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生
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はや
ふりがな文庫
“
生
(
はや
)” の例文
丁々坊 ははは、この梟、羽を
生
(
はや
)
せ。(戯れながら——熊手にかけて、白拍子の
躯
(
むくろ
)
、藁人形、そのほか、釘、獣皮などを
掻
(
か
)
き
浚
(
さら
)
う。)
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一番
最初
(
しょっぱな
)
に行ったのは「自惚かがみ」君の家であった。先生店に
鯱構
(
しゃちかま
)
えていた。乃公は大人になっても
那麽
(
あんな
)
鬚は
生
(
はや
)
したくないと思った。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
阿呆陀羅経のとなりには
塵埃
(
ほこり
)
で灰色になった
頭髪
(
かみのけ
)
をぼうぼう
生
(
はや
)
した盲目の男が、
三味線
(
しゃみせん
)
を抱えて小さく身をかがめながら
蹲踞
(
しゃが
)
んでいた。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼が自分の家まで歩いて行く間には、
幾人
(
いくたり
)
となく田舎風な挨拶をする人に行き逢った。長い
鬚
(
ひげ
)
を
生
(
はや
)
した人はそこにもここにも居た。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
すると、私の横に立っていた肥っちょのチョビ髭を
生
(
はや
)
したW駅の助役が、傍らの駅手に、医務室の顕微鏡を持って来いと命じた。
気狂い機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
▼ もっと見る
頭髪の刈り方を違え、口髭を
生
(
はや
)
し、
眼鏡
(
めがね
)
をかけ、医者の手術を受けて、
一重眼瞼
(
ひとえまぶた
)
を二重にし、その上顔面の一部に、小さい傷さえ拵えた。
一人二役
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その百合の花非常に白きを嫉んでヴェヌス女神海波の白沫より出現し極浄無垢の花の真中に
驢
(
うさぎうま
)
の
陽根
(
いちもつ
)
そのままな
雌蕊
(
めしべ
)
一本真木柱太しく
生
(
はや
)
した
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
若きダルガスはいいました、大樅がある程度以上に成長しないのは小樅をいつまでも大樅のそばに
生
(
はや
)
しておくからである。
デンマルク国の話:信仰と樹木とをもって国を救いし話
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
又「へえー左様でげすかえ、
貴方
(
あなた
)
は其の
頭髪
(
おぐし
)
がだん/\延びますけれども、元御出家様で是からだん/\お
生
(
はや
)
しなさるのではないかと存じまして」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
各
(
おのおの
)
静に窓前の竹の
清韻
(
せいいん
)
を聴きて
相対
(
あひたい
)
せる座敷の
一間
(
ひとま
)
奥に、
主
(
あるじ
)
は
乾魚
(
ひもの
)
の如き
親仁
(
おやぢ
)
の黄なる
髯
(
ひげ
)
を長く
生
(
はや
)
したるが、
兀然
(
こつぜん
)
として
独
(
ひと
)
り盤を
磨
(
みが
)
きゐる傍に通りて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
このモースという男は小柄ながっしりした体格をして黒い頬鬚を
生
(
はや
)
し、さっぱりした服装をしていたが、性質は善良とはいえない方で、
博奕
(
ばくち
)
が非常に好きであった。
「マリー・ロオジェ事件」の研究
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
色は青味を帯びた、眉毛の濃く、眼の鋭い、
五分
(
ごぶ
)
月代毛
(
さかやけ
)
を
生
(
はや
)
した、一癖も二癖もありそうなのが
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
炭竈を守るためであろう、ぼうぼう髭を
生
(
はや
)
した男が、両膝を抱いてそこにいる、というのである。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
村はずれの池から採って来た
普通
(
ただ
)
の菱の実で、取り立てて言うほど味のいいものではなかったが、いかつい角を
生
(
はや
)
した、その堅苦しい恰好がおもしろい上に、歯で噛むと
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
やがて、靄の底から、ぼんやり現われたのは、立派な
白髯
(
しらひげ
)
を
生
(
はや
)
した、紅毛のお
爺
(
じい
)
さんでした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
私等
(
あっしら
)
の馬車に乗っている黒い
頬鬚
(
ほおひげ
)
を
生
(
はや
)
した
絹帽
(
シルクハット
)
の馭者がチョット
鞭
(
むち
)
を揚げて合図みたいな真似をすると、どの巡査もどの巡査も直ぐにクルリと向うを向いて行っちまったんです。
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「サアその先を……」と
綿貫
(
わたぬき
)
という背の低い、真黒の
頬髭
(
ほおひげ
)
を
生
(
はや
)
している紳士が言った。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
博士もひどい苦労をしているのか、髭をぼうぼうと
生
(
はや
)
し、頬がげっそりとこけている。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
