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莢
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さや
ふりがな文庫
“
莢
(
さや
)” の例文
それからまた、若い
蔓
(
つる
)
があらわれると、たちまちかぎつけて、リスのようにまっすぐ立ってつぼみと若い
莢
(
さや
)
ぐるみ食いとってしまう。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
まあだなんちつても
莢
(
さや
)
が
本當
(
ほんたう
)
に
膨
(
ふく
)
れねえんだから、ほんの
豆
(
まめ
)
の
形
(
かたち
)
したつち
位
(
くれえ
)
なもんだべな、そりやさうと
此
(
こ
)
の
豆
(
まめ
)
はえゝ
豆
(
まめ
)
だな、
甘相
(
うまさう
)
でなあ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
鴨のない時期に、鴨に似た若い家鴨を探したり、夏
長
(
た
)
けて
莢
(
さや
)
は硬ばってしまった中からしなやかな
莢隠元
(
さやいんげん
)
を求めたり鼈四郎は、走り
廻
(
まわ
)
った。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
筆の
莢
(
さや
)
を折るやうにへし折つて縁側から路次へ捨てヽおしまひになるやうなこともあつたに違ひないと思ふと云ふのでした。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
夏の土用のころ、
莢
(
さや
)
のまだ青いうちに採って
蔭干
(
かげぼし
)
にして置く。利尿剤として薬種屋でも取扱い、今でもなお民間で使っているのがそれである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
▼ もっと見る
彼女は、人参、大根、
葱
(
ねぎ
)
、トマトをすすめ、それから
莢
(
さや
)
をむきたての
豌豆
(
えんどう
)
をハンケチへ入れて見せ、それからまた、籠に入れた鳥類を見せる。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
路傍
(
みちばた
)
の柿の樹は枝も
撓
(
たわ
)
むばかりに黄な珠を見せ、粟は穂を垂れ、豆は
莢
(
さや
)
に満ち、既に刈取つた田畠には浅々と麦の
萌
(
も
)
え初めたところもあつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
足のさきまで、秋の日照りに
冴
(
さ
)
えた
唐辛
(
とうがらし
)
の
莢
(
さや
)
のように鋭く、かっと、輝き出し、彫り込んだように
際
(
きわ
)
立ち、そして瞬間のうちに散ってしまった。
ヒッポドロム
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
私は、女中がいま
莢
(
さや
)
を剥いだばかりの小豌豆が、テエブルの上に球ころがしの緑色の球のやうに澤山ならんでゐるのを見ようと思つて立ち止つた。
プルウストの文体について
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
買つて来られるさア!
風呂敷
(
ふろしき
)
もつて、市場に行つて、お金を出して、包んでもらふんさ。純子姉ちやんはね、おじやがと、
莢
(
さや
)
ゑんどうなんだよ。
母の日
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
触れるとすぐに
莢
(
さや
)
が弾けて、遠くまで種子を飛ばすものがある。
蔓
(
つる
)
が容易にちぎれて残りだけでまた根付くものがある。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
朝
(
あさ
)
の
雲
(
くも
)
吹散
(
ふきち
)
りたり。
風
(
かぜ
)
凪
(
な
)
ぎぬ。
藪垣
(
やぶがき
)
なる
藤豆
(
ふぢまめ
)
の、
莢
(
さや
)
も
實
(
み
)
も、
午
(
まひる
)
の
影
(
かげ
)
紫
(
むらさき
)
にして、
谷
(
たに
)
を
繞
(
めぐ
)
る
流
(
ながれ
)
あり。
穗
(
ほ
)
たで
露草
(
つゆくさ
)
みだれ
伏
(
ふ
)
す。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ある
日
(
ひ
)
の
午後
(
ごゞ
)
。ぱちツと
不思議
(
ふしぎ
)
な
音
(
をと
)
がしました。
莢
(
さや
)
が
裂
(
さ
)
けたのです。
豆
(
まめ
)
は
耳
(
みゝ
)
をおさえたなり、
地
(
ぢ
)
べたに
轉
(
ころ
)
げだしました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
秋になると、崖ぶちの恐ろしく高い木に、藤豆のような大きな平たい
莢
(
さや
)
の実が
生
(
な
)
った、
簪玉
(
かんざしだま
)
位な真紅の美しい実のなる木もあった。クルミもあった。
四谷、赤坂
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
どこまでもどこまでも黄褐色の大豆畑が続き、その茎や
莢
(
さや
)
についている
微毛
(
のげ
)
が陰影につれてきらきらと畑一面に
蜘蛛
(
くも
)
の巣が張っているように光っていた。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
それに青いうちに
莢
(
さや
)
ごともいで枝豆を食う様にして食べるとその甘みとうまさは忘れられないものの一つであり
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
隣の人の業になら、どんな六つかしいことにでも、手を借すのは、此人です。祭の時に
