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子
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ね
ふりがな文庫
“
子
(
ね
)” の例文
玄内は奥の六畳、伝二郎が四畳半の茶の間と、それぞれ夜着に包まって寝についたのがかれこれ、あれで
子
(
ね
)
の刻を廻っていたか——。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
景色
(
けしき
)
だ、とこれから、
前記
(
ぜんき
)
奥入瀬
(
おいらせ
)
の
奇勝
(
きしよう
)
を
説
(
と
)
くこと一
番
(
ばん
)
して、
此
(
こ
)
の
子
(
ね
)
の
口
(
くち
)
の
朝
(
あさ
)
ぼらけ、
汀
(
みぎは
)
の
松
(
まつ
)
はほんのりと、
島
(
しま
)
は
緑
(
みどり
)
に、
波
(
なみ
)
は
青
(
あを
)
い。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
おや? もう
子
(
ね
)
の
刻
(
こく
)
が過ぎたのかしら、
伊那丸
(
いなまる
)
さまもお見えにならず、
忍剣
(
にんけん
)
さまも、……
蔦之助
(
つたのすけ
)
さまもおかしいなあ、だれもいないや。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今夜の
子
(
ね
)
の刻(午後十二時)にその蝋燭の火を照らして、壁かまたは障子にうつし出される娘の影を見とどけろというのである。
影を踏まれた女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ウサギという字は、ちがう字で書くと『
卯
(
う
)
』でしょう。それからネズミは『
子
(
ね
)
』でしょう。つまり両方とも十二支のうちの一つなのです。
大金塊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
神田橋外
元護寺院
(
もとごじいん
)
二番原に来た時は丁度
子
(
ね
)
の刻頃であった。往来はもう全く絶えている。九郎右衛門が文吉に目ぐわせをした。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「そうですか。
彼児
(
あれ
)
がやったのですか。これは私が貰って置きたい。私は実は
子
(
ね
)
の歳なので、鼠には縁がある。これは譲ってもらいましょう」
幕末維新懐古談:17 猫と鼠のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
上半身に十二支の内、
子
(
ね
)
、
丑
(
うし
)
、
寅
(
とら
)
、
卯
(
う
)
、
辰
(
たつ
)
、
巳
(
み
)
、
午
(
うま
)
、の七つまで、墨と朱の二色で、いとも鮮やかに彫ってあるのでした。
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
朔日
(
ついたち
)
が
酉
(
とり
)
でしたから、……酉、
戌
(
いぬ
)
、
亥
(
い
)
……、あっ、
子
(
ね
)
の四日……。それで、鼠が四匹か……。どっちみち、あの碁石を
顎十郎捕物帳:12 咸臨丸受取
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
支那で鼠を
子
(
ね
)
年、
子
(
ね
)
の方位の獣と立つる風と、インドで毘沙門を北方の守護とする経説を融通して、ついに毘沙門の後胤と称する国王も出で来れば
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
調
(
とゝの
)
へ
侍
(
さふら
)
ひ兩人に提灯持鎗持草履取三人越前守
主從
(
しゆじう
)
四人都合十人にて
小石川
(
こいしかは
)
御屋形を
立出
(
たちいで
)
數寄屋橋御門内なる町奉行御役宅を
指
(
さし
)
て
急
(
いそ
)
ぎ
行
(
ゆく
)
早
(
はや
)
夜
(
よ
)
も
子
(
ね
)
の
刻
(
こく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
同じ巻でも「
子
(
ね
)
の日」と「
春駒
(
はるこま
)
」、「だびら雪」と「
摩耶
(
まや
)
の高根に雲」、「迎いせわしき」と「
風呂
(
ふろ
)
」、「すさまじき女」と「夕月夜
岡
(
おか
)
の
萱根
(
かやね
)
の
御廟
(
ごびょう
)
」
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
あなたがだれよりも先に数えてくだすって
年齢
(
とし
)
の祝いをしてくださる
子
(
ね
)
の日も、少し恨めしくないことはない。もう少し老いは忘れていたいのですがね
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
同夜、
子
(
ね
)
の
刻
(
こく
)
ごろより、
石火矢
(
いしびや
)
数百
挺
(
ちょう
)
打ち放し候ところ、異船よりも数十挺打ち放し候えども
地方
(
じかた
)
へは届き申さず。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
手続き書と書いたものや、
取
(
と
)
り
替
(
かわ
)
せ一札の事と書いたものや、明治二十一年
子
(
ね
)
一月
約定金請取
(
やくじょうきんうけとり
)
の証と書いた半紙二つ折の帳面やらが順々にあらわれて来た。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
毎夜
子
(
ね
)
の刻迄には屹度して差上げる筈の日課が、ゆうべからの騒ぎで暁方になって仕舞った。仏様もお待ち兼ねであろう。どれお湯浴みして差上げましょう。
ある日の蓮月尼
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
寝ても
寤
(
さ
)
