“足駄:あしだ” の例文
“足駄:あしだ”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花12
芥川竜之介7
永井荷風7
泉鏡太郎7
夏目漱石5
“足駄:あしだ”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.1%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)0.5%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
「あら上るだ、上るだ。」と傍若無人に口を開けて見ておる。やがて一つ自分も上って見ようと恐る恐る足駄あしだをふみ入れると
丸の内 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
半七は町内の湯屋へ行って、け方からの小雨こさめのなかを帰って来ると、格子の内に女の傘と足駄あしだが見いだされた。
半七捕物帳:64 廻り灯籠 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
雪の来たあとの道路は泥濘でいねいが連日かわかず、高い足駄あしだもどうかすると埋まって取られてしまうことなどもある。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
続いて田あるじのおきなが怪しげな着物にひもも結ばず、破れた大笠をさし足駄あしだをはいて悠然として練って行く。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
角兵ヱかくべえ角兵ヱかくべえでまた、足駄あしだばきでえられるへいを五つました。かしら
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ひつかゝるやう、きざいれてあるのぢやから、さいたしかなら足駄あしだでも歩行あるかれる。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
呼吸いき苦しそうな声である。長庵方の施療患者、浪人藤掛道十郎である。足駄あしだを穿き雨傘を持ちしょんぼりとして立っている。
村井長庵記名の傘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と俊夫君は言いました。按摩は悲しそうな笛のを立て、高い足駄あしだをはいて、杖でさぐりながら、こちらへ近よってきました。
現場の写真 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
手に足駄あしだ穿ける乞食 い時につたものだ。もう二三日早かつたら、胴中どうなかに矢の穴が明いたかも知れぬ。
往生絵巻 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
足駄あしだの歯はすれて曲がって、歩きにくいこと一通りでなかった。駒下駄こまげたよりはいいが、ハネはやっぱり少しずつあがった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
やがて足駄あしだ歯入はいれ鋏磨はさみとぎ、紅梅の井戸端に砥石といしを据ゑ、木槿むくげの垣根に天秤てんびんを下ろす。
草あやめ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
もつと使つかひをした、ならずのへい下駄げたどころか、足駄あしだ穿いたにちがひない。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
自分は足駄あしだを出さなかった女中のいかりながら、うっかり下駄げたを踏み返さないように、気をつけ気をつけ歩いて行った。
子供の病気:一游亭に (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その晩は雨がしとしと降っていたので、お米は番傘をかたむけて急いでくると、途中で足駄あしだを踏みかえして鼻緒をふっつりと切ってしまった。
半七捕物帳:16 津の国屋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
媒妁夫婦は、くぐりの障子だけあかりのさした店に入って、足駄あしだと傘とブラ提灯ちょうちんと蝋燭とマッチと糸経いとだてを買った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
雨も降らぬのに足駄あしだをはいている、その足音が人通りのまれな舗道に高く寒そうに響いて行くのであった。
蒸発皿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
小兒こども足駄あしだおもしたころは、じつ穿はきものなんぞ、とう以前いぜんになかつたのです。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
連日れんじつの雪や雨にさながらぬまになった悪路に足駄あしだを踏み込み/\、彼等夫妻はなまりの様に重い心で次郎さんの家に往った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「まあ、この子!」年増はいきなり女の子の背をばちでついた。女の子は足駄あしだをころばすと、よろよろして、見ていた人の足元にのめった。
雪の夜 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
奥に寝ていたお絹はすぐに起き直ったらしい。林之助が足駄あしだをぬぐのを待ちかねたように声をかけた。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
人通りの少ないこの小路こうじは、すべての泥を雨で洗い流したように、足駄あしだの歯にかかきたないものはほとんどなかった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
殺される十日ほど前、夜中やちう合羽かつぱて、かさに雪をけながら、足駄あしだがけで、四条から三条へ帰つた事がある。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
高い朴歯ほおば足駄あしだをはいた太短ふとみじかい足が地上二三寸のところでプラプラしていた。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
足駄あしだを穿いて、ほこをついて、どこへゆくでもなし、迷うが如くに徘徊はいかいしている。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
貧家に育てられたらしい娘は、わたくしよりも悪い天気や時侯には馴れていて、手早くすそをまくり上げ足駄あしだを片手に足袋たびはだしになった。
雪の日 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その雑沓ざっとうをかき分けて、半七は足駄あしだを吸いこまれるような泥水のなかへ踏み込んだ。
