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汲
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く
ふりがな文庫
“
汲
(
く
)” の例文
町でも人が沢山見に
行
(
ゆ
)
き、下の流れを飲んで酔うといえば、
汲
(
く
)
んで取って、香水だと
賞
(
ほ
)
めるのもある。……お嬢さん……私の事です。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
是
(
ここ
)
に於て守る者
便
(
べん
)
を得、連夜水を
汲
(
く
)
みて城壁に
灌
(
そそ
)
げば、天寒くして
忽
(
たちま
)
ち氷結し、明日に至れば
復
(
また
)
登ることを得ざるが如きことありき。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
再
(
ふたゝ
)
び
福鼠
(
ふくねずみ
)
に
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
たせまいと、
極
(
きは
)
めて
愼
(
つゝ
)
ましやかに、『
私
(
わたし
)
には
解
(
わか
)
りませんわ。
何所
(
どこ
)
から
皆
(
みん
)
な
糖蜜
(
たうみつ
)
を
汲
(
く
)
んで
來
(
き
)
たのでせう?』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
サ買つて
来
(
き
)
たよ。源「アヽ、
有難
(
ありがた
)
う。金「サ、お
湯
(
ゆ
)
を
汲
(
く
)
んで
上
(
あ
)
げるからお
喫
(
た
)
べ、
夫
(
それ
)
だけはお
見舞
(
みまひ
)
かた/″\
私
(
わつし
)
が
御馳走
(
ごちそう
)
して
上
(
あ
)
げるから。 ...
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
我我の行為を決するものは昔の
希臘人
(
ギリシアじん
)
の云った通り、好悪の外にないのである。我我は人生の泉から、最大の味を
汲
(
く
)
み
取
(
と
)
らねばならぬ。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
そして話しているうちに何か新たに真実の彼女を発見したようにも思ったが、ちょっと口には出せない慾求も
汲
(
く
)
めないことはなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そこも
父
(
とう
)
さんの
好
(
す
)
きなところで、
家
(
うち
)
の
人
(
ひと
)
が
手桶
(
てをけ
)
をかついで
來
(
き
)
たり、
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
んだりする
側
(
そば
)
に
立
(
た
)
つて、それを見
る
(
み
)
のを
樂
(
たのし
)
く
思
(
おも
)
ひました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
今
(
いま
)
まで
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
んだり、それを
保存
(
ほぞん
)
するには
椰子
(
やし
)
の
實
(
み
)
の
殼
(
から
)
のようなものとか、
貝類
(
かひるい
)
の
殼
(
から
)
とかを
使
(
つか
)
ふことの
他
(
ほか
)
はなかつたのであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
なお、次に、助手の牧田さんが、一言、塾生諸君におわび申し上げたいそうで、どうか牧田さんのこの純情を
汲
(
く
)
んでやって下さい。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それを知っている万吉の立場では、いかにお綱の心を
汲
(
く
)
んでも、弦之丞へ向って、今日まで、どうもその二重の恋を取次ぎにくかった。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ふゝむ。これほど申し上げても、私の好意を
汲
(
く
)
んで下さらない。これほど申上げても、私の心がお分りになりませんのですか。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
熱
(
あつ
)
い
茶
(
ちや
)
が
漸
(
やうや
)
く
内儀
(
かみ
)
さんの
前
(
まへ
)
に
汲
(
く
)
まれた。
被害者
(
ひがいしや
)
は
老父
(
ぢいさん
)
と
座敷
(
ざしき
)
の
隅
(
すみ
)
で
先刻
(
さつき
)
からこそ/\と
噺
(
はなし
)
をして
居
(
ゐ
)
る。さうして
更
(
さら
)
に
老母
(
ばあさん
)
を
喚
(
よ
)
んだ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
母の
稼
(
かせ
)
ぎでは三人の米も満足には買えず、九つになる太市も八つのお民も、走り使いをし、子守りをし、水を
汲
(
く
)
み、掃除の手伝いをした。
初蕾
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
不思議に思つていますと、ホヲリの命が、その侍女に、「水を下さい」と言われました。侍女がそこで水を
汲
(
く
)
んで器に入れてあげました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
