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随分
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ずいぶん
ふりがな文庫
“
随分
(
ずいぶん
)” の例文
旧字:
隨分
「
随分
(
ずいぶん
)
疲れるぜ。僕あ、おやじの死ぬとき一週間ばかり
徹夜
(
てつや
)
して看病した事があるが、あとでぼんやりして、大いに弱った事がある」
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
敦子
(
あつこ
)
さまが、こちらで
最初
(
さいしょ
)
置
(
お
)
かれた
境涯
(
きょうがい
)
は
随分
(
ずいぶん
)
みじめなもののようでございました。これが
敦子
(
あつこ
)
さま
御自身
(
ごじしん
)
の
言葉
(
ことば
)
でございます。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
大道で小便とは今から考えれば
随分
(
ずいぶん
)
乱暴であるが、乱世の時代には何でもない、こんな乱暴が
却
(
かえっ
)
て塾の独立を保つ
為
(
た
)
めになりました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
現に僕の知つてゐる或る人などは
随分
(
ずいぶん
)
経済的に苦しい暮らしをしてゐながら、富豪や華族ばかり出て来る通俗小説を愛読してゐる。
小説の読者
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「だって、いかにもあたしが
意気地
(
いくじ
)
がないから柿を
盗
(
と
)
られたんだって云うような口ぶりなんですもの。あの梵妻さんも
随分
(
ずいぶん
)
だわ。」
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
▼ もっと見る
「ホウ、妙なものが出ているね。行って見ようじゃないか。化物屋敷なんて
随分
(
ずいぶん
)
久し振りだ。東京にもこんな見世物がかかるのかねえ」
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
随分
(
ずいぶん
)
撃ってみてもよいが、何か
賭
(
か
)
けるか」と甚五郎が言うと、蜂谷が「今ここに持っている物をなんでも賭きょう」と言った。
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それがまた
随分
(
ずいぶん
)
と興味のある仕事なのである。その中でも鳥の名は最も久しい間、田舎に住む少年たちの面白がる題目であった。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかし
今日
(
こんにち
)
の
所
(
ところ
)
では
病院
(
びょういん
)
は、
確
(
たしか
)
に
市
(
し
)
の
資力
(
ちから
)
以上
(
いじょう
)
の
贅沢
(
ぜいたく
)
に
為
(
な
)
っているので、
余計
(
よけい
)
な
建物
(
たてもの
)
、
余計
(
よけい
)
な
役
(
やく
)
などで
随分
(
ずいぶん
)
費用
(
ひよう
)
も
多
(
おお
)
く
費
(
つか
)
っているのです。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
晴れた日の午後一時頃と記憶しているが、これも
随分
(
ずいぶん
)
ひどい揺れ方で、市内に
潰
(
つぶ
)
れ家もたくさんあった。百六、七十人の死傷者もあった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
無論小さく、
写生風
(
しゃせいふう
)
に、
鋳膚
(
いはだ
)
で十二分に味を見せて、そして、思いきり
伸
(
の
)
ばした
頸
(
くび
)
を、伸ばしきった姿の見ゆるように
随分
(
ずいぶん
)
細く
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
いや私が
書生仲間
(
しょせいなかま
)
には
随分
(
ずいぶん
)
かようなる事に
常々
(
つねづね
)
注意
(
ちゅうい
)
し、当時の
秘密
(
ひみつ
)
を
探
(
さぐ
)
り出し、互に
語
(
かた
)
り合いたることあり、なお
洩
(
も
)
れたる
事柄
(
ことがら
)
も多かるべし
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
「はい、
夏向
(
なつむき
)
は
随分
(
ずいぶん
)
何千人という東京からの客人で、目の覚めるような
美麗
(
びれい
)
な
方
(
かた
)
もありまするが、なかなかこれほどのはないでございます。」
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この頃ではこの議を
随分
(
ずいぶん
)
自分から
提唱
(
ていしょう
)
して、乱れぬ程度でこの女のみに
強
(
し
)
いられた
苛酷
(
かこく
)
な
起居
(
ききょ
)
から解放されて居るには居ます。思い出しました。