半七捕物帳:28 雪達磨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
するとおきなさい、婦女をんな足駄あしだ穿きながらつてくれます。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぽつ/\と後影うしろかげれだれだ、おいお這入はいりよとこゑをかけて、美登利みどり足駄あしだつツかけばきに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
四斗樽しとだるを両手に提げながら、足駄あしだ穿いて歩くと云う嘉助は一行中で第一の大力だった。忠次が心の裡で選んでいる三人の中の一人だった。
入れ札 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
——その店先の雨明あまあかりの中に、パナマ帽をかぶった賢造は、こちらへうしろを向けたまま、もう入口に直した足駄あしだへ、片足下している所だった。
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ところどころには湧水わきみずもあり、又みちの砂だってまっ白で平らでしたから耕一は今日も足駄あしだをぬいで傘と一緒いっしょにもって歩いて行きました。
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
途中では、ただ一人、手に足駄あしだをはいている、いざりのこじきにきちがった。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
(急に低くなりますから気をつけて。こりゃ貴僧あなたには足駄あしだでは無理でございましたかしら、よろしくば草履ぞうりとお取交とりかえ申しましょう。)
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
足駄あしだをと云うと歯入屋へ持って行ったぎり、つい取ってくるのを忘れたと云う。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もちろん、まだそのままになっている死骸しがいのそばへ近づいていってみると、はかまに大小、白たび足駄あしだの藩士姿に変わりはないが、倒れている位置が少し違うのです。
歩き馴れぬものはきまって足駄あしだ横鼻緒よこはなおを切ってしまった。
深川の散歩 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
……人生じんせいいやしくも永代えいたいわたつて、辰巳たつみかぜかれようといふのに、足駄あしだ蝙蝠傘かうもりがさ何事なにごとだ。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
沼南夫人のジャラクラした姿態なりふりや極彩色の化粧を一度でも見た人は貞操が足駄あしだ穿いて玉乗たまのりをするよりもあぶなッかしいのを誰でも感ずるだろう。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
父は田崎が揃えて出す足駄あしだをはき、車夫喜助の差翳さしかざ唐傘からかさを取り、勝手口の外、井戸端のそばなる雞小屋とりごや巡見じゅんけんにと出掛ける。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
「ごめんなさいよ。ちょいと通さして——」といいながら、もう傘と足駄あしだをつまんであがって来たかと思うと、ひらりと二人のあいだを走りすぎて、すぐ裏口から抜け出て行った。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
自分は着物を着換えながら、女中に足駄あしだを出すようにと云った。
子供の病気:一游亭に (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
足駄あしだの音ではなく、草履ぞうり草鞋わらじであるらしい。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「ヘン嫌いどころか好きも好き、足駄あしだ穿いて首ッ丈と云う念の入ッたおッこちようだ。すこ水層みずかさが増そうものならブクブク往生しようと云うんだ。ナア内海」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
玄関にはいろいろの足駄あしだくつがならべてあったが、流行を作ろう、少なくとも流行に遅れまいというはなやかな心を誇るらしい履物はきものといっては一つも見当たらなかった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「もう、貴方あなた足駄あしだが沈みますほどでございます。」
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
門を出ると傘をたたく雨の音も、高い足駄あしだの踏み心地もよい。
やもり物語 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
点滴の音は聞えぬが足駄あしだをはいて女中が郵便を出しにと耳門くぐりの戸をあける音と共に重そうな番傘ばんがさをひらく音が鳴きしきる虫の声の中に物淋ものさびしく耳についた。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
駈けて来る足駄あしだの音が庭石につまずいて一度よろけた。
雨はいつかんで、両側とも待合つづきの一本道には往来ゆききする足駄あしだの音もやや繁くなり、遠い曲角まがりかどの方でバイオリンを弾く門附かどづけの流行唄が聞え出した。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
兼好は山の庵へもどりかけたが、思い直したふうでそのまま傘をかかえ、酒つぼを提げ、足駄あしだの音も不器ッちょに、たそがれ近い洛東らくとう粟田口あわたぐちを、まごまごしていた。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
愚図愚図ぐずぐずしてはいられぬから、我身わがみを笑いつけて、まず乗った。ひっかかるよう、きざが入れてあるのじゃから、気さえたしかなら足駄あしだでも歩行あるかれる。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
老婢は傘と足駄あしだとを置きて悄々すごすご還りぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
足駄あしだでも長靴でもむやみに歩く訳にはゆきません。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
佐吉と滝蔵が、傘と足駄あしだをならべて、ほしていた。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ほどよく水を含んだ土は、足駄あしだの歯にこころよい。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
