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窪
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くぼ
ふりがな文庫
“
窪
(
くぼ
)” の例文
またその鐘の面に
柄附
(
えつき
)
の鐘様の
窪
(
くぼ
)
みあり、竜宮の
乙姫
(
おとひめ
)
が鏡にせんとて、ここを採り去ったという、由来書板行して、寺で売りいたと。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
幕が
開
(
あ
)
いた——と、まあ、言う
体
(
てい
)
でありますが、さて
唯
(
ただ
)
浅い、
扁
(
ひらった
)
い、
窪
(
くぼ
)
みだけで。何んの
飾
(
かざり
)
つけも、道具だてもあるのではござらぬ。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして、彼もまた、その日は
瀟洒
(
しょうしゃ
)
であった赤革靴のきびすを
回
(
かえ
)
すと、やや低いスロープを作っている芝生の
窪
(
くぼ
)
みに、お光さんがいた。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
與吉
(
よきち
)
はそれでも
窪
(
くぼ
)
んだ
目
(
め
)
を
蹙
(
しが
)
めて
居
(
ゐ
)
る
卯平
(
うへい
)
がまだこそつぱくて
指
(
ゆび
)
の
先
(
さき
)
で
下唇
(
したくちびる
)
を
口
(
くち
)
の
中
(
なか
)
へ
押
(
お
)
し
込
(
こ
)
むやうにしながら
額越
(
ひたひご
)
しに
卯平
(
うへい
)
を
見
(
み
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
この日ごろ、交友をおのずから避けるようにして来た笹村は、あの
窪
(
くぼ
)
っためにある暗い穴のような家を、めったに出ることがなかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
屋根の
窪
(
くぼ
)
みなどに、雨水が
溜
(
たま
)
るからだ。僕等は、それによって、
渇
(
かつ
)
を
医
(
い
)
やすことができ、雨水を呑んで、わずかに飢えを
凌
(
しの
)
ぐのだった。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
薦椎
(
せんつい
)
の左右にはっきりと二つ
窪
(
くぼ
)
みのある臀部は、柔軟で豊満に重たげで、その中に飽くことのない欲望を秘めているようにみえた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
先生の
窪
(
くぼ
)
んだ眼が
煮染
(
にじ
)
んで来た。しきりに咳が出る。浅井君はなるほどそれが事実ならと感心した。ようやく気の毒になってくる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼の大きく
窪
(
くぼ
)
んだ
眼窩
(
がんか
)
や、その突起した
顋
(
あご
)
や、その影のように暗鬱な顔の色には、道に迷うた者の極度の疲労と
饑餓
(
きが
)
の苦痛が現れていた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
兄達は土の
窪
(
くぼ
)
みに横わり、私も別に窪地をみつけて、そこへ
這入
(
はい
)
って行った。すぐ側には傷ついた女学生が三四人
横臥
(
おうが
)
していた。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
鼻はひくからねど鼻筋いたく
窪
(
くぼ
)
みて、さらでも差いでたる額のいよ/\いちじるく、生際薄くして延びたる髮は
領
(
ゑり
)
をおほへり。
暗夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ここを「
捩
(
ね
)
じれ
窪
(
くぼ
)
」というそうだ。霧は、頻に、頭の上を飛ぶ。空気も、その重さに堪えないで、雨を、パラパラ落して来る。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
ところで、休んでいるうちに方角がわからなくなったとみえて、道を
斜
(
はす
)
に、大きな松の木の根が出ている
窪
(
くぼ
)
みのほうへどんどん歩いてゆく。
キャラコさん:03 蘆と木笛
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
隧道の上のいつものところで焚火をしようと思ってやって来て見ると、土は一丈も
堕
(
お
)
ち
窪
(
くぼ
)
んで、掘りかけた隧道は物の見事に
破壊
(
くず
)
れている。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
「お父さま、とぐろを巻いていたのは、小さな、小豆色の蛇ですのよ。ホラ、ここに、まだシーツの上が
窪
(
くぼ
)
んでやしないこと」
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私は静岡県の古い道路をあるいていて、ある一つの坂の
崖下
(
がけした
)
に、四角な穴を掘り
窪
(
くぼ
)
めて、本ものの馬の頭骨を安置したのを見たことがある。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼は首を仰向けにして、ぼんの
窪
(
くぼ
)
で苦痛を押えていると悲しい涙が
眼頭
(
めがしら
)
