勇敢ゆうかん)” の例文
とにかくジナイーダは、わたしの思い切った勇敢ゆうかん振舞ふるまいを正当に認めずにはいられないのだ——と、そう思うと愉快ゆかいだった。……
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
ガチョウばんのニールスが勇敢ゆうかんにも、赤んぼうをおかあさんのところへつれていってやったと、ウソたちは、口々に歌っているのでした。
ベンヺ おゝ、ロミオ/\、マーキューシオーはおにゃったぞよ! あの勇敢ゆうかんたましひ氣短きみじか此世このよいとうて、くもうへのぼってしまうた。
このとき、同時どうじに、それをすように、自分じぶんより、ずっと勇敢ゆうかんな、いきいきした、やはり、それも自分じぶんこころおもわれないようなこえ
その日から正直になった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
山口青年は、なかなか勇敢ゆうかんです。ハアハア息を切らしながら、まっかな顔をして、とうとう、相手を、土の上にねじ伏せました。
おれは二十面相だ (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ややもすると世の中ではほとんど目的もなく騒ぎ散らすをもって、熱心があるとか、気象きしょうがさかんだとか、あるいは勇敢ゆうかんだとか、痛快つうかいだなどと称する。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ではみんなよ、はやおおきくなつて、きみたちも勇敢ゆうかんなプロレタリアの鬪士とうしとなつて、きみたちやきみたちのおとうさんおかあさんをくるしめてゐるやつらをたゝきのめしてくれ!
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
草でも木でも最も勇敢ゆうかんに自分の子孫しそんぎ、自分の種属をやさぬことに全力をそそいでいる。だからいつまでも植物が地上に生活し、けっして絶滅ぜつめつすることがない。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
この中には小杉正吉こすぎしょうきちという勇敢ゆうかんな少年が冷凍れいとうされている。彼は本年十三歳である。彼は二十年間この中で冷凍生活を続けた後、ふたたび世の中へ出たい希望である。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
友邦の日本が国を挙げて勇敢ゆうかんに闘っているのに、その敵国の軍事探偵になる奴の気も知れないが、まあ、大方お金で買収されたんでしょうけれど、僕には、あの裏切者よりも
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
これ然しながら不肖ふしょう私の語ではない、実にシカゴ畜産組合の肉食宣伝のパンフレット中に今朝拝見したものである。終に臨んで勇敢ゆうかんなるマットン博士に深甚しんじんなる敬意を寄せます。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
とにかく、この事については、兄自身がすべての責任を負うのが当然だと思います。道江さんもそのつもりで勇敢ゆうかんに兄にぶっつかってみてください。切に前途ぜんと光明こうみょういのります。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
加平の方がすこしばかり勇敢ゆうかんだった。うさぎなんか平気でしめころすお父つあんの子だから、そう思いながら、正九郎は加平がどんどん店の中へはいっていくのをみおくっていた。
空気ポンプ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
かれはいつもなみだぐんでぺこぺこ頭を下げるチビすけが、しかも昨夜かれの伯父がおれの父をなぐったことを知ってるチビ助が、復讐ふくしゅうのおそれも感ぜずにいつもより勇敢ゆうかんなのを見ると
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ぼろを着た貧しい小さな男の子がひとり、年上の人たちのあいだで勇敢ゆうかんに戦っていました。しかしそのうちに、あちこちを銃剣じゅうけんでつかれて致命傷ちめいしょうを受け、とうとう床の上にたおれました。
だが、かれの行動は、だれより勇敢ゆうかんといえるだろうか。それは問題としても、蛾次郎が来たままかけぬけていったのは、錯覚さっかくなどをおこすほどこまかな神経しんけいを持ちあわせていない証拠しょうこにはなる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし坊ちゃんは勇敢ゆうかんです。白はたちまち左の肩をぽかりとバットに打たれました。と思うと二度目のバットも頭の上へ飛んで来ます。白はその下をくぐるが早いか、元来もときた方へ逃げ出しました。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
三十二三の、それは勇敢ゆうかん山出やまだしでした。
やがて、中でもいちばん勇敢ゆうかんなネズミが一ぴき、その穴の中にとびこんで、いまにもグリンミンゲじょうの中へ突入とつにゅうしようとしました。
またそのあしで、勇敢ゆうかんてきたたかったこともあったでしょう。それがために、かぎは、金色きんいろにぴかぴかとみがかれてひかっていました。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
勇敢ゆうかんな二人は、それを聞くと、矢のように門のそとへけ出して行った。だが、しばらくすると、別段のこともなく帰ってきて
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
まあ、邪魔じゃましないでちょうだい。とにかく、すばらしい舞踏会なの。お客も大勢おおぜいいて、それがみんな若くて、立派で、勇敢ゆうかんで、みんな夢中むちゅうで女王様にこいしているの
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