雪駄せつたからかさ下駄げた足駄あしだ
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
足駄あしだはかせぬ雨のあけぼの 越人をつじん
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
足駄あしだ華靴はなぐつゆき
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
何と思う余裕よゆうもござりませぬ。わたくしは傘を斬られると同時に、思わず右へ飛びすさりました。足駄あしだももうその時にはいで居ったようでございまする。と、太刀たちが参りました。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
下駄げた足駄あしだぼつちやんに
足駄あしだ泥濘ぬかるみをこねてゐる。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
草履ぞうり足駄あしだのとんからこ
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
ふしぎにおもってそこらをお見回みまわしになりますと、くつぬぎにそろえてある足駄あしだかげに、豆粒まめつぶのようなおとこ一人ひとりになってつっっていました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
麻緒あさお足駄あしだの歯をよじって、憎々にくにくしげにふり返りますと、まるで法論でもしかけそうな勢いで、『それとも竜が天上すると申す、しかとした証拠がござるかな。』と問いつめるのでございます。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
足駄あしだすこゆるんでるので、足許あしもとにして、踏揃ふみそろへて、そでした風呂敷ふろしきれて、むねをおさへて、かほだけ振向ふりむけてるので。
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それ以前にも三味線しゃみせんを肩に載せ、足駄あしだばきにねエさんかぶりなどという異様な行装こうそうで、春の野路のみちを渡り鳥のごとく、わめきつれてくる盲女の群があって、これも尋ねるとみな越後から来たとっていた。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
日和ひより下駄でもなく、足駄あしだでもない中位の下駄、……晴雨兼帯というので実に奇妙なものだが、これはなかなか経済的、一つあれば随分長い間天気にかかわらず役に立つ……ただ、この新案の下駄の歯で時々雨上がりの庭をほじくられたのには弱ったが……
うやつて、奴凧やつこだこ足駄あしだ穿いて澁谷しぶやちたやうに、ふらついてるのも、つまこの手紙てがみのためで、……それなか文句もんくようではありません——ふみがらの始末しまつなんです。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
昨日までの凸凹は真夜中の雨に綺麗に洗われて、平になった土の表面には、家へ向って左手の露地伝いに、まるで彫ったように深い、そしてたしかに三時みときは経ったと思われる足駄あしだの歯跡が、通りから裏口の方へ点々として続いているのが、遠くから藤吉の眼にはいった。
さて足駄あしだ引摺ひきずつて、つい、四角よつかどると、南寄みなみよりはうそら集團しふだんひかへて、ちかづくほどはゞひろげて、一面いちめんむらがりつゝ、きたかたすのである。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
顳顬こめかみ即功紙そっこうし張りて茶碗酒引かける流儀は小唄こうたの一ツも知らねば出来ぬことなるべく、藁人形わらにんぎょうに釘打つうしときまいり白無垢しろむくの衣裳に三枚歯の足駄あしだなんぞ物費ものいりを惜しまぬ心掛すでに大時代おおじだいなり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
音もなく飛んだ刀は壮士の小鬢こびんをかすめて、再び刃の音の立つ時、壮士は鳥の如く後ろへ飛び退さがる、竜之助はすかさずそれを追いかける、受けて、また後ろへ飛ぶ途端に、無残や大の男は、石につまずいてどうと横ざまに倒れる——この時まで壮士は足駄あしだを穿いていたものです。
昨日も一日吹雪の中をあっちこっちとけ廻って歩くうち一足いっそくしかない足駄あしだの歯を折ってしまった事やら、ズブぬれにした足袋たびのまだ乾いていようはずもない事なぞを考え出して、兼太郎はエエままよ今日はいっそ寝坊ついでに寝て暮らせと自暴やけな気にもなるのであった。
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「そう思うのが下郎根性。むこうは大々名のお姫さま、こっちはいかにも駕籠の虫だが、恋をへだてるせきはねえ。こんな杓子面でも恋しくてならねえと言われます。足駄あしだをはいて首ったけ。俺のいうことならどんなことでもうんと首が縦に動くのさ。やい、やい、色男にあやかるようにこの面をよく拝んでおけ」
さらにあわれをとどめたのは——大勢おおぜいの客を呼びあつめ足駄あしだばきで三ぼうにのっていた歯磨はみがき売りの若い男、居合いあいの刀を持っていたところから、一も二もなく目がけられて、ひょうのごとくびついてきた酒乱しゅらん浪人者ろうにんものに、血まつりのにえとされた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頼母たのもしいのと當人たうにん自慢じまんだけの生白なまじろところへ、足駄あしだをひつくりかへしたのは、門内もんない團右衞門だんゑもんとは隣合となりあはせの當家たうけ家老からう山田宇兵衞やまだうへゑ召仕めしつかへの、まはり葛西かさい飯炊めしたき
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「御米ここから出かけるには、どこへ行くにも足駄あしだ穿かなくっちゃならないように見えるだろう。ところが下町へ出ると大違だ。どの通もどの通もからからで、かえってほこりが立つくらいだから、足駄なんぞ穿いちゃきまりが悪くって歩けやしない。つまりこう云う所に住んでいる我々は一世紀がたおくれる事になるんだね」
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
で、四ん這になった所の黒田刑事が、この博士邸と線路の間の空地に於て、何を嗅ぎ出したかというと、そこには十以上の足跡が入交っていて、それが轢死の地点に集中しているといった形で、一見しては何が何だか分らなかったに相違ないが、これを一々分類して調べ上げた結果、地下穿じかばきの跡が幾種類、足駄あしだの跡が幾種類、靴の跡が幾種類と、マア分ったんだ。
一枚の切符 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)