トップ
>
岬
>
みさき
ふりがな文庫
“
岬
(
みさき
)” の例文
急を報ずる合図の
烽火
(
のろし
)
が
岬
(
みさき
)
の空に立ち登り、海岸にある番所番所はにわかにどよめき立ち、あるいは
奉行所
(
ぶぎょうしょ
)
へ、あるいは代官所へと
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
立待崎
(
たちまちさき
)
から
汐首
(
しほくび
)
の
岬
(
みさき
)
まで、
諸手
(
もろて
)
を拡げて海を抱いた七里の砂浜には、荒々しい磯の香りが、何
憚
(
はばか
)
らず
北国
(
ほくこく
)
の強い空気に漲ツて居る。
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
若いのと、なれないのとで、
岬
(
みさき
)
へくるたいていの女先生が、一度は泣かされるのを、本校通いの子どもらは
伝説
(
でんせつ
)
として知っていた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
万葉集の歌「うらうらと照れる春日に
雲雀
(
ひばり
)
あがり心悲しも独し思へば」や「
妹
(
いも
)
がため貝を拾ふと津の国の
由良
(
ゆら
)
の
岬
(
みさき
)
にこの日暮しつ」
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
岬
(
みさき
)
の十二天へ登って、お光さんは、港内を見下ろしながら、
広東
(
カントン
)
服の膝を組んで、その上へ、巻煙草を挟んだ指を放心的に乗せていた。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
この
岬
(
みさき
)
の
燈台守
(
とうだいもり
)
や、山の
畑
(
はたけ
)
のおばあさんや、お
百姓
(
ひゃくしょう
)
さんや、その家族の人たちは、いつも歩きなれている道ばかりをいきますから
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
忽ち一隻の舟ありて、漁父等の立てる
岬
(
みさき
)
の下より、
弦
(
つる
)
を離れし
征箭
(
さつや
)
の如く、波平かなる海原を漕ぎ出で、かの怪しき島國の方に隱れぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
渚
(
なぎさ
)
の
月
(
つき
)
に、
美
(
うつく
)
しき
貝
(
かひ
)
を
敷
(
し
)
いて、あの、すら/\と
細
(
ほそ
)
く
立
(
た
)
つ
煙
(
けむり
)
の、
恰
(
あたか
)
も
鴎
(
かもめ
)
の
白
(
しろ
)
き
影
(
かげ
)
を
岬
(
みさき
)
に
曳
(
ひ
)
くが
如
(
ごと
)
く
思
(
おも
)
はれたのは、
記憶
(
きおく
)
が
返
(
かへ
)
つたのである。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
前にして遠く
房總
(
ばうそう
)
の山々を
望
(
のぞ
)
み南は
羽田
(
はねだ
)
の
岬
(
みさき
)
海上
(
かいじやう
)
に
突出
(
つきいだ
)
し北は
芝浦
(
しばうら
)
より淺草の
堂塔迄
(
だうたふまで
)
遙
(
はる
)
かに見渡し凡そ
妓樓
(
あそびや
)
の
在
(
ある
)
地
(
ち
)
にして此
絶景
(
ぜつけい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
巨大な樹木と深緑の草に蔽はれた山が湖岸まで裾をひき、絶壁をそばだたせ、
岬
(
みさき
)
をつきだし、夢のやうな美しい景色が次々に
展
(
ひら
)
けてきます。
アフリカのスタンレー
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
岬
(
みさき
)
のやうな
形
(
かたち
)
に
偃
(
は
)
うて
居
(
ゐ
)
る
水田
(
すゐでん
)
を
抱
(
かゝ
)
へて
周圍
(
しうゐ
)
の
林
(
はやし
)
は
漸
(
やうや
)
く
其
(
そ
)
の
本性
(
ほんしやう
)
のまに/\
勝手
(
かつて
)
に
白
(
しろ
)
つぽいのや
赤
(
あか
)
つぽいのや、
黄色
(
きいろ
)
つぽいのや
種々
(
いろ/\
)
に
茂
(
しげ
)
つて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それは穏かに庭で育った高価な家畜のような
淑
(
しと
)
やかさをもっていた。また遠く入江を包んだ二本の
岬
(
みさき
)
は花園を抱いた黒い腕のように曲っていた。
花園の思想
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
そしてその
暗
(
くら
)
い、すさまじい
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
け
放
(
はな
)
れたときには、
二人
(
ふたり
)
の
姿
(
すがた
)
は、もはやその
岬
(
みさき
)
の
上
(
うえ
)
には
見
(
み
)
えなかったのであります。
黒い旗物語
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
散歩に出た斧田が海沿いの道を
岬
(
みさき
)
のほうへ下りてゆく途中、三方に
断崖
(
きりぎし
)
を負ってひとところだけ
逞
(
たくま
)
しく雑草の茂った小高い台地にさしかかったとき
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そして昼近くなってちょっとした
岬
(
みさき