管仲かんちゅうが戦場でげたからとてただちにこれを卑怯ひきょうと批評し臆病者おくびょうものと判断し、しかして勇敢ゆうかんなれと忠告した者があったならば、おそらく彼は腹の底で笑うのみであったろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
いままで勇敢ゆうかんたたかっていた戦友せんゆうが、ばたり、ばたりと前後ぜんごにたおれていきました。それにつらかったのは、たまのつきかかったことでした。
しらかばの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もっとも、そうすれば、じぶんたちが、とんまなノロ公よりもずっとりこうで、勇敢ゆうかんなことを、みんなに見せてやることができたわけです。
この勇敢ゆうかんな愛犬家の顔を確かめて、一とこと口がききたかったのである。だが、どうしたことか、熊公は、しりごみをして動こうともしない。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
あかくなったつたは、勇敢ゆうかんわかいすぎののいっていることをいて、なんとなくとしとってしまった、自分じぶんうえずかしくかんじたのであります。
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
十人の勇敢ゆうかんな小学生によって組織せられた少年探偵団、団長は明智あけち探偵の名助手として知られた小林芳雄よしお少年、その小林少年の先生は、いうまでもなく大探偵明智小五郎こごろうです。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そのうちに勇敢ゆうかんな一は、いきおいよく、つういと、そのこえのするほうはしっていきました。つづいて、二、三と、あとについてやぶのなかりたのです。
すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼らは声をそろえて、逃げ行く悪魔をはやし立てた。気の早い兄いたちは、二人三人と、勇敢ゆうかんにも丸太棒をよじ登って、「人間豹」を追っかけはじめた。Z曲馬団の人たちもおくれはしない。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「よし、ぼくのぼっていってろうや。」と、勇敢ゆうかんで、元気げんきで、木登きのぼりの上手じょうず小田おだがかしののぼりはじめました。小田おだは、したふとえだったとき
すずめの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「じゃ、律義りちぎもののくまや、勇敢ゆうかんなおおかみが、人間にんげんたすけたことはあるが、人間にんげんは、どうだ、くまや、おおかみをつけたが最後さいごころしてしまうだろう。」
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
勇敢ゆうかんなつばめは、軒下のきしたをくぐって、みせのおくまではいりました。はたして、うおたちはせとびきの容器ようきにはいって、息苦いきぐるしそうに、あふあふとあえいでいました。
つばめと魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それでも、あなたは勇敢ゆうかんひとだ、よくここまでおよいでこられたものだ。」と、おとうさんはその外国人がいこくじん尊敬そんけいしました。外国人がいこくじんも、またおとうさんにしたしみました。
青いランプ (新字新仮名) / 小川未明(著)
としとったがんが、かれらの先達せんだつでありました。つぎにりこうなエスがんと、勇敢ゆうかんケーがんがつづきました。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
もし、そのひとが、わたしと結婚けっこん希望きぼうされるなら、わたしは、その勇敢ゆうかんかたつまとなります……。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
もっとも勇敢ゆうかんたたかって、華々はなばなしく江南こうなんはなった、勇士ゆうしなかに、純吉じゅんきちがありました。
からす (新字新仮名) / 小川未明(著)
同時どうじに、かれは、戦時せんじ日本にっぽん勇敢ゆうかん少年工しょうねんこうであったのです。きゅうに、かれあしにはちからはいったし、両方りょうほううでは、かたくなりました。まちはいると、ラジオの愛馬進軍歌あいばしんぐんかがきこえてきました。
夕焼けがうすれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
それで、ふと戦死せんしということがあたまかんだのだ。ぼくが、今日きょうにも戦死せんししたら、あとにのこった老母ろうぼに、ただ一言ひとことぼくが、勇敢ゆうかんたたかってんだといって、げてもらいたかったのだ。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あくる海岸かいがんでは、大騒おおさわぎでした。一人ひとり勇敢ゆうかん外国人がいこくじん難破船なんぱせんから、こちらの燈火とうかあてに、およいできて、とうとうたどりつくとちからがつきて、そこにたおれてしまったのです。
青いランプ (新字新仮名) / 小川未明(著)
おお、ほんとうにいいだ。おまえは、すえには大木たいぼくとなるばえなんだ。おまえのれた年老としとったおやは、よくこの野原のはらなかおれたちと相撲すもうったもんだ。なかなか勇敢ゆうかんたたかったもんだ。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこはありのほうが勇敢ゆうかんで、ともかばねうええて、目的もくてきかって前進ぜんしんをつづけるというふうで、この無抵抗むていこう抵抗ていこうには、こちらが、かえって根負こんまけをしてしまったよ。そのとき、かんじたんだ。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しまいには四にんのほかにも年下とししたの七つ八つぐらいの子供こどもが三にんも四にんあとからついてきたのであります。しかるに太郎たろうのほうはいつも一人ひとりでありました。太郎たろうみちのまんなかって勇敢ゆうかんたたかいました。
雪の国と太郎 (新字新仮名) / 小川未明(著)
勇敢ゆうかんしんちゃんが、きました。
僕の通るみち (新字新仮名) / 小川未明(著)