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ゆきあ
ふりがな文庫
“
行逢
(
ゆきあ
)” の例文
ことに寛永の初年に陸中
平泉
(
ひらいずみ
)
の古戦場に近い山中で、仙台の藩士小野太左衛門が
行逢
(
ゆきあ
)
うたというのは、よほど怪しい常陸坊であった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
身の潔白を立てる為には、今後
何処
(
どこ
)
で
行逢
(
ゆきあ
)
おうとも決して
彼女
(
かれ
)
とは口を利くまいと、
窃
(
ひそか
)
に決心している矢先へ、
恰
(
あたか
)
も
彼
(
か
)
のお葉が現われた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その家の
下女
(
げじょ
)
に
行逢
(
ゆきあ
)
いて近状を聞き、(万感万嘆この夜
睡
(
ねむ
)
ることかたし)と書いたのは、彼女の青春二十一歳のことであった。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
巷
(
ちまた
)
では、
行逢
(
ゆきあ
)
う人から、木で鼻を
括
(
くく
)
るような扱いを受けた殺気立った中に、何ともいえぬ間の抜けたものも感じられる、奇怪な世界であった。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
其処
(
そこ
)
で、大きな
鳥打帽
(
ハンチング
)
を
冠
(
かぶ
)
った背広服に仕事着の技師らしい男に
行逢
(
ゆきあ
)
うと、喬介は
早速
(
さっそく
)
その男を
捕
(
とら
)
えて切り出した。
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
▼ もっと見る
そしてかの美貌の男か、美女か、小山すみれかに
行逢
(
ゆきあ
)
えば、直ちに補えるつもりでいたけれど、結局この重要なる三人の人物を
空
(
むな
)
しく
逸
(
いっ
)
してしまった。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
身體
(
からだ
)
を
搖
(
ゆす
)
り、
下駄
(
げた
)
にて
板敷
(
いたじき
)
を
踏鳴
(
ふみな
)
らす
音
(
おと
)
おどろ/\し。
其
(
その
)
まゝ
渡場
(
わたしば
)
を
志
(
こゝろざ
)
す、
石段
(
いしだん
)
の
中途
(
ちうと
)
にて
行逢
(
ゆきあ
)
ひしは、
日傘
(
ひがさ
)
さしたる、十二ばかりの
友禪縮緬
(
いうぜんちりめん
)
、
踊子
(
をどりこ
)
か。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
昨日浴場の裏で三造に
行逢
(
ゆきあ
)
った時、ふと気がつくと、彼の手の甲に黒い筋がついている、当然私は例の犯人の手の傷痕を思い出さない訳には行きませんでした。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
仮令
(
たと
)
い教師先進者に
行逢
(
ゆきあ
)
うとも丁寧に辞儀するは無用の
沙汰
(
さた
)
なり、
互
(
たがい
)
に相見て互に目礼を
以
(
もっ
)
て足るべし。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
その頃私は番町の島田邸近く
住
(
すま
)
っていたので、度々島田夫人と途中で
行逢
(
ゆきあ
)
った。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
阿關
(
おせき
)
は
頭
(
つむり
)
の
先
(
さき
)
より
爪先
(
つまさき
)
まで
眺
(
なが
)
めていゑ/\
私
(
わたし
)
だとて
徃來
(
わうらい
)
で
行逢
(
ゆきあ
)
ふた
位
(
くらゐ
)
ではよもや
貴君
(
あなた
)
と
氣
(
き
)
は
付
(
つ
)
きますまい、
唯
(
たつ
)
た
今
(
いま
)
の
先
(
さき
)
までも
知
(
し
)
らぬ
他人
(
たにん
)
の
車夫
(
くるまや
)
さんとのみ
思
(
おも
)
ふて
居
(
ゐ
)
ましたに
御存
(
ごぞん
)
じないは
當然
(
あたりまへ
)
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
二度目の
婿
(
むこ
)
を取り候後も、年々寒暑の折には欠かさず屋敷へ見舞に
参
(