女性の不平とよろこび
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
愛情と魅力と輝きの本尊のような「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」は
随分
(
ずいぶん
)
たくさんレコードされているが、その優雅にして端正な美しさで
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
▲死んだ
亡父
(
おやじ
)
は、御承知の
通
(
とおり
)
、
随分
(
ずいぶん
)
幽霊ものをしましたが、ある時
大磯
(
おおいそ
)
の海岸を、夜歩いて行くと、あのザアザアという波の音が何となく凄いので
薄どろどろ
(新字新仮名)
/
尾上梅幸
(著)
てくてく歩きながら帰途に就いたが、まだその時分のことで、あれから芝まで来る道には、
随分
(
ずいぶん
)
淋しい所もあった。
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
こんどの
戦
(
いくさ
)
は
前
(
まえ
)
の
時
(
とき
)
に
劣
(
おと
)
らず
随分
(
ずいぶん
)
苦
(
くる
)
しい
戦争
(
せんそう
)
でしたけれど、三
年
(
ねん
)
めにはすっかり
片付
(
かたづ
)
いてしまって、
義家
(
よしいえ
)
はまた
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りで
都
(
みやこ
)
へ
帰
(
かえ
)
ることになりました。
八幡太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
敗荷
(
はいか
)
、ああ敗荷よ。さながら人を呼ぶ如く心に叫んで、自分はもはや
随分
(
ずいぶん
)
歩きつかれていながらも、広い道を横切り、石段を下りて、また石橋を渡った。
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ぼくをみるなり「坂本さん。これあんたんじゃろう。
随分
(
ずいぶん
)
、あんたを探していたのよ」と差出してくれたのは、
失
(
な
)
くしたとばかり、思っていた蟇口です。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
御殿の様な奥まった広い座敷の
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
へでもこれを立て
懸
(
か
)
けておいて御覧なさい、
随分
(
ずいぶん
)
いやな
感
(
かんじ
)
のするものだ。
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
伯母
(
おば
)
さんが一週間ほど前に行方不明になったんで、そのことで行ったんですよ。
随分
(
ずいぶん
)
この事件、面白いのよ。ひとには云えないことなんです、ですけれど……
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「何うせ、
人生
(
じんせい
)
ツてものは淋しいものさ。不幸なことを謂や僕なんか
随分
(
ずいぶん
)
………」と謂ひかゝツて、ふと口を
噤
(
つく
)
むでお房は氣の無い顏で外の方を
眺
(
なが
)
めてゐる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
寄る年と共にますます耳は遠くなり、貧乏教会の牧師で自身の貯金も使い果した後は、
随分
(
ずいぶん
)
惨
(
みじめ
)
な生活でした。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
河童
(
がたろ
)
横町の材木屋の主人から
随分
(
ずいぶん
)
と良い条件で話があったので、お辰の頭に思いがけぬ血色が出たが、ゆくゆくは
妾
(
めかけ
)
にしろとの
肚
(
はら
)
が読めて父親はうんと言わず
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
随分
(
ずいぶん
)
永く——家に十八年も居たんで
御座
(
ござ
)
いますよ。大きくなっておりましたそうです。もう、耳なんか、厚ぼったく、五
分
(
ぶ
)
ぐらいになっていたそうで
御座
(
ござ
)
いますよ。
「ああしんど」
(新字新仮名)
/
池田蕉園
(著)
随分
(
ずいぶん
)
、石段の多い学校であった。父は石段の途中で何度も休んだ。学校の庭は
沙漠
(
さばく
)
のように広かった。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
随分
(
ずいぶん
)
長かったような気がするし、また直ぐだったような気もする。下り坂で幾分楽だったとは言え、宇治は薄い肩を前方に曲げるようにして歩かねばならなかった。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
その
中
(
うち
)
に彼
等
(
ら
)
の一人が子路の
服装
(
ふくそう
)
をじろじろ
見廻
(
みまわ
)
し、やあ、これが儒服という
奴
(
やつ
)
か?
