-
トップ
>
-
一個
>
-
いつこ
見ると、
太陽がキラ/\と
輝いて
居る
東の
方の、
赤裸の
山の
頂を
斜に
掠めて、
一個の
大輕氣球が
風のまに/\
此方に
向つて
飛んで
來た。
他愛なく
頭が
下つたと
云ふのは、
中年の
一個美髯の
紳士、
眉におのづから
品位のあるのが、
寶石を
鏤めた
藍の
頭巾で、
悠然と
頤の
其の
髯を
扱いて
居た。
「
罪と
罰」は
實にこの
險惡なる
性質、
苦慘の
實况を、
一個のヒポコンデリア
漢の
上に
直寫したるものなるべし。
其處で
學校を
建る
決心が
彼の
心に
湧たのです、
諸君は
彼の
決心の
餘り
露骨で、
單純なことを
笑はれるかも
知れませんが、しかし
元來教育のない
一個の
百姓です
住居の大小は
家族の多少に因る事
勿論なれど
塲合に由つては
一個の大部屋を
設くる代りに
數個の小部屋を作る事も有りしと思はる。
瓢形の
竪穴の如き即ち其例なり。
此菊塢の
狂歌二
首発句一
句あり、(手紙と
其書も
移転まぎれに
捜しても知れぬは
残念)
兎にも
角にも
一個の
豪傑「
山師来て
何やら
植ゑし
隅田川」と
白猿が、
芭蕉の句をもじりて笑ひしは
造船所内の
一部に
貯藏されてあつたのだが、あゝ、
昨夜の
大海嘯では
其一個も
無事では
居るまい、イヤ、
决して
無事で
居る
筈はありません。
上段づきの
大廣間、
正面一段高い
處に、
疊二疊もあらうと
思ふ、
恰も
炎の
池の
如き
眞鍮の
大火鉢、
炭火の
烈々としたのを
前に
控へて、
唯見る
一個の
大丈夫。
愕いて
頭を
上げると、
今しも
一個の
端艇が
前方十四五ヤードの
距離に
泛んで
居る、
之は
先刻多人數が
乘つた
爲に、
轉覆した
中の
一艘であらう。
其の
席に
配つた、
座蒲團一つ
一つの
卓の
上に、
古色やゝ
蒼然たらむと
欲する
一錢銅貨がコツンと
一個。
座にひらきを
置いて、
又コツンと
一個、
會員の
數だけ
載せてある。
然るに
家業出精の
故を
以て、これよりさき
特に
一個この
鍛冶屋を
賞し
給ひしより、
昧爽に
於ける
市街の
現象日を
追うて
趣を
變じ、
今日此頃に
到りては、
鍛冶屋の
丁々は
謂ふも
更なり
と
老爺が
叫ぶ、……
其なるは、
黄金の
鯱の
頭に
似た、
一個青面の
獅子の
頭、
活けるが
如き
木彫の
名作。
櫓を
圧して、のつしとあり。
角も、
牙も、
双六谷の
黒雲の
中に
見た、
其であつた。……
半纏を
脱いだあとで、
頬かぶりを
取つて、ぶらりと
提げると、すぐに
湯氣とともに
白い
肩、
圓い
腰の
間を
分けて、
一個、
忽ち、ぶくりと
浮いた
茶色の
頭と
成つて、そしてばちや/\と
湯を
溌ねた。
颯とばかり
雪をまいて、ばつさり
飛込んだ
一個の
怪物。