まいり
)
候ほどにて、愚僧山内の学寮へ寄宿の後も、
有馬様
(
ありまさま
)
御長屋
(
おながや
)
外の
往来
(
おうらい
)
にて、図らず
行逢
(
ゆきあ
)
ひ候事など思ひ浮べ、その日の昼下り
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
も持ず歩行せし時其方に
行逢
(
ゆきあ
)
ひし者あるよし然る上は其節病中との申立は
僞
(
いつは
)
りならんと有りければ長庵
不審
(
ふしん
)
さうなる
面色
(
おももち
)
して決して他行は
勿論
(
もちろん
)
門
(
かど
)
へも出申さず候と
誠
(
まこと
)
しやかに申立てけるにぞ然る上は證據人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ギシリ/\とやつて
参
(
まゐ
)
りハタと
朋友
(
ほういう
)
に
行逢
(
ゆきあ
)
ひまして、甲
七福神詣
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
山の神の母一神の君に
行逢
(
ゆきあ
)
ひたまふとき、われ産をして今日三日になるまでうぶ腹を温めず、
汝
(
なんじ
)
が持ちしわり子を少し得さすべしと仰せける。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
途中で
行逢
(
ゆきあ
)
った職工の一人に屑捨場の所在を訊ねた私達は、それから間もなく鉄工場の隅の裏手へやって来た。
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
其
(
それ
)
へ
行
(
ゆ
)
く……お
前樣
(
まへさま
)
、
其
(
そ
)
の
途中
(
とちう
)
でありませう。
通
(
とほ
)
りがかりから、
行逢
(
ゆきあ
)
うて、
恁
(
か
)
うやつて
擦違
(
すれちが
)
うたまでの
跫音
(
あしおと
)
で、よう
知
(
し
)
れました。とぼ/\した、
上
(
うは
)
の
空
(
そら
)
なので
丁
(
ちやん
)
と
分
(
わか
)
る……
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
また足軽は一般に上等士族に対して、
下座
(
げざ
)
とて、
雨中
(
うちゅう
)
、往来に
行逢
(
ゆきあ
)
うとき
下駄
(
げた
)
を
脱
(
ぬ
)
いで
路傍
(
ろぼう
)
に
平伏
(
へいふく
)
するの法あり。足軽以上小役人格の者にても、大臣に
逢
(
あ
)
えば
下座
(
げざ
)
平伏
(
へいふく
)
を法とす。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
しかも私の不運なる、遂に両人に
行逢
(
ゆきあ
)
うことができないのであった。
大脳手術
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
嫁
(
よめ
)
になどゝは
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らぬことなり
芳之助
(
よしのすけ
)
は
兎
(
と
)
もあれ
我
(
わ
)
れ
許
(
ゆる
)
さずと
御立腹
(
ごりつぷく
)
の
數々
(
かず/\
)
それいさゝかも
御無理
(
ごむり
)
ならねどお
前
(
まへ
)
さまと
縁
(
えん
)
きれて
此世
(
このよ
)
何
(
なん
)
の
樂
(
たの
)
しからずつらき
錦野
(
にしきの
)
がこともあり
所詮
(
しよせん
)
は
此命
(
このいのち
)
一
(
ひと
)
つぞと
覺悟
(
かくご
)
の
道
(
みち
)
も
同
(
おな
)
じやうに
行逢
(
ゆきあ
)
つてお
前
(
まへ
)
さまのお
心
(
こゝろ
)
伺
(
うかゞ
)
へば
其通
(
そのとほ
)
りとか
今更
(
いまさら
)
御違背
(
ごゐはい
)
のある
筈
(
はず
)
なし
私
(
わたし
)
は
嬉
(
うれ
)
しう
存
(
ぞん
)
じますを
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
村の
猟人
(
かりうど
)
の某という者が、
五葉山
(
ごようざん
)
の中腹の大きな岩の陰において、この女に
行逢
(
ゆきあ
)
って互いに
喫驚
(
びっくり
)
したという話である。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それ/\、
其
(
そ
)
の
坊様
(