めても恩義の程を忘れず、万事に気を利かして、骨身を惜まず一生懸命にくれ/\と働き、
子
(
ね
)
に
臥
(
ふ
)
し寅に起るの誡めの通り、子と云えば前の九ツで
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
座禅のために澄み切った心が、いつまでもいつまでも続いた。が、
子
(
ね
)
の刻が近づくと、ついとろとろした。
仇討三態
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「ゆうべ自火をお出しなさいましてな、夜半の、さよう
子
(
ね
)
ノ刻半(一時)ごろでございましたろうか」
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
裕佐がその夜
妓楼
(
ぎろう
)
を出たのは
子
(
ね
)
の刻に近かった。頭はズキズキと痛んでほてり、からだは疲れていた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
それからいま一つ
外秩父
(
そとちちぶ
)
の
吾野
(
あがの
)
村、
子
(
ね
)
の
権現山
(
ごんげんやま
)
の登り口に、飯森杉という二本の老木があります。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
子
(
ね
)
、
丑
(
うし
)
、
寅
(
とら
)
、
卯
(
う
)
、
辰
(
たつ
)
、
巳
(
み
)
、——と、
客
(
きゃく
)
のない
上
(
あが
)
りかまちに
腰
(
こし
)
をかけて、
独
(
ひと
)
り十二
支
(
し
)
を
順
(
じゅん
)
に
指折
(
ゆびお
)
り
数
(
かぞ
)
えていた、
仮名床
(
かなどこ
)
の
亭主
(
ていしゅ
)
伝吉
(
でんきち
)
は、いきなり、
息
(
いき
)
がつまるくらい
荒
(
あら
)
ッぽく
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
五日の月はほんのりと庭の
白沙
(
はくさ
)
を照らして、
由比
(
ゆい
)
ヶ
浜
(
はま
)
の方からは
穏
(
おだや
)
かな波の音が、ざアーア、ざアーアと云うように
間遠
(
まどお
)
に聞こえていた。それはもう
子
(
ね
)
の
刻
(
こく
)
に近い
比
(
ころ
)
であった。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
六微旨大論に天の氣は
甲
(
きのえ
)
に始まり、地の氣は
子
(
ね
)
に始まる、子甲相合するを、
命
(
なづ
)
けて
歳立
(
さいりふ
)
といふ、謹んで其の時を候すれば、氣與に期す可し、と説けるものや、甲子の歳は、初の氣
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
たとえば、
辰
(
たつ
)
年に生まれたるものは
剛邁
(
ごうまい
)
の気性を有し、
寅
(
とら
)
年に生まれたるものは腕力を有し、
子
(
ね
)
年に生まれたるものは臆病なりというごとき類は、世間にてよくいうことであります。
妖怪学一斑
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
子
(
ね
)
の刻を過ごした雨後の庭園は、
鬱蒼
(
うっそう
)
と繁った木立に
蔽
(
おお
)
われ、所々に築山を見せ、深夜の月に照らされた鉛色の池を一方に
湛
(
たた
)
え、
淅瀝
(
せきれき
)
たる秋風の渡るまにまに、竹の林は唸りを上げ
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
こやみもなく
時雨
(
しぐれ
)
がしょぼふって、病床にふしていた老母がふとトロトロと、まどろみにおちたのは、もはや夜も
子
(
ね
)
の刻どき、あるいは草木も眠るうしみつごろであったかもしれません。
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
かたがた
晩
(
おそ
)
くとも
子
(
ね
)
の刻までにはここへ戻ってきているようにしてもらいたい。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
影
一一四
玲瓏
(
れいろう
)
としていたらぬ
隈
(
くま
)
もなし。
一一五
子
(
ね
)
ひとつともおもふ
比
(
ころ
)
、あるじの僧眠蔵を出でて、あわただしく
一一六
物を
討
(
たづ
)
ぬ。たづね得ずして大いに叫び、
一一七
禿驢
(
とくろ
)
いづくに隠れけん。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「それでは
子
(
ね
)
の
年
(
とし
)
でいらっしゃいますな。それからお生れになったのは。」
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
其で思い合せられるのは、此頃ちょくちょく、
子
(
ね
)
から
丑
(
うし
)
の間に、里から見えるこのあたりの
峰
(
お
)
の
上
(
え
)
に、光り物がしたり、時ならぬ
一時颪
(
いっときおろし
)
の凄い
唸
(
うな
)
りが、聞えたりする。今までついに聞かぬこと。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
子
(
ね
)
の日する昔の人のあらまほし
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
「こ、今夜、
子
(
ね
)
の
刻
(
こく
)
前に——」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
前日
(
ぜんじつ
)
、
子
(
ね
)
の
口
(
くち
)
の
朝
(
あさ
)
の
汀
(
みぎは
)
に
打
(
う
)
ち
群
(
む
)
るゝ
飴色
(
あめいろ
)
の
小蝦
(
こえび
)
の
下
(
した
)
を、ちよろ/\と
走
(
はし
)
つた——
真黒
(
まつくろ
)
な
蠑螈
(
ゐもり
)
に
似
(
に
)
て
双
(