から瞼へあふれずにひそかに鼻の洞へ伝って行った。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
さるとりいばらにひっかけられたり、
窪
(
くぼ
)
みにどんと足を
踏
(
ふ
)
みこんだりしながらも、一生けん命そっちへ走って行きました。
茨海小学校
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
窪
(
くぼ
)
の尼は、
窪
(
くぼ
)
の
持妙尼
(
ぢめうに
)
とよばれて、松野殿後家
尼御前
(
あまごぜ
)
の娘だが、武州池上
宗仲
(
むねなか
)
の
室
(
しつ
)
、
日女御前
(
にちぢよごぜ
)
と同じ人であらうともいふ。
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
たまに通る電車は町の空に悲壮な音を立てて、
窪
(
くぼ
)
い谷の下にあるような私の家の四畳半の窓まで物すごく響けて来ていた。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
物を
売
(
うる
)
茶屋をも
作
(
つく
)
る、いづれの処も平一
面
(
めん
)
の雪なれば、物を
煮処
(
にるところ
)
は雪を
窪
(
くぼ
)
め
糠
(
ぬか
)
をちらして火を
焼
(
たけ
)
ば、雪の
解
(
とけ
)
ざる事妙なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
半マイルばかり先の谷間の
窪
(
くぼ
)
に、美しい湖水が姿を見せて、その岸辺の林と、向うの山々の頂とをくっきりと映していた。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
目が
窪
(
くぼ
)
んで息の臭かった妹の死にぎわの醜い姿は、辰男の記憶にはまざまざと刻まれていて、妹というてすぐ思いだしたが、今墓場に立っていると
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
まだ眠り足らない二人は、ビスケットと、岩の
窪
(
くぼ
)
みにたまった雨水で夕食をすますと、すぐ、椰子の樹の下に木や草の葉をしいた寝床を作って寝た。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
あとはずっと奥深く這入って見るような
店構
(
みせがまえ
)
でしたから、寄った事はありません。そこらは
鶏声
(
けいせい
)
が
窪
(
くぼ
)
といいました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
鐘は全部尖塔の頂にある
窪
(
くぼ
)
みの中に隠れていて、大鐘の
裾
(
すそ
)
が塔の窓にチョッピリ
覗
(
のぞ
)
いているくらいなんですから、どんな
暴風
(
しけ
)
にでもビクともしませんぜ。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
釜の据えてある左手に、錦の
帳
(
とばり
)
が懸けられてある。部屋の外へ通う戸口だろう。深い襞を作っている。襞の
窪
(
くぼ
)
みは
蔭影
(
かげ
)
をつくり、襞の高みは輝いている。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
多加志はたった一晩のうちに、すっかり眼が
窪
(
くぼ
)
んでいた。
今朝
(
けさ
)
妻が抱き起そうとすると、頭を
仰向
(
あおむ
)
けに垂らしたまま、白い物を
吐
(
は
)
いたとか云うことだった。
子供の病気:一游亭に
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
広場めいた場所の
窪
(
くぼ
)
い所だの日光のあまり差さない様な処は、いつでも、カラカラになる事はなく、飼猫の足はいつでもこんな処で泥まびれになるのである。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
山の
窪
(
くぼ
)
みなどには畑が作ってあってそのほかは草ばかりでただところどころに松が一本二本突ッたっている。僕はこんなところに鹿がいるだろうかと思った。
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
四角な
顎
(
あご
)
、少し
窪
(
くぼ
)
んだ眼、頬骨が高くて額が狹くて
醜
(
みにく
)
いといふ程ではないにしても、申分なく達者な女です。
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
……鼻が
尖
(
と
)
んがって……眼が落ち
窪
(
くぼ
)
んで……
頭髪
(
あたま
)
が
蓬々
(
ぼうぼう
)
と乱れて……
顎鬚
(
あごひげ
)
がモジャモジャと延びて……。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
敢
(
あへ
)
て一行を
煩
(
わづら
)
はすことなけん、
謹
(
つつし
)
んで随行の
許可
(
きよか
)
を得んことを
乞
(
こ
)
ふと、衆其
熱心
(
ねつしん
)
に
感
(
かん
)
じ
喜
(
よろこ
)
んで之を
許
(
ゆる
)
す、内二人は上牧村の者にして他一人は藤原村字
窪
(
くぼ
)
の者とす
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
ツマんで吊したような白っぽい変に淋しい屋根をみるときに、いつも木戸口にがやがや立ち騒ぐ露西亜人の
窪
(
くぼ
)
んだ
眼窩
(
がんか
)
や、
唐黍
(
とうきび
)
色の
髭
(
ひげ
)
や日に焼けた色をみるとき
ヒッポドロム