ばうさま
)
なら、
宵
(
よひ
)
の
口
(
くち
)
に
私
(
わし
)
が
頼
(
たの
)
んで
四手場
(
よつでば
)
に
居
(
ゐ
)
て
貰
(
もら
)
ふたのぢや……、はあ、
其処
(
そこ
)
へお
前様
(
めえさま
)
が
行逢
(
ゆきあ
)
はしつたの。はて、どうも、
妙智力
(
めうちりき
)
、
旦那様
(
だんなさま
)
と
私
(
わし
)
は
縁
(
えん
)
が
有
(
あ
)
るだね。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
所がその
行逢
(
ゆきあ
)
う
毎
(
ごと
)
に、新入生などは勝手を知らずに、私の顔を見ると丁寧に
辞儀
(
じぎ
)
をする。
先方
(
さき
)
から丁寧に
遣
(
や
)
れば、
此方
(
こっち
)
も
之
(
これ
)
に応じて辞儀をしなければならぬ。忙しい中にウルサクて
堪
(
た
)
まらぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
來
(
き
)
て、
其
(
そ
)
の
行逢
(
ゆきあ
)
つたものは、
一
(
ひと
)
ならびに
並
(
なら
)
んだ三
人
(
にん
)
づれで、どれも
悄乎
(
しよんぼり
)
とした
按摩
(
あんま
)
である。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
……時間を思っても、まだ小学校前らしいのが、手に、すかんぼも
茅花
(
つばな
)
も持たないけれど、摘み草の夢の中を
歩行
(
ある
)
くように、うっとりとした顔をしたのと、
径
(
みち
)
の角で
行逢
(
ゆきあ
)
った。
若菜のうち
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
高箒
(
たかぼうき
)
を片手に
襷
(
たすき
)
がけで、
刻足
(
きざみあし
)
に出て
行逢
(
ゆきあ
)
ったのがその優しい
婦
(
おんな
)
で、
一寸
(
ちょっと
)
手拭を取って会釈しながら、軽くすり抜けてトントンと、堅い段を下りて行くのが、あわただしい中にも
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何
(
なん
)
の
約束
(
やくそく
)
もなく、
思
(
おも
)
ひも
懸
(
か
)
けず
行逢
(
ゆきあ
)
つたのに、ト
見
(
み
)
ながら
行過
(
ゆきす
)
ぎるうち、
其
(
そ
)
れなり
何事
(
なにごと
)
も
無
(
な
)
しには
分
(
わか
)
れまい。
呼
(
よ
)
ぶか、
留
(
と
)
めるか、
屹
(
きつ
)
と
口
(
くち
)
を
利
(
き
)
くに
違
(
ちが
)
ひない、と
坂上
(
さかがみ
)
は
不思議
(
ふしぎ
)
にも
然
(
さ
)
う
思
(
おも
)
つた。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一人
(
いちにん
)
づいと
行逢
(
ゆきあ
)
ひ、
袖
(
そで
)
を
捲
(
ま
)
いて、
長
(
なが
)
く
揖
(
いふ
)
し、
靴
(
くつ
)
どのが
手
(
て
)
を、ひしと
握
(
にぎ
)
つて
人参
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
それ
)
と
同
(
おな
)
じに
日本国中
(
にほんこくちゆう
)
、
何処
(
どこ
)
ともなう、
或年
(
あるとし
)
或月
(
あるつき
)
或日
(
あるひ
)
に、
其
(
そ
)
の
人
(
ひと
)
が
行逢
(
ゆきあ
)
はす、
山
(
やま
)
にも
野
(
の
)
にも、
水
(
みづ
)
にも
樹
(
き
)
にも、
草
(
くさ
)
にも
石
(
いし
)
にも、
橋
(
はし
)
にも
家
(
いへ
)
にも、
前
(
まへ
)
から
定
(
さだ
)
まる
運
(
うん
)
があつて、
花
(
はな
)
ならば、
花
(
はな
)
、
蝶
(
てふ
)
ならば、
蝶
(
てふ
)
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この間に早瀬
主税
(
ちから
)
、お
蔦
(
つた
)
とともに仮色使と
行逢
(
ゆきあ
)
いつつ、登場。
湯島の境内
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
行
常用漢字
小2
部首:⾏
6画
逢
漢検準1級
部首:⾡
11画
“行逢”で始まる語句
行逢阪