蜀黍
(
もろこし
)
の
莢
(
さや
)
を剥ぎ、石垣を築くとき、第一に力を出すのは、此人です。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
「おわかりでしょう。」と彼女は言いながら、膝の上の
皿
(
さら
)
をもち上げた。「
豌豆
(
えんどう
)
の
莢
(
さや
)
をむいていますの。」
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
初めのうち、清三は夏休み中、池の水を汲むのを手伝ったり、畑へ小豆の
莢
(
さや
)
を摘みに行ったりした。
老夫婦
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
おくみは笊を下に置いてこゞんで、さつきから馬鈴薯と
豚肉
(
ぶた
)
とで、シチュー見たいなものを拵へかけてゐるのへ入れるつもりで、それ等の小さい早い
莢
(
さや
)
の筋を取りかけた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
豌豆
(
えんどう
)
も
蚕豆
(
そらまめ
)
も元なりは
莢
(
さや
)
がふとりつつ花が高くなった。麦畑はようやく黄ばみかけてきた。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
白色合弁の脣形花が穂をなして開き
後
(
の
)
ち丁度キササゲの様な長い
莢
(
さや
)
の実を結ぶのである。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
声の主は、鍬をもって畑を打つ孔明か、豆を
苅
(
か
)
って、
莢
(
さや
)
を
莚
(
むしろ
)
に叩く弟の均であった。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
決して素焼をしない。
莢
(
さや
)
も棚も使いはしない。積んでじか火にあてる。もともと安ものを作るのである。趣味などで作っているのではない。万事が粗野である。だがそれで充分である。
日田の皿山
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
が、四五年
前
(
まへ
)
に
北京
(
ペキン
)
に遊び、のべつに
槐
(
ゑんじゆ
)
ばかり見ることになつたら、いつか詩趣とも云ふべきものを感じないやうになつてしまつた。唯青い槐の実の
莢
(
さや
)
だけは
未
(
いま
)
だに風流だと思つてゐる。
槐
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
裏には
真桑瓜
(
まくわうり
)
が
蔓
(
つる
)
の上に沢山ころがり、
段落
(
だんお
)
ちの畑には土が見えぬ程玉蜀黍が茂り、
大豆
(
だいず
)
は
畝
(
うね
)
から畝に
莢
(
さや
)
をつらねて、
試
(
こころみ
)
に其一個を
剖
(
さ
)
いて見ると、
豆粒
(
つぶ
)
の
肥大
(
ひだい
)
実に眼を驚かすものがある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
スベリヒユ。クサギの嫩葉。スミレ。ツボスミレ。カラスノヱンドウの
莢
(
さや
)
等。
すかんぽ
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
玉蜀黍は数年ごとに直輸入の種子を蒔かぬと、甘さが減じて行くのであったろう。〕
莢
(
さや
)
入りの豆は面白い形をした竹の筵に縫いつけられて売物に出ている(図28)。鶏卵は非常に小さい。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
栗の実りて
自
(
おのず
)
から殻を脱するの時あるを知らば、また何ぞ手を刺されて
自
(
みず
)
から殻を
劈
(
さ
)
くを要せんや。豆の熟して自から
莢
(
さや
)
を外るるを知らば、また何ぞ手を労して自から莢を破るを要せんや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
篩
(
ふる
)
いかけたような細かい日差しが向うにポツネンと立っている
皁角子
(
さいかち
)
の大木に絡みつき、茶色に大きい実は、
莢
(
さや
)
のうちで乾いた種子をカラカラ、カラカラと風が渡る毎に侘しげに鳴りわたる。
禰宜様宮田
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
をぢは我を抱き
卸
(
おろ
)
して、例の大部屋の側なる狹き一間につれゆき、一隅に
玉蜀黍
(
たうもろこし
)
の
莢
(
さや
)
敷きたるを指し示し、あれこそ汝が
臥床
(
ふしど
)
なれ、さきには善き檸檬水呑ませたれば、まだ喉も乾かざるべく
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
東と南とに
欄干
(
てすり
)
は
繞
(
めぐ
)
り、
廂
(
ひさし
)
にはまた
藤
(
ふじ
)
の棚がその葉の青い光線から、おなじくまだ青い実の
莢
(
さや
)
を幾
条
(
すじ
)
も幾
条
(
すじ
)
も垂らしてはいるが、そうして昼間の岐阜
提灯
(
ちょうちん
)
にもが、風はそよともしないのである。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
たゞ
折々
(
をり/\
)
聞
(
きこゆ
)
るものは
豌豆
(
ゑんどう
)
の
莢
(
さや
)
が
熱
(
あつ
)
い日に
彈
(
はじ
)
けて
豆
(
まめ
)
の
飛
(
と
)
ぶ
音
(
おと
)
か、
草間
(
くさま
)
の
泉
(
いづみ
)
の
私語
(
さゝやく
)
やうな音、それでなくば
食
(
く
)
ひ
飽
(
あき
)
た
鳥
(
とり
)
が
繁茂
(
しげみ
)
の
中
(
なか
)
で
物疎
(
ものう
)
さうに
羽搏
(
はゞたき