ふさ/\とした長い髯を
生
(
はや
)
してゐましたところから、私は髯のぢい、髯のぢいと呼びなれましたが、今考へて見ますと、ぢいはその頃まだ五十にはなつてゐなかつたはずであります。
海坊主の話
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
その大広間の
裡
(
うち
)
に一人翁は黒服を身に纏って半白の髭を
生
(
はや
)
し、頭に黒頭巾を被って顔色は青ざめて、幽霊のように
窶
(
やつ
)
れて
眤
(
じっ
)
と教壇に向って
真直
(
まっすぐ
)
に何やら、一定のものを見詰めていた。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
『おい、若いの、今度部屋に来るときは、俺のやうな立派な髯を
生
(
はや
)
して来いよ——』
小熊秀雄全集-15:小説
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
黒い
髭
(
ひげ
)
を
生
(
はや
)
して山高帽を
被
(
かぶ
)
った今の姿と坊主頭の昔の
面影
(
おもかげ
)
とを比べて見ると、自分でさえ隔世の感が起らないとも限らなかった。しかしそれにしては相手の方があまりに変らな過ぎた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お前は
俺
(
おら
)
が髪をこんなに
生
(
はや
)
しているので、
忌
(
いや
)
なのか。それから……こんな
獣類
(
けだもの
)
の皮を
被
(
き
)
ているので、
忌
(
いや
)
なのか。髪は今でも
直
(
すぐ
)
に切るよ。
衣服
(
きもの
)
は……金持になれば
直
(
すぐ
)
に
良
(
い
)
い
衣類
(
きもの
)
を買って
被
(
き
)
るよ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
他の二人はきれいな髭を
生
(
はや
)
した、疳癪で、威張りたがるような男だった。
豚群
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
渠がこの家に
来
(
きた
)
りし以来、吉造
垢
(
あか
)
附きたる
褌
(
ふどし
)
を
〆
(
し
)
めず、三太夫どのもむさくるしき
髭
(
ひげ
)
を
生
(
はや
)
さず、綾子の
頸
(
えり
)
も
撫
(
な
)
ずるように
剃
(
そ
)
りて参らせ
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
長吉は
髯
(
ひげ
)
を
生
(
はや
)
した堅苦しい勤め
人
(
にん
)
などになるよりも、自分の好きな遊芸で世を渡りたいという。それも一生、これも一生である。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その日も、親指を出したり、小指を出したり、
終
(
しまい
)
に額のところへ角を
生
(
はや
)
す真似をしたりして、世間話を伝えながら笑った。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
次の間へ
寐
(
ね
)
かす位にまで
為
(
し
)
てやったのに、何んだヤイ悪党、鼻の下へ
附髭
(
つけひげ
)
か何だか知らねえが
生
(
はや
)
かして、洋服などを着て
東京
(
とうけい
)
近い此の伊香保へ来て居るとは、本当に呆れちまったな
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その内に始まった
饗応
(
きょうおう
)
の演芸が、いかにも亜米利加三界まで流れてきたという感じの
浪花節
(
なにわぶし
)
で、
虎髭
(
とらひげ
)
を
生
(
はや
)
した語り手が苦しそうに見えるまで面を
歪
(
ゆが
)
めて水戸黄門様の声を
絞
(
しぼ
)
りだすのに
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
この庭には
奇麗
(
きれい
)
なローンがあって、春先の暖かい時分になると、白い
髯
(
ひげ
)
を
生
(
はや
)
した
御爺
(
おじい
)
さんが
日向
(
ひなた
)
ぼっこをしに出て来る。その時この御爺さんは、いつでも右の手に
鸚鵡
(
おうむ
)
を留まらしている。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
濃
(
こ
)
からぬ
口髭
(
くちひげ
)
を
生
(
はや
)
して、
小
(
ちひさ
)
からぬ鼻に
金縁
(
きんぶち
)
の
目鏡
(
めがね
)
を
挾
(
はさ
)
み、
五紋
(
いつつもん
)
の
黒塩瀬
(
くろしほぜ
)
の羽織に
華紋織
(
かもんおり
)
の
小袖
(
こそで
)
を
裾長
(
すそなが
)
に
着做
(
きな
)
したるが、六寸の
七糸帯
(
しちんおび
)
に
金鏈子
(
きんぐさり
)
を垂れつつ、
大様
(
おほやう
)
に
面
(
おもて
)
を挙げて座中を
眴
(
みまは
)
したる
容
(
かたち
)
は
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
と云って、
別離
(
わかれ
)
の会釈に
頭
(
つむり
)
を下げたが、そこに根を
生
(
はや
)
して、
傍目
(
わきめ
)
も
触
(
ふ
)
らず、黙っている先達に、気を引かれずには済まなかった。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は
髯
(
ひげ
)
を
生
(
はや
)
した
堅苦
(
かたくる
)
しい
勤
(
つと
)
め
人
(
にん
)
などになるよりも、自分の好きな
遊芸
(
いうげい
)
で世を渡りたいと
云
(
い
)
ふ。それも一生、これも一生である。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
幾株かの苺は素晴らしい勢で四方八方へ
蔓
(
つる
)
を延ばしていた。長い蔓の土に着いた部分は直ぐそこに根を
生
(
はや
)
した。
可憐
(
かれん
)