随分
(
ずいぶん
)
みすぼらしいなりだな、と言った。長剣が
恋
(
こい
)
しくはないかい、とも言った。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ことに法文の読みようによっては、義務を
忌避
(
きひ
)
する道も
随分
(
ずいぶん
)
ある。ゆえに世に勢力ある人の中には種々なる
口実
(
こうじつ
)
をもって財産の義務をことごとく
負担
(
ふたん
)
しないものがある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「だが、君、今夜の最大奇観とも
謂
(
いひ
)
つべきは、篠田長二の出て来たことだ、幹事の野郎も
随分
(
ずいぶん
)
人が悪いよ、餅月と夏本の両ハイカラの
真中
(
まんなか
)
へ、
彼
(
あ
)
の
筒袖
(
つゝツぽ
)
を安置したなどは」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
合衆国
(
がっしゅうこく
)
の
桑港
(
サンフランシスコ
)
から、国の中央を横切っている、かの横断鉄道には、その時、
随分
(
ずいぶん
)
不思議な
談
(
はなし
)
もあったが、
何分
(
なにぶん
)
ロッキー
山
(
さん
)
の山奥を通過する際などは、その
辺
(
あたり
)
何百里というもの
大叫喚
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
仲よく
戒
(
いまし
)
めあい、仲よく尻をたたきあうということは、決してなまやさしいことではない。それをうまくやっていくには、
随分
(
ずいぶん
)
とおたがいの心が深まらなければならないのである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
取捨
(
とりすて
)
は
御随意
(
ごずいい
)
に
候
(
そろ
)
骨
(
ほね
)
の
折
(
を
)
れる事には
随分
(
ずいぶん
)
骨を折り
候
(
そろ
)
男と
我
(
われ
)
ながらあとにて
感服仕候
(
かんぷくつかまつりそろ
)
。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
鴫沢勾当
曰
(
いわ
)
くお師匠さまがいつも
自慢
(
じまん
)
をされましたのに春松検校は
随分
(
ずいぶん
)
稽古が
厳
(
きび
)
しいお方だったけれど、わたしは身に
沁
(
し
)
みて
叱
(
しか
)
られたということがなかった
褒
(
ほ
)
められたことの方が多かった
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私はこれまでも他人の書いたそういう作品を
随分
(
ずいぶん
)
好きでもあり、そういう出来事に
出遇
(
であ
)
ったということでその人を
羨
(
うらや
)
ましくも思って来たが、私自身でそう言うものを書いてみようとも、又
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
この問題は、自分の知らぬ世界で
随分
(
ずいぶん
)
発展した。私は十数年の後になって知ったことだが、ある大臣は、金森を首にしなければ、内閣から出るとまで言って、
総理
(
そうり
)
に迫ったということである。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
隠しなさんな。よし、よし、おれも
随分
(
ずいぶん
)
鍋島家には世話をやかせた、おれの
傲慢
(
ごうまん
)
に腹を立って、切腹した家来まであるからな。それにいくら久米一だって、そうそう若さも続くまい、一つこれを
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
随分
(
ずいぶん
)
古
(
ふる
)
い
昔
(
むかし
)
のこと、ヱヴェレストのはるか
麓
(
ふもと
)
に、ラランとよぶ一
羽
(
は
)
の
鴉
(
からす
)
が
棲
(
す
)
んでゐた。もの
凄
(
すご
)
いほど
暗
(
くら
)
い、こんもりと
繁
(
しげ
)
つた
密林
(
みつりん
)
の
奥
(
おく
)
で、
毎日
(
まいにち
)
歌
(
うた
)
つてる
小鳥
(
ことり
)
や
仲
(
なか
)
のいゝ
虫
(
むし
)
などを
殺
(
ころ
)
して
喰
(
た
)
べてゐた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
この真空には
随分
(
ずいぶん
)
骨を折らされたものであった。
実験室の記憶
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「
随分
(
ずいぶん
)
時間がかかるんだね。」
秘密の風景画
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「
随分
(
ずいぶん
)
黒くなったなあ」
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
『それは
様々
(
さまざま
)
でございます。
中
(
なか
)
には
随分
(
ずいぶん
)
ひねくれた、
気
(
き
)
むつかしい
性質
(
たち
)
のものがあり、どうかすると
人間
(
にんげん
)
を
目
(
め
)
の
仇
(
かたき
)
に
致
(
いた
)
します……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
云うなら
僕
(
ぼく
)
だけに話せ、
随分
(
ずいぶん
)
妙な人も居るからなと忠告がましい事を云った。四つ角で分れたから
詳
(
くわ
)
しい事は聞くひまがなかった。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
古来日本に行われる漢学には重きを置かぬと云う
風
(
ふう
)
にしたから、その時の生徒の中には漢書を読むことの出来ぬ者が
随分
(
ずいぶん
)
あります。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
随分
(
ずいぶん
)
スピードのある車だったが、方向転換その他に手間どった。その上、相手の車が、なりは小さいけれど、
滅茶苦茶
(
めちゃくちゃ
)
な速力だ。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それにもかかわらずこれとよく似た語の
随分
(
ずいぶん
)
と弘く行われているのには、単なる口拍子以上に、今一つ大切なる原因があったからである。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「ああ、この頃はずっと達者のようだ。あいつも東京にいる時分は、
随分
(
ずいぶん
)
神経衰弱もひどかったのだが、——あの時分は君も知っているね。」
妙な話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
随分
(
ずいぶん
)
遙々
(
はるばる
)
の旅だつたけれども、時計と云ふものを持たないので、何時頃か、
其
(
それ
)
は分らぬ。
尤
(
もっと
)
も
村里
(
むらざと
)
を遠く離れた
峠
(
とうげ
)
の宿で、鐘の声など聞えやうが無い。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
○わたくし達は、外でお友達と
一緒
(
いっしょ
)
の時は「ノシちゃえ」なぞと
随分
(
ずいぶん
)
、男のような言葉も使ってわあわあ騒ぐ。
現代若き女性気質集
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
随
常用漢字
中学
部首:⾩
12画
分
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“随分”で始まる語句
随分妙
随分酷