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
はだけた
寝巻
(
ねまき
)
から
覗
(
のぞ
)
いている胸も手術の跡が
醜
(
みにく
)
く
窪
(
くぼ
)
み、女の胸ではなかった。ふと眼を
外
(
そ
)
らすと、寺田はもう上向けた注射器の底を
押
(
お
)
して、液を
噴
(
ふ
)
き上げていた。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
鋭く、
窪
(
くぼ
)
んだ眼を上げた歌麿は、その大丸髷が、まがう方なく、
嘗
(
かつ
)
ては江戸随一の美女と
謳
(
うた
)
われた
灘波
(
なにわ
)
屋のおきただと知ると、さすがに寂しい微笑を頬に浮べた。
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
決して立派ではない、私の馬は、むやみに節くれ立って、眼の上がいやに落ち
窪
(
くぼ
)
み、胸は平べったく、
鼠
(
ねずみ
)
みたいな
尻尾
(
しっぽ
)
とイギリス女のような糸切歯を持っている。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
辺の裏はやや
窪
(
くぼ
)
み支えるに便にしてある。形優れ、
高台
(
こうだい
)
強く、素地もよく
釉薬
(
うわぐすり
)
もよい。健全であって少しも病弱なところがなく、味わいは極めて柔かくかつ温かい。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
片膝
(
かたひざ
)
をついて、私は彼の身体を起そうとした。首が、力なく向きをかえた。
無精鬚
(
ぶしょうひげ
)
をすこし伸ばし、閉じた目は見ちがえるほど
窪
(
くぼ
)
んで見えた。弾丸は、額を貫いていた。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
今に記憶して
居
(
い
)
る事を申せば、幼少の頃、
月代
(
さかいき
)
を
剃
(
そ
)
るとき、頭の
盆
(
ぼん
)
の
窪
(
くぼ
)
を剃ると痛いから嫌がる。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それと同時に、まぶたのやや
窪
(
くぼ
)
んだ例の眼がいよいよ物凄く見えるのも林之助をおびやかした。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
褌
(
ふんどし
)
もシャツも
赭黒
(
あかぐろ
)
く色が変って、つまみ上げると、硫酸でもかけたように、ボロボロにくずれそうだった。
臍
(
へそ
)
の
窪
(
くぼ
)
みには、垢とゴミが一杯につまって、臍は見えなかった。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
最初にその音を送ってきた村は、山のふもとの
窪
(
くぼ
)
地に巣のようにうずくまって、ビロードのような厚い
苔
(
こけ
)
に
覆
(
おお
)
われた、黒色や金
褐
(
かっ
)
色などいろんな色の
藁
(
わら
)
屋根を並べていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そっと両手で
挟
(
は
)
さんで、往来の
窪
(
くぼ
)
みへ置いてやりましたが、蛙は疲れているのか、道ばたに呆んやりつくばったままでいますので、より江はひしゃくに水を
汲
(
く
)
んでぱさりと
蛙
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
後
(
うしろ
)
ざまにかきて広き
額
(
ぬか
)
を
露
(
あら
)
はし、
面
(
おもて
)
の色灰のごとく
蒼
(
あお
)
きに、
窪
(
くぼ
)
みたる目の光は人を射たり。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
落ち
窪
(
くぼ
)
んだ小さい眼はいやらしく青く光って、鼻は大きな
鷲鼻
(
わしばな
)
、
頬
(
ほお
)
はこけて口はへの字型、さながら地獄の青鬼の如き
風貌
(
ふうぼう
)
をしていて、一家中のきらわれ者、この百右衛門が
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
もとから
痩
(
や
)
せていた父は、一層痩せて眼が落ち
窪
(
くぼ
)
み、銀色の
鬚
(
ひげ
)
をぼう/\と生やして、今まで
臥
(
ね
)
ていたのが起きたところらしく、
狼
(
おゝかみ
)
のような
恰好
(
かっこう
)
をして枕もとにすわっていたが
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
覗
(
のぞ
)
いて見ると、小川の水は何処へ
潜
(
くぐ
)
ったのか、
窪
(
くぼ
)
い水道だけ乾いたまゝに残される。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
げっそりと落ち
窪
(
くぼ
)
んだ目を、まじまじと見ひらいて、にこりともしないのである。
流行暗殺節
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
胡麻塩頭
(
ごましおあたま
)
に、底意地わるく眼が
窪
(
くぼ
)
んで、背が低くて猫背で
風采
(
ふうさい
)
のわるい男だった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
窪
漢検準1級
部首:⽳
14画
“窪”を含む語句
笑窪
荻窪
頸窪
大窪
水窪
窪地
落窪
中窪
窪田
窪所
牛窪
窪川鶴次郎
大窪詩仏
都窪
長窪
鴇窪
谷窪
窪坏
窪平
窪溜
...