な繁殖はそこでもここでも始っていた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
汝
(
われ
)
は旅稼ぎの按摩で、枕探しで旅を稼いで居たのが、処を離れて
頭髪
(
つむり
)
を
生
(
はや
)
して黒の羽織を着て、藪医者然たる
扮装
(
なり
)
して素人を
嚇
(
おど
)
かし、大寺などへ
入込
(
いりこ
)
んで勝手は少し心得て居るだろうが
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
洋服をきて髯など
生
(
はや
)
したものはお廻りさんでなければ、救世軍のような、全く階級を異にし、また言語風俗をも異にした人たちだと思込んでいた。
深川の散歩
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と、いう、肩ずれに雪の
膚
(
はだ
)
が見えると、
負
(
おぶ
)
われて出た子供の顔が、無精髯を
生
(
はや
)
した、まずい、おやじの私の
面
(
つら
)
です。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
捨吉達が同級生の一人のお父さんにあたる人で、新撰讃美歌集の
編纂
(
へんさん
)
委員たる長い白い
髯
(
ひげ
)
を
生
(
はや
)
した老牧師が通った。青山と
麻布
(
あざぶ
)
にある基督教主義の学院の院長が通った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
徳「なんだア、
汝
(
てまえ
)
なんどは
生利
(
なまぎき
)
に西洋物を
売買
(
うりかい
)
いたすからてえんで、鼻の下に
髯
(
ひげ
)
なんぞを
生
(
はや
)
して、大層高慢な顔をして居ても、碌になんにも外国人と応接が出来るという訳じゃアあるめえ」
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
白っぽい
浴衣
(
ゆかた
)
に
兵児
(
へこ
)
帯をしめ、田舎臭い円顔に
口髯
(
くちひげ
)
を
生
(
はや
)
した年は五十ばかり。手には風呂敷に包んだものを持っている。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
謂う処に依れば才子に思うさま煽がせさえすれば、畳に
生
(
はや
)
した根も葉も無く、愛吉は退散しそうに見える。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「惜しいことをした。
矢張
(
やっぱり
)
君には髭が有った方が好い。国へ帰るまでには是非
生
(
はや
)
して行き給え」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
こゝの
家
(
うち
)
は女二人ぎりで、菓子などは方々から貰っても、喰い切れずに積上げて置くものだから、皆
黴
(
かび
)
を
生
(
はや
)
かして捨てるくらいのものですから、喰ってやるのが
却
(
かえ
)
って親切ですから召上れよ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
十年以前自分が高等學校を退校される時分には白筋の制帽に
衣服
(
きもの
)
袴
(
はかま
)
の汚れたのを殊更自慢に着けて居た書生が、今ではいづれも
頭髮
(
かみ
)
を分け八字髯を
生
(
はや
)
して居る。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
見得でも何でもないけれど、
身体
(
からだ
)
のために
生
(
はや
)
したと、そういったよ。だから衛生髯だわね。おほほほほ。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ずっと以前には長い立派な
髯
(
ひげ
)
を
厳
(
いかめ
)
しそうに
生
(
はや
)
した小父さんであった人がそれを
剃
(
そ
)
り落し、涼しそうな
浴衣
(
ゆかた
)
に
大胡坐
(
おおあぐら
)
で
琥珀
(
こはく
)
のパイプを
啣
(
くわ
)
えながら巻煙草を
燻
(
ふか
)
し燻し話す
容子
(
ようす
)
は
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
土間で米を
搗
(
つ
)
いていました權六という、身の
丈
(
たけ
)
五尺五六寸もあって、鼻の大きい、胸から
脛
(
すね
)
へかけて
熊毛
(
くまげ
)
を
生
(
はや
)
し、眼の大きな眉毛の濃い、
髯
(
ひげ
)
の生えている大の男で、つか/\/\と出て来ました。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
口髭
(
くちひげ
)
を
生
(
はや
)
した五十年配の主人に出ッ歯の女房、小僧代りに働いている十四、五の男の子の三人暮らし。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
さあ、のつぺらぱうか、
目一
(
めひと
)
つか、
汝
(
おのれ
)
其
(
そ
)
の
真目
(
まじ
)
/\とした
与一平面
(
よいちべいづら
)
は。
眉
(
まゆ
)
なんぞ
真白
(
まつしろ
)
に
生
(
はや
)
しやがつて、
分別
(
ふんべつ
)
らしく
天窓
(
あたま
)
の
禿
(
は
)
げたは
何事
(
なにごと
)
だ。
其
(
そ
)
の
顱巻
(
はちまき
)
を
取
(
と
)
れ、
恍気
(
とぼけ
)
るな。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
次第に停車場へ集って来る人の中で岸本は白い立派な
髯
(
ひげ
)
を
生
(
はや
)
した老人を見つけた。その人が妻の父親であった。老人は岸本の外遊を聞いて、見送りかたがた
函館
(
はこだて
)
の方から出て来てくれた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
“生”を含む語句
生活
先生
生長
畜生
平生
生々
蘇生
生死
衆生
生業
生暖
根生
生命
生存
存生
生出
後生
生温
生計
生身
...