)
をくるりと船がかわすと、やがてポート・タウンセンドに着いた。そこでは米国官憲の検査が型ばかりあるのだ。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
船はしだいしだいに南方にむかい、八時間ののちには、南の
岬
(
みさき
)
をめぐって、チェイアマン島を北方地平線に見送った。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
余は一人
尖
(
とが
)
った
巌角
(
がんかく
)
を踏み、
荊棘
(
けいきょく
)
を分け、
岬
(
みさき
)
の突端に往った。岩間には
其処
(
そこ
)
此処
(
ここ
)
水溜
(
みずたまり
)
があり、紅葉した
蔓草
(
つるくさ
)
が岩に
搦
(
から
)
んで居る。出鼻に立って眺める。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
私たちがその頂上に坐っている
岬
(
みさき
)
にちょうど向きあって、五、六マイルほど離れた沖に、荒れ果てた小島が見えた。
メールストロムの旋渦
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
この一種の行き止まりの奥、右の横丁の
角
(
かど
)
の所に、街路の
岬
(
みさき
)
のようにして立っている他より低い一軒の家があった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
故郷の村は遠く雲烟の間に、かすかに一抹の墨絵の
岬
(
みさき
)
になつて見えた。岬の端に半分海の中へ入つて
聳
(
そび
)
えて居る富士形の山は村から三里程奥の××山だ。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
輝かしい夜に、輝かしい海の上で、若い糸杉に縁取られた
岬
(
みさき
)
に沿って、舟を漂わした。そして彼はその村に腰をすえて、たえず愉快に五日間を過ごした。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
丘
(
をか
)
を
下
(
くだ
)
つて
耳
(
みゝ
)
を
澄
(
すま
)
すと、
響
(
ひゞき
)
は
何
(
な
)
んでも、
島
(
しま
)
の
西南
(
せいなん
)
に
當
(
あた
)
つて
一個
(
ひとつ
)
の
巨大
(
おほき
)
な
岬
(
みさき
)
がある、
其
(
その
)
岬
(
みさき
)
を
越
(
こ
)
えての
彼方
(
かなた
)
らしい。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
おさえているから、
岬
(
みさき
)
のむこう側に行ってくれたまえ、三人の身体は潮の流れにのって、あっちへとどくのだ
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
海が
岬
(
みさき
)
で見えなくなった。
松林
(
まつばやし
)
だ。また見える。
次
(
つぎ
)
は
浅虫
(
あさむし
)
だ。石を
載
(
の
)
せた
屋根
(
やね
)
も見える。何て
愉快
(
ゆかい
)
だろう。
或る農学生の日誌
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それは
岬
(
みさき
)
みたいにつき出た上の、木立の無い点に立っていて、単に渓谷のすばらしい景色を包含するばかりでなく、三つの異る山の渓流が下方で落合うのが見られる。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
西東続いた南庭の池の間に中島の
岬
(
みさき
)
の小山が隔てになっているのを
漕
(
こ
)
ぎ回らせて来るのであった。
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
岬
(
みさき
)
や岩のたたずまいから、十分間の中に、体がいくらか潮に流されていることを知った。五郎は振切るようにしぶきを立て、元の岸に向って泳いだ。やがて足が砂についた。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
肥前
(
ひぜん
)
の
下五島
(
しもごとう
)
、昔の
世
(
よ
)
の
大値賀島
(
おおちかのしま
)
の北部海岸に、
三井楽
(
みいらく
)
という
岬
(
みさき
)
の村が今もある。遠く『万葉集』以来の歌に出ているミミラクの崎と同じだと、今日の人はみな思っている。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
またチェリュスキン
岬
(
みさき
)
とレナ河口とにも観測所を設け、後者の一部は永久的のものにする。
北氷洋の氷の割れる音
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その、もと船長の遺言書は、むずかしい文章なので、くだいて話すとね、今から二十年ばかりまえに、紀伊半島の
潮
(
しお
)
ノ
岬
(
みさき
)
の沖で、大洋丸という汽船が、暴風のために沈没した。
海底の魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その飛び方によって、私はそれを
鷹
(
たか
)
だと思った。氷原の南端は狭い
岬
(
みさき
)
のように、その尖端が細まって海中に突出している。この岬の麓へ来た時に、一行は足を停めてしまった。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
そうですね、九十九里は全く別世界のような気がしますね、
大東
(
だいとう
)
の
岬
(
みさき
)
