い取りになりたき意志なきや。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
この世の中には他の為めに自滅を
敢
(
あ
)
えてする例がいくらでもあるがそれをどう見ようとするのか。人間までに発達しない動物の中にも相互扶助の現象は見られるではないか。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
私にそんな独断を
敢
(
あ
)
へてなさしめた、もう一つ他の理由はと云へば、それは
斯
(
か
)
うである。
アリア人の孤独
(新字旧仮名)
/
松永延造
(著)
自然に化して俗を離るるの
捷径
(
しょうけい
)
ありや、こたえて曰く、詩を語るべし、子もとより詩を
能
(
よ
)
くす、他に求むべからず、
波
(
は
)
疑って
敢
(
あ
)
えて問う、それ詩と俳諧といささかその
致
(
ち
)
を異にす
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
敢
(
あ
)
えて農作関係ばかりとは限らず、系統的な海洋観測が我邦のような海国にとっては軍事上からも水産事業のためにも非常に必要であるということは、実に分りきったことであるが
新春偶語
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「手の下の罪人」何という
暴虐
(
ぼうぎゃく
)
な言葉だ。誰が罪人なのだ? そして、いったい何人にいかなる権利があって
恣
(
ほしいまま
)
に
鞭打
(
むちう
)
ち、苦しめ、虐待を
敢
(
あ
)
えてするのだ。誰に、そんな権利があるのだ。
子供は虐待に黙従す
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
さような所業は何かしら非常な悪徳の一つとさえ
見做
(
みな
)
されていて、
敢
(
あ
)
えて行うものは、夜陰に乗じて、カンヴァスを
風呂敷
(
ふろしき
)
につつみ、そっと先生の門を
敲
(
たた
)
くといった具合であったらしい。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
と
一聲
(
ひとこゑ
)
、
高
(
たか
)
らかに
題目
(
だいもく
)
を
唱
(
とな
)
へも
敢
(
あ
)
へず、
法華僧
(
ほつけそう
)
は
身
(
み
)
を
躍
(
をど
)
らして
海
(
うみ
)
に
投
(
とう
)
ぜり。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
必ずやこの歴史の流れの中にあって先人の試みて
未
(
いま
)
だ達せざりし所のものを見出してそれによって新しい境地を開くか、現代の俳句の
趨向
(
すうこう
)
に
反撥
(
はんぱつ
)
して
敢
(
あ
)
えて新境地を開こうと努力するものか
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
そういう路傍に
生
(
は
)
えて、ともすれば人を幼年時代の幸福な追憶に誘いがちな、それらの
可憐
(
かれん
)
な小さな花を
敢
(
あ
)
えて踏みにじって、まっしぐらに彼のめざす
厳
(
きび
)
しい人生に向って歩いて行こうとしていた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
口が皮肉にふるえてくるのを、制しも
敢
(
あ
)
えず
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
僕は、人間の名誉というものを重んずる方針なのだから、
敢
(
あ
)
えて、盗んだとは言いません。早く返して下さい。僕は、大事にしていたんだ。
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それや路傍の
敢
(
あ
)
えなき
亡骸
(
なきがら
)
や、何を見るにつけ、秀吉も胸に
傷
(
いた
)
みを覚えずには通れなかった。久しい年月、手塩にかけた旧領下の民である。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは、申すまでもなく、中流に流れもやらず留まりも
敢
(
あ
)
えずに漂動して、あなめあなめと泣いている
髑髏
(
されこうべ
)
を見たからです。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
自分
(
じぶん
)
の
好運
(
かううん
)
衰勢
(
すゐせい
)
にだらしなく
感情
(
かんじやう
)
を
動亂
(
どうらん
)
させるなどは
甚
(
はなは
)
だしばしば
僕
(
ぼく
)
のお
眼
(
め
)
に
掛
(
か
)
かることだが、そして、
僕
(
ぼく
)
と
雖
(
いへど
)
も
敢
(
あ
)
へてそれが
全然無
(
ぜんぜんな
)
いとは
言
(
い
)
はないが
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
敢
常用漢字
中学
部首:⽁
12画
“敢”を含む語句
果敢
取敢
勇敢
不取敢
果敢無
敢行
果敢々々
不敢
果敢々々敷
石敢当
敢然
敢為
敢果
勇猛果敢
敢無
物果敢
敢爲
淺果敢
浅果敢
波疑敢問
...