ふたつ
)
ながら、こゝに
其
(
そ
)
の
丈
(
たけ
)
十
丈
(
ぢやう
)
に
余
(
あま
)
んぬる。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
これは摂津国屋の嗣子で、
小字
(
おさなな
)
を
子之助
(
ねのすけ
)
と云った。文政五年は
午
(
うま
)
であるので、俗習に
循
(
したが
)
って、それから七つ目の
子
(
ね
)
を以て名となしたのである。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「まだ今夜は、三日の真夜半、ようやく
子
(
ね
)
の刻(十二時)頃と思われます。あす四日中に和議をおすすめあるとも、両三日中には
纏
(
まと
)
められましょう」
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上半身に十二
支
(
し
)
の内、
子
(
ね
)
、丑、寅、
卯
(
う
)
、辰、
巳
(
み
)
、
午
(
うま
)
の七つまで、墨と朱の二色で、いとも
鮮
(
あざや
)
かに彫つてあるのでした。
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
丑満
(
うしみつ
)
近え
子
(
ね
)
の刻に、相好のわからなくなるほどの煮え湯を何だってまた沸かしておきゃがったもんだろう。」
釘抜藤吉捕物覚書:01 のの字の刀痕
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「今夜すぐにこの火を
燃
(
もや
)
すのではない。今から数へて百日目の夜、時刻はやはり
子
(
ね
)
の
刻
(
こく
)
、お忘れなさるな。」
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
正月の二十三日は
子
(
ね
)
の日であったが、左大将の夫人から
若菜
(
わかな
)
の賀をささげたいという申し出があった。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
六月三日
子
(
ね
)
の刻であるが、五日の朝まで、信長生害の事を秘して、
終
(
つい
)
に毛利との媾和に成功した。
賤ヶ岳合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ぞ
祈
(
いの
)
りたるが已に
月
(
つき
)
滿
(
みち
)
て
寛永
(
くわんえい
)
三年三月十五日の
子
(
ね
)
の
上刻
(
じやうこく
)
に玉の如くなる
男子
(
なんし
)
を誕生し澤の井
母子
(
おやこ
)
の悦び
大方
(
おほかた
)
ならず天へも
昇
(
のぼ
)
る
心地
(
こゝち
)
して
此若君
(
このわかぎみ
)
の
生長
(
せいちやう
)
を待つより外は
無
(
なか
)
るべし
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
裕佐が其夜妓楼を出たのは
子
(
ね
)
の刻に近かつた。頭はズキ/\と痛んでほてり、体は疲れてゐた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
月日の経つのは早いもので、十一年が其の間奉公に
陰陽
(
かげひなた
)
なく、実に身を
粉
(
こ
)
に砕いての働き、
子
(
ね
)
に
臥
(
ふ
)
し寅に起き、
一寸
(
いっすん
)
の
間
(
ま
)
も油断せず身体を苦しめ、身を惜まず働きまする。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
起きて股引を
穿
(
は
)
きながら、
子
(
ね
)
にふし銅鑼に起きはどうだろうと思って一人でニヤニヤと笑った。それから寝台を離れて顔を洗う台の前へ立った。これから御化粧が始まるのだ。
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
子
(
ね
)
丑
(
うし
)
寅
(
とら
)
卯
(
う
)
の十二支を十二ヵ月に割り当てると、正月が寅だから旧十月は亥の月であった。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
十月の亥の日を例として
子
(
ね
)
の月なる十一月の
子
(
ね
)
の日を(祭りに)用ゆるなるべしと記す。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
何時
(
いつ
)
かこの二日三日前、
周防様
(
すおうさま
)
と二人で、
子
(
ね
)
の
刻
(
こく
)
過ぎ、お廊下を
見廻
(
みまわ
)
っておりますと、怪しい人影が御寝所の
唐戸
(
からど
)
を開けて、出てまいりましたから、
手燭
(
てしょく
)
をさしつけましたところ
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
大急ぎに急いだが、出がけに油を売ったもんだから府中へついたのは真夜中の
子
(
ね
)
の刻。
顎十郎捕物帳:23 猫眼の男
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
猛犬にあいたるとき、右手の
拇指
(
おやゆび
)
より、
子
(
ね
)
、
丑
(
うし
)
、
寅
(
とら
)
、
卯
(
う
)
と唱えつつ順次に指を屈し、小指を口にてかみ、「寅の尾を踏んだ」と言うときは、いかなる猛犬も尾を巻きて
遁走
(
とんそう
)
するという。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
“子”の意味
《名詞》
(こ)息子又は娘
(こ)こども、児童
(こ)若者。特に若い女性
(ね)十二支の第一。ね。
(シ)子爵の略。
(出典:Wiktionary)
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“子”を含む語句
女子
帽子
男子
長椅子
卓子
拍子
子供
調子
赤子
童子
娘子
容子
吾子
梯子
骰子
硝子
障子
案山子
杓子
種子
...