裸石鹸を顔へ塗りつけられた事はあまりない。しかもそれを
濡
(
ぬ
)
らした水は、
幾日前
(
いくにちまえ
)
に
汲
(
く
)
んだ、溜め置きかと考えると、余りぞっとしない。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それでこれをつかってかなり深い坑から水を
汲
(
く
)
み出すことも出来、その頃の鉱山所有者たちに大いに喜ばれたと
云
(
い
)
うことです。
ジェームズ・ワット
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
毎人一桶ずつ毎日その水を
汲
(
く
)
ませ、以て大海を
乾
(
ほ
)
し
涸
(
か
)
らそうと懸った、かくて追々海が減る様子を、海の民が海王に告げると
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
自分の家の畳の上に坐って、
雇婆
(
やといばばあ
)
の
汲
(
く
)
んでくれた水を、茶碗に二杯立続けに飲んでも、歌麿は容易に
動悸
(
どうき
)
がおさまらなかった。
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
そのうちに鑵子の湯は沸き返ッたが、老婆は、ヒビだらけな汚ない茶碗へ湯を
汲
(
く
)
んで、それを縁の欠けた丸盆へ載せて出した。
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
そしてこのミレーやパストゥールは実に、
田舎
(
いなか
)
の民衆の間から現われてきて、田舎の民衆の中から信仰を
汲
(
く
)
みとったのだった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そして道徳や正義感に燃え立ってる時、
或
(
あるい
)
は宗教的な高い気分になってる時、すべて人生は意味深く、
汲
(
く
)
めども尽きないものに感じられる。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
絵附は北方の磁州窯を、青磁は南方の龍泉窯の系統を
汲
(
く
)
むのである。両窯共に民窯の代表的なものであるのは云うまでもない。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
其広大な慈悲心は生きて働き、死んでます/\働き、
老骨
(
ろうこつ
)
地に入ってこゝに数十年、其流れを
汲
(
く
)
む人の数は実に
夥
(
おびただ
)
しい数を以て数えられる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
上
(
あげ
)
よと云ければ
和吉
(
わきち
)
は番茶を
茶碗
(
ちやわん
)
に
汲
(
く
)
みイザと計りに進めけり
發時
(
そのとき
)
主個
(
あるじ
)
は此方に向ひ御用の
筋
(
すぢ
)
は如何なる品と問へば元益
茶碗
(
ちやわん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
貴方は、すこしも
妾
(
わたし
)
の気持を察して下さらない。貴方と同じ国に生まれたこの妾の気持がどうして貴方に
汲
(
く
)
んでもらえないのでしょうかしら。
人造人間殺害事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
明日は
画
(
え
)
をかくぞといって寝ると、あくる日はN氏が風呂から帰って来るまでに、八畳に
毛氈
(
もうせん
)
を敷いて紙を伸べて水を
汲
(
く
)
んで筆を洗ってある。
九谷焼
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
その井戸に水を
汲
(
く
)
みに来る女たちのむさくるしい姿はどうにか見ずにすんだが、彼女等が濁った声で
喋舌
(
しゃべ
)
り合っているのは絶えず聞えてきた。
三つの挿話
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「民さん、僕は水を
汲
(
く
)
んで来ますから、留守番を頼みます。帰りに『えびづる』や『あけび』をうんと
土産
(
みやげ
)
に採って来ます」
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
井戸水は塩分を多分に
含
(
ふく
)
んで、顔を洗うと、ちょっと舌が塩っぱかった。水は二階のはんど
甕
(
がめ
)
の中へ、二日分位
汲
(
く
)
み入れた。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
湖水中での良質の水が
汲
(
く
)
まれるというのでここを「もくもく」と云い、
京洛
(
けいらく
)
の茶人はわざわざ自動車で水を汲ませに寄越す。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そうして自分の志を述べ、人の志を
汲
(
く
)
み取り、
互
(
たがい
)
に憂い、互に喜んで居るのである。そういう俳句の世界というものがある。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
どうして惣兵衛ちやんは、もつと新太郎ちやんの気持を
汲
(
く
)
んでやらないんだらう。さうすれば、こんなことはないだらうに。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
播州
(
ばんしゅう
)
船阪山の水掛地蔵は、堂の脇にある古井の水を
汲
(
く
)
んで、その中で地蔵を行水させ、後でその水を信心の人が飲みました。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ねえ、