以来、奇巌怪石というはおろか、ほとんど岩らしいものは見えないではありませんか、
平沙渺漠
(
へいさびょうばく
)
として人煙を
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そうしてそのまま
小坪
(
こつぼ
)
へ
這入
(
はい
)
る入口の
岬
(
みさき
)
の所まで来た。そこは海へ
出張
(
でば
)
った山の
裾
(
すそ
)
を、人の通れるだけの狭い
幅
(
はば
)
に
削
(
けず
)
って、ぐるりと向う側へ廻り込まれるようにした坂道であった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして原始林地帯がところどころに、荒れ野原へ
岬
(
みさき
)
のように突入しているのだった。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
遅い
越後
(
ゑちご
)
の春がやつて来て、海が緑色にうるみ、
岬
(
みさき
)
の向かふの
弥彦山
(
やひこさん
)
の雪も消えた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
その時慈悲太郎は、静かに砂を踏み、入江を囲む、
岬
(
みさき
)
の鼻のほうに歩んで行った。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
膨らんだ頬ぺたの
蔭
(
かげ
)
から、少しずつ、実に少しずつ、鼻の頭の
尖
(
とが
)
りが見えて来る。ちょうど汽車の窓で景色を眺めている時に、とある山の横腹から
岬
(
みさき
)
が少しずつ現れて来るような工合である。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それより
他
(
ほか
)
に生き方が無いと思われて、三つの手紙に、私のその胸のうちを書きしたため、
岬
(
みさき
)
の
尖端
(
せんたん
)
から
怒濤
(
どとう
)
めがけて飛び下りる気持で、
投函
(
とうかん
)
したのに、いくら待っても、ご返事が無かった。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
雲が湧き立っては消えてゆく空のなかにあったものは、見えない山のようなものでもなく、不思議な
岬
(
みさき
)
のようなものでもなく、なんという虚無! 白日の闇が満ち充ちているのだということを。
蒼穹
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
造船所の
岬
(
みさき
)
の陰には、あさなぎ、ゆうなぎと書いた二そうの銀灰色の軍艦が修理に這入っていた。白い仕事服の水兵たちがせっせと船を洗っている。赤い筋のある帽子が遠くから
蛍
(
ほたる
)
のように見えた。
田舎がえり
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
岬
(
みさき
)
なるタンジョンカトン訪ひしかばスラヤの落葉
蟋蟀
(
こほろぎ
)
のこゑ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
そのうちに同じ
日向
(
ひゅうが
)
の
笠沙
(
かささ
)
の
岬
(
みさき
)
へお着きになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
その
笈
(
おひ
)
づる姿が、むかうの
岬
(
みさき
)
のはしにかくれるまで。
さがしもの
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
蒙古より
狗
(
いぬ
)
のごとくに吠ゆる風
岬
(
みさき
)
にありて暗き磯かな
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
怒號はげしく更に又
岬
(
みさき
)
のめぐり、波がしら
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
岬
(
みさき
)
代赭色
(
たいしやいろ
)
に、獅子の
蹈留
(
ふみとゞま
)
れる如く
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
あやめもわかぬ
岬
(
みさき
)
にたてり。
どんたく:絵入り小唄集
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
ひかれひかれて、
岬
(
みさき
)
の端に
在りし日の歌:亡き児文也の霊に捧ぐ
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
林なす
潮
(
しお
)
の
岬
(
みさき
)
の
崖椿
(
がけつばき
)
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
なんとか鼻をあかしてやる方法を考えだしたいと、めいめい思っているのだが、なに一つ思いつかないうちに
岬
(
みさき
)
の道を出はずれていた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
“岬”の解説
「立つ崎」とも呼ばれる環境依存文字「﨑」はここに転送されています。「異体字」についてはその項目をご覧下さい。
岬・崎(みさき、さき)は、海へ突き出した陸地の先端部の地形を示す名称。湖などでも用いる。丘や山が海に臨む場合もあれば、平坦な地形の場合もある。半島や島の最先端部に多く現れる。
(出典:Wikipedia)
岬
常用漢字
中学
部首:⼭
8画
“岬”を含む語句
岬角
魚見岬
岬頭
室戸岬
岬々
佐田岬
伊良湖岬
太東岬
立待岬
行当岬
潮岬
汐首岬
和田岬
知人岬
石廊岬
出岬
竜飛岬
中知床岬
磯崎岬
當別岬
...