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一個々々
読み方 | 割合 |
ひとつひとつ | 33.3% |
ひとつびとつ | 33.3% |
ひとつ/\ | 33.3% |
三人の紅茶を
一個々々硝子杯に
煎じ出した時、柳沢時一郎はそのすっきりと
脊の高い、
緊った制服の姿を
籐の
椅子の大きなのに、無造作に落していった。
地獄谷の
響、神通の
流の音は、ひとしきりひとしきり脈を打って鳴り
轟いて、
堆いばかりの
贓品は
一個々々心あって物を語らんとするがごとく、響に触れ、
燈に映って
不残動くように見えて
思はず
行き
惱み
立つて
仰げば、
虚空に
雲のかゝれるばかり、
參差たる
樹の
間々々、
風さへ
渡る
松の
梢に、
組連ねたるお
城の
壁の
苔蒸す
石の
一個々々。