汚點
(
しみ
)
も
汚
(
よご
)
れもない追憶といふものは
素晴
(
すば
)
らしい寶玉ですね——
汲
(
く
)
んでも盡きない清らかな元氣囘復の
源
(
みなもと
)
ですね。さうぢやありませんか。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
阿闍利さまは童子に茶を
汲
(
く
)
ましたりして大へん楽しそうに見えましたがどういうものか、これまでのようによくお話をなさるということがなく
あじゃり
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
身扮
(
みなり
)
に相應した堅氣の娘なら、此茶は飮まなかつたかも知れませんが、お靜は水茶屋の女で、お茶を
汲
(
く
)
むことも汲ませることも馴れて居ります。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし独立の言葉として深い意味が
汲
(
く
)
み取られるということは、
毫
(
ごう
)
もこの一篇の全体的構図を否認する理由にはならない。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
それゆえ、個々の訴訟の段階、最後の決定、その理由などを研究して
汲
(
く
)
み取りうる教訓というものは、これらの役人の手にははいることがない。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
「夏でなければこの温泉へは
這入
(
はい
)
れません。今頃這入るには、あれ、あすこにある
湯槽
(
ゆおけ
)
へ
汲
(
く
)
み取って、別に
沸
(
わ
)
かすのです」
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
田舎
(
いなか
)
にいたときのことなど
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
しながら、せわしそうに、ポンプで
水
(
みず
)
を
汲
(
く
)
み
上
(
あ
)
げ、たらいの
中
(
なか
)
で
手
(
て
)
を
動
(
うご
)
かしたのです。
だまされた娘とちょうの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
多少
(
たせう
)
私達に
好意
(
かうい
)
を持つてくれる
人達
(
ひとたち
)
は、
日
(
ひ
)
に/\
氣遣
(
きづか
)
ひの眼をもつて私達に
臨
(
のぞ
)
みました。それは私達の
眞意
(
しんい
)
を
汲
(
く
)
み
取
(
と
)
り
得
(
え
)
なかつたからなのでした。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
彼は自分がミチの為に湯を
汲
(
く
)
んでやり、その脇で
桶
(
おけ
)
を片付けたり、掃除の
真似事
(
まねごと
)
をして居たことを意識して居なかった。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
いったいどこの女房が、こんな時刻に、
錆
(
さ
)
びついた井戸車を
軋
(
きし
)
ませながら一生懸命井戸の水を
汲
(
く
)
み上げているのだろう?
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
茶は川水を
汲
(
く
)
んで来て石の
竈
(
かまど
)
に
薬鑵
(
やかん
)
掛けて沸かすので、食ひ尽した重箱などはやはりその川水できれいに洗ふてしまふ。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
多少教育も授けてあるに狂気するといふは
如何
(
いか
)
にも恥かしい事で、この方から行くと家の恥辱にも成る実に憎むべき奴ではあるが、情実を
汲
(
く
)
んでな
うつせみ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そして自然からは自分以上の何物かを
汲
(
く
)
み出しつつ画面に自分の心と自然のリズムとのよき化合物を盛り上げている。
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
乙名島徳右衛門が事情を察して、主人と同じ決心をしたほかには、一家のうちに数馬の心底を
汲
(
く
)
み知ったものがない。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
先生があのように
仰
(
おっ
)
しゃって下すっても、
旧風
(
むかしふう
)
の
頑固
(
かたくな
)
で、私共の心を
汲
(
く
)
んでくれようとも致しませず、泣いて訴えましたけれど、許してくれません。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
座が定まると間もなく、「あいにく女中が居りませんので」と断りながら、老婆はお茶を
汲
(
く
)
みに立った。蕗屋はそれを、今か今かと待構えていたのだ。
心理試験
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
汲
(
く
)
み「隣の方と一緒でも構わぬよ、探偵を勤めるが何も恥では有るまいし」と言い掛るを細君が「なに爾では有りませんよ」と
鎮
(
しずめ
)
んとすれど耳に入れず
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
汲
漢検準1級
部首:⽔
7画
“汲”を含む語句
汲々
水汲
茶汲
汲出
汲取
潮汲
茶汲女
汐汲
汲水場
谷汲
汲分
汲替
御汲分
肥汲
汲込
汲上
汲立
汲々乎
谷汲郷
汲攩
...