)” の例文
町でも人が沢山見にき、下の流れを飲んで酔うといえば、んで取って、香水だとめるのもある。……お嬢さん……私の事です。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここに於て守る者便べんを得、連夜水をみて城壁にそそげば、天寒くしてたちまち氷結し、明日に至ればまた登ることを得ざるが如きことありき。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あいちやんはふたゝ福鼠ふくねずみはらたせまいと、きはめてつゝましやかに、『わたしにはわかりませんわ。何所どこからみん糖蜜たうみつんでたのでせう?』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
サ買つてたよ。源「アヽ、有難ありがたう。金「サ、おんでげるからおべ、それだけはお見舞みまひかた/″\わつし御馳走ごちそうしてげるから。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
我我の行為を決するものは昔の希臘人ギリシアじんの云った通り、好悪の外にないのである。我我は人生の泉から、最大の味をらねばならぬ。
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そして話しているうちに何か新たに真実の彼女を発見したようにも思ったが、ちょっと口には出せない慾求もめないことはなかった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そこもとうさんのきなところで、うちひと手桶てをけをかついでたり、みづんだりするそばつて、それを見のをたのしおもひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いままでみづんだり、それを保存ほぞんするには椰子やしからのようなものとか、貝類かひるいからとかを使つかふことのほかはなかつたのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
なお、次に、助手の牧田さんが、一言、塾生諸君におわび申し上げたいそうで、どうか牧田さんのこの純情をんでやって下さい。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
それを知っている万吉の立場では、いかにお綱の心をんでも、弦之丞へ向って、今日まで、どうもその二重の恋を取次ぎにくかった。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ふゝむ。これほど申し上げても、私の好意をんで下さらない。これほど申上げても、私の心がお分りになりませんのですか。」
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
あつちややうや内儀かみさんのまへまれた。被害者ひがいしや老父ぢいさん座敷ざしきすみ先刻さつきからこそ/\とはなしをしてる。さうしてさら老母ばあさんんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
母のかせぎでは三人の米も満足には買えず、九つになる太市も八つのお民も、走り使いをし、子守りをし、水をみ、掃除の手伝いをした。
初蕾 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
不思議に思つていますと、ホヲリの命が、その侍女に、「水を下さい」と言われました。侍女がそこで水をんで器に入れてあげました。
裸石鹸を顔へ塗りつけられた事はあまりない。しかもそれをらした水は、幾日前いくにちまえんだ、溜め置きかと考えると、余りぞっとしない。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それでこれをつかってかなり深い坑から水をみ出すことも出来、その頃の鉱山所有者たちに大いに喜ばれたとうことです。
ジェームズ・ワット (新字新仮名) / 石原純(著)
毎人一桶ずつ毎日その水をませ、以て大海をらそうと懸った、かくて追々海が減る様子を、海の民が海王に告げると
自分の家の畳の上に坐って、雇婆やといばばあんでくれた水を、茶碗に二杯立続けに飲んでも、歌麿は容易に動悸どうきがおさまらなかった。
歌麿懺悔:江戸名人伝 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そのうちに鑵子の湯は沸き返ッたが、老婆は、ヒビだらけな汚ない茶碗へ湯をんで、それを縁の欠けた丸盆へ載せて出した。
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
そしてこのミレーやパストゥールは実に、田舎いなかの民衆の間から現われてきて、田舎の民衆の中から信仰をみとったのだった。
そして道徳や正義感に燃え立ってる時、あるいは宗教的な高い気分になってる時、すべて人生は意味深く、めども尽きないものに感じられる。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
絵附は北方の磁州窯を、青磁は南方の龍泉窯の系統をむのである。両窯共に民窯の代表的なものであるのは云うまでもない。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
其広大な慈悲心は生きて働き、死んでます/\働き、老骨ろうこつ地に入ってこゝに数十年、其流れをむ人の数は実におびただしい数を以て数えられる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
あげよと云ければ和吉わきちは番茶を茶碗ちやわんみイザと計りに進めけり發時そのとき主個あるじは此方に向ひ御用のすぢは如何なる品と問へば元益茶碗ちやわん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
貴方は、すこしもわたしの気持を察して下さらない。貴方と同じ国に生まれたこの妾の気持がどうして貴方にんでもらえないのでしょうかしら。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