)
をする
羽音
(
はおと
)
ばかり。
熟過
(
つえすぎ
)
た
無花果
(
いちじく
)
がぼたりと落ちる。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
この期間中、彼らは、全く、ミモサの一種たるニッタ(土人はそう呼んでいる)の
莢
(
さや
)
にある黄色い粉と、適当に
搗
(
つ
)
いて調理すると全く米のような味のする竹の種子とで、生きていたのである6)。
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
これの実を指にて摘めば虫などの
跳
(
はね
)
るやうに自ら動きて、
莢
(
さや
)
破れ
子
(
み
)
飛ぶこと極めて速やかなり。かゝるものを見るにつけても、草に木に鳥に獣にそれ/″\行はるゝ生々の道のかしこきをおもふ。
花のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
なんだか、
莢
(
さや
)
えんどうのような形になった。
火星兵団
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
青い
莢
(
さや
)
を垂れている
新秋の記
(新字旧仮名)
/
木下夕爾
(著)
莢
(
さや
)
から はしる
十五夜お月さん
(旧字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
熟しかけた稲田の
周囲
(
まわり
)
には、豆も
莢
(
さや
)
を垂れていた。稲の中には既に下葉の黄色くなったのも有った。九月も半ば過ぎだ。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お舟のやうなお皿には、じやがいもと、
莢
(
さや
)
ゑんどうと、
人蔘
(
にんじん
)
との煮付が盛られ、赤い
椀
(
わん
)
には、三ツ葉と
鶏卵
(
たまご
)
のお
汁
(
つゆ
)
が、いい
匂
(
にほ
)
ひを立ててゐるのです。
母の日
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
交
(
まじ
)
へてくすんだ
穢
(
きたな
)
い
莢
(
さや
)
が
白
(
しろ
)
く
割
(
わ
)
れて
薄青
(
うすあを
)
いつやゝかな
豆
(
まめ
)
の
粒
(
つぶ
)
が
威勢
(
ゐせい
)
よく
跳
(
は
)
ね
出
(
だ
)
してみんな
幹
(
から
)
の
下
(
した
)
に
潜
(
もぐ
)
り
込
(
こ
)
んで
畢
(
しま
)
ふ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
あやめの数は二人の男の通う同じ日取りの同じ数をかぞえていて、株のわかれめに
莢
(
さや
)
ほどの
蕾
(
つぼみ
)
の用意を見せ、緑は葉並を走ってすくすく伸び上っていた。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
莢
(
さや
)
の
中
(
なか
)
には
豆粒
(
まめつぶ
)
が五つありました。そして
仲
(
なか
)
が
善
(
よ
)
かつたのです。けふもけふとて、むつまじくはなしてゐました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
栖子は千代重が指図して行った
蚕豆
(
そらまめ
)
の
莢
(
さや
)
を盆の上で不手際に剥ぎながら、眼はぼんやり花畑を眺めていた。
唇草
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼女は家の入口のところで
椅子
(
いす
)
に腰かけていた。彼は彼女の足下の踏段にすわった。腹のところにたくねてある彼女の長衣の
皺
(
しわ
)
の中から、彼は青い豌豆の
莢
(
さや
)
をつかみ取った。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
信州でも北半分は、
唐辛子
(
とうがらし
)
とか
皀莢
(
さいかち
)
の
莢
(
さや
)
とか、
茱萸
(
ぐみ
)
とか
茄子
(
なす
)
の木とかの、かわった植物を門口に
焚
(
た
)
き、南の方へ行くと
藁
(
わら
)
人形を作りまたは
御幣
(
ごへい
)
を立てて、コトの神を村境まで送り出す。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
夜の点呼がすむと、サン・マルクの
寮監先生
(
りょうかんせんせい
)
は寝室から出て行く。すると生徒はめいめい、
莢
(
さや
)
の中へ
納
(
おさ
)
まるように、できるだけ
縮
(
ちぢ
)
こまって毛布の中へすべり込む。外へはみ出ないようにだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
卵を藁で、
莢
(
さや
)
に入った豆みたいに包み、これを手にぶら下げて持ちはこぶ。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
誰か一人上って、双六の済む時分、ちょうど、この女は(姿見を見つつ)着くであろう。一番上りのものには、
瑪瑙
(
めのう
)
の
莢
(
さや
)
に、紅宝玉の実を
装
(
かざ
)
った、あの造りものの
吉祥果
(
きっしょうか
)
を
遣
(
や
)
る。絵は直ぐに間に合ぬ。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
石のべの紫蘭の
莢
(
さや
)
に來て光る
蜻蛉
(
あきつ
)
の
翅
(
はね
)
も
小
(
ち
)
さうなりにけり
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
莢
漢検1級
部首:⾋
10画
“莢”を含む語句
薬莢
莢隠元
皀莢
莢豆
黄皀莢
豆莢
楡莢
弾薬莢
莢豌豆
皀莢坂
皁莢
薄荷莢蒾
夕莢雲
莢蒾
長莢
赤莢
蓬莢島
葦莢
花莢
莢叢
...