明日はをかくぞといって寝ると、あくる日はN氏が風呂から帰って来るまでに、八畳に毛氈もうせんを敷いて紙を伸べて水をんで筆を洗ってある。
九谷焼 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
その井戸に水をみに来る女たちのむさくるしい姿はどうにか見ずにすんだが、彼女等が濁った声で喋舌しゃべり合っているのは絶えず聞えてきた。
三つの挿話 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「民さん、僕は水をんで来ますから、留守番を頼みます。帰りに『えびづる』や『あけび』をうんと土産みやげに採って来ます」
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
井戸水は塩分を多分にふくんで、顔を洗うと、ちょっと舌が塩っぱかった。水は二階のはんどがめの中へ、二日分位み入れた。
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
湖水中での良質の水がまれるというのでここを「もくもく」と云い、京洛けいらくの茶人はわざわざ自動車で水を汲ませに寄越す。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そうして自分の志を述べ、人の志をみ取り、たがいに憂い、互に喜んで居るのである。そういう俳句の世界というものがある。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
どうして惣兵衛ちやんは、もつと新太郎ちやんの気持をんでやらないんだらう。さうすれば、こんなことはないだらうに。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
播州ばんしゅう船阪山の水掛地蔵は、堂の脇にある古井の水をんで、その中で地蔵を行水させ、後でその水を信心の人が飲みました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ねえ、汚點しみよごれもない追憶といふものは素晴すばらしい寶玉ですね——んでも盡きない清らかな元氣囘復のみなもとですね。さうぢやありませんか。
阿闍利さまは童子に茶をましたりして大へん楽しそうに見えましたがどういうものか、これまでのようによくお話をなさるということがなく
あじゃり (新字新仮名) / 室生犀星(著)
身扮みなりに相應した堅氣の娘なら、此茶は飮まなかつたかも知れませんが、お靜は水茶屋の女で、お茶をむことも汲ませることも馴れて居ります。
しかし独立の言葉として深い意味がみ取られるということは、ごうもこの一篇の全体的構図を否認する理由にはならない。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
それゆえ、個々の訴訟の段階、最後の決定、その理由などを研究してみ取りうる教訓というものは、これらの役人の手にははいることがない。
審判 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
「夏でなければこの温泉へは這入はいれません。今頃這入るには、あれ、あすこにある湯槽ゆおけみ取って、別にかすのです」
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
田舎いなかにいたときのことなどおもしながら、せわしそうに、ポンプでみずげ、たらいのなかうごかしたのです。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
多少たせう私達に好意かういを持つてくれる人達ひとたちは、に/\氣遣きづかひの眼をもつて私達にのぞみました。それは私達の眞意しんいなかつたからなのでした。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
彼は自分がミチの為に湯をんでやり、その脇でおけを片付けたり、掃除の真似事まねごとをして居たことを意識して居なかった。
刺青 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
いったいどこの女房が、こんな時刻に、びついた井戸車をきしませながら一生懸命井戸の水をみ上げているのだろう?
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
茶は川水をんで来て石のかまど薬鑵やかん掛けて沸かすので、食ひ尽した重箱などはやはりその川水できれいに洗ふてしまふ。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
多少教育も授けてあるに狂気するといふは如何いかにも恥かしい事で、この方から行くと家の恥辱にも成る実に憎むべき奴ではあるが、情実をんでな
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そして自然からは自分以上の何物かをみ出しつつ画面に自分の心と自然のリズムとのよき化合物を盛り上げている。
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
乙名島徳右衛門が事情を察して、主人と同じ決心をしたほかには、一家のうちに数馬の心底をみ知ったものがない。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
先生があのようにおっしゃって下すっても、旧風むかしふう頑固かたくなで、私共の心をんでくれようとも致しませず、泣いて訴えましたけれど、許してくれません。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
座が定まると間もなく、「あいにく女中が居りませんので」と断りながら、老婆はお茶をみに立った。蕗屋はそれを、今か今かと待構えていたのだ。
心理試験 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
み「隣の方と一緒でも構わぬよ、探偵を勤めるが何も恥では有るまいし」と言い掛るを細君が「なに爾では有りませんよ」としずめんとすれど耳に入れず
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)